孤食で子供がわがままに!?悪影響と今すぐ始めたい7つの対策
家族で楽しく食卓を囲むことは当たり前のことと思われがちですが、核家族や共働き、一人親家庭が増える現代社会では、子供だけで食卓を囲む孤食家庭が増えています。こういった子供の孤食は問題視されていますが、実はどのような悪影響があるのか、具体的に知らないパパやママも多いですよね。
そこで今回は、孤食が子供に与える悪影響について解説しながら、孤食の問題点、忙しいパパやママにもできる孤食対策などについてご紹介していきます。
子供の孤食とはいったい何?
孤食とは、家族がそろってご飯を食べることができず、大人が不在のまま子供だけで食事をとることをさす言葉です。核家族でパパやママとも忙しく働いている、塾のために子供だけが外食をせざるを得ないなど、家族がそろって食卓を囲むことが難しいという家庭は年々増えています。
孤食の問題は、女性の社会進出が盛んになってきた1980年代頃から、現代社会の側面を象徴する問題として注目を集めてきましたが、今は単純に子供が淋しく食卓を囲む「孤食」だけではなく、次のような様々な孤食問題が指摘されています。
- 孤食
- 個食
- 固食
- 小食
- 粉食
- 濃食
- 五食
子供一人だけで食べる食事
家族と一緒でもそれぞれ別メニューの食事
同じものばかりに固定した食事
意識的に行っている少食
パンや麺、ピザなど粉が主原料の柔らかく早く呑み込める食事
スナック菓子など塩分糖分が過剰な濃い味付けの食事
朝昼晩の3食以外に、間食や夜食がプラスされ1日5食
他にも戸食や混色など、いくつものコ食問題があると指摘されています。
孤食の子供はわがままに!?10の悪影響
食事の時間はただ単に栄養を摂取するだけでなく、家族で一日の出来事を報告しながら過ごす大事な時間です。こういった時間を持てないことで、子供達にはどのような悪影響があるのでしょうか?孤食に慣れた子供達が受けやすい、10の悪影響についてご紹介します。
1孤食の子供は個食になりがち
食卓を囲むということは、一つの食事を仲良くみんなで分けあうことを学ぶ場でもあるのですが、子供だけで食事をとっていると、どうしても子供は自分の好きな物だけを、好きな量だけ食べるようになってしまいます。
このように、家族がバラバラのメニューを食べる個食は、食べ物を他人と一緒にシェアする機会を持てなくなったり、欲求のままの食事になるため我慢する経験が不足したりして、協調性が身につかず、わがままな性格になりがちです。
2孤食の子供はコミュニケーション能力が欠如しやすい
家族が集まって食卓を囲んでいると、自然と会話が始まりますが、子供だけで黙々と食事をしているとコミュニケーション能力が育ちません。そのため自分の気持ちを相手に伝えることや、相手を信用することができなくなり、将来的に他人と交友関係を結ぶことが難しくなってしまいがちです。
3孤食の子供は好き嫌いが多くなる
大人が一緒に食事をしていると、「好き嫌いをしない」「食べ残しをしない」など注意をされますが、子供だけで食事をしていると、好きなものしか食べない固食になりがちです。そのため自分の嫌いなものや慣れないものは一切受け付けない、何事にも好き嫌いの激しい、扱いにくい性格になってしまう可能性が指摘されています。
4孤食の子供はキレやすくなる
食事は栄養を摂取するだけでなく、食べ物に感謝し命の大切さを学ぶ場所ですが、こういった食育は、大人が側で指導をしてやらないと子供が学べるものではありません。そのため長い間孤食に慣れた子供は命の大切さを軽視し、他人を尊重することができなくなり、なんでも自分の我を通そうとキレやすい性格になってしまいがちです。
5孤食の子供は栄養状態が悪くなる
子供の身体は成長するために大人以上の栄養やカロリーを必要としていますが、子供は放っておけば栄養のことなど考えず、自分の好きなものだけを食べてしまいます。そのため個食や固食に慣れてしまい、必要な栄養をバランスよく摂取することができなくなり、身体の栄養状態が悪くなるだけでなく、発達にも悪影響を及ぼす可能性があります。
6孤食の子供は無気力になりやすい
食の細い子供でも、大勢で楽しく食卓を囲むと競い合って食事に手を出すようになり、食事量がアップしやすいのですが、子供だけで食事をしていると食の楽しみを実感できないため食事量が伸びなかったり、無理なダイエットをしても注意する人がいなかったりすることで、「小食」になってしまう傾向があります。
そのためいつも食欲がなく、体の成長や維持に必要なエネルギーや栄養素を確保できなくなり、気力が続かずに無気力な性格になりがちです。
7孤食の子供は味覚が育ちににくい
私たちは食べ物の味を舌にある味蕾(みらい)で感じますが、人は食べ慣れた好みの食べ物を「美味しい」と脳にインプットすることが多く、味蕾が発達する時期に甘味や塩味に慣れてしまうことで、濃い味付けばかりを好む濃食になりがちです。
8孤食の子供は食事のマナーが悪くなる
小さい頃は家族とだけの食卓ですが、成長すれば友人や知人、時には職場の関係者など、不特定多数の人たちと同じテーブルで食事をとる機会が増えてきます。そんな時に大切なのが、小さい頃から習慣的に家庭で教わってくる食事のマナーですね。
孤食の子供は食事のマナーを親から受け継ぐことができないために、食事中に周りの人に嫌な思いをさせてしまうなど、マナー違反をしがちで集団生活に馴染めなくなることがあります。
9孤食の子供は肥満になりやすい
食事は多くの食材からバランスよく栄養をとる必要がありますが、大人がいない孤食に慣れた子供は、パンやピザ、パスタなどの粉を使った柔らかい粉食になりがちです。粉を使った粉食は柔らかいため噛む回数が少なくなることから満腹感をえられないため、子供が大食いをしてしまいがちになります。
また、洋食が多いためカロリーが高く、淡泊な味を補うソースや動物性の脂肪が使われていることが多いので、肥満になりやすい傾向があります。
10孤食の子供は生活習慣病になりやすい
いま糖尿病や動脈硬化などの、小児生活習慣病(小児成人病)にかかる子供が増えていることが社会問題になっていますが、親が食事の内容を見てやれず、暴飲暴食や濃食、固食などを繰り返していると、炭水化物など糖分の過剰摂取でビタミンB1不足になったり、塩分の摂り過ぎで肝臓に負担がかかったりするなど、子供の頃から小児生活習慣病などの健康被害が心配されます。
また、将来的に味蕾が減少することでさらに濃食を求めるようになり、より生活習慣病になるリスクが高くなるのです。
一緒に食べればそれでいい?孤食の問題点
孤食の悪影響はお分かりいただけたとおもいますが、「それじゃあ、とにかく子供と一緒に食事をすればいいのか」と考えているパパやママに、孤食の問題が親と一緒に食卓を囲むだけで解決しないケースもあることもご紹介します。
近年、同じ食卓についていても親子それぞれが携帯やスマホをいじっていて、ろくに会話をしないで食事をとる家庭が増えています。しかし、これでは孤食の状態と何の替わりもありません。子供を孤食の悪影響から守るために親ができることは、親が無理をして子供の生活にあわせるのではなく、親と子供の生活の中で共有できる部分を増やす努力をしていくことです。
一緒に食事がとれないことを悔やむのではなく、食事以外で子供と過ごす時間を積極的にとり、一日に食べたものについて話をして子供の食生活の状況を把握し、適確にアドバイスをするなど精神的な子供の孤食を防いであげることが重要です。
孤食の子供の増加は、国の統計結果にも…
子供の孤食問題は今から30年以上前から問題視されてきましたが、子供の成長においてさまざまな悪影響があると指摘されながらも、一向に改善される気配はありません。むしろ最近の調査結果からは、小学生の10人に1人、中学生の4人に1人は孤食で朝食を子供一人で食べている、子供と毎朝一緒に食事をする親は全体の半分にも満たないなど、孤食が社会的に進んでいることがわかっています。
なぜ問題視されていながら子供の孤食はなくならないのでしょう。その原因は、現代の社会ではいくら子供のためとはいえ、親が仕事やライフスタイルを変えることが難しいからです。子供と一緒に食事をするために仕事をセーブすれば収入がなくなって、家族が路頭に迷ってしまうのでは本末転倒ですよね。ですから、孤食の改善は非常に難しいのです。
また、最近は子供の頃に孤食を経験した若い世代が親となり、家族の団らんよりも個人の自由を尊重するなどの社会的な変化も起きています。さらに高齢者の独居世帯も増え、家族であってもそれぞれ好きなスタイルで食事をとることを好む高齢者が増えていますので、子供の孤食問題は今後も続いていくことでしょう。
このように孤食は決して「淋しいからダメ」とか、「悪影響しか与えないからダメ」といった、頭から否定して解決できる問題ではないため、食事の仕方のバリエーションの一つとして受け入れながら、少しでも子供への悪影響をおさえる接し方を大切に考えていくことも大切なのではないでしょうか。
忙しいパパママにもできる!7つの孤食対策
仕事に家事に、子供のPTAからご近所付き合いまで、現代の親世代は本当に忙しいのが実情で、なかなか子供と過ごす時間を捻出できない家庭も多いですよね。ですが、それを負い目に感じる必要はありません。少し考え方を変えたり、方法を変えたりすることで、自分のライフスタイルを乱さずに子供の食事や生活に寄り添うことはできるんです。
子供が既に孤食の場合も、これから対処することで子供の意識を変えていけます!忙しいパパやママでも孤食の悪影響を防ぎ、子供に最大限の愛情を伝えていく方法を7つご紹介しますので、参考にしてみて下さいね。
1「孤食=悪いもの」と否定しない
親にとって孤食にはマイナスイメージがつきまといますが、孤食を悪いものと考えることと頭ごなしに否定する考え方をやめてみませんか?大人が好きなものを食べたいように、子供だって自分で食事を選び好きなものを食べる自由が欲しいのです。自分で好きなものを選択する自由は、子供の自主性を育てるといった良い一面もありますよ。
親が子供の食事について「こうあるべき」と押し付けをしてしまうと、子供は反発して受け入れにくくなってしまうことがあります。食卓は親子でそれぞれの協調性を養っていく場所ですので、子供の意見を尊重し、コミュニケーションを楽しみながらどうしたら栄養がとれて健康に過ごせるかを、子供と一緒に考えていきましょう。
2食事中はコミュニケーションに集中
せっかく家族で食卓を囲む機会を持てたのであれば、余計なことに気をとられず食事と家族の会話に集中しましょう。テレビや新聞、スマホなどは気が散ってしまうので片付けた方がいいですね。食事をするのは30分から長くても1時間程度のことですから、食卓の周りを片付けてコミュニケーションに集中しましょう。
家族で一緒に食卓を囲む場合には、家族がそろって喜んで食べることができるメニューの工夫も必要です。普段は忙しくて子供を孤食にさせていても、一緒に食事をする時に「美味しい」「楽しい」と感じさせることで、食の楽しみや愛情を伝えていきましょう。
3食卓のバラつきをカバーする
個食で家族の好み違ってしまっても、できるだけ「同じ食卓」という意識が持てるように献立を工夫しましょう。
例えば、子供がグラタンを食べたがったら、子供はグラタンで親は野菜のホワイトソースがけにする。ピザを食べたがったらその日は子供に合せて譲り、翌日はパパやママの好きなものに合せるように話し合って献立を決めるなど、「一緒に食べている」という気持ちや協調する感覚を養う機会を増やしましょう。
とはいえ、忙しい中でなかなか難しいときは、サラダの小鉢だけ同じものにしたり、箸休めの一皿として同じものを添えたりするだけでも効果はあります。お惣菜や冷凍食品なども上手に活用して、手間を最小限にして食卓のバラバラ感を防ぎましょう。
4子供の好みを理解する
食事を作っている親の立場からすれば子供の好き嫌いは頭痛のタネですが、子供の好き嫌いを頭から否定して強制しようとするのはやめましょう。日頃は孤食でせっかく同じ食卓を親子で囲めたのに、親はガミガミ、子供はイヤイヤ食事をしているのでは、子供は食の楽しみを味わえませんし、ストレスが溜まって孤食以上の悪影響が出てしまいます。
好き嫌いをする子供にとっても、全て気に入らない料理を押し付けられるよりは、子供の好きな味を混ぜながら「これだけは食べてね」と言われた方が、課題はクリアしやすいはずですよ。少しずつでも嫌いな物を克服できれば自信につながりますので、お手伝いしてあげましょう。
5忙しくても手を止める
「食事の用意に時間がかかる」「他の家事が忙しい」など子供だけ先に食事をさせる場合でも、少しの時間でいいので手を止めて、食事中の子供と会話を楽しむ余裕を持ちましょう。忙しがっていると見逃しがちですが、手を止めて余裕をもって食事中の子供を見ることで、子供が好き嫌いをしていないか、マナー違反をしていなかをチェックすることができるはずですよ。
子供にとって必要なのは親と親密に過ごす時間であって、長くなくてはいけないというルールはありません。「お味はどう?」と一声かけるだけでも、子供は気にかけてもらっているという愛情を感じることができますので、パパやママは心に少しだけ余裕を持って子供と接しましょうね。
6メッセージを添える
都合が合わずに食卓を一緒に囲めない場合は、子供が食事をするときに見ることができるようにメッセージを添えるのがおすすめです。子供が孤食の家庭でも、些細なことで子供への愛情を伝えることは可能です。メモ書きでもいいので、「あなたのことを気にかけている」ということを伝えることが大切!
子供が携帯電話やスマホを持っている場合には、メールやLINEでタイミングよく、「いただきます」や「ごちそうさま」の挨拶を交わし合うのもいいですね。食事内容をブログにアップして、家族で食事を共用する家庭もありますので、見習ってみてはいかがでしょうか。
7イベントを大事にしましょう
普段は一緒に食事をすることが難しくても、クリスマスやお誕生日など、家族のイベントはできるだけ予定をあわせて、ちょっと豪華な食卓を囲みましょう。淋しい記憶よりも、楽しい記憶の方が将来にわたって長く心に残りますから、思いっきり盛り上げて良い思い出を残してあげましょう。
食育といった意味合いでは親子で一緒に食事をとる場合、子供も用意に参加させることが大切です。「一緒に食材をカットする」「盛り付ける」「お皿を運ぶ」などの作業も、子供にとっては家族で囲んだ食事の思い出となって残りますし、パパやママも手間も減らすことができるので、食事は食べるだけでなく用意の段階から子供と一緒を心掛けましょう。
孤食と向き合い家族の絆を深めよう!
孤食にはさまざまな悪影響があることが指摘されていますが、そういった悪影響を知ったうえでも、子供と一緒に食卓を囲むことができない家庭は多いものです。子供と一緒に食事をする機会が持てないことで「自分はダメな親だ」と感じる必要はありません。今自分ができる範囲の中でチャンスを作って、子供の食生活に目を配りながら家族の絆を深めていきましょう。
いま、私たちの社会は夜中まで空いているスーパーやコンビニがあって、子供だけで食事をとることが昔に比べればはるかに簡単になっていますが、やはり親と一緒に囲んだ食卓の思い出は格別です。そういった思い出は子供自身が親になった時の育児に活かされ、次の世代に繋がっていく大切な思い出なので、あきらめずにできるだけ親子で食卓を囲む機会を作ってみて下さいね。