パタハラの現状と実例体験談に関する記事

『パタハラが育児を邪魔する!パタニティハラスメントの実情』

パタハラは男性の育児参加を妨げる職場で起きる問題です。実例をご紹介しながら、パタニティハラスメントの問題点を解説します

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パタハラに悩む男性が急増中!パタニティハラスメントの実態

イクメンという言葉が広まりつつある現代、育児に積極的に関わることを希望する男性が増えています。
子供は夫婦二人にとっての大切な宝ですから、パパが育児に参加することは当たり前のことではあるのですが、そんなパパの育児への意欲をそぐようなパタハラが、いま大きな問題となっています。

パタハラとはパタニティハラスメントの略称で、職場でのパタニティハラスメントは仕事のモチベーションを下げて家計に影響を与えるだけでなく、パパの心に一生の傷を残しかねません。

今回は深刻なパタニティハラスメントの現状と問題点を、実際のパパの声を参考にしながらご紹介していきます。

男性の育児休暇取得率の低下の背景にパタハラが!?

子供を産み育てるということには多大な労力がかかり、特に子供が生まれて間もない頃は親がつきっきりで面倒を見る必要があります。
仕事を持っていれば当然長期に休みを取らざるを得ず、私たちは男女ともに育児のために休暇を取る権利が社会的に認められています。

女性と男性、それぞれの育児休暇取得率は?

女性は子供を産むために産前・産後は一定の休みを取らざるを得ず、大部分のママが続けて育児休暇を取得します。
厚生労働省が発表した2014年度の雇用均等基本調査によると、女性の育児休業取得率は86.6%で、前年度よりも3.6ポイント上昇しています。

一方、2014年度の統計では、男性の育児休暇取得率は2.30%で、前年よりは0.27ポイント上昇しているとはいえ、女性の取得率と比べると圧倒的に低いのが現状です。

男性の育児休業については、父親が育児に参加しやすいように平成21年に育児・介護休業法が改正されて平成23年度に取得率が一時的に上昇したものの、残念ながら翌年度には減少し、以来低いペースを保っています。

育児休暇を取りにくいという男性の声も…

2008年に厚生労働省が行った調査によると、30%以上の男性が「育休を取りたい」「育児のための短時間勤務制度を利用したい」と回答しています。
実際、平成25年度と平成11年度の取得率を比べると、育児休業を取得した男性の数は約5倍も増えていて、「積極的に育児に関わりたい」「パートナーである女性をサポートしたい」と声を上げる男性は着実に増えているのです。

男性の育児休業は女性と違って短期間の一時的なもので済むので、職場にかかる負担は比較的軽く、一見して男性の方が休暇を取得しやすいようにも思えますが、厚生労働省の「今後の仕事と家庭の両立支援に関する調査結果」によると、働く男性の86.3%は「育児休暇を取得しにくい」と答えているのが現状です。

この「育児休暇を取りたいけれども、休めない」と考えてしまう原因は、職場でのパタニティハラスメントが一因となっているようです。

そもそもパタハラとは?どんな行為を言うの?

世の中にはセクシャルハラスメントやパワーハラスメント、マタニティハラスメントなどの受ける人の気持ちをくじけさせる様々な嫌がらせが蔓延しています。

パタニティハラスメントもそんな嫌がらせの一つで、2014年に日本労働組合総連合会がその現状を報告したことで、その問題点が大きくクローズアップされるようになりました。

パタニティハラスメントとは?

パタニティハラスメントとは、英語で父性を意味するパタニティ(paternity)と嫌がらせを意味するハラスメント(harassment)を合体させた造語で、父親としての役割を果たそうとする男性に対する嫌がらせを意味し、パタハラと略されて呼ばれることもあります。

妊娠・出産する女性に対しての嫌がらせであるマタニティハラスメントの男性版、といえばわかりやすいですね。
パタニティハラスメントは主に職場で起きやすく、具体的には次のような嫌がらせがパタハラに該当します。

  • 男性社員の子育てのための制度利用を認めない
  • 子育て中の男性社員に対し「育児は母親の役割」「育休をとればキャリアに傷がつく」などの差別的な発言をする
  • 子育てのための制度を利用しようとする男性社員に脅迫、強要、嫌がらせをする

パタニティハラスメントは職場で受ける単純な不利益ではなく、育児や家事に積極的に関わろうとする男性の権利を侵害する行為なのです。

パタニティハラスメントの被害を受ける男性は多い!

2014年に日本労働組合総連合会が発表した調査報告によると、パタハラを受けた経験があると答えた男性は全体の11.6%、周囲でパタハラにあった人がいると答えた人は10.8%にのぼります。

日本労働組合総連合会が2015年8月に発表したマタハラの調査では、マタハラ被害の経験者は28.3%、周囲でマタハラにあったとの回答は26.6%でしたから、パタハラの発生率はマタハラの約1/2、これは決して少ない数字ではありません。

男性でも育児休業などの制度を利用できるということを知っている人の割合は全体の70%程度と多いのですが、子育てをする男性社員をフォローする仕組みが職場に備わっていないというのが現状です。
日本労働組合総連合会の調査報告では、パタハラにあったパパのうち、65.6%は誰にも相談できずに、育児休業や時短勤務などの制度の利用を諦めてしまっているといいます。

パタニティハラスメントが起きる原因は?

職場の上司にあたる中高年世代と、今まさに子育てをする若年世代では、男性としての社会的な役割の捉え方や育児や家事への参加意識、家族との向き合い方などの価値観が異なる傾向があります。
パタニティハラスメントが起きるのは、世代によって子育て観に対する意識のギャップが大きいことも原因のひとつとして考えられます。

「意識が違うからこそ理解ができず、理解できないからこそ自分の考え方を押しつけてしまう」のが、パタハラ加害者になってしまう上司の特徴と言えるでしょう。

パタニティハラスメントの危険な影響

パタニティハラスメントは、家族を持った、あるいは持とうとする男性であれば、誰にも起きる可能性のある嫌がらせです。
上司からの嫌がらせは仕事の継続にも支障が出てきてしまうので、なかなか改善の声をあげられないのは辛いところですね。

パタハラはまだまだ社会的な啓発が足りておらず、多くの男性は職場での制度利用を諦めて、身体と心に無理をかけながら仕事と育児を両立する道を選びます。
過剰なストレスを抱え込んで精神的に不安定になってしまう男性も多いので、家族としても注意して見守る必要があるでしょう。

パタハラの問題点

・職場に居づらくなり、仕事の成果に支障が出る
・不当な評価を受けることで、給与の減額などを招きやすい
・夫婦関係の気持ちがすれ違いやすい
・疲労やストレスから精神的な疾患を発症しやすい など

とっても深刻!パタハラの事例【体験談】

男性にとって、職場は多くの時間を過ごす場所。パタハラは男性の育児をしようとする気力を奪ってしまうだけでなく、上司や同僚との信頼関係を崩し、仕事への気力を奪ってしまう可能性があるので注意が必要です。
実際にあったパタハラの事例を、パパやママの体験談からご紹介します。

キヨパパ
38歳

A育児は父親の義務では?

我が家は上の子が15歳、下の子が5歳と年が離れています。
普段は妻が子供の面倒を一手に引き受けていてくれるのですが、たまたま上の子の受験の送り迎えで妻が手一杯の日の夕方に、下の子の通っている保育園から「熱が出ました」との連絡がありました。
私の職場から保育園は歩いて10分の近場で、私の実家も近くにあります。
妻とは連絡が取れなかったので上司に事情を話して、時間給をとっての下の子を迎えに行って実家に預けたいと相談をしたのですが、「育児休暇は女がとるためのものだ」「どうしても休むなら、今日は一日休んだことにしろ」といわれてしまいました。私の職場は朝8時からの8時間勤務。
その日は朝8時から働いて午後4時まで仕事をしたのに、結局は一日休んだことにされてしまいました。
もちろん、きちんとした男性社員の育児制度はあるのですが、この上司のために、私も、私以外の男性社員も利用できたことはありません。

ほーねっと
28歳

A職場に時代錯誤のおじさんがいます

昨年結婚し、夫婦共働きで、あと2ヶ月ほどで初めての子が生まれます。
うちの場合はお互いの実家が県外なので、子育ても夫婦二人で協力してするつもりでいるのですが、育児休暇の取得について上司に話をしたところ、「奥さんがいるなら、お前が育児休暇を取得する必要はない」といって認めてくれないのです。
でも、会社の福利厚生では妻が専業主婦でも男性側が育児休暇をとれるという説明があるので、そのことを上司に説明したら「子育てを一人でできない女となんか離婚した方が良い」なんて妻の悪口をネチネチと言い出して…。結局、妻には事情を話して、育児休暇の取得は断念しました。
うちの会社には男性の育児休暇の制度が整っているのですが、まだ誰も利用したことがなく「そんな悪い前例を俺の部下が作ってしまうと、俺の評価が下がる」なんて酒の席で言っています。
今回は引き下がってしまいましたが、次の子の時には頑張ろうと思います。

めいちゃん
26歳

A時短勤務でも深夜2時まで働いています

3歳と生後1ヶ月の男の子2人のママです。下の子が生まれたばかりなので、上の子は保育園の一時預かりに日中お願いしています。
ところが私がぎっくり腰になってしまって…。うちのパパはとても子煩悩なので、文句も言わずに会社で時短勤務をお願いして、上の子の保育園の送り迎えをしてくれています。
でも、子供に夕食を食べさせてお風呂に入れたら、午後9時ころからまた会社に行って、深夜2時頃まで仕事をして、ちょっと寝ただけで午前8時にはまた仕事に出かけています。
時短勤務の申請をした時に上司から出された条件が、仕事のノルマはクリアするとのことで、勤務時間が短くなった分、深夜に仕事をしないと追いつかないのです。
しかも「時短勤務中は残業代が申請できないから」とのことで、完全にタダ働きです。
私のぎっくり腰は治る2週間位のこととパパは我慢してくれていますが、やはり顔色が悪くて、とても心配です。

パタハラ改善には社会全体の意識改革が不可欠

「女は育児をするもの」「男は仕事をするもの」という固定観念にいつまでも囚われていては、育児の楽しみを味わう機会も失ってしまいますし、次世代の子供達にも悪い影響を与えてしまいます。
パタハラをなくし、男女とも堂々と育児・仕事を両立していくためには、一人ひとりの意識を変えていくことが大切です。

パタハラを受けて我慢してしまう男性は「上司の期待に応えたい」という気持ちがあるからこそ、自分の希望を曲げてしまうのですが、我慢をしているだけでは周りの人が変わることはありません。

自分の主張を上司や同僚にアピールしすぎることは、職場での人間関係を壊してしまいかねませんが、自分の同僚達も巻き込みながら、若い世代全体の意識から変えていき、勇気を出して自分の権利や希望を声に出していくことが必要と言えるでしょう。

社員の仕事と生活の両立を支える「イクボス」って?

女性の社会進出を進める日本では、企業自体も男性の育児参加を進めており、休暇制度の整備だけではなくどうしたら男性が育児に参加しやすいのか、様々な試行錯誤が行われています。そのひとつが「イクボスプロジェクト」の導入です。

イクボスとは?

仕事と生活の両立を推し進める上司を指す言葉。イクボスを育てる企業ネットワーク「イクボス企業同盟」には、全日本空輸やみずほフィナンシャルグループなど、平成27年10月現在で計37社が加盟しています。

男性の育児参加がなかなか進まないことを解決するために、全国に企業で「イクボス」を育て、育児をする男性職員をサポートしようという機運が高まっています。

職場にパワハラの相談をする人はいないということも、男性が育児休暇を取得しにくい原因として挙げられていますので、会社にイクボスが生まれたら、積極的に活用していきましょう。

夫がパタハラを受けたときの対処法は?

ママが安心して育児をして生活をしていくためにはパパの助けが必要ですし、パパの愛情は子供の成長にとても大切な役割を果たしています。パタハラは「男性だけ」「パパだけ」の問題ではありません。

パタハラに悩む男性の多くは、ママや子供への愛情と職場での責任感の板挟みになりがちですので、精神的にもストレスを抱え込んでしまいます。
もし自分のパートナーが職場でパタハラを受けていることを知った場合には、まずは相手の話をしっかりと聞き、その気持ちと立場を理解してあげましょう。

また、仕事と育児の両立により、無理をして身体を疲労させないように気を付けることも大切です。しっかりと睡眠をとらせて、食事も栄養バランスの良いものを用意してあげてくださいね。

この記事を書いたライター

羽根田るみこ

第一子から15年間保育園に通い続け、まだまだ記録更新中です!