食べムラはいつまで続く?赤ちゃん〜1歳、2歳、3歳以上の年齢別対策!
子供の食べムラがひどいと、栄養面が心配になるとともに、料理の作りがいが感じられませんよね。
離乳食や幼児食は、大人用の料理とは硬さや大きさが違い、やはり手間がかかります。「今日は食べるかな?」とソワソワしながらの食事作りは、精神的な負担も大きいものです。
子供の食べムラはどうすれば改善に向かうのでしょうか?
まずは、食べムラが起こりやすい時期や原因など、食べムラの実態を理解しましょう。そして、離乳食を開始した赤ちゃん〜1歳の離乳食完了期、イヤイヤ期の2歳代、基本的な生活習慣が身に着いた3歳以上の子供たちの発達合わせた食べムラ対策をお伝えします。
食べムラとは?
食べムラとは、食事を食べる時と食べない時の差が激しいことを指し、ムラ食いと言われることもあります。
幼児期は、1日の食事における食べムラが大きく出やすい時期とされており、厚生労働省が2〜6歳児の保護者を対象に行ったアンケート調査では、子供の食事の悩みとして、1位が「食べるのが時間がかかる」、2位が「偏食」、そして3位が「食べムラ・ムラ食いがある」という結果がでています(注1)。
食べムラはいつから始まる?
食べムラが起こりやすいのは、自我が芽生える2歳前後です。
厚生労働省の調査では、2歳代では、30パーセント以上の保護者が子供の食べムラに悩んでいるという結果がでています(注2)。
赤ちゃん〜幼児期にかけては食べる時期・食べない時期を繰り返すのも、よく見られる光景です。
同調査では、赤ちゃんの離乳食に関しても保護者にアンケートを取っていますが、食べる量が少ない、食べるのを嫌がるなど、75%の保護者が離乳食に関してもなんらかの悩みを抱えていました(注3)。
赤ちゃんや幼児の食事に関しては、なんの心配もなく、スムーズに進むケースの方が珍しいとまずは気持ちを楽に構えましょう。
食べムラはいつまで続くの?
同アンケートによると、2歳代では30パーセント以上の保護者が食べムラに悩んでいたのに対し、3歳、4歳では25%程度、5歳以上になると、18%程度と徐々に減少しています(注4)。
焦らずとも、食べムラ・ムラ食いは子供の成長とともに、自然と解決していくケースが多いと言っていいでしょう。
精神的な発達という面でも、4〜5歳頃になると、食事のマナーが習慣化されますし、知能面も発達し、先のことを予測した行動がとれるようになります。「嫌いだけど頑張ろう」「あとでお腹が空くと困る」と自分で判断ができるようになるのです。
食べムラの原因とは?
子供の食べムラの原因とは、どこにあるのでしょうか?
「食欲」とは心身の要素が絡み合ったもの
食欲は、お腹の減り具合だけが関係しているのではありません。その日の疲労感や身体が欲するエネルギー量、ホルモンのバランス、味の好き嫌いや「今、食べたいもの」と「目の前にある料理」のギャップなど、多くの要素が絡んできます
子供も人間ですから、その時々に応じた食欲があります。大人に比べて胃が小さいため、食欲がないと本当に少食に見えますが、過度の心配はいりません。
子供は集中すると、食事への関心を失いがち
大人でも1度集中すると、お腹が空かない、食事がいらなくなるというタイプの人がいますが、子供は大人以上に遊びなど他に夢中になることがあると、食事に関して無関心になってしまいます。
大人は「今は食事を取る必要がある」と頭でわかっているので、大抵決められた量を食べることができます。しかし、小さな子供たちは、「食事よりもやりたいこと」がある場合、すぐに気持ちが切り替えられません。
食べムラは1週間のトータルバランスで考えてOK
食べムラが激しい子供を見て、親が1番に心配するのは、栄養面です。
食べムラが激しい時期は、1食単位の栄養バランスを考えるのではなく、1週間単位で栄養素をだいたい満たしているかを基準にしましょう。中期的なスパンで見ることで、お世話するママ側の心理的負担も軽くなります。
また、成長期にある子供は、その子にとっての適切な食事量に大きな差があることも念頭に置いておきましょう。少食でもぽっちゃりしている子もいれば、人よりもたくさん食べてやっと標準のラインに乗る子もいます。
食べムラがあっても、子供が元気に活動できる、その子なりのペースで身長・体重が少しずつ増加しているのなら、問題のないケースがほとんどです。
子供の食べムラ年齢別対策
食べムラが起きてしまう理由は色々ありますが、発達段階における課題が、食べムラという行動に出ていることもあります。
栄養バランスは1週間単位で考えれば問題ありませんが、あまりにも食べムラがひどい、できるだけ改善策を取りたい、食事の準備をどう考えるべきかわからないというママ向けに、年齢別の食べムラ対策をまとめました。
0〜1歳児の食べムラ対策
食べることに慣れていない0〜1歳児の食べムラは、成長によって自然と解決されることが多いです。
1歳前後だとまだ卒乳していない赤ちゃんもいますし、奥歯が生え始めるのが遅い子もいます。一般的に離乳食の完了は1歳半頃と言われますが、0〜1歳代は食事に関して非常に個人差が大きい時期で、食べムラもよく見られる光景です。
離乳食初期や中期のドロドロした食感が嫌いで、離乳食完了期のメニューや幼児食に移行した途端に、食べムラを起こさなくなることもあります。また、本格的に歩きはじめると、消費カロリーが増えるので、自然と食べムラが解消されるケースもよく聞かれます。
離乳食は頑張らない
硬さや味付けが大人の料理とは違う離乳食はやはり手間がかかり、食事作りに担うママの負担になっていることも多いでしょう。わざわざ赤ちゃん専用に用意したご飯なので、食べムラがあるとガッカリしてしまいます。
ですが、離乳食とは、子供時代のごく短い時期の食事に過ぎませんし、残されて嫌な気持ちになるなら、頑張る必要はありません。冷凍や大人用の料理からの取り分け、時には市販品などで、できるだけ簡単に済ませましょう。
1歳半を過ぎ、奥歯が生えてきたら、幼児食に移行します。味付けはまだまだ薄味ですし、食材の大きさに注意は必要ですが、献立は大人とほぼ同じで大丈夫ですので、食事作りの手間は随分減るはずです。
2歳児の食べムラ対策
食べムラが最も出やすい2歳代の食べムラ対策は、「そのうち食べるだろう」という気楽さも必要です。子供もお腹が減ったら食べますし、完食したら「全部食べられたね」と褒めれば自信になり、次の食事への意欲もわきます。
幼児食が本格化する時期で、色々と食べさせたくなりますが、離乳食同様、食事作りで無理をする必要はありません。
「魔の2歳児」という言葉があるように、イヤイヤ期に入ると「育児が辛い」と感じるママも増えますから、食事面でストレスを溜めるのは極力控えましょう。
食べたい・食べたくないは本人の意思を尊重
イヤイヤ期というのは、言い換えれば自我の芽生えでもあり、成長の証です。なんでも自分でやってみようとするのと同じように、「これはやりたくない!」と主張するのも立派な意志の表れです。
大人が「ダメ!」「言うとおりにしなさい!」といつも規制ばかりしていては、子供の成長を阻害してしまいます。時には本人の意思を尊重し、食べたいか、食べたくないかの判断を本人に任せても良いでしょう。
食べムラによる空腹は、補食でカバー
食べムラが激しい時、親が困るのが後になって「お腹が減った」と駄々をこねることです。「さっき食べなかったのはあなたでしょ!」と言いたくもなりますが、自己主張はできても、その後の結果を予測できないのが2歳という年齢の子供たちです。
ですが、この際にクッキーやチョコレートなど、子供が大好きな甘いおやつを与えてしまうと、ご飯を食べなければおやつがもらえると勘違いしてしまいます。
そんな時は、1日3食を4〜5回に分けるイメージで、補食を与えるようにしましょう。おにぎりやバナナ、いも類、小魚、ヨーグルトなどが調理の手間も少なく、おすすめです。食べムラによって、残されたお味噌汁やスープは捨てずに温めてもう1度出しましょう。野菜も摂れますし、残り物が片付きます。
3歳児以上の食べムラ対策
2歳の時よりは食事のマナーが身についていますが、まだまだ遊びたい盛りです。3歳児以上の食べムラ対策は、2歳児の対策を引き継ぎながらも、生活習慣やルールを意識させながら取り組んでみましょう。
3歳を過ぎると、コミュニケーションも円滑になり、記憶力もグンとアップします。知恵がついてくる分、過去に食べて嫌だったものは食べない、「緑のものはおいしくない」などと、子供独自に推測するようになります。
ご飯とおやつの区別をしっかりつける
「食事は1日3回」「ご飯とおやつは違うもの」「お風呂が終わったら寝る時間」など、生活における決まりごとが少しずつ身についてきます。
その延長で、ご飯とおやつの区別をしっかりつけるように意識させましょう。「ご飯の時間にはおやつは食べない」「食べたくてもおやつの時間まで我慢する」など、規則正しい生活が身についていけば、食べムラ対策にとって最も大切な空腹感が得られやすくなります。
食育で食べる喜びを
3歳を過ぎれば、簡単なお手伝いができます。食事を作る様子を見せたり、食材に興味をもたせたりして、積極的に食への興味を育てていきましょう。
野菜をプランターで育てるのもおすすめです。自分で育てたものを収穫して食べる喜びは、他ではなかなか味わうことができないものです。
3歳、4歳を過ぎても食べムラがある子供の中には、もともと食への興味が薄い子も一定数います。家庭でできる食育をして、食に対する視野を広げてあげられればいいですね。
参考文献
- 注1、2、3、4:厚生労働省 平成27年度 乳幼児栄養調査