PTAって意味ある?加入前に確認したい活動内容や4つのメリット
小学校に入学すると、学校によっては自動加入になっているPTA。実は任意参加の組織ですが、どんな活動を行うのか訳も分からず入学と同時に加入し、活動参加への負担で退会したいママも結構多いんですよね。そのため、学校によっては規模を縮小して不必要な活動をなくし、本当に参加したい保護者と教師で実情に合った組織に作り替える試みをしているPTAもあるほど。
こちらでは、PTAとは何か、活動の目的と参加する意味、地域による活動の違い、活動の種類と仕事内容、意味を見いだせず退会者が増える理由、参加するメリットについてご紹介します。これから入学する保護者の方も、今PTAに疑問を感じている方も、一度参加する意味についてじっくりと考えてみましょう。
PTAとは?PTA活動の目的と参加する意味
PTAの活動の意味が分からない人が多い反面、その意味を実感して精力的に活動している保護者もいます。経験者以外には謎の多いちょっと怖いイメージのPTA。そもそもどのような団体で、どのような活動目的があるのでしょう?
PTAとは?
PTAとは、「Parents and Teacher Association」の略称で、保護者と教師の団体です。つまり、児童生徒の親(保護者)と教師が協力し合い、さまざまな活動を通して青少年の健全育成をはかる組織のこと。PTAというと、保護者だけの団体というイメージがありますが、学校の先生も一緒に活動する組織。保護者任せの団体というわけではではないんですね。
PTA活動の目的
PTA活動の目的は、「児童生徒の健全な成長を図ること」。一緒に活動することで、保護者と学校の先生が学校や家庭教育に対してお互い理解を深め合って、将来を見据えてよりよい児童生徒への教育を行っていくことを目指しています。
具体的には、子供達の学校外での生活への指導や、子供達に役立つ学校や地域行事などを改善拡充する活動を行います。また、必要に応じてPTA会員相互の学習をしたり、PTA連合会の交流に参加して学び合ったりする等、児童生徒の生活をより充実させる学習も行います。
よりよい先生、よりよい親になるために共に学び、地域ぐるみで子供達の健全な成長を育もうという温かな目的があったんですね
PTA活動は地域によって違う!?
PTA活動の内容は、地域や学校によってさまざま。活動内容や活動頻度にも大きな差があります。
昔と違って核家族化が進み、生活の多様化や貧困世帯の増加などによって共働き家庭が増えている現代。PTA活動によって保護者にかかる負担や、児童の健全な育成という目的に反し夜8時~9時には就寝させたい小学生を夜連れ出しての活動になるなどの理由から、PTAの意味と実情を再確認し、家庭の現状に合わせて活動頻度を少なくしている地域もあります。
変化しているPTA
私がこの学校のPTAに参加して早7年。うちのPTAは全員参加なので、とにかく何かの活動に名前を連ねなければならず、参加がとても苦痛でした。けれど、「毎年必ずやらなければならないのだから、毎年活動内容がわかる同じ委員に参加しよう」とかれこれ7年。今では委員代表をしています。
代表をするようになって分かったのですが、PTA会長さんによっても活動の仕方が変わり、今の会長さんは多くのPTA会員から不満の声が聞かれることを受けて、必要な活動と意味がない活動を分け、最終的には参加したい人のみで活動できる規模にPTAを縮小するという大胆な方針を打ち出しました。
そこで、私たちも活動内容を見直し、毎年何をすればいいのか会員も先生もあまり分からず経験者に聞くところからスタートするPTA活動を再検討して、マニュアルを作成するなど役員負担を軽くする工夫などを行いました。他の学校で同じPTA活動をしているママ友に聞くと、やり方は地域ごとに全く違うため、自分の学校のPTAは自分たちで作っていくものなのだと実感しました。
逆に、地域の活性化という目的を併せ持ったPTAを目指して、活動回数を多くすることで活動内容の充実をはかり、地域の人達と密着化して活動しているPTAもあります。
濃すぎる活動にゲンナリ
うちの地域は田舎だからか、PTAの役員上層部は地元の同級生たちで固まっており、その人たちが中心となって活動するものだから、活動も頻繁で内容も濃いです。私は地元じゃないので知り合いも少なく、仕事もしているので、この濃すぎるPTA活動が苦になってしまっています。それに、地元の人は、自分の親も近くに住んでいて、下の子が小さくてもPTA活動のときは預けられるので、2歳の子をいっしょに連れて参加しなければならない私とは違います。もっと、地元じゃなくても専業主婦じゃなくても参加しやすいPTAだったらよかったのに、と思います。
PTA活動の種類と仕事内容
具体的にPTAの活動にはどのようなものがあるのでしょう?地域性や学校によって多少の違いがあるものの、一般的には次のような活動を行うPTAが多いです。意味が分からずムダな活動だと思えたPTAも、活動の内容がわかれば「子供達に役立っているんだな」と、参加する意味が感じられますね。
1バザーなど行事の運営
多くのPTAでは学校を開放してバザーなどの行事を行い、学校に通う児童生徒の保護者だけでなく地域の人々にも学校に訪れる機会を作ることで、理解を深めてもらいます。
また、バザーで集まった収益は、運動会で使う大型テントや大型扇風機など子供達の教育環境を整えたり、災害時の備蓄品購入などの安全対策を行ったりするなど学校や子供達に還元します。
毎年、バザー開催・運営のために保護者は結構大変なのですが、バザーを楽しみにしている子供達の姿を見ると「頑張って良かった~」「子供たちが楽しみにしているから、来年も喜ばせてあげたいな」と、喜びを感じPTA活動に参加した意味を見いだせる保護者も少なくありませんよ。
2勉強会の運営と参加
子供たちの健全な育成のためには、保護者も教育に関する知識を身に着けることが大切ですよね。そのため、PTAでは保護者の家庭教育に役立つ勉強会や講演会を開催し、PTA会員に参加してもらう活動を行っています。また、PTA連合会でもこうした活動を行っており、お便りにて毎年お知らせが各家庭に届けられますね。
時代が変わるにつれて教育課題もさまざまに変化していきますので、「勉強会や講演会に参加することで、教育問題の現状をしっかりと把握することができ、情報交換もできるので、家庭教育に役に立つ」という声も聞かれますよ。
一方、学校によっては活動に参加する意味や目的が分からない会員が多く、PTA三役以外は何となく例年通りの活動をしているというPTAもあります。そのため、「美味しいコーヒーの淹れ方」「ヨガ教室」などの講習会を行い、子供への家庭教育に役立つ学習という意味とは異なりますが、会員相互の親睦や保護者が楽しめる場を作るといった目的で研修活動をしているPTAもあります。
3広報誌を発行する
PTAでは、学校での行事や子供たちの様子、学校の先生へのインタビューなどを記載した広報誌を制作・発行するという活動を行っています。学校だけでなく、保護者や地域が一緒に児童生徒の教育に取り組む意識を高め、地域全体で子供たちの様子を見守っていくことができるようにするという狙いなどがあるんです。
子供が小学生になると、幼稚園や保育園の頃と違って極端に様子が見えなくなりがち。子供との話のすれ違いも生まれやすく、共通の話題作りが難しい家庭もあります。そのため、「あの先生、給食が食べたくて学校の先生になったんだね」なんて、一緒に学校の話題を楽しむネタとして役立つ広報誌は、保護者や子供達に人気があり、毎年楽しみにしているご家庭も…。
4登下校時の安全パトロール
物騒な世の中なので、子供の登下校時が不安な保護者も多くいますよね。そこでPTAでは、登校班の見守りや登下校時のパトロール、地域商店に駆け込み避難場所となってもらうことへのお願いなどをすることで、子供が安全に登下校することを手助けし、地域の人に挨拶をするということも教えるなどの活動を行っています。
5式典や行事のときの記念品贈呈
PTAは入学式や卒業式、運動会などのときに紅白饅頭や鉛筆、卒業賞与を入れる筒などの記念品を贈呈する活動も行っています。
「PTA非加入の家庭の子供は、記念品をもらえないの?」と心配してPTA加入する保護者もいますが、PTA活動というのはそもそも全児童生徒の健全な育成を目的としていますので、PTAへの保護者の加入は記念日とは関係あってはならないはず。非加入の子供に記念品を贈らないなどということを行えば、PTAの目的とは真逆の行為になってしまいますよね。
ただし、実際にはそういったPTAもあるそうです。そのため、子供が悲しい思いをすることも…。繰り返しますが、PTAは任意加入の団体。健全なPTAでは子供の公平性を守りますので、そういったことはないハズです。
けれど、もしお住まいの地域のPTAでそういったことがある場合は、保護者として堂々と学校及びPTAとの話し合いを行い、お子さんに悲しい思いをさせることがないように守ってあげましょうね。
6ベルマーク集計活動
PTAでは、全校生徒の家庭からベルマークやプリンターのカートリッジなどを集めて集計するベルマーク活動を行っています。集まったベルマークの点数によって、学校活動に必要な備品などと交換することができるんですよ。1点1円ですので、みんなで集めると結構な金額になりますよね。
交換できる商品には、運動会の大繩や点数ボード、グランドピアノなど学校活動に必要な様々な備品がありますので、ベルマークを見かけたら点線で切り取って集め、子供に学校まで持って行ってもらいましょう。
PTA活動は意味ない!?退会者が増える理由
PTAは任意加入の団体。自動入会のPTAでも入学時に加入しなかったり、途中で退会したりすることもできます。
近年、PTA活動に参加する意味を見出せず、PTA退会者が増えています。ではPTAを退会するのには、具体的にどのような理由があるのでしょうか?
PTA活動を無駄と感じる
PTAが入会金を払ってまで加入するほど重要な活動をしているのかと言われれば、必ずしもそうとは思えない人もいます。「PTA活動には子供の健全育成、地域との関りを強化できる効果がある」と言われても、実際に目に見えず効果も実感できませんし、先生方との相互理解にPTAが役立っていると実感できない人も多いでしょう。
また、記念品に関しても「こんなものをもらうなら、自分たちで買った方がいい」という意見や、子供が多い家庭では「毎日切り詰めてどうにか生活しているのに…。毎年PTAへの支払いは負担が大きくて困る」思うご家庭も少なくありません。
人間関係の難しさ
PTAは職場や趣味のサークルとは違い、生活環境や趣味、年代も異なる人たちの集まりです。子供の年代が同じというだけで実にさまざまな人がいて、そのような集団の中で人間関係を築くことを難しいと感じる人や、最初から関りを持ちたくないと考える人も多くいます。
役員の仕事を負担に感じる
PTAという組織をまとめ、手際よく活動するためには役員の存在は欠かせません。しかし、一般のPTA会員に比べて役員の負担はとても大きく、役員の選出が難しいときはくじ引きで決められることも…。仕事をしている、小さい子供がいる等の個人の事情なんて聞いてもらえず、「私も幼稚園の子供がいますけど、連れてきていますよ」と言う人もいて、とても断れない雰囲気の学校もあるんです。
PTA役員のあまりの負担に、「子供一人につき一年役員をする」という地域では、「二人目をつくらない」なんて人もいるほど!母親に負担が掛かれば、そのしわ寄せが子供にダイレクトに行くこともありますよね。そのため、子供を守るためにあえて、PTAを退会するという決断をすることも。
負担が大きすぎて本末転倒
「子供のためのPTA」のはずなのに、役員である私は、夜会議のために子供を一人で留守番させなくてはならなかったり、役員の仕事を家に持ち帰ってろくに子供と会話できなかったり…。子供のためにやっているとはいえ、子供との時間が確保できないなら本末転倒だなと感じました。PTAが任意加入なんて知らなかったし、役員をしなくてはいけないなら退会したいです。
保護者がPTAに参加する意味やメリット
PTAへの参加は煩わしいことが多くて不安な人が多い反面、積極的に活動する人たちからは次のようなメリットも聞かれます。新入学のママは特にママ友関係などの煩わしさを不安に感じるかもしれませんが、人によっては多くのメリットを実感していることも知り、自分と子供にとって参加する意味があるかどうかを見極めたいですね。
1普段の子供や先生の様子が見られる
送迎がある幼稚園や保育園と違い、小学校や中学校には基本的に頻繁に訪れるチャンスがありません。そのため、保護者は子供が学校で見せる普段の様子をなかなか知ることができませんよね。学校に馴染めない子供の保護者にとっては、先生や子供からの話だけでは不安が募ってしまうことがあります。
授業参観や学芸会では子供達がかしこまっていますが、実は先生の中にもかしこまっている人が多くいます。ところが、PTAで訪れた時に覗いてみると、親の前では見せない子供達の姿を見られることがありますし、子供が語るのと同じ、普段の先生の姿やクラスの様子を目にすることもできます。
また、先生方と廊下ですれ違って挨拶をしたり、一緒にPTA活動をしたりすることで、必然的にコミュニケーションの機会が増えて、子供の学校での様子を担任や担任以外の先生から教えてもらえることもありますよ。
2いろいろな人と出会える
PTAは子供の年代が同じというだけで、世代や趣味、生活環境などがバラバラの集団であり、その人間関係を疎ましく思う人がいる反面、楽しい出会いができたと思う人もいます。
中学生や高校生の子供がいる保護者もいるため、思春期など将来的な情報、学校の先生情報、地域の中学や高校の内情、病院情報などが聞けることもあります。また、そうした子育ての先輩からアドバイスをもらい、視野が広がって子供に楽な気持ちで向き合えるようになったという保護者もいますよ。
普段は人見知りのママも、子供という共通の話題もあることから話してみると意外に壁を感じずに仲良くなれることもありますので、転勤族のママからは「PTA活動は面倒だけど、参加したおかげで地域に早く馴染めて助かった!」という声も多く聞かれます。
3地域の住民と交流できる
PTA活動には地域の住民も参加していますので、交流できることも大きなメリットとなりますよ。「PTAに参加しなければ行く気にならなかった地域の伝統行事に、PTAに加入したことで必然的に参加する流れとなって、その結果として子供の社会性や情緒を育むきっかけになった」と振り返るご家庭もあります。
また、専業主婦の場合、働く主婦と違い自分が所属する場所が家庭しかないことから不安や孤独を感じる人も多く、地域住民との交流の場ができることで、気持ちが明るくなったという人も…。
4みんなで子供を育てていると実感
核家族やワンオペ育児で父親や親戚などとの関わりがあまり持てない子供も、一人で子育てを頑張っているママも、PTA活動に積極的に参加することによって他の保護者や地域の住民とふれあいが生まれ、「親だけでなく学校や地域が一体となってこの子たちを育ててくれる。守ってくれる。」と、実感しやすくなるのも大きなメリットです。
様々な情報が飛び交い入会に不安を感じたり、春先になると役員を押し付けられるのではないかと憂鬱になったりするママもいるPTAですが、不安な子育てをしているママにとっては心強い存在ですね。