スーツのシワ取り方法!アイロンを上手に使ってピシッと復活
毎日スーツを着る人にとって、スーツはひときわ目につく身だしなみです。シワシワやヨレヨレのままでは印象を損ねますが、頻繁にクリーニングへ出すのは費用がかさみ、替えを何着もそろえるのも現実的ではありません。スーツがシワになりやすいのは、多くのスーツに使われるウールが、湿気と熱と圧力が加わると形が変わり、そのまま冷えて固定される性質を持つためです。裏を返せば、この性質を利用して湿気と熱を与えれば、シワは元に戻せます。ここでは、しっかり伸ばすアイロンがけの手順から、外出先でできる応急ワザ、そもそもシワを作らない毎日の工夫まで順番に紹介します。
スーツのシワがたくさんある場合
あとで紹介する「シワが少しの場合」の方法でも多くは伸ばせますが、それでも取り切れないときや、時間のとれる休日にしっかり整えたいときはアイロンの出番です。スーツのシワ取りでもっとも確実なのはアイロンなので、まずは基本の使い方から押さえましょう。
アイロンを使いましょう
正しい手順でかければ、家庭のアイロンでもスーツはピシッと復活します。自分でかけるのは難しそうに見えますが、準備と順番さえ守れば失敗しにくいものです。ポイントは、ほこりを落とす、当て布をする、温度を合わせる、スチームを使う、こすらず押し当てる、の5つです。順に見ていきます。
スーツのシワが目立ちやすいところ
先に、シワが目立ちやすい場所を頭に入れておきましょう。襟、肘、胸、腰、ズボンのお尻です。襟や胸は顔に近く人の目に入りやすく、肘は曲げ伸ばしで、腰やお尻は座るたびにシワが寄ります。ここを重点的に仕上げると全体が締まって見えます。逆にここが甘いと、ほかをきれいにしても「なんとなくだらしない」印象が残るので、最後に必ず見直しましょう。
アイロンをかける順番
アイロンは面積の広いところから、そして一度整えた場所を後で崩さない順番でかけるのがコツです。ジャケットは袖→前→後ろ→襟の順にかけると、あとからかけた部分が先の仕上がりを乱さず、きれいにまとまります。焦って狭い襟から始めると、前身頃をかけるときに崩れてやり直しになりがちなので、大きな面から進めましょう。
最初にブラッシングする
アイロン前にブラシでほこりを落とします。ほこりを残したまま熱を当てると繊維に入り込み、生地を傷める原因になります。まず全体を軽くたたいてほこりを浮かせ、ジャケットは上から下へ、パンツは逆さに吊るして裾から腰へとブラッシング。襟の裏やポケット口も忘れずに。毛並みに逆らってからそろえるように整えると、ほこりが浮いて取れやすくなります。
アイロンをかける前に当て布をする
スーツには当て布が欠かせません。当て布なしで直接かけると、熱で表面がテカり、生地が傷みます。当て布は木綿の手ぬぐいやハンカチが手頃です。乾いた当て布は滑って位置がずれやすいので、軽く湿らせて使うと蒸気が入りやすく仕上がりも安定します。濃い色のスーツほどテカりが目立つので、当て布は省かないことが大切です。
アイロンの温度は中
温度は生地で変わるので、まず洗濯表示を確認します。わからなければ「中」にしておくと安心です。オールシーズンのスーツに多いウールは中温(140〜160度)が目安。高温で一気に伸ばそうとすると、テカりや縮み、生地の傷みにつながるので避けましょう。心配なときは、目立たない裏地や内側で試してから本番に移ると失敗を防げます。
アイロンのスチームをかける
乾いたまま押すより、スチームを使うほうがシワはよく伸びます。シワの寄った部分を重点的に当てましょう。スチーム機能がない、または伸びにくいときは霧吹きで軽く湿らせてから当てます。ふんわり仕上げたいところは、アイロンを1cmほど浮かせて蒸気だけを当てるときれいです。湿らせすぎるとかえって新しいシワが出るので、「少し湿る程度」を守りましょう。
アイロンは何度もこすらない
広い面は軽く滑らせ、襟やパンツの折り目のように筋をつけたいところはこすらず押し当てるのが基本です。往復でゴシゴシこすると生地が伸びて型崩れやテカりの原因になります。「置く、蒸気、離す」を一区画ずつ繰り返すイメージで進めると、均一に仕上がります。
まずは袖から。片方ずつアイロン台に乗せ、もう一方の手で生地を軽く引きながら伸ばします。袖の縫い目に沿わせてかけると形が崩れません。袖に折り筋をつけたくない場合は、丸めたタオルを袖に入れて筒状のままかけると、平らな折り目がつかず自然な仕上がりになります。
次に前身頃。生地の流れに沿ってかけ、脇の切り替えは形に沿わせます。パットの入った肩まわりはアイロン台にスーツを着せるように置くとかけやすくなります。下襟の折り返しは線を潰さないよう、内側から軽く整えるのがコツです。
続いて後ろです。アイロン台にジャケットを着せるように置き、上から下へかけます。背中は面積が広くシワが目立つので、中央から左右へ逃がすように丁寧に。後ろの切れ込みはもたつきやすいので、重ねずに一枚ずつ整えましょう。
最後に襟です。折り目を強くつけると形が崩れるため、軽くなでるように。首の丸みに沿う形なので、手で平らに伸ばしながらゆっくりかけて、変なシワを作らないようにします。
襟とズボン折り目はピシッとさせる
折り目が甘いと一気にだらしなく見えます。背中や前など広い面はもちろん、襟とパンツのセンターラインは特にきりっと決めましょう。次に、スラックスの折り目の作り方を具体的に紹介します。
スラックスのシワ取りとセンタープレスの作り方
ジャケット以上に印象を左右するのがスラックスの折り目です。手順はこうです。まず左右のパンツを重ね、前後の縫い目をそろえて置きます。これがずれると折り目が斜めになります。次に、もともとの折り筋に合わせて腰側から裾へ、当て布をして押し当てます。ウエストまわりやポケットの厚い部分は、丸めたタオルを差し込むと段差のシワが出にくくなります。折り目は膝上あたりまでしっかり、腰に近い部分はやや弱めにすると自然です。つまずきやすいのは、古い折り目と別の位置に新しい線をつけてしまう二本線。うっすら残る元の筋を光にかざして確認し、その線に重ねてかけるのが失敗しないコツです。仕上げに霧吹きとスチームで軽く整えると、一日崩れにくい折り目になります。
| やりがちなNG | 正しいかけ方 |
|---|---|
| 当て布なしで直接かける | 木綿の当て布を重ねてかける |
| 高温で一気に伸ばす | 中温とスチームで少しずつ |
| 往復でゴシゴシこする | 置いて押し当て、離すを繰り返す |
| 濡らしすぎる | 少し湿る程度にとどめる |
| かけてすぐ着る、たたむ | 乾くまでハンガーで吊るす |
アイロンをかけ終わったらハンガーに吊るす
スチーム後は湿気と熱が残っています。そのまま着たりたたんだりすると新しいシワがつくので、乾くまでハンガーで吊るしておきましょう。厚みのあるハンガーにかけ、ボタンを留めておくと型崩れを防げます。完全に冷えて乾いたときに形が固定されるので、この冷ます時間を省かないことが、きれいな仕上がりを長持ちさせる決め手です。
それでもだめならクリーニングへ出そう
スプレーやアイロンで整えても伸びない頑固なシワや、型崩れが気になるときはクリーニングへ。ただし出しすぎは生地を傷めることがあるので、半年に一回程度を目安にしましょう。料金だけで極端に安い店を選ぶと仕上がりに差が出ることもあるので、プレスの評判も見て選ぶと安心です。汗をかく夏場は少し頻度を上げるなど、季節で調整しましょう。
アイロンがけのいいところ
手間に感じるかもしれませんが、自分でアイロンをかけるとうれしいことがあります。ここでは主なメリットを紹介します。
クリーニング代が節約できる
スーツを上下でクリーニングに出すと1着あたり1500〜2500円ほどかかります。何着分か、年に何度もとなると負担は小さくありません。日々のシワは家で伸ばし、クリーニングは本当に必要なときだけにすれば、出費をぐっと抑えられます。
においがつきにくくなる
アイロンの熱と蒸気を通すと、汗やタバコなどでこもったにおいがやわらぎます。夏の汗ばむ時期や飲み会のあとなど、においが気になる日でも、蒸気を当てておくと翌朝すっきり着られます。シワ取りとにおい対策を一度にできるのは、家アイロンならではの利点です。
スーツのシワが少しの場合
アイロンの時間がない、家にアイロンがないときのために、外出先でもサッとできる方法を4つ紹介します。軽いシワなら、これだけでも十分見違えます。
スーツをお風呂に吊るす
霧吹きで湿気を与えるとシワは伸びますが、霧吹きがないときに便利なのが浴室に吊るす方法です。入浴後、蒸気の残る浴室に2〜3時間吊るし、そのあと風通しのよい日陰で乾かします。出張先のホテルでもできて重宝します。浴室の蒸気がスチームアイロンと同じ役割を果たしてシワをゆるめてくれます。注意点は、パンツはセンターラインまでゆるむことがあるので、吊るすのはジャケットだけにすること。乾かす前に肩や襟を手で整えておくと、より形よく仕上がります。
シワ取りスプレーをかける
出張や外出先で頼れるのがシワ取りスプレーです。短時間でシワをゆるめられるので、休ませる時間がないときの応急処置に向きます。アイロンほどぴしっとはなりませんが、即効性ではいちばんです。前夜にかけて吊るしておくと、翌朝は手ぐしで整えるだけで済みます。
スタイルケア 服のミスト
花王
オープン価格
頻繁には洗えないスーツや制服のシワ、汗やタバコのにおいをケアするミストです。スプレーするだけでシワとにおいに働きかけ、静電気を抑える効果もあります。さわやかな香り付きですが乾くと残らないので、香りが気になる人にも使いやすい仕様です。
ハンガーにかけて10〜20cm離し、全体が少し湿る程度にスプレーします。シワやにおいが気になる部分は多めに。スプレー後は手で軽く伸ばしてそのまま乾かします。シミになりにくいので、目立つ場所にも使えます。
スチーマーを使う
平日は浴室干しや霧吹きでもよいですが、週に数回スチーマーを使うと、きれいな状態を保ちやすくなります。ハンガーにかけたまま数十秒で整うので、朝の身支度にも組み込めます。
衣類スチーマー
panasonic
オープン価格
ハンガーに吊るしたままシワを伸ばせるのがこのスチーマーの利点です。アイロン台がいらず、高温の蒸気で手早く整い、においを抑える効果もあります。忙しい朝でもさっと使えます。
ハンガーにかけ、少し浮かせて蒸気を当てます。押し付けるのではなく蒸気をくぐらせる感覚です。生地によっては蒸気を避けたほうがよいものがあるので、洗濯表示を確認し、目立たない裏地でテストを。黒や紺など濃い色は直接当てるとテカることがあるので、当て布をするか距離をとりましょう。
ドライヤーで乾かす
アイロンがないときの応急策として、ドライヤーも使えます。ハンガーに吊るし、シワの部分を水で軽く湿らせてから、生地を引っぱりつつ温風を当てます。近づけすぎず、熱くしすぎないのがコツ。仕上げに冷風を当てて冷ますと、伸ばした形が固定されて戻りにくくなります。
スーツにシワを作らないために
そもそもシワを作らなければ、お手入れの回数も減ります。毎日できる簡単な習慣を紹介します。
毎日同じスーツを着ない
何着も持っていない人には難しく感じますが、スペアパンツ付きを選べば負担は軽くなります。一着でも、パンツを2日おきに替えて履けば、傷みとシワを分散でき、お手入れも半分の回数で済みます。ウールは一日着たら一日休ませると、繊維が湿気を吐き出して自然に形が戻りやすくなります。
ハンガーに吊るす
帰宅してスーツを脱いだら、すぐにハンガーへ。薄いハンガーではなく厚み3〜6cmの肩の丸いハンガーを使うと型崩れを防げます。ポケットにものを入れっぱなしにするとシワや型崩れの原因になるので、中身は必ず出しましょう。吊るす前に軽くブラッシングし、風通しのよい場所で一晩休ませると、翌朝のシワが目に見えて減ります。
座り方と持ち運びのひと工夫
デスクワークが長い日は、椅子に座るときにジャケットの後ろの裾を軽く払ってから座ると、腰やお尻の食い込みシワが減ります。ジャケットを脱げる場面では、背もたれにそのまま掛けず、椅子の背に着せるように掛けると型が保てます。持ち運ぶときは、内側に折り込む裏返したたみにすると表面にシワが出にくく、到着後にハンガーへ移せばすぐ着られます。
スーツのシワ取りでよくある質問
アイロンとスチーマーはどちらがいいですか?
折り目をきりっとつけたいならアイロン、吊るしたまま手早く整えたいならスチーマーが向きます。しっかり仕上げたい休日はアイロン、忙しい朝はスチーマー、と使い分けると効率的です。
当て布がないときはどうすればいいですか?
木綿のハンカチや手ぬぐい、薄手のタオルで代用できます。化学繊維の布は熱で傷むことがあるので避けましょう。当て布は必須で、直接当てるとテカりの原因になります。
濃い色のスーツがテカってしまいました。
テカりは繊維が熱で潰れて光る状態です。軽いものなら、当て布をして蒸気を当て、ブラシで毛並みを起こすと目立ちにくくなります。ひどい場合はクリーニング店に相談しましょう。
洗濯表示にアイロン不可の表示がある場合は?
その生地はアイロンを避け、浴室スチームやシワ取りスプレー、蒸気が使える場合はスチーマーで対応します。判断に迷うときは無理をせず専門店へ相談しましょう。
出張先で道具が何もありません。
入浴後の浴室に吊るす方法が手軽です。シワ取りスプレーを一本持っておくと、前夜のケアで翌朝がぐっと楽になります。
道具と時間に合わせて使い分けよう
スーツのシワは、湿気と熱で形が戻るという生地の性質を利用すれば、家でも十分に伸ばせます。時間のある日はアイロンで折り目まできりっと、忙しい朝はスチーマーやスプレーで手早く、道具がない外出先では浴室の蒸気で、と状況に合わせて選びましょう。脱いだらすぐ吊るす、ポケットを空にする、休ませて着回すといった毎日の習慣を重ねれば、そもそものシワが減り、いつでもピシッとした一着で出かけられます。



