停電時の赤ちゃんのお世話はどうすればいい?ミルク作りや断水対策
突然の停電!赤ちゃんのいるご家庭では、赤ちゃんのお世話をどのようにすれば良いのかパニックになってしまいますよね。
私は東北地方に住んでいて、大きな自然災害によって1週間以上の停電を経験し、自分がいかに電気に頼った生活をしていたのだと実感しました。
特に小さい赤ちゃんのお世話をするには電気が必要です。液体ミルクやベビーフードを備蓄している家庭は食の心配を回避できますが、粉ミルクを作るには暖かいお湯を沸かさなければならないし、免疫力の弱い赤ちゃんの体温調節のためにエアコンも必要です。
こちらでは、停電の時の赤ちゃんの粉ミルク作りやお世話の方法、断水のための対策、あったら便利なグッズを、経験を元に紹介します。少しでも皆様のお役にたちますように。
停電で赤ちゃんのミルクが作れない!ノー電気でお湯を作る2つの方法
停電になり、赤ちゃんのお世話の中で一番不安になるのがミルク作りだと思います。たとえ赤ちゃんに母乳を飲ませていたお母さんでも、天災のショックで母乳の出が悪くなってしまい、ミルクが必要になることもあります。
最近はIHクッキングヒーターのお家が多く、停電になってしまうと加熱機器が使えなくなってしまいます。液体ミルクがグリコや明治から遂に発売したので備蓄してあればいいのですが。
粉ミルクを溶かせるお湯が沸かせなければミルクを作ることができません。しかし、停電で電気が使えなくてもお湯を作る方法があります。
カセットコンロで赤ちゃんのミルクのお湯を沸かす
停電の時にとっても役に立つのがカセットコンロです。赤ちゃんのミルク作りには熱湯が必須ですので、赤ちゃんのいる家庭では防災グッズとして必ず備えおきましょう。
我が家では何年も使っていない状態で、処分するかしないかの瀬戸際にあった物ですが、停電中は大変お世話になりました。
停電でIHクッキングヒーターが使えない間は、カセットコンロでお湯を沸かし、ご飯を炊き、料理もします。赤ちゃんのミルクのお湯も、カセットコンロで沸かすことができます。
しかし停電中は、カセットコンロに差し込むガスボンベが不足する恐れがあります。私が停電を経験した時は、スーパーやホームセンターなど営業が再開した最初の頃はどこも長打の行列ができ、電池やカセットコンロ用ガスはどこも売り切れ、あっても一人あたりの購入個数が決まっていて生活に必要な充分な量は確保できませんでした。
なので、カセットコンロを使ってお湯を沸かす際は、一度にたくさん沸かして、保温のできるポットや水筒に移して使用していました。
リスクが高いので緊急時のみ!ホッカイロで赤ちゃんのミルクのお湯を作る
「ホッカイロでお湯が出来るの?」と半信半疑でしたが、実際にやってみると本当にミルクにちょうど良いお湯ができるのでびっくりしました。停電などの災害時にはミルクが本当に不足しますので、熱湯も支援物資の滅菌済み液体ミルクも手に入らない緊急時のために知っておきましょう。
作り方は簡単で、哺乳瓶にホッカイロを貼り、タオルで包んで3~5時間待つだけです。時間はかかりますが、火を使わずに暖かいお湯を作ることができます。ただしできるだけ細菌への感染リスクが低い、開封直後の固形ミルクを使いましょう。
注意!ホッカイロのミルク作りは乳児へのリスクが高い
リスク覚悟でどうしても赤ちゃんにミルクを飲ませなければならない緊急時以外は、ホッカイロでミルク作りを行わないで下さい。
世界保健機関(WHO)の「妊娠中および授乳期の食品安全と栄養」によると、粉ミルクは細菌のエンテロバクター・サカザキとサルモネラ属菌に汚染されているリスクが高く、今の技術では完全滅菌は不可能。特に生後2ヶ月未満の乳児が亡くなるリスクが高いです。
粉ミルクを滅菌するためには70℃以上の湯が必要!一般的に最高温度が50℃を下回るホッカイロで70℃以上の湯は作れませんし、最高温度70℃を上回るホッカイロメーカ桐灰の「マグマ」でも、平均温度が61℃のため毎回70℃にするのは困難です。
停電時にホッカイロで赤ちゃんのミルク用のお湯を作る方法は、世界保健機関(WHO)の「妊娠中および授乳期の食品安全と栄養」が発表された後、私が長男を出産した産院で粉ミルクメーカー「森永」の方に教えてもらった緊急時の対応です。
停電のためミルクを溶かせるギリギリの量の熱湯しか準備できない場合でも、ベビー用ミネラルウォーターや「いろはす」など市販の加熱殺菌された軟水ミネラルウォーターがあれば赤ちゃんのミルクは作れますので、備蓄しておくことをおすすめします。
またカセットコンロ以外にもキャンプ用品の携帯用小型調理器クッカーや車用湯沸かし器、災害用湯沸かしボックスなどがあれば赤ちゃんのミルク用の湯は沸かせます。
ただし折角安全なミルクを作っても、消毒していない哺乳瓶や乳首での授乳はリスクが高く、停電の時だからこそ衛生面に慎重になることが重要です。
赤ちゃんの下痢など体調不良で病院を受診したくても、公共交通手段が使えず、病院では重度の患者さん以外の診療をしてもらえないこともあり、みるみる体調が悪化して命の危険にさらされる恐れがありますので、停電時の赤ちゃんの衛生管理はしっかりと行ってください。
停電で哺乳瓶を消毒できない時は紙コップを使って!
赤ちゃんは紙コップやスプーンでもミルクを飲めますので、きれいな紙コップに適温のミルクを作ったら、赤ちゃんの首を支えて体を起こし、スプーンや紙コップを唇に当ててゆっくり少量ずつ飲ませてあげてください。
夏の停電と冬の停電!赤ちゃんの体温調節は?
天災による停電は季節問わずいつ起こるかわかりません。赤ちゃんは自分で暑い!寒い!と伝えることが出来ないため、停電でエアコンが使えない時は赤ちゃんの体温調節に充分気を付けなければなりません。
気温が安定している春や秋ならまだしも、夏は熱中症の危険、冬は寒さで風や体が弱ってしまいます。夏と冬の停電の注意点や対策をご紹介します。
夏の停電は赤ちゃんのあせもと熱中症に注意!
近年の夏は30度を超える猛暑日が多く、東北に住む私でも、夏はエアコンを1日中付けっぱなしです。そんな中、停電でエアコンが使えなくなってしまったら…考えただけでめまいがしそうです。
汗っかきで体温が高い赤ちゃんはあせもができ、熱中症にもなり易いので、こまめな水分補給はもちろんですが、赤ちゃんが汗をかいていたら、濡れたタオルでこまめに体を拭いてあげることによって、あせもができにくくなります。
天災等による急な停電時には、まず冷凍庫の中身をクーラーボックスに移し、氷はビニール袋に入れて一緒にクーラーボックスに入れ、氷が溶けたらその冷たい水で濡らしたタオルを絞って赤ちゃんの首やわきの下を冷やすのが効果的です。保冷剤がある場合は、タオルに包んで使用しても良いです。
ただし、赤ちゃんが暑がっているからといって、水の中に体を入れるのは危険です。体の冷やしすぎは赤ちゃんが低体温症になってしまう恐れがあります。
冬の停電は赤ちゃんの低温火傷に注意!
冬の停電は、赤ちゃんの暖をどう取るかが重要です。私が停電を経験したのは、雪が降るぐらいの寒い時期でしたので、家の中でもダウンを着て、湯たんぽやホッカイロで暖を取っていました。
ですが小さい赤ちゃんに湯たんぽやホッカイロを長時間当ててしまうと、低温火傷になってしまう恐れがあるので注意しましょう。湯たんぽやホッカイロを使う際は赤ちゃんを毛布などに包んで、湯たんぽは布団を温めるために使い、ホッカイロは布に包んで一時的に赤ちゃんの手足を温める際に使用することをおすすめします。
一番は、お母さんの抱っこで体を密着させる方法。お互い暖かく、赤ちゃんもママにくっついていると、停電の暗さや静けさでの不安が解消できると思います。
停電時の赤ちゃんの沐浴には「沐浴剤」がおすすめ!
新陳代謝の活発な新生児のいるご家庭では、停電の際に沐浴させられないことが気になるでしょう。そこでおすすめしたいのが沐浴剤です。
すでに使っているご家庭も多いかと思いますが、沐浴剤であればベビー石鹸と違って洗い流す必要がないため、お湯の量が少なくても停電時に赤ちゃんを沐浴させることができます。
ガスコンロで鍋にお湯を沸かし、常温の水を少量いれておいたベビーバスに鍋のお湯を入れたら、常温の水をたして湯温を調節します。適温になったら沐浴剤を入れて、新生児の頭や体を洗い、最後は洗い流さずにバスタオルで拭いてあげて下さい。
ガスコンロ1つで沐浴用のお湯を沸かすと次のお湯が沸くまでに前に沸かした湯が冷めるので、できればガスコンロが2つあるといいです。停電時のストレスの一つが頭を洗えないことですので、2つあれば大人も助かります。1つしかない場合は電気ポットや魔法瓶を利用し、沐浴用のお湯が冷めないように工夫してください。
沐浴を卒業した赤ちゃんの停電時のお風呂
停電時はお湯の確保が厳しく、電気や水がいつ復旧するかわからないため、沐浴を卒業した赤ちゃんのお風呂はあきらめるしかありません。大人は停電した晩あたりからお風呂に入りたくなりますが、沐浴を卒業した赤ちゃんがお風呂に入りたがって泣くことはないので、不安にさせないように笑顔でお世話をしてあげましょう。
ただし、赤ちゃんはかゆみや痛みを感じると泣いて訴えます。停電でお風呂に入れないと、あせもだけでなく乳児湿疹やおむつかぶれも心配です。
赤ちゃんの体をこまめに拭いてあげるのはもちろんですが、濡れたタオルで拭いても汚れが落ちない場合や赤くなったりプツプツと湿疹がでたりした場合は、ガスコンロでお湯を沸かし、お風呂の代わりにベビー石鹸と適温に調節した洗面器のお湯で部分的に赤ちゃんの体や頭を洗ってあげてください。
最後に石鹸や皮脂汚れをしっかり落とさないと肌荒れしやすいので、停電時は石鹸やボディーソープを赤ちゃんの体に直接こすりつけず、あらかじめ泡立てておいた泡で洗うと洗い流しやすくなります。
急な停電に備えを!赤ちゃんのお世話に使える防災グッズ
私が停電を経験した頃はまだ下の子が産まれていなかったので赤ちゃんはいなかったのですが、停電中は「あれを買っておけば良かった、これを備えておけば良かった」と思うことばかりで防災の備えが全く不十分でした。
停電してからでは品物が手に入りにくくなるので、日ごろから防災グッズを準備しておくことをおすすめします。現在二人の小さい子供がいて備えているものと、赤ちゃんがいるご家庭におすすめの防災グッズをご紹介します。
- 懐中電灯、LEDランタン
灯りの確保に使います。赤ちゃんや子供は暗くてママが見えないと不安になります。夜にオムツ替えやミルクの準備などの作業する際にも灯りがないといけません。私はキャンプ用のLEDランタンを備えていますが、ソーラー式の物などは1000円程度から販売しています。 - カセットガスコンロ、ガスボンベ
停電でIHや電子レンジが使用できない中、お湯を沸かす、料理をするのに使います。ガスボンベ、ガスコンロ対応の鍋等も忘れずに。 - 保温できる魔法瓶
お湯を沸かして保温するために使います。赤ちゃんのミルク用にも。 - ラジオ
停電中の情報はラジオで確認します。私は手で巻くソーラーラジオを備えています。 - 携帯用充電器
乾電池式充電器などがあると便利です。停電時には真っ先に売り切れてしまうので、備えておきましょう。 - 乾電池
乾電池は多めに準備しておくことをおすすめします。また、電池が足りなくなったら、子供のおもちゃやテレビのリモコンから取って使用できるので、何にどのサイズの電池が入っているのか確認しておくことをおすすめします。 - 保冷剤
冷凍庫に常に入れておくと、体を冷やしたり緊急時にクーラーボックスに入れて冷蔵庫代わりに使ったりできて便利です。 - ホッカイロ
お湯を作ったり、暖を取ったりすることができます。 - 粉ミルク、ベビーフード
普段赤ちゃんに使っているのとは別に、停電などの防災用に準備しておくことをおすすめします。 - おしりふき
おしりふきはお風呂に入れない間赤ちゃんの手足を拭くなど大活躍するので、多めに備えておきましょう。 - おむつ
停電でお店が休業することを想定して、おむつも普段使っているのとは別に用意しておくことをおすすめします。 - ビニール袋
コンビニの袋などは懐中電灯に被せるとランタン代わりにも使え、オムツが無くなった時は中にタオルやキッチンペーパーを入れておむつの代わりにも使えます。 - 赤ちゃん用防災頭巾
天災による停電の場合、避難や移動の時にあると安心です。赤ちゃん用の防災頭巾は身近なもので手作りすることが出来るので、赤ちゃんのために準備してあげましょう。
停電だけじゃない!赤ちゃんがいる家庭は特にその後の断水にも備えて
自然災害の場合、停電と共に断水になる可能性もありますので、赤ちゃんの身を守るため、断水になった時の備えをしておくことも重要です。
ミルクを飲んでいる赤ちゃんにとって水は生きる源です!飲む以外にも、離乳食の食器を洗ったり、体を拭いたりするのにも水を使います。
停電後の断水に備えて!おすすめの備蓄用品
私が自然災害にあった時は、初めに停電し、しばらくしてから水が止まりました。今思うと、その間に水をためておけば良かったと思います。平成18年9月に北海道での大規模停電を体験した方も、停電してから断水したと言っていました。
停電から2日後に、近所の小学校などで自衛隊の方による給水が行われました。ですが、肝心の水を入れる容器が無く、ペットボトルを何本も旅行のキャリーケースに入れ、水をもらいに行っていました。
店が営業するようになってすぐに水を入れるタンクを購入しました。水は生活でかなりの量を使うので、防災グッズとして水を入れるタンクは備えた方が良いです。
焼酎などの大きいペットボトルに水を汲んでいた方もいたので、そういった容器がある際はとっておくのも良いと思います。ただし飲み物が入っていた容器などは、衛生上、トイレなどの生活用水として使用することをおすすめします。
- 飲料水
一般的には2日分と言われていますが、赤ちゃんのいるご家庭はミルクなどで使用するため、多めに用意して置きましょう。目安として、成人の大人1人が一日に必要な水の量は3リットルと言われています。
- 水を入れるポリタンク
給水の時に使います。ホームセンターなどで販売しています。本格的なアウトドア用品だと、足でペダルを踏むとシャワーになる便利な物もあります。
- 水タンクを運ぶ台車
停電や断水時には正しい情報収集を!役所や企業局などに確認して
自然災害による停電時には赤ちゃんの身を守るためにも、正しい情報収集をしましょう。情報収集と言えば、テレビ、ラジオ、スマートフォンによるインターネットなどがありますが、テレビは停電時に見られなくなります。
ラジオは地元情報を流してくれる放送局がない場合もありますし、避難情報などを聞き逃してしまう恐れもあります。
この中ではスマートフォンによるSNSなどのインターネット情報を多く活用することが多くなると思いますが、SNSの情報で注意しておきたいのが「情報が混乱する」ことです。様々な人が使用するため間違った情報が拡散してしまうこともあります。
北海道の知人によると、大規模停電の際に「知り合いの自衛隊情報で、〇時に断水する」という情報がSNS等で広まり、パニックが悪化。確かに一部地域やマンションでは断水したのですが、企業局に問い合わせてもそういった情報は流していないとの回答だったそうです。
私もそういった間違った情報に混乱したので、自然災害などによる停電の際は各地域の新聞やテレビ局、役所が出している情報を確認することをおすすめします。
停電後に赤ちゃんとすみやかに逃げるために!用意しておきたい避難グッズ
台風や大雨などで停電し、避難指示が出たら赤ちゃんを連れて避難場所まで避難しなくてはなりませんが、一刻を争う時、停電で暗い中、赤ちゃんの避難グッズを準備するのはたいへん困難です。
赤ちゃんとすみやかに避難するために、避難グッズはすぐ手に取れるところに用意しておきましょう。避難先で必要とされる赤ちゃんのための避難グッズをご紹介します。
- 母子手帳、保険証
赤ちゃんの身分証明や、緊急時に必要なので必持って行くようにしましょう - オムツ
3日分は持って行った方が良いでしょう。一日10枚使用なら、3日分で30枚 - おしりふき
体を拭くのにも使えます - 粉ミルク、哺乳瓶
母乳で育てている方も、出なくなることがあるので持って行くことをおすすめします。 - 水
ミルクに使用する飲料水 - 着替え
3日分を目安に持って行くと良いでしょう - タオル
体を拭く、暖をとるのに使えます - ブランケット、毛布
布団代わりに使えます - 抱っこ紐
赤ちゃんと移動するのに使います
他にも、備えあれば患いなしですが、持てる範囲で、リュックなど両手が使えるような物に入れて持って行きましょう。
停電・断水・避難など赤ちゃんとの防災について家族で話し合いを!
停電時の赤ちゃんのお世話や、備えておくべき防災グッズなどをご紹介してきましたが、いつ、どのような時間帯に起こるのか予測できないのが自然災害です。
私は職場で勤務中に突然の災害が起こり、信号も止まって大渋滞の中帰宅し、真っ暗な部屋で家族と連絡がとれずに不安で眠れない夜を過ごしました。
みなさまにはそのような思いをしてほしくないので、是非防災について家族で話し合いをすることをおすすめします。
停電時の防災グッズの置き場所や赤ちゃんのお世話について、あらかじめ防災マップで赤ちゃんと避難する場所を確認し、家族が離れ離れになってしまった場合、災害伝言ダイヤルを使うことにしようなど、家族で共有しておきましょう。この記事を読んで頂いた子育て中のママの不安を少しでも解消できたらと願っています。