離婚調停で親権を取得したいなら知っておくべきこと
子供を連れての離婚の場合、まず「どちらが親権を持ち、子供を育てるのか」という問題があります。そもそも親権とは、「未成年の子供を監護・養育し、その財産を管理し、子供の代理人として法律行為を行う権利および義務のこと」です。今まで専業主婦だったため「経済力がないから子供を育てていけないかもしれない…」と不安に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、今から安定した就職先を見つけるという計画でも問題ありません。親権が決まるまでは離婚は成立しないのです。そのため、話し合いで決まらなければ、離婚調停へと進むことになります。
離婚調停で親権を決定する際、多くの場合は家庭裁判所から派遣された調査官による家庭訪問が行われ、親子関係や養育環境などの調査が実施されます。つまり、家庭裁判所の調査官の判断は非常に大きな影響力を持つ重要なポイントとなります。
親権を巡る離婚調停の流れ

離婚調停は弁護士がいなくても申し立てが可能で、以下の流れで進みます。
- 家庭裁判所へ離婚調停の申し立て
- 調停期日の決定
- 第一回目の調停
- 第二回目以降の調停
- 調停の終了
申し立てから調停終了までの期間は、一般的に半年ほどです。双方に子供への愛情があり、親権を巡る争いがある場合は、調停が長引く傾向にあります。また、親権と同時に養育費についても決めなければなりません。ここで、先ほど述べた「家庭裁判所の調査官による調査」が大きく関係してきます。
親権決定の際の家庭裁判所調査官による調査

離婚調停に限らず、親権を決定する際の最大の判断基準は「子供の幸せ」です。子供にとって、両親の離婚は望ましいことではなく、親権争いが長引くほど子供の心には大きな負担がかかります。調査官はこうした子供の気持ちや環境を配慮し、離婚後の面会交流なども含めて、子供との面談や家庭・学校訪問を行い調査します。
家庭裁判所調査官は、まず園や学校、家庭を訪問し、子供の身なり、怪我の有無、成績、表情、性格、健康診断結果、母子手帳などをチェックします。その上で、親の面談や子供の面談を行います。調査官は心理学や社会学の専門知識を持つ中立的な立場のプロフェッショナルです。面談の際は、子供に対する思いを素直に伝えましょう。口先だけの態度や根拠のない自信は、かえって評価を下げる原因となります。
離婚調停にて親権を判断する面談ポイント

調査官に伝えるべき事項をしっかりと説明できるように、準備しながら、子供との生活を具体的にビジョン化していくことで、必要なこともみえてくるでしょう。
●子供の将来について、自身はどのように考え、どのようにフォローしていこうと思っているのか、未来へのビジョン。
(例)本人が進みたい道を見つけたときに、経済的な理由で諦めなくていいように、進学させてあげられるように、少しずつですが、積み立てをしています。
●以前の子供との生活の中で、反省すべき点を告白し、それに対する改善案を具体的に、提示する。
(例)仕事と家事が忙しくのを理由に子供ときちんと向き合わず、嫌がらせを受けていることを子供が伝えられずに苦しんでいた。ということがありました。今後は、2人で最低でも週に3回は、一緒に夕食をとり、子供と話をする時間を確保していこうと思っています。
●これまでの養育環境・今後の養育方針を具体的に提示する。
(例)専業主婦で、子供が生まれてから、預けることなく育児全般をこなしてきました。今後は、以前に取得した資格を生かし、まず安定した職場で安定した収入を確保し、子供は、保育園の延長保育に通わせようと思います。
●自身が、親権者となるのが適正だと思われる理由。また相手が不適正と思われる理由。
(例)母親は今まで、育児を通し子供に対する愛情は深く、良好な親子関係を築けているし、今のパートと養育費をもらったら、経済的な問題もないので、自身が適任です。また父親は、家事・育児を全くしてこなかった上、仕事がら出張で留守が多く、とても子供と生活できるような基盤がないと思います。
上記では、ある程度予測できる質問ですが、その他にも、調査官が訪問を行い疑問に持ったことなど、質問されることが、あります。予想外の質問をされても、慌てず今までの子育ての事・子供の将来の事・何より子供を大切に思っていることを包み隠さず、伝えましょう。
きっと正直な姿勢は、高評価につながるでしょう。
離婚調停での親権判断ポイントのまとめ

離婚調停でどちらに親権を委ねるか、最終的な判断を下すのは家庭裁判所の調査委員の話し合いです。この話し合いの中で、主に重視されるポイントを押さえておくのは、必須です。
- 子供に対する愛情
- 肉体的・精神的に健康である
- 子供の年齢・意思
- 住宅・学校関係の生活環境
- 兄弟姉妹の決別
- 子供と過ごす時間の確保
- 経済的ゆとり
上記のポイントを見ても分かるように、今まで専業主婦だったから無理ということもなければ、父親だから無理ということもないのです。ただ、子供が低年齢なほど、母親の取得率が高いのも現実です。
父親にとって、離婚調停となると親権は不利になる傾向が多いですが、別居時に子供を養育する環境を整えることで、養育の覚悟を認めてもらい、親権を取得できたという例もあります。 また、別居時に子供と暮らしているというのは、大きなポイントになるようです。
このような課題をクリアにしていけば、親権取得を有利に進めていくことができるでしょう。