赤ちゃんの場所見知りはなぜ起こる?時期や原因、ギャン泣き対策と乗り越え方を解説
赤ちゃんとの生活に慣れて、さあこれから積極的にお出かけを楽しもうと思った矢先に、初めての場所で突然のギャン泣きに遭遇し、慌ててその場を後にした経験をお持ちのママは多いのではないでしょうか。
特に、今まで平気だったのに急に泣き出すようになると、「どうしてだろう」「何かあったのかな」と心配になってしまいますよね。赤ちゃんが慣れない場所に行くと泣いてしまうのは、「場所見知り」が原因かもしれません。
この場所見知りは、知らない人を見て大泣きする「人見知り」と同様に、赤ちゃんの心と体の成長の証でもあります。
この記事では、場所見知りの原因や始まる時期、そしてすぐに実践できる効果的な対策法を詳しく解説します。赤ちゃんの気持ちを理解し、場所見知りを乗り越えるヒントを見つけて、親子で安心して外出できるようになりましょう。
場所見知りとは?赤ちゃんの成長における意味
場所見知りとは、初めて訪れた場所や、普段過ごしている自宅とは環境が異なる場所に行った際に、赤ちゃんが不安を感じて泣き出したり、ママにしがみついて離れなかったりする行動を指します。
また、不安からくる強いストレスにより、指しゃぶりのような癖が一層強くなったり、時には癇癪を起こすような行動が見られることもあります。
まだ小さい赤ちゃんですが、環境の変化に非常に敏感です。においや音、明るさ、周囲の雰囲気など、自宅とは異なる環境を察知すると、それを「安全ではない」と感じて不安になり、泣くことでママに助けを求めているのです。
場所見知りは、赤ちゃんが普段いる場所(自宅や慣れた場所)を認識し、それ以外の場所を区別できるようになったという、認知能力と愛着形成が進んでいる証でもあります。
赤ちゃんの場所見知りの原因とメカニズム
大人でも初めての場所では緊張するように、赤ちゃんも慣れない場所は得意ではありません。小さな赤ちゃんは、知らない場所をどのように感じているのでしょうか。なぜ場所見知りをしてしまうのか、その代表的な原因を解説します。
1. 愛着形成の確立と環境への警戒心
生後半年頃から、赤ちゃんは自分のお世話をしてくれる特定の養育者(主にママ)を認識し、強い愛着を持つようになります。この愛着形成が進むことで、赤ちゃんはママを「安全基地」として認識し、慣れ親しんだ環境で過ごすことで安心感を得ます。
逆に、慣れない場所や、ママがそばにいても安心できない環境では、防衛本能が強く働き、不安を感じてしまいます。これは、赤ちゃんが自分で身を守ろうとする本能的な行動です。
2. 認知能力の発達による環境の違いの認識
赤ちゃんの脳は日々発達しており、生後数ヶ月を経て記憶力や認知能力が向上します。これにより、「いつもの家と違う」「いつもの音と違う」といった環境の違いを認識できるようになります。
大人は経験から新しい環境の安全性を判断できますが、小さな赤ちゃんはそれが難しいため、違いを認識した瞬間に強い不安を感じて泣いてしまうのです。
3. 刺激の多さへの過剰反応
人が多く賑やかな場所、広くて音が響く場所などでは、聞き慣れない雑音や大きな音、眩しい光など、普段の生活にはない多様な刺激に満ちています。特に、自宅で静かに過ごすことが多い赤ちゃんは、これらの刺激に慣れていないため、びっくりして場所見知りをすることがあります。
また、赤ちゃんには生まれ持った「気質」があり、環境への順応性が高い子もいれば、何事にも慎重で臆病な子もいます。後者の気質を持つ赤ちゃんは、より強く場所見知りの行動を示す傾向があります。
4. ママの注意を引くための行動(甘えのサイン)
慣れない場所で不安な赤ちゃんにとって、頼れるのは安全基地であるママだけです。ママが友人とのおしゃべりに夢中になったり、用事を済ませるために自分から離れたりすると、「不安だよ」「こっちを見て」という気持ちから、最大の武器であるギャン泣きでママの注意を引こうとします。これは赤ちゃんがコミュニケーションとして「泣く」という発信行動をとっている状態です。
赤ちゃんの場所見知りはいつからいつまで?
場所見知りが始まる時期は人見知りとほぼ同時期で、早い赤ちゃんでは生後6ヶ月頃、一般的には生後8ヶ月~1歳前後にはじまることが多いです。
この時期は、人に対する好奇心が高まると同時に、知らない人や場所への警戒心や恐怖心が生まれるため、不安感が強くなります。
場所見知りは、一般的に2歳~3歳頃までには徐々におさまると言われています。しかし、幼稚園入園など環境の変化が遅かった子や、もともと慎重な気質を持つ子は、4歳頃まで続くなど個人差が非常に大きいのが特徴です。
場所見知りは発達の証であり、無理にやめさせる必要はありません。赤ちゃんのペースに合わせて見守ることが大切です。
場所見知りを軽減する5つのおすすめ対策
育児に追われる中で、たまの外出はママにとって大切な息抜きの時間です。場所見知りを完全になくすことは難しいですが、不安を軽減し、赤ちゃんが少しでも落ち着いて過ごせるようにするための効果的な対策法をご紹介します。
1まずはママがリラックスして安心感を伝える
赤ちゃんは、ママやパパの表情や態度に非常に敏感です。ママが「泣かれたらどうしよう」「大丈夫かな」と不安を感じていると、その感情が赤ちゃんにも伝わり、さらに不安を強めてしまうことがあります。まずはママが「泣いても大丈夫」「成長の証だから仕方ない」と大らかな気持ちでリラックスし、笑顔を見せてあげることが大切です。
また、赤ちゃんが泣き出したら、「大丈夫よ」「安心してね」と優しく共感する声かけをしながら、しっかり抱っこしてあげましょう。ママの温もりと声かけは、赤ちゃんにとって最大の安心材料です。
2お気に入りのものや匂いで安心できる環境を作る
慣れない場所に不安を感じたとき、「いつものもの」があれば、赤ちゃんはリラックスできます。普段使っているお気に入りの絵本やおもちゃ、ブランケットなど、匂いや触り心地に慣れたものを持っていくと良いでしょう。
かさばる場合は、コンパクトなソフトブックやベビーカーに装着できるおもちゃなど、持ち運びしやすいものを選ぶのがおすすめです。慣れた匂いや感触が、場所見知りで生じた嫌な気分を和らげてくれます。
3短時間・静かな場所からの慣らし保育
赤ちゃんを無理に慣れさせようとせず、徐々にその場の雰囲気に慣れさせることが大切です。初めての場所へ行く際は、最初は短時間で切り上げることから始めましょう。また、人が少ない静かな場所や、刺激が少ない場所に少し移動し、落ち着いて周囲を観察できる時間を与えてあげるのも効果的です。
ママと一緒にいることで安心感を得ながら、徐々に「ここは安全な場所なんだ」ということを学んでいきます。赤ちゃんの様子を見て、不安が少しでも和らいだら、場所を移すようにしましょう。
4事前の「予告」で心の準備を促す
言葉がある程度わかるようになってきたお子さんの場合は、出かける前に行き先を予告してあげると、心の準備がしやすくなります。「今日は児童館というところに行くよ」「おばあちゃんのお家で遊ぼうね」などと伝えてみましょう。
可能であれば、行く場所の写真を事前に見せてあげるのも有効です。写真を見ながら「ブランコがあるね」「いつも行く公園と色が違うね」などと話すことで、初めての場所に対する不安を減らすことができます。
5他の大人との関わり方について周囲の理解を促す
祖父母や友人など、赤ちゃんと関わる大人たちにも、場所見知りや人見知りについて理解してもらうことが大切です。赤ちゃんが泣いている時に、大人が焦って「困った子だね」と言ったり、無理に抱っこしようとしたりしないよう伝えておきましょう。
赤ちゃんが慣れるまでは、声かけから始めてもらう、少し距離をとって見守ってもらうなど、赤ちゃんのペースを尊重してもらうことで、場所見知りの軽減につながります。
赤ちゃんの場所見知り体験談!先輩ママの乗り越え方
実際に場所見知りに悩まされた先輩ママたちは、どのように場所見知りを乗り越えたのでしょうか。いくつかの体験談をご紹介します。
義実家での場所見知りを「短時間訪問」で克服
生後6ヶ月で転居し、義実家が近くなりました。もともと大人しい性格で人見知り中の娘が、初めての義実家でまさかのギャン泣き。楽しみにしていた義両親がっかりさせてしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
義両親に場所見知りについて理解してもらい、最初は週に一度の訪問を短時間で終わらせるようにしました。徐々にお邪魔する時間を延ばしていったところ、2歳になった現在は義実家にもすっかり慣れ、子供だけを預けることもできるようになりました。
時間はかかりましたが、焦らずゆっくりと慣らすことで、自分の時間も確保できるようになり、結果的に良かったと思っています。
支援センター通いのストレスを乗り越えて
ママ友が欲しくて、生後6ヶ月の時に子育て支援センターを勧められました。意を決して行ってみたものの、娘が大泣きし、その日はすぐに帰ることに。
その後も、また泣かれたらという思いから、支援センターに行くこと自体がストレスになってしまいました。しかし、「子どもの成長のために」と、たびたび泣かれながらも通い始め、半年が経過しました。今では1歳になり、周りの子に興味を示して同じ空間で遊べるようになりました。
一人遊びがほとんどですが、以前のような激しい場所見知りはなくなったと感じています。諦めずに通い続けたことが、子どもの慣れにつながったと思います。
場所見知りは赤ちゃんの立派な「成長の証」
赤ちゃんの場所見知りは、泣いたりぐずったりしてママを困らせることがありますが、実は誰でも一度は通る大切な成長の道です。
場所見知りをするのは、「いつもの安心できる場所」と「そうではない場所」を区別できるようになった証拠であり、認知能力が発達し、特定の人への愛着が育まれている証でもあります。
場所見知りが激しい赤ちゃんは、観察力に優れ、環境の変化を敏感に感じ取る能力が高いとも言えます。
ママは、赤ちゃんが場所見知りをしたからといって、無理に慣れさせる必要はありません。赤ちゃんの不安が自然に解消されるまで、「大丈夫だよ」と優しく声をかけながら、心に余裕をもって見守ってあげるようにしましょう。この経験は、赤ちゃんの心の成長にとって重要なステップとなるはずです。

