自己肯定感を高める子育ての方法とは?言葉がけや参考になる本
自己肯定感を高めると、子供は自信を持って主体的に生きていけますが、自己肯定感が低いと、前向きに人生と向き合うことができず、強い心が持てなくなってしまいます。子供が幸せな人生を歩むことは親の願いではありますが、どれだけ裕福な親でも買い与えることができないのが、自己肯定感、すなわち自分自信を愛する心です。
小さい子供の心は未熟で、パパやママが漠然と「愛している」といっても言葉に隠された心の内を読み取ることはできませんし、読み取る意味を間違えて自分に自信を失ってしまうこともよくあります。今回は、まずは自己肯定感の意味と高い子低い子の特徴を解説し、自己肯定感を高める重要性をご理解いただいてから、子供の自己肯定感を高める子育ての方法や言葉がけ、子供の自己肯定感を高めたいママが読んでおきたい教育本をご紹介していきます。
子供の自信を高める「自己肯定感」って一体なに?
自己肯定感とは、自己(自分)の価値や存在意義を肯定(認めて評価)する感情を意味する言葉です。「いい子だったら肯定できるかもしれないけど…」と思ったママ、自己肯定感とは、自分の良いところだけでなく、悪いところも認め、「これが自分だ」と自信を持って言い切れるポジティブな自己評価の感情なのです。自尊感情や自己存在感、自己効力感などとも表現されることがありますよ。
子供の自己肯定感の高さは、次のようなポイントをチェックすることで見えてきます。
子供の自己肯定感は高い?低い?
- 自分自身に自信を持っていますか?
- 自分の長所を認めていますか?
- 将来の希望を持っていますか?
- 人生に満足して、幸せを感じていますか?
- 困難なことへ取り組み、解決する意欲がありますか?
- 積極的に他人や社会にかかわっていく意欲がありますか?
上記は全て、自己肯定感の高い子供に見られる様子です。年齢によっては評価が難しく、幼児期の自己肯定感が高いからといって安心できるというものではありませんが、全く当てはまらない場合や、小学生になっても当てはまる項目が少ない場合は、親が積極的に自己肯定感を育んであげる必要があるでしょう。
自己肯定感は将来にわたって影響を及ぼすことから、小学校高学年の時期に重視すべき発達課題の一つとして位置づけられているのですが、最近内閣府の行った調査によると、アメリカやイギリス、ドイツなどの先進国の中で「日本の若者の自己肯定感がとても低い」という調査結果が出ていて、今後更なる改善が必要だと求められています。
「自己肯定感の高い子供」の特徴
自己肯定感の高い子供は、周りの人との関わり合いも上手なので、多くの人の愛情を集めて、助けを得られ生き易いというメリットがあります。また、自分の長所も短所もポジティブに受け止められることから、自分の力で人生を切り開いていく力があります。
自己肯定感の高い子供の特徴
・自分に自信がある
・何事にも挑戦していくことができる
・自分の意見をはっきりと言える
・自分自身を大切にできる
・心に余裕があり、他人に優しく接することができる
「自己肯定感の低い子供」の特徴
幼少期にポジティブな自己評価ができず、自己肯定感が低くなってしまった子供は、自分を責めるような癖を持つ傾向が強く、ネガティブな特徴が見られ生き難いことが多いです。
誰にでも失敗して落ち込むことや苦しむことはありますが、自己肯定感が低い子供は、なかなか困難に立ち向かっていく勇気を持つことができません。むしろ「どうせ私が悪いんだ」「ボクの努力が足りないからいけないんだ」と自分を否定することで、周りとの繋がりを断ち切ってしまい、キレやすい、自傷行為などの問題行動を引き起こすこともあるのです。
自己肯定感の低い子供の特徴
・自信がなく、劣等感が強い
・常に人の顔色を気にしている
・自分の意見をはっきりと言えない
・失敗することが当たり前だと感じている
・他人との関わり合いが苦手である
自己肯定感を高める子育ての方法8つ
小さい子供は恐れを知らず、なんにでも興味を持ってチャレンジをしようとしますが、これは私たちが生まれつき自己肯定感を持って生まれることの表れです。なのに、なぜ成長するにつれて自分を否定してしまうのか?それは子供が初めて接する自分以外の人間、パパやママなどの家族の態度や言動が大きな影響を与えています。
もちろん、好んで我が子の自己肯定感を奪おうとする親はいません。ですから、自己肯定感を高めるというよりは、子供のために良かれと思ってやったことや言ったことで、子供自身が生まれ持った自己肯定感を失わせないことを念頭に、自分の育児スタイルを見直していくことが大切なのです。
1子供の話をきちんと聞きましょう
自己肯定感は、自分を認められることで養われます。なぜなら、会話は子供にとって自分の心を伝える最大の表現方法で、話を聞いてもらえただけで「自分は愛されている」ということを実感することができるからです。子供を自己肯定感の強い子供に育てたいのであれば、まず子供に寄り添って、話をよく聞くことを心掛けましょう。
子供が相談を持ち掛けると、ついつい人生の先輩としてアドバイスをしようとしてしまいますが、自分が悩むことはトラブルの解決方法を学ぶ子供にとってのチャンスです。親の役割は、答えを教えてあげることではなく、子供のつらい気持ちを理解してあげることです。子供の話を聞く時は、先手をとって親の意見をきかせるのではなく、あくまでも聞き役に徹することがポイントです。
2子供は褒めて育てましょう
褒めることは、相手を理解したことの最大の表現方法です。「褒められた子供は伸びる」という先人の言葉に間違いはありません。子供はどんどん褒めて育てましょう。言葉を難しく考える必要はありません。「〇〇できて偉いね」ではなくて、ちょっと大げさでもストレートに「スゴイね!」と気持ちをわかりやすく伝えてあげましょう。
ただし、自己肯定感を高めようとするあまり子供を過大評価して褒めると、かえって子供を傷づけてしまうことがあります。なぜなら、自己肯定感はあくまで自己評価のため、友達や学校など他者からの評価とのギャップが生じ、本人がストレスを感じるからです。
子供が成し遂げた結果より、その過程で努力した姿を褒めることが最も大切!例えば、難しい試験にチャレンジしている時に、まだ結果が出ていなくても「ちゃんと机に向かっていてスゴイね」と褒めてあげましょう。子供は自分の頑張りを認めてもらったことを喜び、チャレンジ精神を育て、もっと頑張って良い結果を導き出していくことができます。
逆に、あまり努力していない場合や、本人の功績ではないけれど結果を得た場合は、褒めることでかえって嫌な思いをさせることがあります。大人は、大人の基準で結果がでたらなんでも褒めてしまいがちですが、子供は子供の基準で頑張ったポイントがあります。そこを見落とさずに評価することで、子供は高い満足感を得られます。
自己肯定感を高める効果的な褒め方
子供を褒める時には、自分が人の役に立ったり人を喜ばせたりすることができたという「自己有用感」を得られる褒め方が効果的です。「お手伝いしてありがとう」「あなたは優しいから、妹といつも遊んでくれるね。お母さんを助けてくれてとっても助かるわ」など、自分の頑張りや長所が役に立つと感じられる褒め方を心がけましょう。
3失敗ではなく成功に目を向けましょう
大人になるとどうしても失敗したことばかりが気になってしまいますが、子供を鍛えるつもりで失敗ばかりを見つけているのでは、子供はいつも緊張していなくてはいけません。失敗よりも子供の成功にこそ目を向けて、子供の頑張りを評価してあげましょう。
自分の良い所ではなくて、悪い所ばかりを指摘されることは、大人でもつらいことです。失敗をして一番傷ついているのは子供であることを理解し、失敗で負った心の傷を癒し、リカバリーの方法を教えたり考えさせたりし、リカバリーしたことをより多く評価してあげることで、子供は失敗を恐れず失敗をしても次のことをトライするガッツを養っていくことができるのです。
4性格ではなく行動の悪い所を指摘しましょう
言うことを聞かない子どもや失敗した子供に、ついつい感情的になって言葉を発していませんか?感情的になることは決して悪い事ではありませんが、感情がコントロールできないと相手を傷つける言葉を使ってしまいやすいので、注意が必要です。子供を叱るときには「○○をしたことはいけないこと」とわかりやすく、行動の悪い所を指摘してあげましょう。
子供を叱る時に、「だからあなたはダメなの!」「言い訳をしないで!」と怒ることは簡単なことですが、その一言が、「自分を全否定された」という印象を抱かせてしまいます。一度「全否定された」と思ってしまうと、その前後にフォローの言葉として「あなたはいい子だけど」などと言っても、もう子供の耳には入らなくなってしまい、自己肯定感はバッサリ!
また、終わったことをネチネチと文句を言い続けると、一時的にはスッとするかもしれませんが、ママの心も暗く沈んでしまいやすいので、叱る気持ちは持ちこさず、その場だけで完結させるように心がけることをオススメします。
5誰かと比べることはやめましょう
子育て中は我が子のポジションが気になって、周りの子供や兄弟たちと比べてしまいがちです。人と比べられることは強い劣等感を子供の心に植え付けてしまいます。子供のありのままを受け入れる努力をして、褒めるときも叱る時も、子供を他の誰かと比較することはやめましょう。
大人は何事にも平均以上を求めてしまいがちですが、人間の価値に平均点はありません。みんながそれぞれ違っていて、それぞれが価値を持っているという大切なことを、一番身近なパパやママが子供に教えてあげていけたらステキですね。
6積極的にスキンシップをとりましょう
言葉以上に子供に気持ちを伝える手段は、スキンシップです。暖かな体温を感じることは、子供の心に安心感を与え、ダイレクトに「あなたが大好きよ」と心に伝える効果があります。子供の話を聞く時や叱る時は、距離を置くのではなく、側に寄り添って肩を触れ合う、手を握るなどして、積極的に親子のスキンシップもとっていきましょう。
「目は口ほどに物を言う」といわれますが、アイコンタクトも重要です。子供の話を聞く時には何かをしながら聞くのではなく、子供の目をしっかりとみて、表情をお互いに読み取りながら信頼感を高めていきましょう。繰り返すことで子供も他人の表情を読み取る能力が身につき、将来的に他人とのコミュニケーションも取りやすくなります。
7「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えましょう
家族の気安さから一言うべきことを忘れてしまいがちですが、「ありがとう」という言葉は人から感謝され、必要とされていることを実感できる言葉です。子供がお手伝いをしてくれたとき、気遣ってくれた時など、子供が良いことをしたら素直に感謝の気持ちを言葉で伝えることを習慣にしましょう。
「親は子供の鏡」といいます。パパやママの感謝の気持ちをたくさん受け取った子供は、周りの人に必要とされることを喜び、自分からも感謝の気持ちを伝えることのできる、優しい子供に成長させることができますよ。
8親自身も自己肯定感を高めましょう
子供に自信をもって自分の大切さを教えるためには、パパやママ自身が自分に愛情を持ち、自己肯定感を持っていることが大切です。子供を育てることは苦労の連続で、時にへこむことはありますが、大人も「自分はダメな親だ」とは思わずに、自分自身の個性を信じる態度を子供に示しましょう。
自分自身に余裕ができると、自然と子供に対する態度や言動も良い方向に向かいます。子供の態度を直す時にはまず自分の態度から見直して、親子で個性を大事にできるようになれるといいですね。
幼児や小学生への自己肯定感を高める言葉がけ
親の態度一つで子供の自己肯定感が左右されるということを頭では理解できていても、子供にかける言葉、特に子供を注意する時、指導するときに使う言葉は難しいですね。子育てには禁止語や命令語を使わないことが理想です。NGワードをできるだけ良い言葉に切り替えて、子供の自己肯定感を高めていきましょう。
「もう!」⇒「大丈夫だった?」
子供が失敗した時にかけてしまいな、「もう!」という言葉がけを、「大丈夫だった?」に切り替えるだけで、子供は「自分の失敗を責められる」という心理から、「ママは心配してくれる」という温かい心理に変わりますね。このような言葉がけを聞くと、周囲の人も暖かい気持ちになります。
他にも、子供の失敗には「どうすればよかったと思う?」など、責めたりガッカリしたりする言葉ではなく、子供の気持ちに共感したり、リカバリーの方法を考えさせる言葉を使うように心掛けましょう。
「早く!」⇒「あと何分?」
子供がグズグズしている時は、「早く!早く!」と急かすのではなく、「あと何分?」と、子供の答えを促す言葉に置き換えると、子供は自ら進んで自分の言ったことを現実にするように取り組むでしょう。また、自分の意思を尊重する言葉がけですので、自己肯定感も高められますね。
他にも、「時計の針が10までに終わると、お散歩に行けるよ」などと、急ぐことのメリットを具体的に教えてあげることで、子供は親の言うことをスムーズに聞きやすくなり、自己肯定感を損なうこともありません。
「待ってて」⇒「5分時間をくれる?」
子供を待たせる時は、「待ってて」と先の見通しの立たないことを命令するのではなく、「5分時間をくれる?」と、具体的な見通しが立ち、子供が安心できるように時間を示し、子供の了解を得る言葉に置き換えるとよいでしょう。
「ダメ」⇒「ケガしたら遊びに行けなくなるけどいい?」
子供が危険なことをしようとした時は、頭ごなしに「危ないからダメ」と止めたくなりますよね。でも、子供にはそれが本当に危険な行為で、それをするとどうなるか先の見通しが立っていないことが多いのです。ですから、「○○は危ないから、ケガしたら遊びに行けなくなるけどいい?」などと、先の見通しを教えたり、「ケガをしないか心配」とママの気持ちを伝えたりして、自らやめることを選ばせましょう。
「何回言えばわかるの」⇒「どうすればいいんだっけ?」
子供が失敗を繰り返した時は「何回言えばわかるの」「何度も言わせないで」と言ってしまうママが多いのではないでしょうか?けれど、これでは本人に「自分は何回言われてもできないダメな子」という印象を与えてしまい、そのイメージそのままに生きようとしてしまう可能性があります。ですから、「どうすればいいんだっけ?」と、子供に思いださせたり、考えさせたりする言葉に置き換え、答えられたら「そうだね」と認めてあげることで、子供は自己肯定感を高めることができます。
共感や問いかけの言葉が大切!
子供が自己肯定感を高めるためには、言われたことの意味を考えずロボットのように守るのではなく、自分で考えて解決する力を養っていくことが大切!そのためにも、共感や問いかけの言葉がけなど、責めるのではなく自らの意思で行動できるように、具体的に、予測やメリット、具体案、対処法を伝え、共感し、興味を引く言い方などの工夫が必要です。
A言葉一つでここまで変わるなんて!
男の子2人のママです。長男が幼稚園の年少クラスに通っていた時のことですが、ちょうどその半年前に次男が誕生して、あんまり長男をかまってあげていませんでした。割と聞き分けの良い子だったので「お兄ちゃんだからね」といって我慢をさせてしまいがちだったので、秋の遠足の日には次男を実家に預けて、久しぶりに長男の遠足に付き添うことにしました。
ところが、長男が全く歩こうとしないで、ゴネてずっと私の抱っこをせがんでいて…。他の子は歩いているのにどうして~と言いながら抱っこをしながら山道を歩いていたのですが、幼稚園の先生から「歩きなさい」ではなくて、「一緒に歩こうか」って言ってみて下さい」といわれ、言うとおりにしたら、長男がしぶしぶでも自分で歩き始めたんです。
その後周りの先生たちに「偉いね」「頑張っているね」と声をかけてもらって、最終的には息子も遠足を楽しむことができました。私も育児で忙しくて余裕がなかったと反省してしまいましたが、言葉のかけ方一つでここまで子供をやる気にできるものかと、驚きました。
子供の自己肯定感を高めるための教育本
親の対応や言葉がけに大きく影響される子供の自己肯定感ですが、いくつかの教育本が発行されています。育児の参考にしてみてはいかがでしょうか。
1「Dr.明橋の生きるのが楽になるたったひとつの言葉」
読みやすく優しさに溢れたDr.明橋の人気シリーズ本
著者:明橋 大二
出版社:主婦と生活社
価格:1,200円 + 税
「子育てハッピーアドバイス」シリーズの著者がつづった、大人の女性が自己肯定感を持って幸せに生きるためのガイドブックです。
育児をしているとクヨクヨと悩んでしまったり、訳の分からない不安に襲われてしまいがちですが、そんなママの心を楽にしてくれるアドバイスがギュッと詰まっているので、心が軽くなります。
2「伸びる子の育て方」
困難に負けない子に育てたいママにおすすめの一冊
著者:漆 紫穂子
出版社:ダイヤモンド社
価格:1,300円 + 税
教育のプロである品川女子学院校長が長年の教育経験から導き出した、伸びる子供の育て方を綴った教育本です。
受験や就職難など、子供の人生にはいくつかの壁がありますが、その壁を乗り越えるための「自己肯定感」を養うポイントを、ママにもわかりやすく解説しています。
自己肯定感にあふれる豊かな人生を子供プレゼントしましょう
誰でも一つや二つ自分の性格で気に入らない所、認めたくないところがあるものですが、自分の全てを嫌ってしまえば、他の人を愛することも出来なくなってしまいます。子供が最初に接する人間であるママやパパがわかりやすい言葉と態度で愛情を示して、子供に自信をつけさせてあげましょう。
小さい頃は自信満々で恐れ知らずの子供は、成長に従って困難に突き当り、思春期以降は自己肯定感が低下してしまう傾向があります。そういった難しい時期になんでも悩みが相談できるよう、幼少期から親子のコミュニケーションをとって、その都度自己肯定感を支えてあげられるといいですね。