魚嫌いを克服しよう!子供と作る簡単レシピをご紹介
ご家庭で魚料理は食べていますか?
現在の日本では、魚を中心とした魚介類の消費量は年々減少傾向にあり、特に幼児や学童期などの子供たちの魚離れが深刻です。
今回は、子供の健康を考えた献立作りに悩むママたちに向けて、子供の魚離れの実態を説明しながら、魚嫌いを克服する簡単で美味しいレシピをご紹介します。魚嫌いな子供に手を焼いているママは、特に必見です!
魚嫌いの子供が増加中!?日本人は魚を食べなくなっている?
「日本人は魚を食べなくなった」と言われており、これは国の統計としても受け入れざるを得ない事実です。
平成27年度水産白書では、肉類の1人当たりの年間摂取量が1989年頃から20年以上にかけて少しずつ増加しているのに対し、魚介類の摂取量は、2001(平成13)年の40,2キログラムをピークに減少傾向にあり、2014年は27,3キログラムとほぼ毎年のように過去最低の数値を記録しています(注1)。
ちなみに、肉類の2014年年間消費量は30、2キログラムですので、現代の日本人は魚よりも肉の年間消費量が上回っている状態です。まだ肉類と魚介類の摂取量の差はそこまで大きくないものの、今後、この差が開いていく可能性もあるでしょう。
子供が魚を食べない理由
平成20年度の水産白書では、平成18年に、1日の肉の摂取量が魚介類の摂取量を逆転したことが大きく取り上げら、「子供の魚離れ」についての特集が組まれています(注2)。
1歳~6歳、7~14歳、15~19歳の魚介類と肉類の摂取量の差が激しいことがクローズアップされており、背景や原因についても分析がなされています。当時の水産白書をもとに、子供の魚嫌い・魚離れについて考えられる原因をまとめました。
理由1:骨があるから食べにくい
多くの場合、魚料理は骨を外しながら口へ運ぶことが必要とされます。魚には小骨も多く、食べるのに時間がかかり、喉に骨をひっかけないように、気を付けなくてはなりません。
また、特に幼児期は箸の使い方が未熟な部分もありますから、魚=食べるのが大変というイメージを持ちやすくなってしまうのです。
理由2:臭いや味が苦手
これは特に青魚に関して顕著にみられる傾向です。青魚は鮮度が落ちやすいため、調理時には生臭さが残ることがあります。そのため、酢や生姜などの薬味や調味料が用いられることが一般的ですが、このような酸味も子供が苦手とするものです。
本来、人間は嗅覚や味覚によって、食べ物の安全性を判断しますから、酸味や苦みに対する感受性は、経験の浅い子供ほど敏感に働きます。そのため、酢などを使用した調理法は、子供にとっておいしいと感じられないのです。
同様に、ネギや生姜などの薬味も子供にとっては苦い・辛いものですから箸が進みにくくなります。子供の味に対する感覚は大人よりも繊細ですから、「生臭い・酸っぱい・辛い・苦い」料理はどうしても敬遠されがちになります。
理由3:時間がない
昔と比べると、今の子供の夕食の時刻は遅くなってきています。共働きの増加によって親の帰宅時間が遅かったり、塾などの習い事で子供の帰宅時間自体も遅くなったりしていることが要因です。
必然的に食事にかける時間も短縮せざるを得ません。その結果、調理や食事に時間のかかる魚が敬遠されてしまうのです。
魚嫌いは親のせい!?「魚料理は作りたくない」がママの本音?
実は、子供の魚嫌いの原因はすべて子供自身にあるとも言い切れません。20歳未満ほど急激なものではありませんが、先ほど述べた平成20年水産白書の同調査によると、子供だけでなく、20~29歳、30~39歳のちょうど子育て世帯にあたる年齢でも魚介類の消費量は肉類を下回っています(注3)。
これは、料理を作る側が魚料理を避けているため、家庭で魚料理が食卓に並ぶ機会が減少しているともとれます。魚料理を避けてしまう原因として、以下のようなことが考えられます。
子供が食べないものは作りたくない
せっかく作った料理は残さず食べてほしいのは誰しも思うことです。栄養バランスを考えて一生懸命作った料理を残されるのはとても悲しいですよね。出来るだけ子供が喜ぶものを作りたいと考えるのは自然なことです。
その結果、自然と魚料理よりも肉料理の比率が高くなり、子供も魚料理に馴染みがなくなり、家庭での魚離れが更に進んでしまうのでしょう。
魚料理は調理時間がかかる・後片付けが面倒
魚料理は肉料理と比較すると多くの手間がかかります。近年はスーパーなどで切り身や開き・おろした状態で販売されている魚も増えてきましたが、食べる際に取り除いた骨や皮は生ごみとして臭いを放ちますし、グリルなどの調理器具の後片付けも結構大変ですよね。
1匹まるごと買うと価格は抑えられますが、自分で下処理を行う場合、時間も手間もかかります。また、近年では、魚をさばいた経験のない人も増加しています。
価格が高い
魚介類は、肉類と比較すると価格が高めです。乱獲・原油の高騰・天候不良などの要因によって価格が安定しないこともあります。魚の切り身を家族4人分を購入した場合、肉に比べてどうしても割り高になるのは避けられません。
なかなか収入の上がらない現代では、極力出費は押さえたいのが子育て世帯の心理です。結果、価格の高い魚をメインにする機会が減ってしまうのでしょう。
魚に含まれている栄養と効能
魚は処理が面倒、価格が高いなどの問題もありますが、肉にはない栄養素がたくさん含まれています。これらは子供の成長にも、大人の健康維持にも優れたパワーを発揮するものばかりです。
魚料理の回数を増やすことで、肉類にはない栄養もバランスよく摂取することができます。魚に含まれる代表的な栄養素や効能を紹介します。
DHA(ドコサヘキサエン酸)
DHAは主に青魚に豊富に含まれている、不飽和脂肪酸の一種です。不飽和脂肪酸には血液をサラサラにする・中性脂肪を減少させる効果があることがわかっていますが、体内で合成することができず、食品から摂取する必要があります。
DHAは脳の発達に非常に重要な役割を持っており、妊娠中から積極的にDHAを摂取した子供は、摂取しなかった子供に比べて知能指数が高いという研究データも存在しています。また、DHAにはセロトニンを増やす効果もあり、精神の安定にも大きく作用すると考えられています。
EPA(エイコサペンタエン酸)
EPAも不飽和脂肪酸の一種です。DHA同様に体内では合成できない栄養素で、青魚に多く含まれています。EPAは血液をサラサラにする・中性脂肪を減少させるほかに、抗炎症作用や免疫調整作用をもっています。
カルシウム
小魚などに多く含まれているカルシウムは骨を作るもとになります。本来、カルシウムは骨に蓄えられており、不足すると骨からカルシウムを溶かして体内に届けますので、特に成長期は効率的に、継続してカルシウムを摂取しなくてはなりません。
しかし、カルシウムは非常に吸収されにくいのが難点で、単体で摂取してもほとんどが体外へ排出されてしまいます。カルシウムは魚に含まれるたんぱく質やミネラル類と同時に摂取することで、効率的に体内に吸収することが可能です。
魚嫌いの子供におすすめ!骨なし・激うま簡単レシピ
子供にとって特に苦手なお魚がサバなどの青魚。青魚のおいしさを知ることで魚嫌い克服の第一歩としてみましょう。
今回は包丁要らずで、1年を通しての価格も安定しているサバの水煮缶を活用したレシピをご紹介します。
ちなみに、ほとんどの工程はすべて小1男児が担当しています。材料を混ぜて、フライパンで焼くだけなので、子供と一緒に作る料理としてもおすすめです。
サバのお豆腐ハンバーグを子供と一緒にクッキング!
サバの水煮缶を活用したお豆腐ハンバーグのメリットは以下の通りです!
- 包丁いらずで混ぜるだけなので子供と一緒に作れる
- 缶詰めは骨も非常に柔らかいため、子供が嫌がらない
- 味付けはお惣菜にお任せなので失敗知らず
- 低カロリー
- 缶詰を使用するので生ごみ処理が不要
- 洗い物が少ない
材料(4人分)
- サバ水煮缶・・・1缶
- 木綿豆腐・・・1丁
- ひじきの煮物(残り物や出来合いでOK)
- 卵・・・1個
- 片栗粉・・・100グラム程度(適宜調整)
- 揚げ油
- お醤油…少々
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豆腐の水切りをする。
豆腐を半分にし(手でOK)、耐熱皿に入れて3分間レンジで加熱。ラップは不要です。前日のうちに豆腐を半分にし、キッチンペーパーで包んで縦に保存することで、豆腐の自重で水切りができます。 -
サバの缶詰をボウルに入れてすりつぶす
豆腐を水切りしている間にサバ缶をボウルに開け、サバをすりつぶします。魚の食感をなるべく残したい場合は、この工程を省いて3に進んでください。 -
豆腐とサバ缶を混ぜタネを作る
水切りした豆腐とつぶしたサバを混ぜてタネを作ります。フードプロセッサーやすり鉢を利用して滑らかにしても、あえて食感を残すために荒くつぶしてもOK。今回はフードプロセッサーの片づけの手間を減らすために荒くつぶすことにしました。 -
このような状態になればOKです。 -
タネに卵と片栗粉を入れ、混ぜる
つなぎとして片栗粉と卵を入れます。タネのゆるさをみながら片栗粉の量を調整していってください。泡だて器を使用するとダマになりにくいです。 -
ひじきの煮物を加える
味付けと具材としてひじきの煮物を加えて、混ぜます。残り物や出来合いのもので十分です。他にもかぼちゃの煮物の残りや筑前煮の残りなどでも代用OK!野菜も取れるので栄養面もばっちりで、味付けの失敗もありません。醤油を少量追加してもOKですが、基本的にはなくても大丈夫です。 -
成形して焼く
あとは普通のハンバーグと変わりません。タネを成形しフライパンで焼きます。やや多めの油で揚げ焼きのようにすると外はカリカリ、中はモチモチに仕上がります。 - 盛り付け
基本的にはそのまま食べられますが、どうしても魚のにおいや味に抵抗感が子供の場合には、ケチャップでいただくのがおすすめです。
今回はひっくり返すところも子供が担当したため形にはやや難がありますが、自分で料理をしたものはやはりおいしく感じてくれます。また、家族が「美味しい」と言いながら食べてくれることで、魚嫌い克服の大きな手助けになります。
撮影用のために今回は半分に切っていますが、小さく成形して焼いても、大きなままボン!と焼いてもかまいません。
大人向けには生姜や紫蘇などを加えてもおいしいです。また、サバの水煮缶ではなく、味噌煮缶とひじき(味付けなし)でも作ることができます。
先輩ママがおすすめする魚嫌いでも食べられる料理のコツ
料理好きの先輩ママに魚嫌いの子供でも食べられる、おいしい魚料理のレシピやおすすめの食材を伺いました。
ホイル焼きで好物と一緒に!
魚を含めて、子供に嫌いなものを食べてもらうためには、好きなものと一緒に出すというが効果的です。まずは、好物と一緒に食べることで、魚=おいしいものというイメージを持ってもらいましょう。ホイル焼きなら後片付けの手間も少ないため、後片付けも簡単ですね。
魚の臭みを消すためには、マヨネーズやチーズ、カレー粉などを使用した味付けがオススメです。子供の好みに応じて、色々な味付けを試してみましょう。
ホイル焼きに、コーン入りポン酢をかけたら食べてくれます。
5歳の娘がいつも喜んでくれる魚料理は鮭のホイル焼きです。鮭は甘口のもので、骨が少ない場所を使うようにしています。また鮭と一緒に、タマネギ・軽く茹でたジャガイモ・シイタケ・エノキ・コーンも入れます。
作り方は普通のホイル焼きと同じなのですが、娘が大好きなコーンを入れるだけで、やったぁ!と喜んで食べてくれます。ポン酢も好きなようなので、少しかけてあげています。
魚嫌いな子供に魚を食べさせたいのであれば、ホイル焼きのように好きな具材も一緒に食べられる料理にするか、ツナの缶詰などで「気が付いたら食べていた!」というような料理がおすすめです。
魚のイメージを改善しよう!
家の子供は魚料理が大好きなのですが、それは私の刷り込みの結果だと思っています!
魚嫌い克服のためには、レシピの前に、子どもが魚を食べたくなるような気持ちに改善させるところから始めましょう。我が家では、みんな知ってるあのクレイアニメ"ピングー"を見せていました。
ピングーはペンギンをモチーフとしたキャラクターであり、魚を主食としてます。アニメの中のピングーはなんとも魚を美味しそうにペロンっと食べます。この方法で、うちの2歳児は魚を美味しいものだと思い込んでいます!
我が家の魚のレシピを紹介します。定番とも言えますが、鮭のホイル焼きです。生臭さが残らないように、料理酒、塩胡椒で5分程度つけておきます。アルミホイルの中にモヤシやえのきなど、好きな具材を入れます。そのあとにつけておいた鮭を入れましょう。もし骨が多い場合はきちんととっておきましょう。
ホイルを魚焼きグリルに乗せ、弱火で10分様子を見ながら焼いていきます。鮭に火が通り始めたら、醤油をかけます。次いで、子供が好きなマヨネーズをかけます。完全に鮭に火が通ったら完成です。鮭は臭みがあまりなく、またマヨネーズなどで味付けをしているのでとても食べやすいですよ!
大好きな揚げ物なら骨も気にならない
フライや唐揚げなど、揚げ物にすることで喜んで食べてくれる子供は結構います。衣の香ばしさが魚の生臭さを気にならなくしてくれますし、カリカリに揚げれば骨もそのまま食べられます。
子供大好き揚げ物パワー!
2歳の息子は煮魚や焼いただけの魚はあまり食べてくれません。しかし揚げ物にすると不思議とたくさん食べてくれます。アジフライや鯖の竜田揚げ、そして1番好きなのは唐揚げです。家でいつも使用する魚はメカジキです。
醤油とお酒とニンニクと生姜、後は柔らかくする為に少しゴマ油を入れて下味をつけます。味が染み込んだら粉をつけて揚げるだけ!我が家ではいつも米粉を使用しています。カラッと揚がるので美味しいですよ。中々食べてくれないとつい揚げ物にしちゃいます。
その他にも、鮭はそのままだとあまり食べてくれませんが、焼いてフレークにして、ご飯に乗せるとよく食べてくれます。鮭を中々食べないお子さんがいたら1回試してみてほしいです。
すり身は応用力抜群!お魚の見た目が苦手な子にも!
缶詰を使うレシピはご紹介しましたが、同じように魚のすり身なら骨もなく、調理も簡単です。「魚=食べるのが大変で面倒」というマイナスのイメージを改善できます。
見た目をお魚だとわかると嫌がる、魚だとわかると食べてくれない、そんな時にも重宝します。
手づかみ食べ絶頂期にピッタリ!
1歳になったばかりの大食いの娘がいます。そんな娘が大好きな魚料理はアジのハンバーグ、名付けてアジバーグです。材料もつくり方も簡単です。
冷凍で売られていた、アジのすり身と片栗粉とお水少々、戻したひじきを使います。作り方は、解凍したアジのすり身と上記の材料をほどよく混ぜ、スプーンなどでお子様の手づかみサイズに合わせて、軽く油を敷いたフライパンで焼くだけなんです!
卒乳した娘の場合、鉄分をとりたかったのでひじきを入れましたが、ひじき以外のものでも構いません。ちなみに、冷凍のアジのすり身は宅配食材のパルシステムで購入することができます。商品名はとれとれあじというものです。
写真は、1歳用に小さくしていますが、大人もおいしく食べられます。お弁当にも便利な我が家の定番おかずです。
子供にも食べやすい商品も上手に活用!
子供が魚を食べる時に、心理的なハードルとなるのが、骨や皮の存在です。最近では、最初から骨や皮が除かれた状態で販売されている切り身なども販売されており、子供が食べやすく、ママも調理しやすいため、人気を集めています。
魚の味ではなく「骨がイヤ」「箸で食べにくい」ことが原因で魚嫌いになっている子供は、こうした商品も上手に活用していきましょう。
コープ宅配のサイコロカットは使えます!
コープの宅配で売っている“おさかなのサイコロカット”という商品で作った「コロコロムニエル」です。あらかじめ骨と皮が取り除かれているので、我が家では離乳食時期から重宝していました。
レシピ手順は、お魚の水気を切って塩コショウをします。そして小麦粉か片栗粉を薄くまぶして、バターをひいたフライパンで焼きます。お魚に火が通ったら醤油を回し入れてすぐに火を消します。醤油を入れると焦げやすいのですぐに器に盛り付けて完成です。
とても簡単ですが、コロコロと食べやすく、バター醤油は子供が大好きな味なので、この料理ならパクパクと食べてくれています!
子供たちは本当に魚嫌いなのか?
データでみると、子供たちの魚の摂取量が減少しているのは間違いありません。しかし、大日本水産会のアンケートによると、子供に魚料理が好きかどうか聞いたところ、好きは45,9パーセント、普通は43,6パーセントで、嫌いは10,6パーセントでした。
この数字をどう見るかは意見の分かれるところですが、別の企業のアンケートで、家族の中で「お寿司が食べたいと最初にいうのは誰ですか」という質問には、43,4パーセントが子供であるという回答があり、回転寿司などは子育て世帯にとっては子供が喜ぶ日常的な外食であることが示されています(注4)。
魚介類の摂取量こそ減少傾向にありますが、子供は魚そのものが嫌いなのではなく、魚の種類や調理法によっては、魚をおいしいと思って食べられることも多いのではないでしょうか。生臭さや骨の処理など、子供が魚を食べる上でのハードルを下げ、調理法を工夫すれば、魚嫌いは克服できそうですね!
参考文献