赤ちゃんに鏡を見せるのはダメ?いつから自分を認識できる?
赤ちゃんの首がすわり始めると、周りを見渡せるようになり、さまざまなことに興味を持ち始めます。そのころから、鏡やガラスに映った自分や保護者の方の姿を見てニコニコ笑うことも増えますよね。しかし、そもそも赤ちゃんは、鏡に映る自分自身を認識できているのでしょうか?
また、赤ちゃんが泣いている時に鏡を見せて泣き止ませる方法は、育児術として聞くこともあります。一方で、年配の方の中には、「赤ちゃんに鏡を見せない方がいい!」と話す方もいるようです。どうして赤ちゃんに鏡を見せてはいけないと言われるのでしょうか?
赤ちゃんの鏡にまつわる不思議な疑問にお答えしていきます。
赤ちゃんが鏡に興味を示すのはいつごろ?
赤ちゃんが鏡に興味を示し始めるのは、生後3~4ヵ月の首が据わり始めた頃が多いとされています。鏡やガラス越しに動く手足や自分の表情などにも反応し、ニコニコと喜ぶ姿が見られます。赤ちゃんは鏡も一つの遊び道具に変えてしまう、遊びの達人です。
赤ちゃんは見るだけでなく、触ることで対象物を確認しようとします。鏡に映った自分に手を伸ばしているのを見かけるかもしれません。これも、自己を認識していくための大切なプロセスです。危険がない限り、自由に遊ばせてあげましょう。
赤ちゃんが鏡にうつる自分を認識できるのはいつ?
赤ちゃんは鏡に映っている自分を、自分だと認識できているのでしょうか?また、鏡を見てニコニコ喜ぶのは何故なのでしょう?そんな赤ちゃんの謎を解明してみます。
興味を示し始めたばかりの時期は、他人だと思っている
実は、興味を持ち始めたばかりの時期は、まだ鏡に映る自分を自分自身の姿だとは認識していないと考えられています。あくまで、「鏡に誰か(人)が映っている!動いている!」といった感覚で楽しんでいるようです。
赤ちゃんはよく鏡に映った自分の真似をして楽しんでいますが、これは「自分が見た他者の行動を理解し、真似をする」というミラーニューロンと呼ばれる脳の働きのためだと考えられています。赤ちゃんは、大人が笑顔を見せると笑い返したり、悲しい顔を見せると悲しい顔になったりすることがありますが、これは他者の感情や行動を模倣しようとする神経細胞の働きによるものです。
人の真似をすることによって、脳はどんどん刺激されて発達していきます。赤ちゃんは何にでも好奇心旺盛なので、そんな一面もかわいいですね。
自己認識が定着するのは1歳半~2歳頃
赤ちゃんがいつから自分という存在を認識し始めるのかというと、個人差もありますが、一般的には1歳半~2歳頃とされています。これは、ルージュテスト(マークテスト)といった、赤ちゃんが自己を認識しているのかを調べる実験により分かったことです。ただし、生後12ヶ月頃には自分の顔を認識し始めるという研究結果もあります。
1歳といえば、赤ちゃんも少しずつ言葉を話し始める頃です。脳も活発に成長しているこの時期に、自分の存在を認識し始めるのかもしれませんね。
ルージュテスト(マークテスト)の実践方法~うちの子は認識できている?
鏡に映る自分自身を赤ちゃんは認識できているのかどうか、自宅でも簡単に確かめる方法がルージュテスト(マークテスト)と呼ばれる方法です。手順は以下の通りで、自宅でも簡単に実践できます。
- 気がつかれないように、口紅やシールなどを赤ちゃんの顔につける。
- 鏡を見せて、反応を見守る。
口紅で汚れている部分やシールを触ろうと、自分の顔に手を当てるなら、赤ちゃんは鏡に映る自分自身を認識できているということになります。もし、自分の顔ではなく、鏡に映る像の顔に手を伸ばすようなら、赤ちゃんはまだ口紅やシールをつけているのが自分だとは認識できていないと考えられます。
鏡ごしに自分を認識できるかどうかは個人差も大きいです。1歳未満でも、何度も鏡で遊んでいるうちに、「自分だ!」と気づくケースもあります。興味がある方は、ぜひ実践してみてください。
認識が早くても遅くても、だんだん自分の顔を認識していくので、その点はご安心ください。
機材が必要なダブルスクリーンテスト
ルージュテストの他にも、高性能なビデオカメラなどの機材を使った、ダブルスクリーンテストという方法もあります。2つのスクリーンを赤ちゃんの前に用意して、赤ちゃんの様子を撮影し、リアルタイムの映像と、その映像を少し遅らせるように設定した映像を映し出します。すると、自己を認識している赤ちゃんは、少し遅れている自分の映像に違和感を覚えて、注視するようです。
家庭ではなかなか試す事が難しいですが、赤ちゃんの成長を知る上でとても興味深い実験ですね。
鏡への興味と発達について
「鏡に映る自分(他人)に興味を持たない赤ちゃんは、自閉症かもしれない」といった噂を耳にすることもあるようです。しかし、鏡への興味の有無だけで、自閉症かどうかの判断はできません。専門の医師でも、自閉症の診断は難しく、乳幼児期の診断はほぼ不可能です。
鏡に興味を持たないからといって、過度に心配したり深く悩んだりせずに、かわいい我が子をあたたかく見守っていきましょう。鏡遊びはあくまで発達の一つの側面であり、赤ちゃんの成長は多岐にわたります。
「赤ちゃんに鏡をみせてはいけない」という迷信が生まれた理由
赤ちゃんが鏡で楽しく遊んでいる様子を見た祖父母から、「赤ちゃんに鏡は見せてはいけない!」と言われた経験のある保護者の方もいるようです。特に成長への悪影響があるという医学的・科学的な根拠はなく、いわゆる迷信のようなものです。
迷信が生まれた背景には、以下のようなものが考えられます。
鏡はあの世とこの世を繋ぐものという考え
もともと、鏡には不思議な力が宿るとされていて、古来から多くの儀式に使われてきました。昔の人は、そんな鏡をあの世とこの世を繋ぐ神聖なものと考えていました。
赤ちゃんはこの世に生まれてきて、まだ間もない存在です。霊的なものから、赤ちゃんを守りたいという気持ちが、赤ちゃんと鏡を遠ざけたいという心理となり、迷信になった可能性はありえます。
事故を防ぐため
現在では考えにくい話ですが、水面に写った自分に興味を示し、池などに落ちたりする危険を避けるため、鏡を見せない方が良いと昔の人は考えたのかもしれません。
ただ、赤ちゃんが興味があるものに何でも手を出したり、向かっていくのは今も昔も変わりません。赤ちゃんと鏡の衝突、スタンドミラーなどが衝撃で倒れてケガをしないように、お部屋に大きな鏡を置くときは安全に注意してください。
疳の虫が強くなる
年配の方がよく言う「疳の虫」とは、昔の人が、赤ちゃんが特に理由もなく泣いたり、夜泣きや癇癪を起こしたりするのを、体の中の「虫」のせいだと考えていたものです。そのため、「疳の虫が強くなる」というのは、赤ちゃんがよく泣く、夜泣きをする、癇癪を起こしてしまうという意味です。
夜泣きの原因としては、昼間の強すぎる刺激も理由にあると考えられています。脳は寝ている時間に整理されるので、興奮しすぎると、寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めたりします。鏡で遊んで、赤ちゃんが興奮しすぎると、確かに夜の睡眠に影響する可能性はありますね。
赤ちゃんと鏡で遊ぼう!おすすめおもちゃもご紹介
赤ちゃんに鏡を見せてはいけないというのは迷信ですので、赤ちゃんが鏡を見て喜んでいるのなら、どんどん遊ばせて、好奇心を育んであげましょう。
ただし、大人が日常的に使用している鏡は、何かの拍子でぶつけてしまったり、赤ちゃんが落としてしまったりすると割れてしまい、危険です。赤ちゃん用に安全に作られている鏡のおもちゃを用意してあげると良いでしょう。
また、車の中でベビーシートに乗っているのが苦手な赤ちゃんも多いですよね。そんな時に、車内に取り付けることのできる鏡のおもちゃは効果を発揮することもあります。鏡に映る自分の姿や流れていく景色を見て、ドライブ好きになってくれるかもしれません。
サンシャイン・ミラー
sassy
2,376円(税込)
ポップでカラフルなデザインと、かわいらしい表情が特徴のおもちゃです。赤ちゃんが大好きないないいないばぁ!とめくると鏡があらわれるようになっています。3種類の歯固めも付いているので、なんでも口に入れる時期にも重宝します。自宅でもちょっとしたおでかけにも持っていける万能ミラーおもちゃです。
1-2-3でんでんむし
fisher-price
2,800円+税
とってもかわいいユニークなでんでんむし型のおもちゃです。転がすとノリノリなメロディが流れたり、ピカピカとライトが光ったりします。ハイハイ期にはおいかけっこもできたり、ゆらゆら揺らして見ているだけでも楽しめるようになっています。小さい頃から、長く楽しめるおもちゃはとても助かります。お値段もとってもお手頃です。
シー&プレイ 2in1 ミラー
Bright Starts(ブライトスターツ)
2,482円(税込)
車のヘッドレストに装着できるタイプの鏡のおもちゃです。鏡が大好きな赤ちゃんは、ベビーシートに乗っていることが苦手でも、こんなかわいい鏡がついていたら、楽しくおでかけできるはずです。鏡も大きめで、しっかりと自分の顔が映るのと同時に、車の後ろの窓からの風景もみられて、おでかけするのがうれしくなりそうです。