赤ちゃんのハイハイはいつから?個人差が大きい成長のステップ
眠ってばかりいた赤ちゃんが声を出して笑うようになり、寝返りやお座りができるようになると、いよいよ「ハイハイ期」に突入します!一生懸命に手足を動かして前に進もうとする可愛らしい姿を心待ちにしているママやパパは多いでしょう。
しかし、支援センターや公園で同月齢の赤ちゃんがスイスイとハイハイをしているのを見ると、「うちの子はまだ進まないけれど、発達が遅れているのかな?」と焦ってしまうママも少なくありません。赤ちゃんの身体機能の発達は個人差が非常に大きく、体の大きさや筋肉のつき方によって、成長のスピードは一人ひとり全く異なります。
今回は、ママたちの「ハイハイはいつから始まるの?」という疑問にお答えして、ハイハイまでの多様な道のり、ハイハイを促すための安全な環境づくり、そして知っておくべき「受診の目安」までを詳しく解説します。焦らず、我が子だけの愛おしい成長ペースを見守るためのヒントにしてくださいね。
平均は「生後7〜9ヶ月」!でも焦らないで大丈夫な理由
こども家庭庁などの調査によると、赤ちゃんが本格的な四つん這いのハイハイを始めるのは「生後7〜9ヶ月頃」が最も多いとされています。しかし、これはあくまで平均値です。早い子であれば生後5〜6ヶ月から動き始めることもありますし、逆に10ヶ月を過ぎてからようやくハイハイの姿勢をとる子もいます。
発達心理学では『運動発達の個別性と順序性』という考え方が知られています。これは、発達の順番(首すわり→寝返り→お座り)はある程度決まっているものの、それぞれの動作を習得するまでの「期間」には極めて大きな個人差があるという現象で、家庭の場面では「昨日まで全く進まなかったのに、今日突然ハイハイで突進してきた!」という姿として表れます。この理解があると、平均月齢にとらわれず、赤ちゃん自身の筋肉が十分に育つ日を待つことへの向き合い方が変わってきます。
「まだかな?」と不安になるのではなく、「明日かもしれない!」とワクワクしながら待つ気持ちをパパと共有してみましょう。
お座りが安定し、おもちゃに手を伸ばすのが「ハイハイのサイン」
ハイハイを始めるには、重い自分の体を四つん這いで支えるだけの「腕と足の筋力」が必要です。赤ちゃんがハイハイを始める前には、いくつか分かりやすい準備のサイン(前兆)が見られます。
- 一人でお座りをして、グラグラせずに長時間バランスを保てる。
- うつ伏せの状態で、両腕を使ってグッと上半身を持ち上げる。
- 少し離れた場所にあるおもちゃをジッと見つめ、手を伸ばして取ろうとする。
- 四つん這いの姿勢になり、前後に体をゆらゆらと揺らす。
これらの動作が見られたら、いよいよハイハイのスタートは目前です。
なぜハイハイが重要なの?脳と体のバランス感覚を育てる効果
「早く歩いてほしい」とハイハイの時期を急いで通り過ぎようとする親もいますが、実はハイハイは赤ちゃんの成長において非常に重要な役割を果たしています。
右手と左足、左手と右足を交互に出す「交差運動」は、右脳と左脳を繋ぐ神経回路を刺激し、脳の発達を大きく促します。また、自分の腕で体重を支えることで「体幹(背筋・腹筋)」が鍛えられ、転んだ時にとっさに手を前に出す「反射神経」が養われます。ハイハイをたっぷり経験した子どもは、将来歩き始めた時に転びにくく、姿勢が良くなると言われているのです。
ずりばい・高ばい・シャフリング…ハイハイまでの多様な道のり
「ハイハイ」と一口に言っても、そこに至るまでの動き方は赤ちゃんによって実に様々です。決まったルールはありません。
生後5〜6ヶ月頃:お腹をつけた「ずりばい」や「ひじばい」からスタート
四つん這いになる筋力がつく前は、お腹を床につけたまま両手足を使ってズリズリと這う「ずりばい(ほふく前進)」から始まるのが一般的です。最初は腕の使い方がわからず、前に進みたいのに後ろに下がってしまったり、お腹を支点にしてクルクルと時計の針のように回転してしまう赤ちゃんもいます。これも筋肉と運動感覚を養う立派なトレーニングです。
生後7〜9ヶ月頃:四つん這いで進む「ハイハイ」の完成
腕と足の筋肉が十分に発達すると、両手と両膝を床につけ、お腹を持ち上げた「四つん這い」の姿勢になります。これが本来のハイハイの完成形です。
同じ行動でも、生後6ヶ月と生後9ヶ月では理由が異なります。生後6ヶ月ごろは「目の前にあるものをただ掴みたい」という本能が背景にあり、生後9ヶ月ごろは「ママの後追いをして安心したい」という愛着形成が理由になっていることが多いのです。そのため、ママがトイレに行くだけで泣きながら猛スピードでハイハイして追いかけてくる姿が見られるようになります。
生後10ヶ月以降:膝をつけない「高ばい(熊歩き)」へ進化
ハイハイに慣れて足腰の筋肉がさらに強くなると、床から膝を離し、両手と両足の裏だけを床につけてお尻を高く上げたまま進む「高ばい(熊歩き)」を始める子もいます。これは、立っち(二足歩行)へと移行する直前の頼もしいサインです。
お尻歩き(シャフリングベビー)は異常?ハイハイしない子の個性
中には、うつ伏せを極端に嫌がり、ハイハイを全くせずに「お座りの姿勢のまま、お尻を擦るようにして(または両足で蹴って)移動する」赤ちゃんがいます。これを「シャフリングベビー(いざりばい)」と呼びます。
「ハイハイをしないのは異常なのでは?」と心配になりますが、シャフリングベビーは成長のバリエーションの一つ(個性)とされています。歩き始めるのが少し遅れる傾向(1歳半〜2歳頃)はありますが、歩けるようになればその後の運動機能に差は出ないと言われているため、過度に心配する必要はありません。
赤ちゃんがハイハイしやすい!安全で楽しい部屋づくりのコツ
お座りができるようになったのになかなかハイハイを始めない場合、赤ちゃんを取り巻く「環境」が原因である可能性があります。大人と同じ目線で部屋を見渡すのではなく、床に這いつくばって「赤ちゃんの目線」で部屋を点検してみましょう。
NG対応と望ましい対応の対比表:ハイハイを促す環境づくりの落とし穴
赤ちゃんが動きたくなる環境を作るための、親のNG行動と正しい対応を確認しましょう。
| やりがちなNG対応 | 赤ちゃん・環境への悪影響 | 望ましい対応・環境づくり |
|---|---|---|
| フローリングの床に何も敷かず、滑りやすいままにしておく。 | 手足が滑ってうまく踏ん張れず、ハイハイを諦めたり顔をぶつけたりする。 | 適度なクッション性と滑り止め効果のある「ジョイントマット」を敷き詰める。 |
| 部屋の真ん中にソファやテーブルを密集して配置している。 | 動けるスペースがなく、すぐにつかまり立ちをしてしまいハイハイをしない。 | 家具を壁際に寄せ、リビングの中央に「ハイハイ専用の広いスペース」を確保する。 |
| 冬場、分厚いモコモコのカバーオール(着ぐるみ)を着せている。 | 服が分厚すぎて膝や足がスムーズに動かず、運動への意欲を削いでしまう。 | 室温を暖かく保ち、足の動きを邪魔しない薄手で伸縮性のある「ロンパース」を着せる。 |
逆にやってしまいがちなのが、親が「安全のため」と赤ちゃんを常に狭いベビーベッドやベビーサークルの中に閉じ込めてしまうことです。これをすると子どもは「ハイハイで探検する楽しみ」を感じられず、結果的に運動発達が遅れるという反応につながります。代わりに、部屋全体を安全に整えた上で、親が見守りながら自由に床を這い回らせるように関わるのがおすすめです。
誤飲とケガを防ぐ!リビングの安全対策チェックリスト
赤ちゃんが自力で動き始めると、昨日まで届かなかった場所に手が届くようになります。ハイハイ期を迎える前に、以下の安全対策を徹底してください。
- ハイハイ期の安全対策チェックリスト
- 床に「トイレットペーパーの芯(直径約4cm)」を通る大きさの小物(硬貨、ボタン電池、おもちゃの部品)が落ちていないか徹底的に掃除する。
- ローテーブルやテレビボードなどの鋭い「角」に、クッション材(コーナーガード)を貼る。
- ハイハイの視界に入る「コンセントの穴」に、感電防止のコンセントカバーをつける。
- テーブルクロスは赤ちゃんが引っ張って熱いコーヒーなどを被る危険があるため、使用をやめる。
- 階段やキッチンなど、入ってほしくない場所には「ベビーゲート」を設置する。
明日の朝、ママが実際に床に四つん這いになり、赤ちゃんの目線で「引っ張ったら危ないコード」や「ホコリの塊」がないか、リビングをぐるりと一周して点検してみましょう。
ママやパパも一緒に!ハイハイを促す楽しい遊びと練習方法
安全な環境が整ったら、赤ちゃんが「動きたい!」と思う意欲を遊びの中で引き出してあげましょう。
お気に入りのおもちゃを少し離して「取りたい意欲」を刺激する
赤ちゃんがうつ伏せになっている時、一番お気に入りのおもちゃや、ママのスマホ(光るもの)を「手を伸ばしてもギリギリ届かない距離(数十センチ先)」に置いてみましょう。
「ほら、〇〇ちゃんの大好きなブーブーだよ、おいで!」と優しく声をかけます。最初から遠くに置きすぎると諦めて泣いてしまうため、「あと一歩で届く」という絶妙な距離に置くのがコツです。
パパも四つん這いに!?大人がお手本を見せて「ごっこ遊び」
赤ちゃんは「大人の真似(模倣)」をすることで新しい動きを学習します。
パパや家族と関わり方をそろえると、子どもにとって「ハイハイは家族みんなが楽しんでいる素敵な遊びだ」という安心感につながります。家庭内で「パパが四つん這いになって、馬ごっこをしながらハイハイのお手本を見せる」という方針を共有しておくと、赤ちゃんがパパの真似をして体を動かし始めるという効果が出やすくなります。
休日の午後、パパとママが四つん這いになって「待て待て〜!」と追いかけっこをして、赤ちゃんにハイハイの楽しさを全力でプレゼンしてみてください。
歩行器の使いすぎや、無理な「つかまり立ち」の練習は控える
「早く立って歩いてほしい」という親の焦りから、ハイハイを十分にしないうちから両手を引いて立たせようとしたり、「歩行器」に長時間乗せたりするのはおすすめできません。
歩行器に乗ると視界が高くなり楽に移動できるため、赤ちゃんはハイハイの必要性を感じなくなってしまいます。ハイハイで培うべき体幹や腕の筋力が育つ前に無理に立たせると、将来の姿勢やバランス感覚に影響が出ることがあります。赤ちゃんの自然な成長ペースを尊重し、無理強いはやめましょう。
【重要】ハイハイが遅くて心配な時の「受診・相談の目安」
発達には個人差があるとはいえ、「もしかして病気なのでは?」と不安になることもあるでしょう。小児科や保健センターに相談すべき目安を知っておくことで、ママの心の負担を減らすことができます。
単なる遅れか、発達や筋力の問題かを見極めるポイント
生後10ヶ月を過ぎてもハイハイをしない場合でも、それ以前の「首すわり」「寝返り」「お座り」が順調にできており、表情が豊かでおもちゃに興味を示しているなら、単に「ハイハイの気分じゃない(シャフリングベビーなど)」だけの可能性が高いです。
足を突っ張らない、お座りすらグラグラする場合は小児科へ
しかし、以下のようなサインが見られる場合は、筋肉の病気や股関節脱臼、全体的な発達遅滞が隠れている可能性があります。
- 生後10ヶ月を過ぎても、一人でお座りができずグラグラ倒れる。
- 脇を抱えて立たせようとしても、両足に全く力を入れずダランとしている。
- 目線が合わない、あやしても全く笑わないなど、運動面以外の発達も遅れていると感じる。
少しでも「おかしいな」と違和感を覚えたら、一人で悩んでネット検索を続けるのではなく、10ヶ月健診の際にかかりつけの小児科医に動画を見せて相談するか、地域の保健師に電話で相談してください。
赤ちゃんのハイハイに関するよくある質問(FAQ)
ハイハイ期を迎えるにあたって、ママたちからよく寄せられる疑問にお答えします。
Q. 片方の足だけを引きずるような「変なハイハイ(片膝ばい)」をしています。
A. 赤ちゃんは自分が一番進みやすい効率的な動きを独自に編み出すため、片足の裏だけを床につけて進むなど、変則的なハイハイをする子は意外と多いです。機嫌良くスムーズに進めているのであれば、無理に左右対称に直す必要はありません。
Q. うつ伏せにするとすぐに泣いてしまい、ハイハイの練習ができません。
A. うつ伏せ(タミータイム)に慣れていない赤ちゃんは、視界が変わって不安になり泣くことがあります。まずはママのお腹の上にうつ伏せに乗せ、スキンシップを取りながら1日1分から短時間ずつ慣らしていくのがコツです。
Q. ハイハイでフローリングを移動すると、膝が赤くなって痛そうです。
A. 赤ちゃんの皮膚は薄いため、摩擦で赤くなることがあります。気になる場合は、赤ちゃん用の柔らかい「レッグウォーマー」や「膝当て(サポーター)」を履かせると、摩擦から膝を守りつつ冬場の防寒対策にもなります。
Q. ハイハイを飛ばして、いきなりつかまり立ちを始めました。大丈夫ですか?
A. シャフリングベビーと同様に、ハイハイを飛ばして立ち上がる子も一定数います。運動発達の過程としては問題ありませんが、転んだ時の受け身を学ぶために、トンネル遊びなどで四つん這いになる機会を遊びの中で作ってあげるのがおすすめです。
まとめ:他の子と比べず、我が子だけの愛おしい成長を見守ろう
「ハイハイはいつから?」という期待と不安は、子どもを深く愛している親だからこそ抱く自然な感情です。しかし、「〇ヶ月になったからハイハイしなければならない」という絶対のルールはありません。
パパや家族と関わり方をそろえると、子どもにとって「ハイハイができてもできなくても、自分は愛されている」という自己肯定感につながります。家庭内で「他の子と比べる会話(〇〇ちゃんはもうハイハイしてるのにね、など)は絶対にしない」という方針を共有しておくと、ママ自身も育児のプレッシャーから解放され、結果的に赤ちゃんのペースを心から応援できるという効果が出やすくなります。
ズリズリと一生懸命に前に進もうとする姿や、お尻を高く持ち上げてフリフリする後ろ姿は、この時期だけの宝物です。「いつから?」という心配を手放して、今しかない愛おしい瞬間の動画をたくさん撮りながら、家族みんなで笑顔のハイハイ期を楽しんでくださいね。


