シュタイナー教育の6つの特徴に関する記事

『シュタイナー教育の6つの特徴!一般の学校とココが違う』

シュタイナー教育のメリットとデメリットとは?お子さんの大切な成長過程にどんな環境を与えてるのが良いのでしょう?

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シュタイナー教育の6つの特徴 一般的な教育とここが違う!

「シュタイナー教育って何?」と思っているママ、幼稚園や小学校選びで初めて知る人も多いシュタイナー教育。なんだか自由で子供をのびのび育てられそうな気がする反面、シュタイナーという名称から、よくわからない宗教やカルトのような雰囲気も漂っていて不安感を抱きますよね。

こちらでは、気になるシュタイナー教育とはどのようなものか、シュタイナー教育の学校に通っていた有名人、シュタイナー教育の学校と一般の学校との違い、シュタイナー教育の問題点や批判、シュタイナー教育のメリットデメリット、日本でシュタイナー教育を受けられる園や学校、大学進学についての体験談などをご紹介します。

シュタイナー教育とは?

19世紀に旧オーストリア帝国に生まれた思想家ルドルフ・シュタイナーが提唱した、「人智学」という思想から生まれ、教育の分野に応用したのが「シュタイナー教育」です。「人智学」とは、第一次世界大戦後の混乱した状況を克服するための思想で、物質主義を否定し、人間の意識の進化を求め、人間存在の霊的なものを追求していくものです。ある種の情操教育ですね。

ですから、シュタイナー教育では、単なる知識の詰め込みをするのではなく、「世界」「人間」「自分の存在」など生きるために必要なことを子供達に考えさせ、「知性・意思・感情」を調和して自由に生き、社会に貢献できる人間を育てているのです。

学校で行われるシュタイナー教育

シュタイナー教育を行う学校では、ルドルフ・シュタイナーの教育理念を元に、様々な工夫を施して、授業を行っています。

ルドルフ・シュタイナーの教育理念

「子供にあれこれと注ぎ込まず、その精神の前で慎みと尊敬の念を持って向き合えば、子供の精神は自力で成長していきます。私たちがすべきことは、子供達の成長の妨げとなるものを取り除いて、子供達の精神が自ら成長できるきっかけを作ることです。」

その一つが、芸術活動を非常に重視している点です。たとえば、数学の公式を歌で覚えたり、教師が黒板に書く内容を、絵の具を使って芸術的にノートにうつしていったりします。私達も、子供にアルファベットを教える時にABCの歌を歌ったり、受験勉強の時にノートをツリー構造にして書いたりして覚えましたよね。

「芸術活動を伴った学習のほうが、感情が高まり記憶も鮮明に残る」とされているため、シュタイナー教育では、学習のほとんどは、さまざまな芸術活動と結びつけて、子供の印象に残る教育を行っているのです。

教育者たちは、こうしたシュタイナー教育を通して、自らの進む道を自分自身で考え、決断していける人間育成を目指しています。規制の枠で他人と比較したり判断したりするのではなく、普遍的な人間性を育てていく教育だからこそ、自分の道を自分の力で切り開くことができる子どもを育てられると考えているのです。

シュタイナー教育を受けた有名人

国内外の有名人にも、シュタイナー教育を受けたと言われている方がいます。代表的な方をご紹介しますね。

  • 斎藤工(日本、俳優)
  • 黒柳徹子(日本、タレント、平和運動家)
  • ミヒャエル・エンデ(ドイツ、児童文学家)
  • セルゲイ・ブリン(アメリカ、Google創業者)
  • ラリー・ペイジ(アメリカ、Google創業者)

バラエティーに富んだ方々ですが、みなさん芸術的センスが高く、自分で自分の人生を切り開く力が強い方々だなあというのは感じます。シュタイナー教育の影響が大きいのかもしれませんね。

シュタイナー教育の6つの特徴!一般的な学校教育との違い

ここからはシュタイナー教育の内容について、学校では具体的にどのような授業が行われているのかを、もう少し具体的にご紹介します。一般的な学校教育との違いが多く、思わず仰天しまうものもありますが、すべてはシュタイナーの思想に基づいて実践されています。

教科書がない

シュタイナー教育では、教科書を使いません。教師は教科書の内容も研究しながら、目の前の子どもに合った方法を創意工夫して教えます。子どもたちは「エポックノート」と呼ばれる無地のノートに、クレヨンや水彩絵の具、落ち葉、折り紙などを使って芸術的に毎日の学習を記録していくのですが、やがてそのエポックノートが子ども達にとっての教科書になるのです。

教科書がない理由は、シュタイナー教育が知識を与えるための教育ではなく、自ら考え自ら学ぶ人間を育むことを大切にしているから。芸術的に自ら作ったエポックノートですので、その内容は頭に記憶されやすいですよね。

芸術的な手法を用いる

ほとんどの学習において、芸術的な手法が用いられます。算数や国語など、美術以外の内容にも芸術的な手法が取り入れられることが特徴です。たとえば、歌で定理を覚えたり、公園で葉っぱを使って公式を覚えたりします。先ほどご紹介した「エポックノート」も、ただ先生の書いた内容をそのまま丸写しするのではなく、自分なりに考えて色をつけたり、絵をかいたりします。

芸術的な手法が重要視されているのは、心や体、精神を育むために芸術は欠かせないものであると考えられているからです。芸術活動をしているとき、人は感情が高まり、記憶も鮮明になっているとされます。また、公式を葉っぱで理解するというふうに、学習を宇宙の具体的な事象と結び付けることで、意味のある学習にできると考えられているのです。

エポック教育

シュタイナー教育では、毎日の授業の前に「エポック」という時間が設けられているのも、一般の学校教育と大きく違う点でしょう。そこでは、国語や算数、理科、社会といった教科のうち、一つの教科を一日およそ100分、数週間連続して学び続けます

一般的な学校教育では、時間割になっていて、複数の教科をまんべんなく扱いながら少しずつ学びますが、シュタイナー教育では、一定期間一つのことを集中して学んだ方が、深く理解ができると考えられています。

点数での評価をしない

シュタイナー教育ではテストが行われないのが普通です。また、エポックノートや制作物、提出物などを見て、その期間の子ども一人ひとりの成長が記録されて保護者に渡されますが、成長の記録は一人一人を評価するための物ではありません。

一般的な学校教育では、中間や期末といった定期テストがあり、学習計画で定められた一律の目標に対して、各子どもがどの程度到達できているかを測りますよね。それは「○年生は2桁の割り算ができるべき」といった、一定の基準があるからです。

一方、シュタイナー教育では、到達度を一律に決めることはしません。知識だけではなく、全人としての成長を追求しているため、子ども一人ひとりの成長に寄り添うのです。そのため、一定の基準で評価したり、他社と競わせたりすることは無意味だとされています

オイリュトミーがある

シュタイナー教育には、「オイリュトミー」と呼ばれる科目があります。オイリュトミーとは、身体を音楽や詩に合せて動かし、感情やストーリーなどを目に見えるものに表現することです。たとえば、みんなで輪になって順番にボールを投げあうということをしたり、流れてきた音楽にあわせてダンスを踊ったりします。いわゆるパフォーマンスアートですね。

ボールやダンスと聞くと、いったい何のためになっているか疑問に思うかもしれませんが、オイリュトミーでは「何ができるようになったか」が大事なのではなく、その時間を通して、「思考」「感情」「意志」をバランスよく育てることが大切なのです。

順番にボールを投げあう活動の場合は、次に誰に投げようか「思考」し、相手がキャッチしやすいように投げたいという「感情」を持ち、投げる「意志」でボールを投げますよね。このように、心の動きを自分で認識することが成長に繋がると考えられているのです。

1年からずっと担任が変わらない

一般的な学校教育では、数年に1回とか、1年に1回とかで度々担任が変わりますよね。ところが、シュタイナー教育では子ども一人一人の成長を長期的にみることが大事と考えられているため、小中学校の間、ずっと担任が変わらないという場合が多いです。

シュタイナー教育の問題点と批判

「シュタイナー教育は型にはまらず、子供の個性を豊かに育めて素敵だな~」と関心を持った方も多いのではないでしょうか?その一方で、シュタイナー教育に対して批判的な意見があることも事実です。こちらでは、シュタイナー教育の問題点やよく言われている批判についてご紹介します。

宗教やカルトだと誤解されやすい

シュタイナー自身は思想家で、シュタイナー教育は「人智学」という思想に基づいた教育理念です。けれど、人智学やシュタイナーを知らない日本は多く、学校案内などにも「エポック」や「オイリュトミー」など、聞いたことのない言葉が並んでいることもあいまって、「宗教団体?」「カルト集団?」と誤解や批判を受けることもあります。

学校が少ない

シュタイナー教育では、7年ごとに人間の成長の段階があるとされています。適したシュタイナー教育を行うためには、小・中・高という境目を取っ払い、一貫校にすることが理想なのですが、現在、日本にシュタイナー教育の小中高一貫校は、神奈川県と東京都、京都府の3校しかありません。

シュタイナー教育の幼稚園、あるいは小中一貫校を卒業したり、親の仕事で転校したりする場合、全ての教育を受けられないのは残念ですね。

内容が独特で、世間とのズレが大きい

学習する内容や方法も独特ですし、学校の雰囲気も少人数の場合が多く、いわゆる一般的な学校とはかなり異なりますので、なんらかの事情で一般校に転校しなくてはならなくなった場合、一般校に適応するのがとても難しいと言われています。

教科書やテストがないのが当たり前だったところから、教科書もテストも当たり前のところに変わるわけですから、そりゃ戸惑いますよね。

学力面での不安

点数での評価がなく、何ができるようになったかを重視しないシュタイナー教育は、自由で豊かに感じる反面、子どもの学習面での状況(どこでつまづいているかなど)を捉えにくい面もあります。やっぱり点数とか、通知簿とかってわかりやすいのですよね。

シュタイナーの学校で教師をする人は、教員免許が必須で、他にもシュタイナー教育に関する免許を持っている人もいますが、保護者や生徒のなかには、教師の資質に不安を感じる声も…。

マンチカン
45歳

シュタイナー教育からの転校

シュタイナー教育を提唱する幼稚園に娘を通わせていた母親です。まだ娘が小さいうちは、自然とのふれあいが多く、知識よりも体験を重視する校風がよいと思っていました。娘も生き生きと楽しんでいる様子でした。ある日、児童館で他の幼稚園に通う子どもたちと遊んでいた時のことです。その子どもたちが平仮名を書いて遊んでいました。娘の幼稚園では文字を早くから導入しない方針だったので、まだ平仮名は理解できません。娘がわからない様子を見た他の子どもが、娘のことをからかったようで、娘が泣いてしまいました。

それをきっかけに、娘が平仮名をやりたいと言うようになりました。平仮名を学べるおもちゃを渡してあげると、とても喜んで一生懸命それを使って覚えようとしていました。そんな様子を見て、うちの子には普通の学校に通わせてあげたほうがよいような気がしました。今は普通の公立小学校に通わせています。シュタイナー教育はよいところもあったのですが、他の子どもと触れ合った時に、「自分のほうが知らないことが多い…」ってなるのはかわいそうだと感じて辞めました。

お子さんにシュタイナー教育を受けさせようと考えている場合は、こうした点も念頭において、入学を検討中の学校を十分に調べられることをおすすめします。一般的な学校ではない以上、色々な憶測や誤解が生じやすいことも事実です。お子さんの人間性や人間関係を形成する大切な時期にあたるので、お子さんやご家庭に合っているかをしっかり考えましょうね。

日本でシュタイナー教育を行う幼稚園や小学校

ここで、日本にあるシュタイナー教育を取り入れている学校をいくつかご紹介したいと思います。シュタイナー教育の取り入れ方はそれぞれ違いますし、取り入れている程度にもかなり差があるのが現状なのでご留意くださいね。

シュタイナー教育を受けられるこども園

広尾シュタイナーこども園(画像引用元)

TEL: 03-3400-0230

住所: 東京都港区西麻布4-8-12

青葉シュタイナーこども園(画像引用元)

TEL: 045-971-2339

時間: 15:00~16:00

住所: 神奈川県横浜市青葉区黒須田26-26

ちっちゃなこども園にじいろ(画像引用元)

TEL: 078-784-5333

住所: 兵庫県神戸市垂水区舞多聞東2-6-9-1F

シュタイナー教育を受けられる小中高一貫校

東京賢治シュタイナー学校(画像引用元)

TEL: 042-523-7113

住所: 東京都立川市柴崎町6-20-37

学校法人 シュタイナー学園(画像引用元)

TEL: 042-686-6011(初等部・中等部)
042-687-5510(高等部)

住所: 神奈川県相模原市緑区名倉2805-1(初等部・中等部)
神奈川県相模原市緑区吉野407(高等部)

NPO法人 京田辺シュタイナー学校(画像引用元)

TEL: 0774-64-3158

時間: 月~金 9:00~16:00

住所: 京都府京田辺市興戸南鉾立94

シュタイナー教育のメリットとデメリット

子供の入園入学先を、シュタイナー教育の園や学校にするか迷っている方に、一般的に言われているメリットとデメリットをご紹介します。メリットデメリットと言っても個人差があり、その家庭や子供自身によってシュタイナー教育との相性がありますので、一概に「良い」「悪い」とは言えません。園や学校は、子供の生活の多くの時間を占め、人格形成に大きな影響力を持っていますので、お子さんにあった教育環境を整えてあげましょうね。

メリット

  • 他と比較したり、評価をしたりしないから自分らしく穏やかに育つ
  • 感受性や想像力、自分で考える力が豊かになる
  • 絵や音楽など、芸術的なセンスが育つ
  • 自然に触れながら子供らしく成長できる
  • TVやゲームなどのメディアの害から守れる
  • 大人他と比較したり、評価をしたりしないから自分らしく穏やかに育つ

デメリット

  • ほとんどがフリースクールで無認可であるため、通わせる勇気が必要
  • 特異な学校に通っているとか、宗教っぽいという目で周囲から見られる可能性がある
  • 普通の学校に通う周囲の子どもと価値観や習得状況にギャップが生じる
  • 文字や数字の習得が遅くなりがちである
  • 途中でふつうの学校に転校したりすると、価値観の違いにとまどう
  • 英語など体系的に学ぶものに関して、子供の習熟度を把握しにくい
  • 担任が変わらないため、大人との幅広い人間関係を持ちにくい
  • 運動が好きな子は、高学年までサッカーなどを行えない

シュタイナー教育のその後と大学受験は?体験談

幼少期にシュタイナー教育を受けた場合、その後どんな大人になることが多いのか、気になりますよね。またシュタイナー教育を中学や高校まで受けた場合、その後に一般の大学を受験するとなると、少し苦労しそうな気がしますが、学力トップクラスのフィンランドも、小学校のうちはテストもありませんし、宿題もありませんので、学力の面で考えても、シュタイナー教育がマイナスとばかりは言えませんね。

亀さん
40歳

進路によってシュタイナーは大変

自分はシュタイナー教育をとりいれたスクールに通っていました。親がけっこう変わった人たちで、子どもにも変わったことをさせたいという思いから通わせたようです。その学校自体は、普通の学校を知らないこともあり、とくに何も思わずに楽しく通っていたのですが、大学にいくことを考え出した頃から、厳しい現実に直面しました。

当時通っていた学校は学校法人ではなかったので、高卒認定試験を別途受ける必要がありました。また、センター試験などの勉強を始めると、その内容は自分が学校でやってきたこととはだいぶ違っていて、かなり苦労しました。その時は特殊な学校に入れた親を恨んだりもしました。良い面もあったと思いますけど、進路の可能性が狭まってはいけないと思い、自分の子どもたちには普通の学校に通わせています。

ヒロ
24歳

大学受験に特に問題を感じませんでした

私は、シュタイナー教育の学校を卒業し、大学にも現役合格しましたが、進学後も特に問題なく学校に通い、大学院を卒業してきちんと就職もできましたよ。大学でも、成績は自分で言うのもなんですが良かったです。シュタイナー教育のおかげか、主体的に勉強に取り組めたのが良かったのだと思います。別に学校でどうこう言われるとかでなく、興味のあることを自宅でもとことん学んでいましたし、学ぶ楽しさを教えてもらえて感謝しています。

この記事を書いたライター

小森ひなた

子育てと仕事に頑張る共働き主婦です!ルンバ貯金始めました♪

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