離婚の話し合いのコツと、条件交渉を上手に進めるテクニック
できれば簡単に、夫婦2人だけの話し合いで離婚を成立させたいと考える方は少なくありません。実際に、夫婦だけの話し合いで離婚を成立させる「協議離婚」を選ぶ夫婦は80%を超えており、なるべく裁判所を利用せずに解決しようとする人が多いことが分かります。
離婚の話し合いを行う場合、どのようなことに気をつけるなら、養育費や慰謝料などを自分に有利に持っていくことができるでしょうか。
離婚の話し合いのコツ1:一方的だと思われない条件交渉
専業主婦である場合やパート勤務や派遣勤務で仕事をしている場合など、離婚後金銭的に困ると考えられる側にとっては、養育費や慰謝料などは現実的にも最大の交渉ポイントになります。そのようなときには、相手に「一方的な要求だ」と思わせないように交渉するのが重要になります。
例えば、慰謝料は相手の言い値で納得する分、養育費はこちら側の主張を通すことや、貯金は相手に渡して住居はこちらがもらうなど、お互いが平等であるという印象を与えながら交渉することが効果的です。
離婚の話し合いのコツ2:ハードルを下げて条件交渉
子どもがいる場合の離婚の話し合いの中でも、重要な部分である養育費。養育費を取り決める話し合いにもちょっとしたコツがあります。
例えば、子どもが2人いるので養育費には月に最低10万円は受け取りたいと考えている場合、敢えて「二人だから6万円×2で12万円はもらいたい」と言います。そして相手側が12万円は無理だということになってから、「私も仕事を頑張るから、10万円はなんとかしてね」と言う風に本来の要求額に持っていくことができるのです。
このように、敢えて高い要求を始めに提示することで、本来の要求を通しやすくするのです。相手にとっても「自分の主張が通った」と感じることができますので、お互いが満足できる結果へと導くことが可能です。
離婚の話し合いのコツ3:相手をほめる
夫婦が離婚をするときは「相手に我慢ができないから離婚をする」というケースがほとんどですが、最後の我慢だと思って相手をほめることで交渉を思い通りに持っていくことが可能です。
たとえば、「親なんだから養育費払ってよね」と言うならば、売り言葉に買い言葉で相手も「そっちも親なんだからなんとか育てていけば」となってしまうかもしれません。ですが、「子どもには良いお父さんでいてくれてありがとう。本当に子どもの幸せのためにいつも頑張ってきたんだと思う。これからも良いお父さんとして養育費を払ってね」と言うならば、本当は良い父親でなかったとしてもうなずかざるを得なくなってしまいます。
離婚の話し合いのコツ4:環境を整える
不快な部屋では、お互いにイライラとしてしまい、話が平行線をたどることになってしまいます。良い話し合いを行うためには、話し合うための場所を準備することが必要です。心地よい温度と湿度の部屋で、話し合うようにしましょう。
また、自分側の味方を連れていくことは避けましょう。母親や兄弟、その他の人など、明らかに自分サイドの人間を同伴するなら、相手も頑なになってしまい、良い結論には至らなくなってしまいます。公平さを保つためにも、2人だけで話し合いましょう。
相手と話し合いができない場合
DVを受けていた場合や、心理的に相手を怖いと感じてまともに話せない場合は、どうすることができるでしょうか。また、相手が威圧的な態度をとる場合や、いつも力ずくで自分の思い通りにさせることが分かっている場合も、どう対処することができるでしょうか。
話し合いができないときは、調停離婚という選択肢も
自分の性格上、話すのが得意でない場合は、メールで要件を伝えることができます。また、面と向かって話すことができない場合は、調停離婚を行うことを視野に入れましょう。調停離婚は家庭裁判所で行いますが、双方の言い分を「調停委員」に話すという形式で進めていきますので、より理性的な話し合いができるというメリットがあります。弁護士を依頼する必要はありませんので、手数料代2,000円だけで実施することが可能です。
調停離婚に応じない場合は、裁判離婚も視野に
調停を申し立てても、相手側が応じないこともあります。調停の場合には、申し立てられた側が参席しなくても法的な罰則などはありませんので、離婚を拒否する場合や養育費・慰謝料の支払いを拒否する場合は決められた日時に裁判所に来ないことも充分にあり得るのです。
そのような場合は、裁判離婚に進むことも考えましょう。裁判に進んでも離婚したいというこちら側の強い意思を示すことで、調停に応じる場合も多いのです。調停離婚でも裁判離婚でも、自分の言葉で上手に話せないと感じる場合や、不利に進行してしまうのではと感じる場合には、弁護士を代理人に立てることができます。費用は100万円程度かかりますが、離婚の意思が固い場合は検討して見ることができるでしょう。
どのような形態で離婚を進めていくにしろ、感情的になってしまうと、自分に不利な条件で離婚をすることになってしまいます。冷静な離婚の話し合いが難しい場合は、積極的に調停委員や弁護士に頼りましょう。