離婚後に慰謝料を請求する方法と注意点
離婚してから「どうして慰謝料の請求をしなかったんだろう!!」と後悔している人は多いかと思います。確かに離婚手続き中は心身ともにハードなため、冷静になってから気づいて後悔してしまうのです。
しかし離婚後でも別れた配偶者から慰謝料を受け取ることはできるのです。ここでは離婚後に慰謝料を請求する際に知っておきたい方法と注意点をご紹介します。後悔する前に勇気を持って行動を起こしましょう。
1請求する前に確認!そもそも慰謝料ってどういうもの?
慰謝料とは配偶者から離婚原因に繋がる精神的・肉体的苦痛(=有責行為)を受けた時に、請求できる損害賠償のことです。
しかし離婚の中には「性格の不一致」や「家族との折り合い」「宗教的な考えの違い」など、どちらかに責任を持たせるのが難しい問題も多く存在します。双方のどちらかに明らかな責任がない場合は、慰謝料を請求できないケースも起こるので「どのような理由で慰謝料を請求するのか」をハッキリとさせてから行動に移しましょう。
2相手に請求できる慰謝料にも種類があるって本当?!
慰謝料と言えば配偶者の不貞行為や暴力行為に対する損害賠償の請求として一般的ですが、離婚してから生活資金を助けてもらえる「扶養的財産分与」というものがあります。
これは離婚してから経済的に余裕がある方が、生活能力がない相手に一時的に支払われる慰謝料です。これは支払う側に離婚の責任がなくても、生活が厳しくなる元配偶者や子供に“扶養的に”援助されるべきお金です。
しかし離婚後の扶養的財産分与は、以下に挙げるような一定の基準を通過していないと認められないので請求前にチェックしておきましょう。
●離婚に至るまでの有責性が重い
離婚の原因がある配偶者が“特殊な”状況を作り出していて、離婚までに心身的にハードな戦いが強いられた場合など。
例)不貞をしている配偶者が、その相手との間に子供をつくってしまった
●離婚後の生活の目途が危うい
離婚してから明らかに体調的&経済的に生活をしていくのが困難な場合。定期的にお医者さんにかかっている、などのケースも含まれます。
●再就職&再婚の可能性が限りなく低い
離婚しても高齢であったり病気を患っている場合には、将来的に新しく仕事に就いたり再婚をすることが厳しいと判断されます。
3重要!離婚後の慰謝料請求には時効がある!
離婚後に慰謝料を請求することは可能です。しかし慰謝料を元配偶者に請求する際には「時効」があることを覚えておきましょう。
●離婚してから3年以内は慰謝料の請求ができる!
離婚が決まってから3年以内であれば、元配偶者に慰謝料を請求することができます。多くの場合、ゴタゴタとした状況や精神面が落ち着いてくる離婚後1年から1年半くらいで慰謝料について思い直せると、慰謝料請求に向けての手続きも間に合うでしょう。
●ハッキリとした離婚原因と有責性が必要である!
慰謝料を請求する際には、「離婚に至った原因となる出来事」や「離婚せざるを得ない事実関係」が必要となります。主に元配偶者からの不貞やDVなど、離婚する上で相手の有責性を証明できるような証拠がある内容に限ります。
したがって「別居してから配偶者が他の異性と関係を持った」などは、夫婦関係が終わってからの出来事だと判断されてしまうので慰謝料の請求ができない場合も考えられるのです。
また元配偶者の借金によって離婚に至った場合、借金まみれの相手から慰謝料を回収できる見込みが少ないのでこちらも厳しいと言えるでしょう。
●財産分与請求権は離婚してから2年以内!
慰謝料と混合してしまいがちな財産分与ですが、こちらは1年短い2年以内の請求が可能なので慰謝料の3年時効と勘違いしないように注意してください。
●時効が過ぎれば慰謝料はもらえない!
慰謝料の時効である3年が過ぎてしまうと請求ができなくなってしまいます。また離婚時に、「慰謝料などを一切放棄する」といった内容の合意をしている場合は、慰謝料請求が認められない可能性が高くなります。
4離婚後の慰謝料請求の方法4パターン
離婚後に元配偶者に慰謝料を請求する場合、大きく分けて4パターンの方法があります。元配偶者との離婚内容や今現在の関係性によって請求方法が変わってくるかと思います。
パターン1.口頭で慰謝料を請求する
かなり穏便に離婚が成立して、お互いに有責の有無を共有し合っている場合は、直接会って話し合いをすることが可能です。その際には、二人で話し合って決めた内容を記しておく公正証書を作っておきましょう。
パターン2.内容証明で慰謝料を請求する
直接対決で慰謝料の請求をできない場合は、内容証明を送りましょう。内容証明とは手紙に記された内容が郵便局に保存されるため、確実に相手に「慰謝料の請求をした事実が残っている」というプレッシャーを与えることができます。
もちろん相手に「受け取ってない!」とゴネられるのを防ぐために配達証明もつけて送りましょう。
パターン3.調停申立で慰謝料を請求する
内容証明を送っても相手と話が決まらない場合は、調停申し立てをして慰謝料の支払いを第三者立ち合いの元で話し合うことが可能です。
調停で作成された調停調書があれば、後日慰謝料の支払いを拒否されたとしても強制執行する力があります。
パターン4.裁判によって慰謝料を請求する
調停でもなかなか慰謝料について合意が得られない場合は、訴訟をして裁判で最終決着をつけることができます。明らかに元配偶者に有責性がある場合でも、裁判となる法律的な知識を持っている弁護士の力を借りて確実に慰謝料を勝ち取らなければいけません。
多くの場合は調停申立の時点で合意することができますが、万が一訴訟をすることになればそのための裁判費用がかさむことを頭に入れておきましょう。
まだ間に合う!離婚後でも慰謝料を請求していいんです!
離婚してから「慰謝料の請求をしておけば良かった!」と後悔している方も、3年以内ならば慰謝料を請求することができるのです。これからの人生、後悔しないように自分が受け取るべき義務・慰謝料を勝ち取りにいきましょう!