ひらがなへの興味がない幼児におすすめ!文字を楽しめる遊び7選
子供への教育のファーストステップ、ひらがなの読み書き。早期教育に興味があるため幼少期から家庭学習でひらがなに取り組むパパやママは多く、「まだ早いかも」とは思っているご家庭でも周りの子が簡単なひらがなを読めるようになるのを見て、正直焦ってしまうのが親心ではないでしょうか?
そこで今回は、絵本などに書かれた文字に興味を示さない子供に、遊びなどを通してひらがなに興味を持たせる方法をご紹介していきます。子供の学習意欲の向上にも繋がりますので、親子で一緒に遊んでみるとよいでしょう。
幼児にひらがなへの興味や学習は不要?
日本で正式にひらがなの教育が始まるのは小学校に入学をしてから。ただし小学校という大きな集団で生活をするとなると、1桁の数字や自分の名前程度は読み分けることができないと初めは過ごしにくいのが実情です。
そこで幼稚園や保育園では文字への関心を高める活動を行っています。これは文部科学省の幼稚園教育要領(注1)にも、厚生労働省の保育所保育指針(注2)にも明記されているため、保育が主目的の保育園の場合も心配する必要はありません。園では絵本や遊び、カレンダー作りなどの制作活動を通して、徐々に文字へ興味を促しています。
子供の成長は個人差が大きく、就学前からひらがなを積極的に読む子もいれば、全く興味を持たない子もいてさまざま。焦る必要はありませんが、初期教育といった面ではパパとママの関わり方も影響します。心配な場合は楽しくひらがなに興味を持てる遊びを通して、学習意欲を育むことをおすすめします。
ひらがなへの興味を持たせる7つの遊び
家庭で子供にひらがなを教える場合、絵本・ひらがな表・かるたなどを使うのが一般的ですが、こういった“いかにも”な遊び道具は「勉強」に走りがち。子供によっては押しつけがましいと感じることも。
こちらでご紹介する文字を使う遊びは、未就学児がより楽しくひらがなに興味を持てる方法です。絵本などに興味を持たない子も、遊びを通して繰り返し学びやすく効果も上がりやすいので、ぜひ試してみてください。
1手作り文字カードで言葉作り遊び
小さな紙にひらがなを一つ一つ書いた文字カードを作り、食べ物の名前や動物の名前を作らせて遊びましょう。これはヘレン・ケラーの教育に携わった、サリバン先生が使った方法です。
- ママがカードを並べて見せる
- カードを混ぜてグチャグチャにする
- 子供にやらせてみる
例えば「みかん」であれば、まずはママがカードの中から「み」「か」「ん」の書かれたカードを選び出して並べます。子供にカードをしっかり見るように伝えて覚えさせ、次にカードを全部混ぜてグチャグチャにします。最後に思い出して並べさせます。ゲーム感覚で楽しくひらがなを覚えさせることができる遊びです。
2かるたでしりとり
市販のカルタの絵のカードだけを使って行うしりとり遊びをしましょう。カルタ遊びは大人が読みカードを読まなくてはいけないという面倒な面があるのですが、絵カードだけを使うこの遊び方はそれほど負担がありません。
しりとりもかるたも伝統的な昔遊びですが、しりとりは耳で聞くことで、かるたはひらがなを見ることで学習力を向上させるのに最適です。
3看板の文字読みゲーム
子供と一緒に散歩をするときや、車や電車でお出かけをするときに、看板の中でひらがなを探して遊ぶのも楽しいものです。
例えば「誰が一番先に「と」を探せるかな?」とゲームをすると、子供は競ってひらがなを読もうとします。子供の人数が多いほど盛り上がりますし、長距離ドライブで帰省する際に子供を退屈させない方法としても効果的です。
4ひらがな塗り絵
男の子も女の子も塗り絵は夢中になって遊びますが、市販の塗り絵を渡すのではなく、自作のひらがな塗り絵を作ってあげるのも、子供がひらがなに興味を持つ良い手です。
子供が好きな食べ物や車の絵などをマジックペンで白紙に書き、書き順を加えたひらがなを添えておきましょう。塗り絵で遊んだら楽しくひらがなを書いて学べます。
子供が好きな絵だけでなく、おかしなものや下品なものでインパクトを狙うのもおすすめ!
小学生のドリルで大人気の問題部分がうんこの絵になった「うんこドリル」も、こういった子供の興味をそそるものを上手に利用した学習法です。
5お手紙遊び
小さな子供は絵を描くのが大好きで、上手にかけると褒めてもらおうとママに渡したり、お友達にあげたりします。これを利用して、お手紙遊びでひらがなを練習しましょう。
まずは自分の名前から。次は「ママへ」や「○○せんせいへ」などの宛名書きに進めてみてください。
この遊びは子供が手紙をかくだけでなく、自分も受け取って嬉しいという気持がやる気を向上させます。子供から手紙をもらったら、ママも簡単な手紙を返して、学習意欲を向上させましょう。
6お風呂の鏡で文字遊び
砂鉄などを利用して繰り返し絵や文字を書いて遊べる文字ボードもありますが、お風呂の湯気でくもった鏡でも代用できます。
子供と一緒にお風呂に入りながら、曇った鏡にひらがなを書いて当てっこをしたり、ママが描いた絵の名前を子供にひらがなで書かせたりして遊びましょう。お風呂が苦手な子も、楽しく入浴できて一石二鳥です。
7ひらがなクッキング
下町で寺子屋に通えない子供のために、母親が生地を文字のようにたらして鉄板の上でひらがなを教えたのが「文字焼き=もんじゃ焼き」の発祥といわれています。料理は子供の教育の場としてもピッタリ。
クッキー生地をヒモ状にして文字を書いてみたり、クッキーの飾りにチョコペンでひらがなを書いてみたりすると、子供は楽しく字を覚えられます。
クッキー生地を作るのが面倒であれば、市販の茹でうどんでもOK。一旦茹でたうどんを冷まして文字を書き、そのまま油を引いたフライパンでカリッと焼いて砂糖や塩コショウをふると、勉強の後のおいしいおやつになります。
無理強いは厳禁!褒めることが大事!
ひらがなの教え方でいちばん大事なのは、パパやママが無理強いをしないことです。学習の強要は子供の学習意欲を半減させ、学ぶことに反抗心をいただかせる恐れがある行為。教育学を学んだ教師であれば、子供の様子で学ぶ体制になっているかを判断できますが、親の場合はどうしても子供への期待が大きく、無理強いをしてしまいがち。
もちろん「お兄ちゃんはできた」や、「○○ちゃんは、読めるのに」と、他の子供の比べるのはNG。一番良いのはたくさん褒めてあげることです。褒められること、喜ばれることは、子供の「できた!」の原動力。ひらがなを読めたときや書けたとき、それが多少間違っていても、そのやる気を評価してたっぷりと褒めてあげましょう。
年齢別!ひらがなへの興味の引き出し方
どんな天才も、赤ちゃんのころは泣いておっぱいを飲むことしかできないもの。「早期教育」という言葉がありますが、子供は自分の成長段階にあったものではないと習得できなかったり、弊害が心配されたりするケースもあります。
家庭で幼児にひらがなへの興味関心を持たせる場合、子供に学習を無理強いして、かえって勉強嫌いの子を作る原因にならないように、年齢や発達状況に応じた興味の引き出し方を心掛けましょう。
0~1歳
まだまだ準備期間です。
ひらがなが理解できないからといって手を抜くのではなく、絵本の読み聞かせなどを通して、まずは音を沢山耳に入れ、物や人に名前があることを認識させましょう。
また発達に応じて徐々に文字にも触れさせ、文字の「形」を身近なものとして覚えさせましょう。
2~3歳
文字への興味を広げ、お絵かきを通してクレヨンやペンを持って描くことに慣れさせる期間です。
好奇心が旺盛で語彙や文字に対する興味が爆発的に増える時期ですので、いろいろな言葉を話しかけるだけでなく、子供に絵本を選ばせるなどで、ひらがなを単なる「形」から意味のある「文字」へ認識させていきましょう。
3歳の年少さんになると上の子や幼稚園のお姉さんを真似て、あるいは早期教育の成果などでひらがなを書ける子もでてきますが、まだひらがながかけないことを焦る必要なないので、興味がない場合はお絵かきをさせ、たっぷりと褒めてひらがなへの興味と共に描く喜びを体験させてあげましょう。
ひらがなに興味がない場合は、乗り物や動物、魚、プリンセスなど興味のある物が書かれた絵本を読み聞かせましょう。徐々に好きな物のひらがなに慣れることができます。
4歳
読みのスタート期間です。
ひらがなの学習はまず読むことから始まります。絵本を読みきかせてあげる時には、ひらがなを指さしてゆっくりと読み、「”の”の字はどれかな?」と文字当てゲームをして楽しく学びましょう。
5歳
書きのスタート期間です。
ひらがなの読みがおおむねできたら、まずは「し」「つ」「く」「へ」などの簡単な文字を書かせ、たっぷりと褒めてできた喜びや自信を体験させてあげましょう。
書くことに慣れてきたら、興味関心を持ちやすい自分の名前や好きな物・お友達の名前からひらがなを書く練習をさせましょう。払いや方向が間違っても神経質に直すのではなく、まずは子供の書きたい気持ちを尊重して、徐々に教えてあげてください。
6歳児
読み・書きのマスター期間です。
小学校入学に向けて、幼稚園や保育園でもひらがな学習に力が入ります。「今日はどんな字を書いたの?」と保育園で学んだことを見せてもらうことで自然に家庭でも繰り返させ、ひらがなを身につけさせていくとよいでしょう。
学習障害~ディスレクシアへの注意
学習障害とは、子供の頃に発見されることが多い発達障害の一種で、知的な遅れや視聴覚障害がなく、本人も学校に通って努力しているにもかかわらず、読み書きや計算といった面で能力を身に着けるのが困難な障害です。
ディスレクシアは、学習障害の中でも読み書きが困難な障害。識字障害、読字障害、読み書き障害などと呼ばれることもあります。
子供の成長は一人一人違い、興味の示し方もさまざま。未就学児の間は子供がひらがなにあまり興味を示さなくてもそれほど神経質に考える必要はなく、パパやママは大らかに捉えて遊びながら成長を見守ったほうが良いです。
ただし明らかに不安を感じる要因があったり、入学直前、入学後に全くひらがなの読み書きに興味を示さなかったりする場合は、ディスレクシアを疑って検査や支援を行う必要があるケースもあります。
2002年に行われた小中学校の教師を対象とした国内調査では、ディスレクシアが疑われる学習面のみ困難な児童の割合は3.3%でした。(注3)
ディスレクシアの子供に見られる特徴
- 幼児期に文字に全く興味を示さない
- 絵本の読み聞かせは好きなのに、入園後いつまでも自分で文字を読もうとしない
- 入学後もなかなか文字が覚えられない
- 学習面では読み間違いや読み飛ばしが多く、理解力はあるのに自分で読んだ文字の理解は困難など、他の子よりも字を認識するのが難しい など
ディスレクシアであってもパソコンやオーディオ機器を使うなど、学習に関する支援を受けることで問題を改善し、学習を進めやすくできます。ところが周囲の理解や支援を受けられないことで心にダメージを受けてしまうと、能力を発揮できなかったり自己肯定感が低くなってしまったりする恐れがあり、保護者はその点に十分憂慮する必要があります。
またひらがなに興味がないといった学習障害はAD/HD(注意欠陥・多動性障害)や自閉症スペクトラム障害が起因していることもあります。気になる兆候がある場合は早めに小児神経科医師などの専門医に相談するなどし、学校と家庭と医療機関で連携をとって対処していきましょう。
参考文献