やっぱり心配…ハイハイしない赤ちゃんは大丈夫?
赤ちゃんを育てていると、どんどん大きくなるわが子の可愛さを実感するものですが、その反面、わが子の成長の度合いを心配してしまうママ達も多いようです。
特に、赤ちゃんが自発的に動くようになるハイハイは心身の成長のバロメーターともなることから、ハイハイしないとなると「うちの子はまだかしら?」と必要以上に気にしてしまいがち。
今回はハイハイのメリットを中心に、赤ちゃんの身体機能の成長について一緒に考えていきましょう。
赤ちゃんの成長には個人差があります
一般的に赤ちゃんがはいはいを始めるのは生後7~8か月が多いようですが、この時期にできないからといって心配する必要はありません。赤ちゃんの身体機能発達には個人差が大きいのは当たり前のことですし、赤ちゃんの成長は一定の段階を踏まないと伸びていかないからです。
はいはいをまだしない場合は、「まだその時期じゃない」だけですので、ゆったりとした気持ちで赤ちゃんを見守ってあげてくださいね。
ハイハイを始める時期は、赤ちゃんが安定してお座りができるような時期と一致しています。赤ちゃんはお座りを完成させることで自分の体を支えるバランス力を養い、培ってきた運動神経と筋力が合わさってハイハイという体を自発的に動かす行動に出ることができるわけですね。
身体機能の発達に大事なのは、赤ちゃん自身の「動きたい!」という欲求や「うごける!」という自信。
育児書通りの順番にとらわれる必要はありませんので、まずは赤ちゃんの心身の発達段階にあわせて、赤ちゃんの自由な意思を伸ばしてあげることを考えていきましょう。
こんなハイハイでも大丈夫?
皆さんは赤ちゃんのハイハイというと、どんな姿を思い浮かべますか?
ちいさな両手と両膝を床につけて、四つん這いで進む可愛い姿を思い浮かべるママが多いとは思いますが、実ははいはいは赤ちゃんがお腹を床から離して、自発的に両手両足を使って移動する行為であって、「こうでなくてはいけない」というルールはありません。
月齢が進み筋力や経験がついてくれば、赤ちゃんは自然に四つん這いになって手足を交互に連携して動かすオーソドックスなハイハイのスタイルになりますので、あまり神経質にならずに赤ちゃんの成長を見守ってあげてくださいね。
ハイハイの時に左右の手足の動きに差がある、片方の手足が動かずにまっすぐ進めないと、手足の機能の発達障害があるのかもと疑ってしまいがちですが、これは心配しなくても大丈夫。
赤ちゃんの脳や身体機能の発達は、左右同時に進むわけではないんです。
はいはい期の赤ちゃんはそれぞれ自分の筋力にあった移動方法を自分でためして、「動けるんだ!」という自信と喜びを身に着けていく時期ですので、多少、見た目がヘンなハイハイでも赤ちゃんの動きを妨げずに、どんどん好きに動かせてあげましょう。
こんなスタイルもハイハイです!
・おすわりしたままお尻をすって移動する、もしくはお尻をぴょんぴょんと跳ねるように移動する
・両手を床に着け、足で床を蹴ってカエルのように飛び跳ねて移動する
・膝を床につけるのではなく、両手両足を床につけてお腹は床から離して移動する(これは高ばい、もしくは熊歩きとも呼ばれ、赤ちゃんが高度な動きを身に着けるようになったバロメーターでもあります)
ハイハイとずりばいの関係は?
はいはいはできなくても、うつぶせになってしきりに手足を動かして、ズリズリと前に進む動作をする赤ちゃんも多いようですね。
この「ずりばい」と呼ばれる行動ははいはいの前段階として現れる動作で、これはハイハイをして動く準備が赤ちゃんに整ってきたというサインです。
始めのうちはくるくるとお腹を中心に回ってみたり、後ろに進んでしまうこともありますが心配はいりません。
次第に頭を上げて上手に手足を動かして前に進んだり、スフィンクスのような体形になって肘を使って動く「ひじばい」などの動作に進んでいきますので、ママも一緒にずりばいのお手伝いをしてあげるといいですね。
この時期の赤ちゃんはずりばいをすることではいはいに使う筋肉を養い、様々な経験を積んでいる時期です。
ずりばいは外反母趾やO脚になることを防止したり、手や足の指を活発に動かしたりすることで脳を刺激して発達を促す効果もあるのだそうですよ。
このようにメリットの高いずりばいですが、中にはまったくずりばいをせずにはいはいができるようになる赤ちゃんもいますし、ずりばいからハイハイに進むのにうんと時間がかかる赤ちゃんもいます。
はいはいなどの発達具合は他の子供と比べる必要は全くありませんので、自分の赤ちゃんなりの成長を優しく見守ってあげてくださいね。
親子でできる
ずりばいのトレーニング方法
- 赤ちゃんが動くのに邪魔な家具を動かして広いスペースを作り、怪我防止のために柔らかい薄いマットを敷く
- 仰向け状態の赤ちゃんの足を手で軽く押して、キック遊びをする
- キックができるようになったら赤ちゃんをうつぶせにし、ずりばいの動作を覚えさせる
赤ちゃんの両手が前に伸びるように赤ちゃんと正面で向き合って誘ったり、置き入りのおもちゃを置いて、赤ちゃんが前に進みたくなるような環境を作ってあげましょう。声をかけたり褒めたりしながら、楽しい雰囲気でトレーニングし、ママも腹這いになって同じ目の高さになり、遊びをとおして動作を教えてあげるといいですね。
すぐにできないからと落ち込んだり怒ったりせずに、ゆったりとした気持ちで、根気よくトレーニングを続けるのがポイントですよ。
はいはいの重要性ってなに?
「這えば立て、立てば歩め」というように、わが子の成長に関して親の欲求は際限がないのですが、他の子よりも早い成長が見たくて、赤ちゃんの体の準備が整っていないのに立たせようとはしていませんか?
確かに中には四つん這いになるハイハイをせず、ある日突然立ち上がる赤ちゃんもいるので、ハイハイは「必ずしなくてはいけない」ものではありませんが、赤ちゃんにとって多くの経験はしておくことに越したことはありません。
親の考えで赤ちゃんに無理に発達を促すのではなく、赤ちゃん自身の可能性を信じて、はいはいなどは赤ちゃんの自然な発達を促してあげるといいですね。
大人でも四つん這いになって動いてみるとわかるのですが、ハイハイは想像以上に体の筋肉を使います。
筋肉を鍛えて骨盤などの体の土台を安定させる効果も高く、体のバランスも養われるなど、最近は産後ママのダイエットにもいいなんて言われているそうですよ。ハイハイをしないで立っちを覚えた赤ちゃんは、遊びを通してハイハイを経験させていくと、体のバランス感覚が飛躍的に伸びていくのだとか。
こういった良い効果のあるはいはいですので、「うちの子はまだハイハイしかできなくて・・」と否定的になるのではなく、どんどんハイハイさせてあげましょう。
ハイハイのメリット!
・柔軟な筋肉と運動能力が養われます
・バランス感覚や反射神経の発達を促します
・手足の指を動かすことで脳の発達を促します
・自分と対象物の距離感をつかむ能力を養われます
・好奇心を養い、周囲の環境を把握する能力が養われます
・チャレンジ心が養われます
赤ちゃんのハイハイを促すためにママができる6つのこと
ハイハイは無理にさせる必要がある行為ではありませんが、ママやパパがちょっとした工夫をすることで自然にハイハイをしやすくなりますので、次の要領で赤ちゃんがハイハイしやすくなる環境を準備してあげましょう。
1環境を見直しましょう
生後9か月を過ぎ1歳近くになっても赤ちゃんがはいはいをしようとしない場合は、一度赤ちゃんが置かれている環境を見直してみましょう。
家具などがあって赤ちゃんのまわりに十分なスペースがなかったり、いつも赤ちゃん用の柵で行動を制限していませんか?
赤ちゃんは狭い空間にいるとそこに満足してしまって、自分から動こうとしなくなってしまう傾向があります。つかまって動きやすいように家具が密接していると、ハイハイなしでつかまり立ちへと進んでしまいます。
赤ちゃんの発達を促すには、赤ちゃんのやる気をアップさせることが一番です。
ちょっと家具を動かして広いスペースを作ってあげたり、公園やフリースペースなどの広い場所に誘い出して赤ちゃんが思うように動ける環境を作ってあげましょう。
2赤ちゃんに安全な環境を作りましょう
うつぶせで動くはいはいは、筋力や身体能力が十分ではない赤ちゃんには時として危険な場合もあります。
はいはいの途中で頭を床に打ち付けてしまう怪我の危険もありますし、逆に布団などの柔らかすぎるものがあると窒息事故の可能性もありますので、赤ちゃんがいる場所はマットなどを引いて、硬すぎず、柔らかすぎずの環境を整えましょう。
誤飲事故を防ぐためにも、赤ちゃんの手の届く範囲に危険なもの、小さな物を置きっぱなしにしない、赤ちゃんが机のものを引きおとしかねないテーブルクロスを使わないというのも大事ですね。
赤ちゃんの動きが活発になってきたら、家具のコーナーガードをつけておくと万が一の転倒事故にも安心ですよ。
3筋肉トレーニングをしてみましょう
赤ちゃんがどんなに動きたいと思っていても、体を支え動かす筋肉がなければハイハイはできません。赤ちゃんがはいはいをしない場合には、まだ十分に筋肉がついていない場合もありますので、手足の筋肉トレーニングから始めましょう。
トレーニングと言っても特別な道具は必要ありません。まず仰向けの赤ちゃんの両手、両足をママの手で伸ばしたり、縮めて動かしてあげましょう。赤ちゃんの手や足でママの手を蹴らせる、パンチ&キック遊びもおススメです。
まずは仰向けで初めて、次第にうつぶせでパンチ&キック遊びをすると、赤ちゃんははいはいで床を蹴る動きを学んでいきますよ。
4ずりばいは誘ってお手本を見せる
うつぶせになってスフィンクスの体形ができるのに、なかなかハイハイへ進まない場合には、ママも一緒にうつぶせになって赤ちゃんにずりばいの見本を見せて、動きを教えてあげましょう。
うまく前へ進めないときは、赤ちゃんが床の蹴り方を理解していないので、足の裏をちょっと押してあげるといいですね。
ずりばいもハイハイも、すぐにできることではありません。うまくいかなくても怒ったりせずに、赤ちゃんと一緒に遊ぶつもりで、たくさん声をかけてほめながらトレーニングをして下さいね。
5赤ちゃんの好奇心をそそりましょう
おすわりはできるものの、ハイハイに移行していかない場合には、赤ちゃんの興味のあるものを手の届きそうで届かない場所に置いて誘ってあげるのも良い方法です。
ただ単におもちゃを床に置くよりも、チラチラとおもちゃんを動かしてみたり、赤ちゃんの近くから遠くへと動かしてあげましょう。
大好きなママが「おいで、おいで」をしてくれたら、赤ちゃんのやる気もアップしますね。
赤ちゃんと同じうつぶせで視線を合わせ、赤ちゃんの好きな「いないいないばあ!」で顔を見せたり隠したりすると、手足をバタバタ動かして近寄ろうと頑張ってくれますよ。
6歩行器を使っている場合は時間を減らしましょう
座らせておけば赤ちゃんが好きに動けて、余計なところに手が届かず、しかも転ぶこともないという歩行器は、大変便利な育児用品です。
ただ、筋肉のない赤ちゃんでも動くことを容易にしてしまうことで、赤ちゃんがはいはいをする必要性を感じなくなってしまう傾向も前々から指摘されています。
疲れたり痛い思いをしなくても自分の行きたいところへ行けるなら、誰も苦労はしたくないですものね。
大人にも言えることですが、赤ちゃんにとって「困難の克服」「ちょっとの苦労」は成長を促すスパイスです。歩行器を使っている場合は使う時間をちょっとだけ短くして、赤ちゃんの自然な身体機能の発達を応援してあげましょう。
怒らず焦らず赤ちゃんの可能性を信じましょう
お腹を床から離して視点を上げることでより多くのものを認知し、自分の力で思い通りに動くことができるようになるハイハイは、赤ちゃんにとってもとても大きな転機。それを見守るママにとっても大きな衝撃なのですが、主役は赤ちゃんです。
成長の度合いをむやみに他の子と比べたり、無理に発達を動かすようなことはしないで、あまり神経質にならずに見守ってあげましょう。
はいはいなどの身体機能の発達は、性別であったり体重であったり、その子の性格であったりといろいろな要因で、赤ちゃんそれぞれのペースで進みます。
赤ちゃん期は子供の成長度合いが顕著に表れますが、小学生に入るくらいになれば、身体機能にはほとんど差はなくなってきますので、ママもそんなに焦る必要はありません。
はいはいが早いのも、はいはいを全くしないのも、それぞれ赤ちゃんの個性。赤ちゃんのペースにあった可能性を見つめてあげてくださいね。