お正月の飾りはいつまで?家族を幸せにする年神様の迎え方
新しい年が始まる節目であるお正月。子どもの頃は、おばあちゃんの家に行けたり、いとこと遊べたりと楽しい記憶がありますよね。しかし、大人になるとお年玉を渡したり、おせちを作ったり、お正月飾りを準備したりと忙しくなります。師走と呼ばれる通り、12月はなにかと忙しくあっという間に終わってしまいますが、お正月を迎える前にお正月飾りの用意を済ませておきたいものです。
最近では、お正月飾りを飾らないご家庭も増えてきましたが、古くから伝わる大切な行事ですから、きちんと飾って気持ちよくお正月を迎えたいですよね。子どもたちにも受け継いでもらえるように、お正月飾りについての知識を覚えておきましょう。
お正月とは
お正月とは、新年に家々にやってくる年神様(としがみさま)をお迎えし、お祝いする行事です。年神様は、作物の豊作をもたらし、家族に一年の幸福を授けるために高い山や天から降りてくるといわれています。
お正月に飾りを飾るのはなぜ
正月飾りは、新年を迎えた家に幸せを届けてくれる年神様を歓迎する気持ちを込めて、お迎えするための目印として飾ります。また、しめ縄には家の中を清浄な場所にするという意味も込められており、新しい一年がよい年でありますようにという願いも込めます。
飾りをする前には大掃除
お正月飾りは年神様をお迎えするためのものですから、飾りをする前に大掃除をして家全体をきれいな状態にしておきましょう。また、元日に掃除をすると、せっかく来てくださった福を掃き出してしまうといわれているため、元日の掃除はよくない風習とされています。
お正月の飾りはいつから?
お正月飾りは、12月13日以降から飾り始めるのが一般的です。これは、かつて「事始め」として正月事の準備を始める日とされていたためです。最近では、12月28日までに飾るご家庭が多いです。
29日と31日は飾らない
正月飾りを飾る日として、12月29日と12月31日を避けるべきとされています。29日の「9」は「苦」を連想させるため、縁起が悪いとされています。また、大晦日である31日に飾るのは「一夜飾り」といわれ、年神様を迎える準備をあわただしく行うのは失礼にあたるとされているためです。したがって、遅くとも28日、もしくは30日までに飾るのが望ましいとされています。
お正月の飾りはいつまで?
お正月飾りを外す日は地域によって異なりますが、基本的には「松の内(まつのうち)」と呼ばれる期間まで飾るとされています。松の内の期間は、一般的に関東では1月7日まで、関西など地域によっては1月15日までです。この期間の朝に七草がゆを食べたあとに外すことが多いです。
門松やしめ縄はこの松の内の最終日に外し、鏡餅は1月11日の鏡開きの日にお汁粉やお雑煮などにして、年神様の力をいただくという意味を込めて家族みんなでいただきます。
お正月飾りの種類
お正月飾りと呼ばれているものにはたくさんの種類があります。現代にも受け継がれているものや、最近では見かけなくなってきているものまで様々ですが、その中から代表的なものをご紹介します。
門松
門松は、年神様が地上に降りて家々にやってくるときの目印や依り代(よりしろ:神様が宿るもの)となる役割があります。このときの神様とは、農作物の豊作や家内安全の神様、ご先祖様のことをいいます。松は古くから生命力や不老長寿の象徴とされ、神様が宿る常緑樹(ときわぎ)の中でも、特に門松に用いられるようになりました。
一般的には、家の門や玄関の前に、左右対称に二本一対で飾ります。
しめ縄(しめ飾り)
しめ縄(しめ飾り)は、神様を祀る神聖な場所と外界を区切る役割を果たします。これによって、家の中を年神様を迎えるにふさわしい清浄な場所であることを示し、不浄なものが入ってくるのを防ぐという意味が込められています。古事記の天照大神が岩屋から出てきた際に、再び入らないよう岩戸に縄を張ったという神話が由来の一つとされています。
しめ縄の材料には、稲藁が不浄を払う意味を、裏白(ウラジロ)には長寿、ゆずり葉には子孫繁栄の意味が込められています。玄関のドアや神棚に吊るします。
鏡餅
鏡餅は、年神様の依り代(宿る場所)であり、お正月にお供えする最高のお供え物とされています。昔の鏡は丸い形をしていたため、その形に似せて丸い餅が使われるようになりました。大小二段に重ねる形は、月と太陽、あるいは円満を象徴するといわれています。
鏡餅は、年神様が宿るとされる床の間や、家族が集まる居間(リビング)など、清浄な場所に飾ります。一般的には、末広がりの意味がある12月28日にお供えするのが縁起が良いとされています。
破魔矢
破魔矢は、一年の魔を打ち破り、幸運を射止める意味が込められた縁起物で、お寺や神社で授与されます。お正月に行われていた弓の技を試す「射礼(じゃらい)」という行事が由来とされています。飾る場所は、神棚や床の間など清浄な場所の、目線より上の高いところが適切です。特に飾る方角に決まりはありませんが、一般的には神棚や居間の高い位置に、神様への感謝を込めて飾ります。
お年玉
お年玉は、もともと年神様の依り代としての鏡餅を、「御年魂(おとしだま)」として年少者に分け与え、年神様の力を授けてもらうという思想が始まりとされています。金品を贈るようになったのは室町時代以降で、それまでは扇や筆などを贈っていました。お年玉は、目上の人が目下の人に贈るのが慣習とされており、「上司のお子さん」にお年玉をあげるのは、一般的に失礼にあたるので注意が必要です。
お年玉を渡すときは、「新しい門出をお祝いする」気持ちを込めて新札を準備します。お札は肖像画が描かれている面を内側にし、左、右と三つ折りにし、ポチ袋に包んで渡すのが丁寧な作法です。
七草粥
1月7日の朝に「セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ」の春の七草が入ったおかゆを食べることで、一年間の無病息災を願います。これは、古くから行われていた薬草を食べる風習と、中国で官吏(かんり)昇進を決める日だった1月7日に薬草を食べて立身出世を願ったという行事が結びついて、日本に伝わったとされています。
平安時代には七草がゆを食べる習慣が始まり、江戸時代には一般に定着しました。お正月のごちそうで疲れた胃腸を休めるという意味合いもあります。
お正月飾りはどこで買えるの?
お正月飾りは、スーパーやホームセンター、百貨店などで手軽に買うことができます。下町の商店街などでは、手作り感のあるものを手に入れることができるかもしれません。今はネットでも簡単に買うことができるので、今まで買ったことがないという人も、ぜひ試してみてください。
お正月飾りは手作りしてもいい?
数日間しか飾らないお正月飾りですが、意外と費用がかかることもありますよね。でも飾らないのも寂しい、そんな人におすすめなのが手作りのお正月飾りです。リースや干支の置物、卓上サイズの門松などは、100円均一に売ってある材料で手軽に作ることができるので、子どもと一緒に手作りしてみるのもいいですね。
お正月飾りは来年も使える?
お正月飾りは、年神様をお迎えし、お見送りするためのものです。伝統的には、年神様が宿ったものを翌年に持ち越さず、「どんど焼き」などで焚き上げて天にお見送りするのが正しい作法とされています。神事ですから、毎年新しいものに替えることが望ましいです。
しかし、環境問題や費用の観点から、最近では木製や陶器製など、一年中飾れるものや翌年も使えるデザインのものも販売されています。縁起や風習についての価値観はご家庭によって違いますので、ご自身の判断にお任せします。
お正月飾りの処分方法
年神様のために用意したお正月飾りですが、どのように処分するか悩みますよね。お正月飾りは松の内が明けた後の1月15日頃の小正月に行われる「どんど焼き(左義長)」でお焚きあげするのが一般的です。どんど焼きは、年神様を煙に乗せて天に送り返すという意味合いがあります。
どんど焼きに行くのが難しいときは、ごみとして捨てることになります。その際は、神聖なものをそのまま捨てるのは気が引けますので、以下の方法でお清めをするとよいでしょう。お正月飾りを新聞紙など大きめの紙の上に置き、少量の塩をかけてお清めをします。そのまま新聞紙に包んで他のごみとは別の袋に入れ、年神様への感謝の気持ちを込めて、自治体の取り決めに沿ってごみに出しましょう。
どんど焼きとは
どんど焼きとは、正月飾りとして使ったものを一斉に集めて火で燃やす行事です。お正月に降りてきた年神様は、どんど焼きの煙に乗って天に帰るとされているため、お見送りするための大切な行事ともいわれています。この火にあたったり、燃やしたお餅などを食べることで、一年間健康でいられるという意味合いもあるので、機会があればぜひ行ってみてください。
年神様に失礼がないようにしましょう
お正月飾りを大晦日にあわただしく飾ることは、年神様に対して大変失礼にあたります。豊作や幸せをくださる年神様に失礼のないよう、12月28日までに余裕をもってお正月飾りの準備をして、ゆったりとした気持ちで年神様をお迎えするようにしましょう。