戌の日のお祝いとは?安産祈願に行く前に知っておきたい基礎知識
赤ちゃんが無事産まれて来て欲しいという願いを込めて、日本では古くから、「戌の日に安産祈願をする」という風習があるのをご存知ですか?友人やご家族が安産祈願をされていてご存知の方もいるかもしれませんが、妊娠するまで知らなかったという方も多いのではないでしょうか。
これから、安産祈願に行きたいと考えている方のために、戌の日の基礎知識と安産祈願に行く際に必要な準備についてご紹介します。ご夫婦で、またはご家族と、赤ちゃんが無事誕生することを願って、安産祈願のお参りに行かれては、いかがですか。
人間なのに戌の日のお祝い?安産の犬にあやかろう
赤ちゃんを授かってから初めて戌の日のお祝いという言葉を耳にした妊婦さんやプレパパさんは、「人間の赤ちゃんを産むのに何で犬なの?」と思うことも。一体どのような意味があるのでしょう。
戌の日とは?
「戌(イヌ)」とは、十二支の11番目にあたる戌のことです。十二支は、年に順番に配されて干支として馴染みがありますが、日付に関しても順番に配されています。すなわち、「戌の日」は、12日に一度の間隔で巡ってくるのです。
多産であるにもかかわらず比較的軽い犬(戌)のお産あやかって、昔から戌の日が安産祈願をするのに好ましい日とされてきました。
また、古くから「戌は悪霊や狐狸から子供を守ってくれる」と言い伝えられており、こちらも戌の日が安産祈願に好まれる理由のひとつとされています。
戌の日のお祝いとは?
「戌の日のお祝い」とは、本来は、妊娠5ヶ月目の最初の戌の日に、妊婦さんが初めて腹帯を巻く「帯祝い」のことをいいます。昔は、家族揃って「戌の日のお祝い」をしていました。お祝いの際に使用する腹帯は、先祖代々受け継がれたものや、前もって神社で安産祈願をしてもらったものを使用していたようです。
最近では、「戌の日のお祝い」=「腹帯を巻いて神社へ安産祈願に行くとこ」というのが、一般的となっています。神社に参拝していつも妊婦さんが身に着ける「腹帯」に安産を願って祈祷をしてもらう、腹帯を安産祈願の日に神社で購入して祈祷してもらう、事前に安産祈願をすませて戌の日に祈祷してもらった腹帯を巻く、など皆さんご家庭の事情に合わせて、それそれの方法でお祝いされているようです。
ご夫婦だけで行かれる方、嫁ぎ先のご両親も一緒に行かれる方、実家のご両親と行かれる方など、一緒に行く人も様々です。これから親になるお2人も、お孫さんが生まれるのを楽しみにされているご両親も、赤ちゃんが無事誕生することを願う気持ちは一緒です。赤ちゃんが元気に産まれてくることを家族みんなでお祈りするのもよいですね。
今年の戌の日はいつ?
戌の日は、12日に一度巡って来るので月に2~3日ありますが、最も好まれるのが、「大安の戌の日」です。「大安の戌の日」に安産祈願に行かれる方は、有名神社ではかなり混雑することが予想されますので覚悟していきましょう。神社によっては、事前予約を受け付けているところもあるので、戌の日にお参りに行かれる方は予約されることをお勧めします。
2019年戌の日カレンダー
1月 1日(火)赤口・13日(日)先勝・25日(金)先勝
2月 6日(水)友引・18日(月)友引
3月 2日(土)友引・14日(木)先負・26日(火)先負
4月 7日(日)大安・19日(金)大安
5月 1日(水)大安・13日(月)赤口・25日(土)赤口
6月 6日(木)友引・18日(火)友引・30日(日)友引
7月12日(金)先負・24日(水)先負
8月 6日(月)大安・17日(土)大安・29日(木)大安
9月10日(火)先勝・22日(日)先勝
10月 4日(金)友引・16日(水)友引・28日(月)仏滅
11月 9日(土)仏滅・21日(木)仏滅
12月 3日(火)大安・15日(日)大安・27日(金)先勝
戌の日に腹帯を巻く意味とは
「古事記」によると、応神天皇の母である神功皇后が、後の応神天皇を身籠っている時に、石を帯の中に巻きつけて朝鮮半島に出征し、事を成し遂げて帰還された後に無事出産されたとの記述があり、これが腹帯の起源と言われています。
日本では、殆どの妊婦さんが種類は様々ですが「腹帯」を使用しています。実は、腹帯を巻くというのは、日本ならではの習慣で、外国では使用しない国が殆どのようです。
腹帯は、「岩田帯」とも呼ばれ、「岩のように丈夫な赤ちゃんが産まれて来てほしい」という願いが込められていると言われています。腹帯は、昔は、妊婦さんの実家が代々使用しているものを受け継いだり、実家のご両親が購入して用意するのが慣例でしたが、現在では、自分で準備したり、安産祈願に行った際に神社で購入する方も多いようです。
戌の日に腹帯を巻く目的とは
腹帯は、必ずしも妊娠5ヶ月目から着用しなければならないという決まりはありません。妊婦さんのお腹の大きさには、個人差がありますので、お腹が気になるようでしたら早めに着用してもかまいません。ただし、悪阻なので気分がすぐれない時には、お腹を締め付けすぎるような腹帯のつけ方はやめた方がよいでしょう。
体を動かすのが楽になる
妊娠5ヶ月頃になると、お腹もずいぶん大きくなります。腹帯をしていると、お腹が固定されるため動かなくなり、からだを動かす時に楽になります。
冷えから守る
また、腹帯は、お腹を冷えから守ってくれます。お仕事などで長時間冷房の効いた室内にいる方や、電車通勤されている方は、特に、腹帯の着用をお勧めします。
衝撃から守る
お腹が大きくなると足元が見え辛くなり、段差や小さな障害物で躓いてしまうこともあります。転んでしまった際に、腹帯をしているとお腹の赤ちゃんを衝撃から守ってあげることができます。大切な赤ちゃんのためにも、腹帯の着用をお勧めします。
逆子対策
腹帯は、昔から赤ちゃんの逆子対策として有効であるとされています。お腹がある程度大きくなり、赤ちゃんの頭が下に来ている正常な位置にいるときに腹帯の着用を始めると、お腹が固定されて赤ちゃんがお腹の中で動きにくくなり、逆子になる可能性が少なくなると言われています。
腹帯の種類
現在は、色々なタイプの腹帯があります。使いやすさや季節に応じて、自分にあった腹帯を準備しましょう。
昔ながらのサラシタイプ
神社で購入すると、こちらのタイプが多いです。綿100%で通気性・吸汗性がよく、夏にお勧め!体型に合わせて巻くことができ、サイズを問わないので、どんどん大きくなるお腹にも、これ1枚で対応できます。
腹巻きタイプ
とにかく着脱が一番楽チンなタイプです。「腹帯は面倒だけど、赤ちゃんを守りたい」というママや、休日や帰宅後のリラックスできる時間の着用におすすめです。素材も夏は涼しいメッシュ、冬はあたたか素材と、選べるのが嬉しいですね。
下着一体型
装着が簡単なので、脱ぎ着の多い昼間はこちらが使いやすいです。出産までのお腹の重みを下腹部のベルトでしっかりと支えてくれます。
補助ベルトタイプ
寒い冬は腹巻きタイプと併用し、夏場は岩田帯の上から使用するママも!下腹部から大きくなったお腹をしっかりとサポートしてくれます。
安産祈願に行く際の腹帯の準備
最近は、安産祈願と一緒に腹帯を購入するという方が多いので、安産祈願を受け付けている大きな神社で購入することができたり、授与品に御祈祷済みの腹帯が含まれていたりする場合があります。事前に購入可否と価格などを確認しておいた方がよいでしょう。
また、自分で用意した腹帯に祈祷をしてもらいたい場合も、念のため可能か確認をしておいた方がよいでしょう。神社によっては、新品の腹帯やサラシタイプの腹帯しか祈祷しないなど、制約がある場合があります。
腹帯始末
昔は、妊娠中に利用した腹帯は、赤ちゃんのおしめや産着として利用していました。現在は、使い捨てのオムツを使われる方が殆どなのでおしめとして利用する方は少ないかもしれませんね。
腹帯に使われているサラシは、吸汗性も高く赤ちゃんの産着の素材として最適です。余裕がある方は、産着を手作りしてあげてはいかがですか?産着を縫う余裕がないという方は、よだれ拭きや入浴の際のタオルとして利用するという方法もあります。折角、安産祈願の祈祷を受けた腹帯ですから、赤ちゃんのために使ってあげたいですね。
戌の日の神社選びについて
戌の日の安産祈願といっても、どこに行けばいいのか悩んでしまうでしょう。どのような基準で神社を選べばいいのか、戌の日の安産祈願で人気の神社はどこなのかなどをまずはチェックしてみましょう。
戌の日にお参りする神社を選ぶ基準
安産祈願は、殆どの神社で行われています。妊婦さんの体調に無理の無い範囲で、ご自身が行きたいと思われる神社に行かれてみてはどうですか。神社には、それぞれ設立の由来や祀っている神様に違いがあります。事前にお参りに行く神社の神様の名前や設立の経緯などを調べておくと、より一層参拝を楽しむことができるでしょう。
子供が産まれると「お宮参り」・「七五三」など、お参りする機会があります。子供が生まれてからも同じ神社でお参りをしたいと考えるのであれば、子連れでも通いやすいように、自宅から比較的近い神社を選んで、今後もお世話になるというのも一つの考え方ですね。
人気の神社
安産祈願では、「子供の守り神」と言われている「水天宮」の名がついた神社が人気です。水天宮は、福岡県の「久留米水天宮」を総本宮として全国に建てられています。
関東では、「東京水天宮(日本橋)」・「清瀬日枝神社・水天宮(東京都清瀬市)」・「水天宮平沼神社(横浜)」などがあります。東京水天宮は、現在、工事中のため、仮宮での祈祷となります。お参りに行かれる際は、事前に公式HPで場所などを確認してからにしましょう。
また、水天宮以外にも、関東近郊では、「子安神社(八王子)」や「大宮八幡宮(杉並区)」・「鶴岡八幡宮(鎌倉)」などが安産祈願に行かれる方が多い神社として知られています。
祈祷方法に違いも
大きな神社では、単独ではなく数組一緒に昇殿して一斉に祈祷を行うというところが多いです。戌の日や七五三のシーズンには、人気の神社では、朝早くからたくさんの参拝客が訪れるので、長時間待つ可能性もあります。時間に制約のある方や、個人での祈祷を希望される方は、比較的小さな神社であらかじめ予約していく方がよいでしょう。
また、神社によっては、妊婦さんしか昇殿出来ないというところもあるので、ご夫婦やご家族みんなで祈祷したいという方は、そのあたりにも注意して神社を選びましょう。
安産祈願の費用について
安産祈願をしてもらう際には、神社に「初穂料」というものを納めます。「初穂料」とは、神社で祈祷をしてもらう際に初穂(その年の最初の農作物)の代わりに納める金銭のことを言います。今後、お宮参りや七五三の時も同様になります。
安産祈願における、初穂料の金額は、5千円~1万円が相場ですが、金額が決められている神社もあるので事前に確認しておきましょう。初穂料によって、授与品の内容にも差があるので、そのあたりを考慮して、金額を決めるのもひとつです。また、初穂料に腹帯の代金が含まれている所と、別に購入が必要な所があるので、確認が必要になります。
初穂料の準備の仕方
「蝶結びの水引き」のものを使用(水引きが結びきりのものは結婚式用なので注意)のし袋が無い場合は、白封筒を利用
「御初穂料」or「御礼」or「御玉串料」と記入
戌の日に安産祈願に行けない場合
戌の日は限られています。また、妊娠5ヶ月目の戌の日となると、なかなかその日にあわせてお参りに行くのは、難しいですよね。安産祈願は、絶対に戌の日でないといけないという決まりはありません。妊婦さんの体調やご夫婦のお仕事の都合などを考慮して、行きやすい日を選びましょう。
人気の神社は大混雑!猛暑日や厳冬の無理は禁物
大安の戌の日などは、人気の神社では、混雑が予想されますので、混雑している日を避けて空いていそうな日に祈祷に行くと、妊婦さんの体への負担も少なくなりますね。神社では、外で祈祷の順番待ちをしなければならない場合が多いです。
暑い夏の時期や、寒い冬の時期などは、妊婦さんにとっては、かなり体力的に負担となりますので、くれぐれも無理をしないようにしてくださいね。
代理OKの神社あり
神社によっては、代理での祈祷を受け付けてくれるところもあります。妊婦さんの体調がすぐれない時は、無理せずに、ご主人や親御さんにお願いするのもよいでしょう。
郵送OKの神社あり
また、郵送で御守りを送ってもらえる神社もあります。代理の方も祈祷に行くことができない場合や、遠方の神社の御守りが欲しい場合には、こちらの方法を利用してみるとよいでしょう。
妊婦さん自身が「戌の日に安産祈願に行かなくては!」と、頑張りすぎて体調を壊してしまっては、元も子をありません。戌の日にとらわれることなく、ご夫婦やご家族で楽しくお参りするのが、一番赤ちゃんも喜ぶのではないでしょうか。