ハイハイする前のずりばい、知っておきたいポイントと心がけ
生まれたときは泣くか寝るかだけだった赤ちゃん。ママの顔を見て笑うようになり、首がすわり……と、日々成長する姿を見るのは本当に嬉しいものですよね。「あ、寝返りできた!」とパパと顔を見合わせて喜んでいたかと思えば、おすわりが上手になり、「次は、いよいよハイハイかな?」と親の期待もどんどんふくらみます。
赤ちゃんの成長過程では、ハイハイをする前のステップとして、多くの赤ちゃんが『ずりばい』という移動方法を始めます。新米ママには耳慣れない人もいるかと思いますが、この『ずりばい』とは一体どのような動きのことなのでしょうか?
赤ちゃんが自分の力で動き始めた時、そばで成長を見守るママとしてはどんな環境づくりをしてあげたらよいのでしょうか?さらに「ずりばいには練習は必要なのか?」といった疑問も含め、赤ちゃんの健やかな成長のサインを一緒に見ていきましょう。
ずりばいとは、こんな動きです!前や後ろへ自由自在
ハイハイは手のひらと膝を床につけ、おなかを持ち上げた「四つん這い」の状態で前に進みますよね。ずりばいは、この前段階に見られる動作で、赤ちゃんがうつ伏せの状態でおなかを床につけたまま、手のひらや腕、足の力を使って這うように移動していく状態をいいます。
うつ伏せからひじをついて上半身を起こして腕の力でぐいぐい前に進むパターンや、足の裏のキック力を使ってカエルのように進むパターンなど、ずりばいの方法は赤ちゃんによって千差万別です。
最初のうちは、前に進みたいのに後ろに進んでしまう赤ちゃんだってとても多いです。これは、足の力よりも腕の引く力の方が先に発達するため、腕で床を押してしまい結果的にバックしてしまうという、この時期ならではの微笑ましい発達の証拠です。
また、片方の足だけで一生懸命蹴って、時計の針のようにクルクルと円を描いて動いていく赤ちゃんもいます。「ずりばいとは、こう前へ進むべき」という決まったパターンは一切ありません。元気に機嫌よく手足を動かしているのなら、それがその子なりのベストなスタイル!どうぞわが子ならではの個性的なずりばいスタイルを見守り、笑顔で応援してあげてくださいね。
ずりばいは、いつから始まるの?発達の個人差について
だいたい生後7~8ヶ月ごろが、ずりばいを始める時期の一般的な目安とされています。寝返りをしてうつ伏せの姿勢で遊ぶ時間が増えたと思ったら、手や足をもごもごと動かして少しずつ体を移動させ、やがて本格的なずりばいをマスターするというパターンが多いようです。
ただし、乳児期の赤ちゃんの成長・発達のペースにはとても大きな個人差があります。7ヶ月より前にスイスイとずりばいを始める赤ちゃんもいれば、8ヶ月を過ぎるころになってもその場でお座りして遊ぶのが好きで、ずりばいをしない赤ちゃんもいます。
7~8ヶ月頃とひと口にいいますが、日数にしたら約60日もあります。さらに100人の赤ちゃんがいれば100通りの成長のしかたがあるのですから、育児書に書かれている時期にはあまりとらわれないほうがいいでしょう。
赤ちゃんの成長は楽しみである反面、赤ちゃんが自由に動くようになると「あっちに行っちゃダメー!」とママが追いかける手間もどんどん増えてきます。「まだ動かないのは、ゆっくり座って遊べるラッキーな時期」くらいのおおらかな気持ちでいたほうが、ママも焦らずにすむのではないでしょうか?
中には、おすわりした状態でお尻をずりずりと滑らせて移動すること(シャフリングベビー)を覚え、うつ伏せのずりばいをしないまま「たっち」に移行する赤ちゃんや、ハイハイを飛ばして、ずりばいから直接たっち・あんよへと進む赤ちゃんもいるんですよ。どの道を通っても、立派な成長の過程です。
ずりばいに練習は必要?親子のふれあいタイムにしよう
そうは言っても、もしも赤ちゃんが床で手足をバタバタさせてずりばいを始めそうな気配が見えたら、ママとしては「頑張れ!」と何か手助けをしたくなりますよね。「少し練習したらずりばいができるようになったよ」と児童館のママ友から話を聞くこともあるかもしれません。
ずりばいは、大人が取り立てて特訓のような練習をする必要はないものですが、赤ちゃんがうつ伏せ状態をいやがらずに手足を盛んに動かしたり、お腹を支点にして両手両足を上げる「飛行機ブーン」のポーズをしたりする様子が見られたら、遊びの一環としてちょっと手を貸してあげてもよいでしょう。
「うまくできなくても、赤ちゃんと触れ合えればそれでよし!」くらいの気楽な気持ちで取り組んでみましょう。赤ちゃんにとっては、大好きなママとの極上のコミュニケーションタイムになりますよ。
遊びもかねたふれあいの例を2つ挙げてみます。どちらも、赤ちゃんの機嫌が良い様子を見ながら決して無理強いせずに、楽しさ第一!のゆる~い姿勢で進めてみてくださいね。
1コロコロ〜とボールを転がす
柔らかい布製のボールなどを、赤ちゃんに持たせて転がしてもよいですし、ママが赤ちゃんの目の前を横切るように軽く「コロコロ〜」と転がしてあげてもかまいません。
赤ちゃんがボールの動きにハッと興味を示したり、ボールのほうへ手を伸ばして動きたそうな様子が見られたりしたら、床を蹴るキックの感覚が自然とつかめるように、赤ちゃんの足の裏にママの手のひらをそっと当てて壁の代わりにしてあげてください。「よいしょ、よいしょ!」と足を踏ん張るサポートになります。ママが赤ちゃんの隣にうつ伏せに寝転んで、「こうやって動くんだよ〜」とずりばいのお手本を笑顔で見せてあげるのも、赤ちゃんが喜ぶ楽しい遊びですね。
2お気に入りのおもちゃで「おいでおいで」と呼び込む
うつ伏せになった赤ちゃんの目線の先、あと一歩手を伸ばせば届きそうな絶妙なところに、一番お気に入りのおもちゃを置きます。そこにママも座り、「〇〇ちゃん、おいでおいでー!おもちゃがあるよー!」と明るい声で呼びかけてあげましょう。
うまく前に進めず「ウーッ!」ともどかしくて怒ってしまった時は、「惜しかったね、はいどうぞ」とおもちゃを渡してたっぷり褒めてあげます。もちろんおもちゃを使わずに、ママ自身がゴール地点になって、たどり着いたらギューッと抱きしめてあげるのも最高のスキンシップになります。
ずりばいが促す、全身のバランスとしなやかな体の発達
ところで、ずりばいという動きには、赤ちゃんの体にどんな良い変化をもたらすのでしょうか?
腕をつっぱり、膝をつき、重いおなかを持ち上げた状態でハイハイをするためには、自分の体をしっかりと支える筋力が必要です。さらには、左右の手足を交互に動かして前へ進むためのコーディネーション(協調運動)の力も必要です。赤ちゃんはずりばいの動きを通して、その全身のしなやかな使い方を養っていくのです。言ってみればずりばいは、ハイハイやその後のあんよをスムーズに行うための、素晴らしいウォーミングアップのようなものです。
ずりばいで使われるのは手足の筋肉だけではありません。自分の行きたい方向を見定めて進むことで、空間を認識する力も自然と育ちます。手や足の裏で床の材質(カーペットのフワフワ、フローリングのツルツル)を感じる刺激は、赤ちゃんの豊かな感覚の発達も促す効果があるといわれています。
ですが先ほどもお伝えしたように、赤ちゃんの成長の順番は人それぞれです。「この感覚を育てるために、何が何でもずりばいさせなくちゃいけない!」などと焦る必要は全くありません。ハイハイ、たっち、あんよへと進むどの過程でも、赤ちゃんの体と心は日々の遊びの中でどんどん豊かに発達していきますから、安心してくださいね。
ずりばいが始まったら、お部屋をすっきり快適空間に!
ずりばいが始まると、赤ちゃんの行動範囲はママが驚くほどぐんと広がります。それまでは、赤ちゃんを寝かせている座布団の周りだけをおもちゃで囲っておけばすんだかもしれませんが、そうはいかなくなります。
赤ちゃんがいつでも「動きたい!」と思った時に、思い切り気持ちよくずりばいができるように、お部屋の環境を早めにすっきりと整えておきましょう。
1部屋の段差をフラットにして、広く遊べる工夫を
ずりばいが始まると、リビングから廊下へ、そして別の部屋へと、冒険の旅に出ることが可能になります。赤ちゃんは、ママがちょっとキッチンに立ったすきに、思わぬところへとズリズリと動いていってしまいます。
部屋と部屋の間に大きな段差はありませんか?玄関の上り口の高さはどうでしょうか?洗面所と浴室の境目などはどうですか?マンションやアパートの1階の部屋や一戸建ての家であれば、庭につながる窓の段差もチェックポイントです。
大人にとっては気にならないくらいの段差でも、赤ちゃんにとっては「ドスン!」と驚いてしまう大きな段差です。ぜひ、一度ママも床に這いつくばって、赤ちゃんの低い目線で家の中をチェックしてみてください。
段差が大きな場所には、赤ちゃんが安心して遊べるスペースを区切るための可愛いベビーサークルやゲートを取り付けたり、分厚いプレイマットを敷き詰めたりして、赤ちゃんがのびのびと快適に移動できるフラットな空間を作ってあげましょう。
2家具の配置を見直して、ママもリラックス
動けるようになって興味津々の赤ちゃんは、目標物を見つけると勢いよく突進していきます。
また、手の届く低い棚にあるものを、「これは何かな?」と次々に引っ張り出して遊ぶのも大好きです。例えば、きれいに積み上げていたCDや本を赤ちゃんが楽しそうに触って崩してしまったり、テレビの配線を引っ張ってしまったりしたら、片付けるママも大変ですよね。
「ダメよ!」と何度も言ってママがイライラしてしまうのを防ぐためにも、赤ちゃんの手が届きやすい低い場所にある物は、あらかじめ見えないように扉付きの収納にしまうか、高い場所に移動させておきましょう。触られたくないものを隠してしまうことで、赤ちゃんは思う存分 탐索でき、ママも「好きなだけ遊んでいいよ」と笑顔でリラックスして見守ることができます。
3床をピカピカにして、心地よいハイハイタイムを
赤ちゃんがずりばいを始めたら、移動する床のエリアはいつもピカピカに気持ちよくしておきましょう。赤ちゃんは、床で見つけたものを手にとり、「これはどんな味がするのかな?」と無邪気にお口に入れて確かめます。
ホコリや髪の毛、上の子がこぼしたおせんべいのかけらなどが落ちていないよう、掃除機やフロアワイパーをこまめにかけて、赤ちゃんのデリケートなお肌やお洋服が汚れないように清潔を保ってあげてくださいね。床が綺麗だと、ママも赤ちゃんもゴロゴロと気持ちよく寝転がって遊ぶことができます。
盲点となるのが、床に置きっぱなしの「紙」です。新聞紙やチラシなどは、赤ちゃんがその上に乗った時にツルッと滑って驚いてしまうことがあります。床には余計なものを置かず、広々としたスペースを確保することを心がけてください。
あっという間に過ぎていく日々を大切に♪
ここまで、赤ちゃんのずりばいについてお伝えしてきました。
赤ちゃんの成長はとても楽しみな反面、支援センターなどで他の子とくらべて「うちの子はまだかな?」と気になってしまうこともたくさんありますよね。でも、その子はその子なりのペースで、昨日よりも確実に少しずつ前へ進み、成長しています。
ずりばいをする期間は、長い人生の中で見ればほんの一瞬の出来事です。「どうして後ろに進むのかな?」「一生懸命に手を伸ばして可愛いな」と、そのユーモラスな動きを丸ごと楽しむつもりで、のんびりと見守ってあげてくださいね。
赤ちゃん時代は、本当にあっという間です。歩き回るようになってますます目が離せなくなると、「コロンと床に寝ているだけだったころが懐かしいなぁ」と思ったりもするものです。どうぞ赤ちゃんとの密なコミュニケーションが取れる1日1日を大切に、笑顔で過ごしてくださいね。



