認証保育所ってどんな施設?
ママが安心して子育てをし、自分らしく生きていくためにも、保育園の需要はますます高まっているのですが、人口が集中する都内ではなかなか保育園に入れないのが実情です。保育園選びをする中で、最近よく耳にするのが、「認証保育所」という名称。
認証保育所とは一体どんな保育施設で、どう選んでいけばいいのでしょうか?こちらでは従来の保育園との違いやメリットやデメリットを、まとめてご紹介していきます。
認証保育所とは?
「認証保育所」とは、東京都の基準をクリアした、東京都独自の制度で運営している保育園のことでしたが、近年全国的に認証保育所事業が広がり、今では東京都だけでなく各自治体の独自の基準を満たす認証保育所が全国各地に増えつつあります。
保育所には、施設の広さや保育士などの職員の人数、給食設備や防災・衛生管理などの面で国の基準をクリアしている「認可保育所」と、自治体への届け出を経て民間企業などが営む認可を受けていない「認可外保育所(無認可保育園)」があるのですが、やはり人気が高いのは認可されている保育園。
ところが子育て世代の人口が集中する首都圏では、保育園の施設数が足りず、認可保育所への入園は「保活」と呼ばれるほど競争率が高く、待機児童問題は親にとっての悩みのタネになってしまいました。
それを解決するために新たに設けられたのが、「認証保育所」です。
どっちを選ぶ?2種類の認証保育所
東京都の認証保育所には、保護者のニーズにマッチした園を選びやすいように、次の2種類があります。
認証保育所の種類
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A型(駅前基本型)
駅前の設置を基本とし、0~5歳児を対象とした20~120人を定員とする保育施設(1/2は0~2歳)。園庭に準ずる屋外遊技場があるか、近隣に代替えとして使える公園などがあり、子どもを屋外でも安全に遊ばせることができる -
B型(小規模、家庭的保育所)
0~2歳児のみを対象とし、6~29人程度の少人数制を定員とする保育施設。屋外遊技場についての規定がなく、屋内で低年齢の子どもの保育を行うことが多い
施設の規模が大きいため、駅前基本型とも呼ばれるA型の経営主体はほとんどが民間企業。特にニーズの高い駅前に設置する場合には、都が開設準備経費の補助を出してサポートしています。
これに対してB型のほとんどは個人もしくはNPO法人が経営をしていて、小規模、家庭的保育所と呼ばれています。
認証・認可・認可外保育所の違い
保育所の種類・分類は似通った名前が多くてわかりにくく、1字違いで大きな違いがあるのが困りもの。
初めて子供を保育園に入れる新米パパやママだけでなく、ここ数年で急激に子育てに関する制度がかわったことで、これまでも保育園を利用してきたベテランのパパやママまで混乱しがち。
どの保育園を選ぶか決めるためにも、まずは認証・認可・認可外保育所の違いをさまざまな面から比較していきますので、しっかり理解しておきましょう。
運営団体
保育園選びをする段階で、「認可保育所は国や自治体のみ」などと運営団体を誤解しているパパやママもいますので、ここでしっかりと確認しておきましょう。
認証保育所 | 個人や民間企業、NPO法人など |
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認可保育所 | 自治体や社会福祉法人、個人や民間企業、NPO法人など |
認可外保育所 | 認証保育所と同じ |
選考基準
同じ保育園でも、それぞれ選考基準が異なっています。こうして見比べてみると、認証保育園は核家族化が進んだ現代の子育て中のママにとって、心強い存在であることがわかります。
認証保育所 | 選考基準はなく、保護者の就業の有無や住んでいる地域にかかわらず申し込みができる |
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認可保育所 | その地域に住み、就業や病気、介護などのやむを得ない理由で、家庭で日中の保育ができない場合のみを対象とする |
認可外保育所 | 認証保育所と同じだが、受け入れ範囲が広い |
申し込み方法
保育園の申し込みには保護者が頭を抱え「めんどくさい」と感じやすいのですが、認証保育所はこうした保護者の負担も楽で、ママにも優しいです。
認証保育所 | 施設に直接申し込む 年度途中でも申し込みができる |
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認可保育所 | 保育認定を取得し、各自治体に申し込む 年度途中の入園もできるが、基本的には11~12月を翌年の4月入園を一斉受付けする |
認可外保育所 | 認証保育所と同じ |
職員の資格
子育ての知識がある保育士に預けたいママにとって、職員の資格規定は重要ですが、あまり気にしていないママもいますので、ご家庭の都合や育児方針に合う保育園を選ぶとよいでしょう。
認証保育所 | 保育に従事する常勤職員全体の6割以上は保育士資格を有する者 職員の配置基準は認可保育所と同じ |
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認可保育所 | 保育に従事する職員は保育士資格を有する者とし、次の配置基準が決まっている
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認可外保育所 | 保育に従事する職員のおおむね3分の1以上は、保育士または看護師の資格を持つ者で、無資格の職員もいる 職員の配置基準は認可保育所と同じ |
保育料
「できるだけ低価格な保育料の園を選びたい」というご家庭には、やはり認可保育園が人気。こうして見比べると「認証保育所や認可外保育所なんてお金持ちしか入れない!」と思うママも多いでしょう。
認証保育所 | 国の定める基準額を上限として施設によって違うが、保育料の月額には保育料のほか、1食目の給食代やおやつ代、必要な材料費、光熱水費、年会費や消費税が含まれる (月220時間以下の利用の場合は、原則として3歳未満児で月額80,000円、3歳以上児で77,000円を超えないものとする) |
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認可保育所 | 世帯の年収や認定資格、児童の年齢に応じて、自治体が一律で定めた金額 |
認可外保育所 | 上限などはなく、運営者が自由に設定できる |
補助金
保育料を見て愕然としたママさん、実は認証保育所に入所した場合、自治体ごとの補助金を受け取ることができます。保育料だけでなく補助金も含めて、預け入れる施設を検討しましょう。
認証保育所 | 運営に要する経費の一部の公的補助あり |
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認可保育所 | 施設整備費や運営費、特別保育事業費の一部の公的補助あり |
認可外保育所 | 原則なし |
保育時間
残業の多いママが増え、2か所以上の保育園を利用する二重保育を行うママが増えています。認証保育所や認可外保育所は、そうした二重保育問題の解消に役立ちます。
認証保育所 | 13時間以上 |
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認可保育所 | 8時間から最大11時間の範囲で施設が決めるが、朝7時半~18時半が一般的 11時間を超える場合は延長保育で対応するが、保育時間や実費負担額は施設によって違う。 |
認可外保育所 | 保育時間は施設が自由に設定でき、24時間保育を受け入れる施設もある |
施設の設置基準
子供達が多くの時間を過ごす施設の設置基準を見比べてみましょう。認証保育園の場合はB型の屋外遊戯場の規定がありませんので、園によっては狭かったり、なかったりする場合もあります。
認証保育所 | A型・B型とも次の基準を満たす乳児室・保育室・遊戯室などを備え、調理室や便所は必須です
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認可保育所 | 次の基準を満たす乳児室・保育室・遊戯室・調理室・医務室・屋外遊戯場(近くの公園でも代用可能)を備え付けている
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認可外保育所 | 次の基準を満たす保育室・調理室(弁当の持参や給食の宅配を受けている場合は、食品の加熱・保存・配膳ができる調理機能を有する設備)、幼児20人につき1箇所以上の便所を備え付けている
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保育内容
保育内容の元となるガイドラインも、各保育所で異なります。
認証保育所 | 東京都が独自に定めた基準に沿った保育を行い、適切な水準を確保する |
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認可保育所 | 国が定める「保育所保育指針」に沿って、自動の年齢に応じた保育を行う |
認可外保育所 | 自治体が定める「認可外保育施設に対する指導監督要綱」沿った内容の保育を行う |
0歳児保育
認証保育所制度は、0~2歳児の受け入れ枠を大幅に広げることが大きな目的の一つ。そのため0歳児のママには心強い!
認証保育所 | 有り。0歳児保育の実施を義務つけられており、A型の場合は定員の1/2以上を0~2歳児とする |
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認可保育所 | 枠がない園もある。受け入れを開始する月齢は施設によって違う |
認可外保育所 | 認可保育所と同じ |
認証保育所のデメリット
認可保育所と認可外保育所の中間に位置しているのが、東京都の認証保育所。
認可保育所に入れず、認証保育所への入園を検討しなければならない場合、デメリットとしてパパやママが心配するのは子どもに対する安全性や費用面の問題でしょう。
認可保育所の場合は国の厳しい施設基準や安全基準をクリアし、職員の資格や保育の質の良さには定評があるため、安心して子供を預けることができるという信頼感があります。
ところが認証保育所の場合には都が定める一定の基準。そのためまだ制度が新しい面もあって、子どもは安全なのかと不安になってしまいがち。
費用の面でも、認証保育所は保育料を施設側が自由に決めることができることで、「法外な費用を請求されるのでは?」と考えてしまう傾向があります。
認証保育所の場合、保育に携わる全職員が有資格者ではありませんが、都への報告や指導を受ける義務もありますので、必ずしも安全性が低いというわけではありません!また費用面は認可保育所と同様の上限額が決められています
認証保育所の嬉しい5つのメリット
「可愛い我が子を預けるには不安」と思われがちな認証保育所ですが、施設には情報公開の義務があり、しっかり対応してもらえます。
また直接施設に入園を申し込むため見学がしやすく、自分の目で施設や保育方針、子ども達の実際の様子を確認でき、不安や疑問がある場合には、施設側から納得がいくまで説明もしてもらえます。
全都道府県にある施設ではありませんので、折角預けられるチャンスがあるのに子供の預け先として外して考えてしまうのはもったいない!認証保育所の次のようなメリットにも目を向けて、前向きに受け入れていきましょう。
1誰でも利用できる
認証保育所の場合は、認可以外のように「働いていること」という縛りがありません。実働時間以外は子どもを預かってもらえないという不便さを感じることがありませんし、求職活動もしやすいので、ママが仕事を選ぶ選択の幅が広がります。
20歳児から預けやすい
保育所に子どもを預けたいママの大部分は、子どもが小さくても働かなくてはいけないという事情を抱えています。認可保育所でも0歳児の入園が最もハードルが高いのですが、認証保育所は基本的に0歳児からの保育を推奨して設置されていますので、比較的苦労をせずに預け先を見つけることができます。
3長時間の保育が受けられる
認証保育所は基本13時間以上と、保育時間が長いのが特徴。認可保育所のような日中だけという縛りがなく、地域のニーズにあわせて夜間でも保育時間を設定している施設が多いです。
そのため夜勤や変則勤務など新しいライフスタイルで生活する若い世代でも利用がしやすく、二重保育を選択せずにすむため子育てがしやすくなります。
4通いやすく働きやすい
認可保育所の場合は「広い敷地があること」が大前提で、便利で住みやすい都市部や繁華街に設置することが難しいのですが、認証保育所は設置基準を緩和していることで、人口が集中する場所に増えています。
特に駅前などの交通の便の良いところに設置されることが多く、住んでいる地域に限定せずに通いやすい園を選べるので、親が働きやすく子供も楽なのです。
5保活のストレスから解放される
子どもを認可保育所に入園させるためには、前年度からの厳しい戦いに耐え抜かなくてはいけません。ところが認証保育所の場合、定員に空きがあれば保活をせずに、年度途中でも子供を受け入れてもらえます。
保育所が決まらないという不安、「保育所落ちた!」というストレスを感じなくてよいので、そのぶん子育ての楽しみを満喫することができます。
認証保育所も選択肢の一つと考えましょう
東京都で認証保育所の制度が始まったのは平成13年。需要は高く、平成20年に410園(A型321園・B型89園)設置されていた認証保育所ですが、平成29年10月1日現在、都内に632園(A型559園・B型73園)と、順調に設置数が増えています。
また現在東京都以外の認証保育所は、千葉県船橋市や浦安市、静岡県浜松市や裾野市、愛媛県松山市、山形県山形市など一部の地域にしかありませんが、自治体がこの事業に着目することで、現在はまだない地域にも今後は増えていくことでしょう。
生活様式や社会意識は常に変化していていますので、子どもの預け先の選択肢が広がるのは、私達ワーママにとって良いことです。ネットやメールで申し込みを受け付ける園もあるという便利さからも、認証保育所がさらに広がる可能性は十分にあります。