スーツのテカリを直す方法!テカリを防ぐお手入れとは?
毎日着ているパパのスーツや、お子さんの制服のお尻やひじの部分がテカっていませんか。自分では意外と気づきにくいスーツのテカリですが、放置したまま着ているとだらしなく見えてしまいます。とはいえ、何万円もするスーツをテカリを理由に買い替えるのは、家計にとって大きな負担です。今回は、そんなスーツのテカリを自宅で直す方法と、テカリを防ぐためのお手入れ方法をご紹介します。
スーツのテカリはなぜできる?
スーツのテカリ(専門的にはアタリとも呼ばれます)の主な原因は、生地の表面の構造変化にあります。新品のスーツ生地の表面は細かな繊維が立っていてデコボコしており、光が多方向に拡散して反射します。しかし、摩擦や圧力によって生地の表面が平らになると、光が直線的に反射されるようになり、テカって見えるのです。
摩擦による毛羽立ちの消失(擦り切れ)
普段の生活の中でスーツと物が擦れると、摩擦によって生地表面の繊維が擦り切れ、毛羽立ちが失われます。主に、デスクワークをする人はお尻や膝、パソコンを打つ際に前腕部分が机に擦れやすくなります。また、カバンを肩からかけている人は、肩の部分だけでなく、カバンがあたる脇腹の部分にも摩擦が生まれ、テカリの原因となります。
熱と圧力による繊維の圧着(つぶれ)
繊維が潰れてしまう一番の原因は、アイロンのかけ方にあります。アイロンをかける時に当て布をしなかったり、温度が高すぎたり、湿らせ方が足りなかったりすると、繊維に大きなダメージを与えてしまいます。また、アイロンを強く押し当てすぎるのも繊維を潰し、テカリの原因となりますので、注意が必要です。
スーツのテカリを直す方法
スーツがテカってしまっても、すぐに諦めて捨てないでください!実は、自宅でもできる、スーツのテカリを直す方法があります。生地のダメージ具合にもよりますが、いくつか有効な方法がありますので、スーツを処分する前にぜひ試してみてください。
スチームアイロンで直す
スチームアイロンは、潰れてしまった繊維を復元させるのに最も効果的な方法です。特にウール素材は湿気を含むと繊維が膨らむ特性があります。この特性を利用して、ペシャンコに潰れた繊維をよみがえらせます。まずスーツに当て布をして、布がしっとりするくらいを目安にたっぷりスチームをかけます。
このときアイロンは生地に押しつけず、数センチ浮かせた状態で行うのがポイントです。たっぷりとスチームをかけた後は、ハンガーに吊るして陰干しをして乾かします。この方法は、ウール以外の素材にも有効的なので、ぜひ試してみてください。
歯ブラシでブラッシングして直す
歯ブラシや洋服ブラシでブラッシングするのは、軽度のテカリにとても効果的です。テカっている生地は繊維が寝ている状態なので、これを起こすイメージで、繊維と逆方向に向かって優しくブラッシングします。あまり強くこすると生地を傷めてしまうので、優しく行うようにしましょう。
酢水で直す
水とお酢を2:1で割った酢水を作ります。それをテカリの気になる部分に塗っていきます。ガーゼなどに含ませて塗るか、スプレーボトルなどを利用して軽く湿らせてください。そして、少し湿り気を残した状態で陰干しをして乾かしましょう。生地によっては酢水で色落ちする可能性もありますので、一度目立たない場所でチェックしてから行うのがおすすめです。
メラミンスポンジで直す(ポリエステル素材限定)
メラミンスポンジでテカリの気になる部分を軽くこすります。この方法は、繊維の表面をごくわずかに削り、凹凸を出すことでテカリを目立たなくさせるのが狙いです。やりすぎると修復不可能なレベルまで生地にダメージを与えてしまうため、十分に気を付けましょう。また、ポリエステル素材以外の生地で行うと、生地を傷めてしまう可能性が高いです。試す前に必ず生地の素材を確認してください。
ベンジンで直す(油性汚れが原因の場合)
ベンジンは、テカリの原因が皮脂などの油性の汚れである場合に効果的です。ベンジンをガーゼなどに含ませ、テカリが気になる部分に塗っていきます。そのあと、当て布をして低温のアイロンをかけて油分を飛ばす方法もあります。ポイントは、強くアイロンを押し当てすぎないこと、事前に目立たない部分でテストしてから行うことです。また、ベンジンは可燃性なので、取り扱いには十分注意しましょう。
【注意が必要】アンモニア水で直す
水に対してアンモニアを8%の割合で薄めたアンモニア水を作ります。スーツに当て布をしたら、テカリの部分にスプレーなどでアンモニア水をかけます。そして、ややたっぷり目にかけたら、低温に設定したアイロンをかけていきます。アイロンを強く押し当てるとテカリの原因になりますので、優しくかけるのがポイントです。まだ軽く湿っている状態でアイロンは止めて、陰干しをするようにしましょう。
アンモニアは揮発性が高く臭いは残りにくいですが、ウールやシルクなどの動物性繊維はアルカリ性に弱いため、生地を傷めるリスクがあることを理解した上で行ってください。色落ちする可能性もありますので、目立たない部分で一度試してみるのがよいでしょう。
スーツのテカリを防ぐ方法
スーツのテカリの直し方をご紹介しましたが、毎日着るスーツはすぐにダメージを受けてしまいます。なるべく長く大切にスーツを着るためには、テカリが出る前に正しいケアをしていく事が大切です。ここでは、簡単にできる正しいケアの方法をご紹介します。日々の心がけでスーツのテカリを防ぎましょう。
脱いだらすぐにブラッシングする
軽いテカリの場合は、ブラッシングするだけで直ることもあります。これは、倒れている繊維をブラッシングで起こすことで繊維が整いテカリが解消されるからです。毎日ブラッシングする事で、軽度のテカリで食い止める事ができます。また、ダメージの原因となる汗などの湿気や土埃などを払い、一日の汚れを落としましょう。ブラッシングする際は、上から下へ向かってかけることがポイントです。
ブラシは天然毛がおすすめ
ブラシは、合成繊維よりも天然毛がおすすめです。天然毛は静電気が起きにくいので生地に優しく、毛質のコシによって繊維の奥の埃までかき出してくれます。なかでも、豚毛ブラシはコシがあり丈夫なスーツに適しています。馬毛は豚毛よりも柔らかく、きめ細かいのでデリケートな素材にも使えますが、価格は高くなる傾向があります。
当て布をしてアイロンをかける
スーツに直接アイロンをかけて、テカテカになってしまったという経験はありませんか。熱と圧力は繊維を潰す大きな原因となるため、アイロンを当てる際は必ず当て布をしましょう。当て布は、綿素材がおすすめです。
クリーニングに出し過ぎない
意外かもしれませんが、クリーニングは生地を傷つける原因になることがあります。しかし、汚れをそのまま放置しておくのも生地の変色やダメージにつながります。ドライクリーニングはシーズンに1回程度を目安に出すようにしましょう。
ただし、汗や食べ物の汚れは水を使ったクリーニングでないと完全に落ちないので、自分で洗濯するのが難しい場合は、迷わずクリーニング店に頼みましょう。汗抜き加工などのウェットクリーニングを併用することも有効です。
複数枚を着まわす
同じスーツを毎日着ていると、日頃からケアしていても痛みが早くなってしまいます。スーツは2着以上用意して、2~3日ごとに着まわしましょう。繊維の修復期間を設けることで、摩擦や圧力が原因のテカリを防止することができます。
スーツがきれいに着られる毎日の心がけ
テカリを防ぐケアの方法と併せて意識してもらいたいのが毎日の心がけです。仕事から疲れて帰ってきて、スーツのケアをするのは大変ですが、ほんの少しの心がけでスーツの寿命がぐんと長くなります。長く連れ添ったスーツには自然と愛着がわき、お手入れも苦にならなくなりますので、ぜひ試してみてください。
最低でも1日休ませる
スーツは私たちが思っている以上に一日でダメージを受けます。一日着ているだけでもたくさんの汗を吸収し、繊維だってつぶれてしまいます。一日着たら繊維が修復されるのを待ってから着るようにしましょう。理想は2~3日おいて着るのが良いでしょう。
厚手のハンガーに吊るす
スーツをハンガーにかけるのは毎日のケアの基本中の基本ですが、そもそもハンガーがスーツにあっていないと型崩れの原因になります。スーツをかけるなら薄手のハンガーはNGです。厚手で肩のラインにあった肉厚の丸みがかったハンガーがおすすめです。スーツにぴったりのハンガーを使うと型崩れを防ぐだけでなく、軽いシワも伸ばすことができます。
霧吹きをかける、またはスチームをあてる
スーツに霧吹きで水をかけることによって、シワを伸ばす効果があります。また、汗の臭いも気にならなくなるのでおすすめです。スチームアイロンの蒸気をかけることも、繊維をリフレッシュさせるのに効果的なので試してみてください。
風通しのいいところへ保管する
生地の繊維は、汗や湿気によってダメージを受けます。クローゼットに入れる前に風通しの良い場所に吊るし、水分をとばしましょう。水分は生地にダメージを与えるだけでなく、臭いやカビの原因になります。汗をたくさんかいた日や雨に濡れた日はもちろんですが、毎日風通しのよい場所へかけておきましょう。また、シーズンオフのクリーニングから戻ってきたスーツも、ビニールから出し、風通しの良い場所で保管するようにしましょう。
匂いが気になる時は消臭スプレーをかける
汗やたばこの匂いは消臭スプレーをかけて清潔にしましょう。スーツの匂いは意外と気になるものなので、エチケットとしてこまめにケアするようにしましょう。クリーニングに出せなくても、消臭スプレーで手軽にケアできますね。