産後なのに食欲がない原因はホルモンバランスの急変!?産後うつのサインに注意
産後に食欲がないことを心配される女性は少なくありません。出産を終えると、子宮による胃の圧迫も解消され、母乳分泌に必要なカロリー増加などから、一般的には食欲が増すママが多いとされています。
しかし、実際には食欲不振に悩まされ、「産後うつ」という言葉を検索して不安になるママもいらっしゃいます。「赤ちゃんのために薬は飲みたくない」と我慢してしまうケースも見られますが、食欲不振は体調不良や精神的なサインである可能性もあります。
また、食欲がないことで母乳の出や栄養不足を心配し、無理に食べようとすることで、かえって強いストレスを抱えてしまうこともあります。完全ミルク(完ミ)のママも、ホルモンバランスの急激な変化や睡眠不足から食欲がない状態になることがありますので、完母・完ミにかかわらず注意が必要です。
4コマ漫画:産後なのに食欲がない!焦らなくても大丈夫
産後に食欲がなくなる主な原因は?完母でも完ミでも関係なく起こる
母乳育児をするママは、母乳を作り出すために通常より多くのカロリーが必要となり、お腹が空きやすく食欲が旺盛になる傾向があります。そのため、完全母乳(完母)や混合育児のママが食欲不振に陥ると、特に心配になるかもしれません。
しかし、産後に食欲がなくなる原因は、カロリー消費だけでなく、身体的・精神的な要因が複合的に絡み合っていることが多いです。主な原因としては、以下の3点が挙げられます。
- 急激なホルモンバランスの変化(マタニティブルーズ)
- 慢性的な睡眠不足と疲労の蓄積
- 慣れない育児によるストレスや不安
実際には、完全ミルク(完ミ)のママも含め、全てのママに食欲不振は起こり得ます。中には食欲がないため痩せて体重が激減してしまうだけでなく、頭痛や吐き気、下痢症状などの身体症状を発症する人もいますので、母乳かミルクかにかかわらず産後に食欲がない人は注意が必要です。
産後の入院中や退院直後に食欲がない原因は、マタニティブルーズ
産後は、妊娠中に多量に分泌されていた女性ホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)が急激に減少します。このホルモンバランスの劇的な変化に加え、分娩の疲労や育児不安なども重なるため、マタニティブルーズ(マタニティブルー)と呼ばれる一過性の情緒不安定な状態になる女性が少なくありません。
マタニティブルーズは病気ではありませんが、欧米では50~80%の女性に発症すると言われており、軽度の抑うつ状態です。食欲不振のほかに、涙もろくなる、イライラや不安が高まるなどの不安定な精神症状が強く見られます。
特に、周囲に気を遣う真面目な性格の女性や、完璧主義の傾向がある女性は、育児や家事を完璧にこなそうと頑張りすぎてしまい、ストレスや疲労を溜め込みやすいため注意が必要です。
マタニティブルーズは一過性のもの
マタニティブルーズは、分娩直後から見られ、ピークは産後2~4日です。通常、数日から10日程度で症状は軽くなり、産後2週間以内には自然に消失することが多い一過性の症状です。基本的には治療を必要としませんが、症状が2週間以上続く場合は産後うつへの移行が疑われます。
産後のマタニティブルーズは、食欲不振や情緒の不安定さだけでなく、頭痛や慢性疲労などの身体症状が現れることもあります。身体症状が強く、辛い場合は、自己判断せずに出産した病院の医師や助産師に相談しましょう。
マタニティブルーズを経験した女性や、精神疾患の既往歴がある女性は、その後産後うつなどの産褥精神病を発症しやすい傾向があります。そのため、症状が身体的にも辛く、長引く場合は軽視せずに、早期のサポートを検討することが大切です。
マタニティブルーズで食欲不振や吐き気があっても、水分補給を最優先に
母乳の分泌や体力の回復のためにも、産後の食事は和食を中心としたバランスの良い食事を摂ることが望ましいです。しかし、マタニティブルーズで食欲がない女性の場合は、無理に食べることや食事を作ることがストレスになり、悪循環に陥ってしまう恐れがあります。
睡眠不足で食欲より睡眠欲を優先するママも多いのですが、産後に食欲がないママは、どんなに食べられない時でも、脱水状態を避けるために水分だけはこまめにしっかりと摂るように心掛けてください。授乳の前後やトイレの後、入浴の後など、タイミングを決めて水分を摂りましょう。
特に夏場は、脱水症状になりやすいため注意が必要です。尿の色が濃い、回数が少ない、唇がカサカサする、倦怠感が強い、食欲不振などの症状が見られたら、脱水のサインかもしれません。下痢や嘔吐などの胃腸症状がある場合は、特に注意が必要です。
産後に食欲がない場合は、「バランスよく食べよう」と無理をせず、一口おにぎりやバナナ、ゼリーなどの消化が良く、食べられるものを食べられる時に少量ずつ摂るように、と指導する産婦人科医や助産師も少なくありません。
また、育児中は病院に行くこと自体が負担になりますので、点滴代わりになる経口補水液を常備しておくと安心です。脱水が疑われる症状がみられたら、すぐに飲めるように準備しておき、重症化を防ぎましょう。家族のサポートを得て食事の準備を免除してもらうことも、食欲回復への近道です。
私も産後は食欲がないことで悩んだ!先輩ママの体験談
募集した体験談を読んでみると、ママ達が産後食欲がない原因として、「マタニティブルーズ」や「産後うつ」という言葉を自覚していなかったことに筆者はとても驚きました。筆者自身も一人目の産後、退院直後から食欲がなくなりましたが、その時はマタニティブルーズだなんて夢にも思いませんでした。
寝不足で思考力が低下しフラフラする中、必死に授乳を続け、里帰りできず夫も仕事が忙しくてほぼワンオペで、日中は眠いけれど寝つけない、夜はギャン泣きのお世話と授乳で眠れず、食欲もないという毎日でみるみる痩せていきました。
そこで出産した病院に相談したところ、「赤ちゃんの体重もあまり増えていないし、ミルクに切り替えて」と言われました。それまでは母乳神話に縛られて頑張ってきましたが、即粉ミルクに変更。すると息子は以前ほどギャン泣きしなくなりました。
朝の授乳も夫に代わってもらうようにして睡眠時間を増やしたら、身も心もとても楽になり食欲も回復。その後、母乳の出が急によくなったので完母に戻しました。
母乳の出と食欲がないことはあまり関係ないという人も多いのですが、当時医師からは「睡眠は母乳の出に影響を及ぼしやすい」と言われました。産後は赤ちゃんのためにも我慢し過ぎずに、周囲の力を借りて睡眠時間を確保することが、心身の回復に最も重要です。
産後の退院1週間は食欲がありませんでした
28歳で初産でした。入院中は食欲がありました。病院での食事メニューが豪華で美味しかったので、残さず食べていました。授乳は、昼は母乳で夜の寝る前はミルクの混合です。
食欲がないときは貧血気味でめまいを起こしていましたが、母乳の出は問題なくたくさん出ていました。
病院を受診しようと思いましたが、1週間経過したときに母親が私の大好物の焼うどんを作ってくれ、それを食べてからは食欲が湧き、たくさん食べるようになりました。
食欲がないからといって無理に食べることはしなくてもよいと思います。そのストレスが赤ちゃんに行くことの方が大変です。食欲がない間は、赤ちゃんにはミルクで栄養を取ってもらい、好きな音楽を聴いたりテレビを見たりして気分転換をしながら、自分が食べられる好きなものを食べることから始めましょう。
産後は2ヶ月くらい食欲がない状態でした
31歳のときに初めて息子を出産しました。出産の疲れや初めての授乳で出産した日から親子同室というのもあり、食べるより眠いが勝ってしまい、あまりご飯を食べられなくなりました。
退院する時に「食べられる時に1日3食の量を5,6回にわけて少しでも食べるように」と先生に言われましたが、体調が悪くなることもなく、完全母乳でしたが母乳が出なくなることもなかったので、食べられるときに食べられるものを少し食べていました。
それから徐々に授乳も落ち着き、ご飯を食べられる量も自然と増えました。産後は食欲がなくて母乳も出なかったり、体調不良になったりするなら受診した方がいいと思います。少しでも食べられるときに栄養になるものを食べるようにすれば、徐々に落ち着いてくると思います。
産後の寝不足と疲れで、2ヶ月食欲がない日が続きました
当時26歳で初産だった私は、産後子育ての壁にぶち当たることばかりで、毎日が必死でした。入院中は産み終わった安心感からか、食事も良く摂れていたのですが、家に帰ってからは食事を作ったり、食べたりする時間も取れず、日中あまり寝ない子だったのでそれに付き合う疲れもありました。
母乳量が少なかったので必死に食べようとするものの、いざご飯を前にすると、食べるより寝たいという気持ちになり、なかなか食事に気が向きませんでした。
母乳外来に通った際、食べられないことに関して相談したところ、「無理して食べなくてもいいのよ」と言ってくださいました。その言葉に救われたのをすごく覚えています。
小さなおにぎりをいくつか用意しておいて、気が向いた時に1口食べれば良いと言われて、しっかり食事を摂らないといけないと思っていた私は、すごく気が楽になり、少しずつ食べられるようになりました。
母乳で育てていると、食べなければいけないと自分で思い込みすぎてしまい、食事すらも楽しくなくなってしまいます。沢山食べられなくても、1口2口なら食べられるし、3食にこだわらず食べられる時に食べれば良いのです。食事量は少なかったですが、慣れてくれば母乳は出るようになっていきましたし、自分のペースでやっていけば良いと思います。
産後は体調の変化で2ヶ月食欲がほとんどありませんでした。
出産当時は26歳で初産でした。産後の入院中から食欲がほとんどなくなりました。授乳は子供が母乳を嫌がったので完ミでした。食欲がないだけで、体調不良はありませんでした。
母乳はほとんど出なくなりましたが、子供がミルクのみ飲んだので、気になりませんでした。産後に食欲がないママがいることは出産を経験した友人から聞いていたので、そのことで病院に行くことはありませんでした。私の場合は2ヶ月ほどで食欲が戻りましたので、食欲がない方もあまり気にしなくてよいのではないかと思います。
産後の後陣痛やストレスが続き、2か月間食欲がなかったです
33歳で二人目の出産をしました。出産してすぐに後陣痛がきたので、入院中から食欲はありませんでした。授乳は混合にしようと思い、入院中からマッサージを頑張っていましたが、食欲もなく母乳が全然出なかったため、あきらめて途中から完全ミルクになりました。
食欲が無いほかに貧血が続いていて、点滴と薬を処方されていました。この時期を乗り越えれば食欲もわいてくると思い、病院は受診しませんでした。
産後は食欲が無くても時間が経てば、もとの体調に戻っていきます。あまり悩みすぎても逆効果だと思うので、考えすぎないようにしていった方が良いと思います。
神経質が度を超えて、産後3ヶ月間は食欲がありませんでした。
当時29歳で初産でした。そこに至るまで無事出産までたどり着けなかった経験を何度かしていたので、妊娠期間中からずっと神経質に過ごしてしまいました。
無事に出産を終えれば神経質は治るのかと思っていましたが、余計に神経質になってしまい、入院中から食欲がありませんでした。特に食材に対しての不安が強く、「これを食べて赤ちゃんに悪影響になったらどうしよう」と思ってしまい、食べることが苦痛でした。
母乳の出も悪くなり、見かねた医師や助産師さんに「しっかり食べて、あなたが食べないと赤ちゃんが育たない」と言われ、それを認めるよう努力して乗り越えました。
産後は食べて寝て、を繰り返さないと後々後悔することになります。何も食べたくない時は炊き込みご飯をおにぎりにして食べるだけでも栄養が摂れるので、頑張って食べてください。
産後の寝不足で3ヶ月食欲がありませんでした。
30歳で初産でした。入院中は母子別室であったこともあり、夜しっかり寝てリラックスした状態で子育てを始められたのですが、退院してからは昼も夜も関係なく泣き続ける子どもの世話で寝不足状態となり、食欲もなくなっていきました。
完全母乳にも関わらず食欲不振からみるみる体重も減って痩せ、心配した母親に病院に連れていかれました。先生からは「特に体調不良がなければ気にする必要はない。食欲がなくても水分はしっかり摂るように」言われました。
3ヶ月を過ぎた辺りで子どもの生活リズムが安定してからは、私も睡眠を取ることができ、食欲も戻ってきました。出産後の体調不良や食欲不振は良くあることのようです。
完全母乳の人は母乳の出具合を心配されているかもしれませんが、水分さえしっかり摂れば大丈夫!適度にリフレッシュして、お互い育児を頑張りましょう!
睡眠不足で、約1年間食欲自体わかなかったです
2人目を出産した35歳の時、一時的に食欲不振になりました。産後の入院中は生まれたばかりの子どもの世話だけで、後は寝ていてもよかったことから食欲はまだありました。
しかし完全母乳で授乳は全て自分で行わなければいけない状態だったことから、退院後は寝不足になっていました。
さらに上の子どもの世話や家事も全て自分でやっていたことから、日によっては全く寝ていないということもありました。そのため食事の時間よりも睡眠時間を多くとりたいと思っていたら、いつの間にか食欲がなくなってしまいました。
その状態は約1年間続き、気づけば妊娠前には53kgあった体重が45kgにまでなっていました。身長は165cmなので痩せすぎの状態で、めまいや激しい疲労感に悩まされていました。
しかしそんな中でも母乳が尽きることはありませんでした。食欲がないことに関しては、子どもの乳幼児健診の時に相談したり上の子どもが医療機関を受診するとき一緒に受診したりしたのですが、「寝ないことには解決のしようがない」と言われてしまいました。
出産から約1年経過したころ、授乳を終えたことから睡眠不足は解消され、食欲も少しずつ出てきたのですが、産後は睡眠不足と疲労感、あるいは育児のストレスから食欲を感じないこともあるため、食べられるものを食べて過ごすべきだと思いました。
搾乳のため睡眠時間は常に3~4時間が4カ月
出産当時30歳で初産でした。子供が低体重児だったので母乳を吸う力が弱く「母乳がシャワーのように勢いよく出るタイプだから、搾乳をして哺乳瓶で飲ませるしかない」と助産師さんに言われて、出産3日目から頑張っていました。
入院中の食事は完食できないけれどある程度は食べていましたが、退院して2~3ヶ月ぐらいの頃は、常に疲れていて食事することもシンドイ時期でした。
風邪は何度かひいたので病院には行きましたが、産後食欲がないことに関しては相談しませんでした。授乳は1歳2ヶ月頃までずっと混合でしたが、4ヶ月頃に直母で飲みはじめてから2ヶ月、昼間はミルクを飲んでくれなかったため、自分の食事と授乳を交互にしていました。
出産後は育児に時間をとられ過ぎてストレスが溜まる一方なので、食欲がない時期もあると思いますが、大半は時間が解決するのと、何かが解決しても別の問題が出てくるという状態が続くので、手を抜ける所は手を抜きつつ頑張るしかないのかなと思います。
お産で疲労しすぎて、ひと月あまり食べられなかった
30歳で初産だった時、お産に14時間かかりました。その間ずっと痛みに耐え、無事出産した後も疲れがひどくて、本当は眠いはずなのにまったく眠れませんでした。
入院中の5日間は数時間おきの授乳のためもあって、かなりの睡眠不足でした。私はもともと疲れすぎると眠れなくなる体質なので、産後もそれが出ていました。完全母乳だったのですが、食べないわりに母乳はかなり出がよかったです。
食欲がないので、私は市の保健センターに電話で相談しました。保健士さんに言われたのは、「量を食べていなくても、バランスさえ整っていれば心配ない」ということでした。今、産後で食欲が落ちているママさんも、バランスさえ気をつけていれば心身の回復につながりますので、気にしすぎずに過ごしてほしいです。
産後うつのサイン:食欲不振や情緒不安定な状態が2週間以上続いたら専門機関へ
産後2週間以上、食欲がない状態が続く、あるいはマタニティブルーズの症状(涙が出てくる、笑顔がない、眠れない、惨めな気持ちがする、ネガティブになっているなど)が長引く場合は、産後うつなどの産褥精神病を発症している恐れがあります。
産後うつの主な症状には、食欲不振のほかに、以下のものが挙げられます。これらの症状が2週間以上続き、日常生活に支障をきたしている場合は、産後うつの可能性を考慮し、専門機関を受診することが重要です。
- 抑うつ気分(気分が落ち込む、憂鬱)
- 興味や喜びの喪失(以前楽しめたことに興味がわかない)
- 不眠または過眠
- 極度の疲労感または気力がない
- 自分を責める、無価値だと感じるなどの罪悪感
- 集中力の低下や思考力の減退
- 自殺を考えるなどの希死念慮
日本看護協会や厚生労働省は、産後の心身の不調について、「1週間でゆっくり休めの危険サイン、2週間で即受診」と指導していますので、食欲がない人は自分の苦痛を軽く考えず、追い詰められている証拠と捉えて、できるだけリラックスできる環境を整えましょう。
産後うつは治療で回復が期待できます
産後うつの治療方法には、薬を使わない心理療法(対人関係療法、認知行動療法など)や、薬物療法があります。薬の服用をためらう人もいますが、医師と相談しながら、心と体の状態に合った治療を受けることが早期回復につながります。
まずは周囲に相談し、里帰りしないママやワンオペ育児のママは人手が不足しますので、自治体のサポート(産後ケア事業やファミリーサポート)なども積極的に利用して、少しでも睡眠がとれる環境を整えることが、回復への第一歩となります。
また育児中は、誰かに話を聞いてもらう、赤ちゃんをパパに見てもらい別室で気分転換をするなど、育児ストレスを解消する努力も大切です。産後うつは、本人だけでなく家族全体の問題です。食欲がなく不安定な精神状態や体調不良が2週間以上続いているのに、本人が病院を受診する気がない場合は、家族が病院へ相談しに連れて行くことも大切です。
