養育費を夫が払わない?そんな問題を解決!知っておきたい養育費のこと
まさか自分の身に降りかかるとは思っていなかった離婚問題ですが、子供がいればなおのこと「もう別れる!」で終わらせるわけにはいきません。子供のいる離婚では、様々な取り決めや手続きを行なわなければならず、その中でも養育費は大きな問題として夫婦間に立ちはだかります。
子供がいる夫婦の場合、結婚している時には両親に養育義務がありましたが、離婚しどちらかが親権を取ることになれば、親権を取った方が養育し、離れて別居する方は養育費の支払いをすることによって子供への教育義務を果たす役割を担います。金銭的なことは子育て、教育、医療、基本的な生活に直結してきます。そのためしっかり取り決めする事が大切です。
夫が養育費を払わない?!ケース別養育費不払い対策
離婚の理由が何であれ、それは子供には関係ありません。離婚後も子供を育てていく責任がありますし、また子供の生活を守り維持していかなくてはいけません。
子供が小さなうちは親権者が育児で十分に働けない可能性もあります。働いても保育料の負担が大きく、子供が大きくなるにつれ今度は教育費にお金がかかってきます。子供の年齢によっても養育費の金額の見直しは必要ですが、子供が成人になるまで安定した養育費をしっかりもらう権利があるのです。つまり養育費は子供の生活保持のためのお金であり子供の権利なのです。
養育費の基準は前年度の所得を参考に算定表と照らし合わせて金額を決定するので人によって額は異なります。一般に男性が養育費を支払う側である場合は、女性の場合よりも金額が高くなる傾向があります。それは男性の収入の方が多いためです。しかし決して無理な額ではないはずが、依然として夫が養育費を払わない!というケースもあります。特に、養育費は払わなくても罰則などの法的な処置はないので、何となく踏み倒されてしまうということも…。
ここではそのケースごとに詳しくみてみましょう。
1養育費を払ってもらえないケース
平成23年度の厚生労働省の全国母子世帯等調査結果報告では、離婚後母子世帯になって4年経過した時点で養育費を受けているのは15.6%という結果が報告されました。離婚率は増加傾向にあるにもかかわらず、その養育費をもらっている割合が低く、母子家庭の貧困が問題視されているもの頷ける数字です。
その分析結果では、養育費を払わない原因は協議離婚の際の取り決めの不十分、また口約束だけだったために効力もなく不十分であったということも挙げられています。そして認識されたのが法的執行力のある契約書を作ることの重要性でした。
子供の年齢が小さいうちに離婚するほど、養育費をもらう期間は長くなります。しかし安定した養育費を成人になるまでもらえるとも限りません。そのためになるべく書面で残すことが大切なのです。
2未婚のまま子供を出産し養育していくケース
未婚のままシングルマザーを選択する人も増加していますが、その場合も養育費は大きな問題です。
未婚のまま養育費をもらうためには、まず戸籍上の親を届けて子供を認知してもらうことから始まります。法律上親であるということが確認できなければ、養育費をもらうことはできません。養育義務が発生しないからです。
認知書を市役所に出し戸籍上親になってから、相手に養育費の請求をします。
もしも認知に応じてくれない時には家庭裁判所に認知調停を申し込みます。特にパートナーと別れてから妊娠が分かったなど特殊な場合には、DNA鑑定などを用いて強制認知の方法を取ることできます。確認されれば生活保持義務が発生し、養育費の請求ができるようになります。この方法を取ることで養育費を払わないということは許されなくなります。
3途中で養育費が払われなくなるケース
始めは養育費が順調に支払われていたのに、だんだんと滞ってくるということもあります。これは相手の仕事、また収入の変化によるものかもしれません。最近ではリストラや減給ということが珍しくありません。そのために途中から夫が養育費を払わない!というケースも発生します。
しかし養育の義務はありますから、その場合は、話し合いで増減額を決める、家庭裁判所で支払いの能力などを客観的に判断して取り決めをすることも出来ます。
4養育費を払う方が再婚をした場合に養育費が滞るケース
再婚をしたためにこれまでより生活費が上回り支払いが困難になるというケースがあります。しかし新しい家族との生活が始まったとしても子供への生活保持義務はありますので、原則として養育費を払わないことは認められません。
親権を持つ自分が再婚したら…
原則として再婚を機に新しい養父に扶養義務が発生するため養育費を受ける権利が無くなります。ただし、再婚を視野に入れているが、また戸籍上再婚をしていない、親子関係ができていないという場合には、養父の扶養義務が発生しておらず養育費をもらう対象になります。
養育費不払いを防ぐなら、離婚時にしっかり取り決めること
夫婦間の合意があれば公正証書を作り、その項目に強制執行認諾状況を入れておきます。つまり離婚公正証書として記録に残すのです。もしもトラブルになり裁判を行った時に証拠になりますし、公正証書は法的な効力を持つので、養育費の支払いがされない場合には、別の家財道具などで差し押さえをして回収することも出来るからです。
離婚前はもうこの人とは一緒にいるのは嫌だと思うこともありますが、離婚前であるからこそ必要なことを冷静に話し合いすることが大切です。またあとで話が違うとトラブルになることもあるので、公正証書を作成するのは離婚届けを出す前の方がいいでしょう。
しかし話し合いの段階で話がこじれる、折り合いがつかないということもよくあることです。離婚後に養育費請求をするならば、家庭裁判所の審議で養育費を決めることも出来ます。
面会と養育費は別問題
離婚をした後も、どちらの親も子供の親であることには変わりありません。離婚後親と子が離れて暮らしても、親子が定期的に面会するケースもよくあります。
しかし離婚の原因によっては面会が一切ないという場合も…。男性側からすると子供にも面会できないのに、養育費を支払う必要もないのではないかと養育費を払わない人もいます。
しかし、子供との面会に権利がある(面会交流権)ことは確かですが、この面会と養育費は一切関係ありません。子供の生活保持義務がある限り養育費をもらう権利を主張していくことが出来るのです。
養育費は子供の権利であるという考えが一番大切
離婚をする場合には、相当な労力を必要とします。また養育費はお金が絡んでくることなので、話し合いや合意をするまでに相当な時間を要することもあるでしょう。しかし、養育費は子供の権利ということを考えたら、はやり親権を持つ親が子供を保護しなくてはいけません。そのためにきちんとした知識と対処方法を知り、子供のために養育費をもらうことが大切です。