マイナンバー制度と養育費の関係 児童扶養手当への影響は?
マイナンバー制度が導入され、今後の運用スケジュールは口座情報など銀行との紐付けも予定されています。さらに養育費の8割は所得換算される、という面から離婚後銀行振り込みで養育費を貰っているひとり親家庭では、どこまでマイナンバー制度が関与してくるかが気になるところです。
また、離婚後のトラブルの7割が金銭のトラブルと言われています。そのなかでも最も多いのが養育費の不払い問題。マイナンバー導入で養育費問題などのトラブルの解決に繋がればそれは良いことなのですが、実際マイナンバー制度の導入で養育費や児童扶養手当にどのような影響があるのでしょうか?マイナンバー制度がひとり親家庭へどのように影響するのかについて見てみましょう。
より気を付けたい!マイナンバー導入後の養育費申告
子供がいる夫婦は離婚する際どちらか一方が親権者となり子供を引き取り養育することとなりますが、養育費とは、もう一方の親が未成年の子供が社会人になって自立するまで養育のために支払う費用…衣食住、教育、医療などに必要な費用であり、離婚しても変わらぬ親としての義務、子供の権利です。養育費の支払い期間は通常は成人するまで、もしくは大学卒業するまで養育費支払いの必要が発生します。
養育費の支払いが完了するまでまだまだ年数があると、マイナンバー制度の適用範囲が金融機関情報に及び影響してくる可能性も十分に考えられますが、どのようにかかわってくるのでしょうか?
養育費と税金
養育費を受け取っていくにあたり、心配になるのが税関係です。マイナンバー制度のスタートにより税や社会福祉関係の手続きが明確、簡単になる反面、支払う税金が増えるのでは?という不安も。
受け取る養育費自体には所得税等税金はかかりませんが、児童扶養手当を受けるにあたり養育費の8割は所得換算される面からも、離婚後のひとり親家庭にとって養育費の申告は児童扶養手当の受給に大きく関係してきます。
「養育費が扶養義務の履行、成人に達するまで」と限定された期間、または一定の年齢に達するまでの期間の養育費の支払いは、支払い側も「生計を一にしている」ものとして扶養控除の対象となるのが一般的です。
同居、別居の関わりなく、定期的に生活費などの養育費が支払われている、送金実行されている状態であれば、「生活を一にしている」と言えます。また金額は子供の生活維持に必要と認められる額であるなら、受け取り側に税金の支払い等の必要は発生しません。
養育費と児童扶養手当
児童扶養手当は、離婚した養育者がだれでも受けられるという手当ではありません。児童扶養手当を受給するためには、一定の所得制限が設けられており、一定額以上の所得があった場合には離婚して母子家庭、父子家庭になったとしても、児童手当が満額受給出来ない、もしくは全額もらえないという場合もあります。
養育費は原則養育する側の所得とはみなされず所得税の対象とはなりませんが、養育費計算時にはその額の8割が養育側の所得に換算されることになっています。養育費と養育者の給与額によっては、養育費の存在で児童扶養手当が受給出来るかどうかに影響してはきますが、だからと言って不正受給にあたる未申告等の行為はNGです。
◆◆ 児童扶養手当を優先したいのなら所得制限額の確認を!
養育費には一括で受け取る場合、一年間で110万円以上受け取る場合など、受け取り側が所得税課税対象になる一定のラインがあります。養育費を幾ら受け取ったら所得税課税対象、児童扶養手当の減額となるかが気になる方は、離婚準備段階で所得制限に関しても市区町村で確認しておきましょう。
マイナンバー導入で変わること
2021年、平成33年頃にはマイナンバーと銀行口座の連結を義務化される予定で、銀行で新規の口座を開設する際にマイナンバーが必要になります。全国民それぞれの口座に個人情報番号が紐付けられていきます。
銀行口座に適用されることになると、個人の金融資産を国が把握する体制は整うというわけです。今後、マイナンバー制度の適用範囲拡大に伴い銀行口座にもマイナンバーが紐付けされるに従って、養育費の振り込み、お金の入出金などの把握、確認も即座に出来るようにもなることが予測され、不正受給がばれると返還請求も十分にあり得ます。
これら含めての行政サービスの不正受給、公平・公正な社会実現と銘打っている政府の目指すところなのかも知れません。行政機関、税務機関の作業効率化や利便性の向上が図られることが利点とされていますが、その一方で個人情報の管理が大きな課題となっています。
マイナンバー導入で養育費不払い対応が変わる?
児童扶養手当受給者が児童扶養手当を不正受給するために養育費の受け取りを隠すことはいけませんが、養育費の問題は受け取る側のみに問題があるともかぎりません。
離婚問題にかかわるお金のやりとりや話し合いは、離婚時にかかる婚姻費用分担請求や弁護士費用に加え、財産分与、慰謝料や養育費など多岐にわたり、また、どちらも負担をなるべく減らしたい思惑があるため一筋縄ではいかないことも多いものです。
一般的に養育費は、離婚時の一度の話し合いで将来に渡って月払いで支払ってもらうことが多いですが、不払いのトラブルや支払う側の経済状況の変化で養育費の減額等もあり得るわけで確実に支払い続けてもらえる保障はありません。 特に時間の経過で支払う側との距離が疎遠になったのをいいことに、養育費を請求する離婚相手が所得を隠すこともしばしばあります。
今までは、養育費請求を厳密に実行しようとする際には、養育費を請求する側が興信所などを利用して請求相手の所得隠しなどを暴いたり…などと大きな負荷がかかっていましたが、今後は、銀行口座とマイナンバーが紐付けられることで、養育費の不払いや悪質な所得隠しへの対応も変わることが期待できます。
マイナンバー制度の適用範囲拡大に向けて
マイナンバー制度が導入され、社会福祉等に関する申告や手続きは簡素化、明確になされるようになる見込みで、さらに2021年(平成33年)には銀行口座への適用が義務付けられますから、この頃には国民一人ひとりの銀行口座にも個人情報番号が付けられ、所得や財産隠し、社会福祉による手当ての不正受給などは減って行くことが予測されます。
マイナンバー法の有無にかかわらず払うべき税金は払い申告すべきものは申告すべきは変わりませんが、マイナンバー情報が口座情報と連結される前に受け取っている手当て等について、今一度しっかり確認をしておきたいですね。