子供の言葉遣いを直す方法 乱暴になる原因と家庭でできる関わり方
「うるさい」「バカ」など、ある日突然、子供の口から飛び出す暴言。たどたどしい言葉遣いが可愛かったわが子が、そんな憎まれ口をたたくようになって、思わずショックを受けるパパやママは少なくありません。
言葉の乱れは成長の証とも言われ、子供が大きくなっていく過程では自然なことでもあります。とはいえ、いつでもどこでも乱暴な言葉遣いをしているのは、親として見過ごせませんよね。
この記事では、子供の言葉遣いが乱れる原因を年齢別・環境別に整理したうえで、家庭でできる直し方や声かけの具体例、そしてやりがちだけれど逆効果になりやすいNG対応までまとめました。今日から取り入れられるヒントを見つけてみてください。
子供の言葉遣いはいつから悪くなりやすい?
子供たちも、言葉を覚え始めたばかりの頃から、いきなり乱暴な言葉を使うわけではありません。子供は周りの環境から、スポンジのように言葉を吸収していきます。
とくに保育園や幼稚園、小学校への入園・入学のタイミングで、「急に言葉遣いが悪くなった」と感じるママやパパが多いようです。環境がガラリと変わり、たくさんの刺激を受ける中で、子供は良い言葉も悪い言葉も一緒に覚えていきます。
この時期の子供は、どの言葉が「良い言葉」でどの言葉が「悪い言葉」なのか、どんな場面でどんな言い方がふさわしいのかを、まだ正確には判断できません。さらに「新しく覚えた言葉を口に出してみたい」という好奇心が強い時期でもあるため、親から見ると言葉遣いが一気に悪くなったように感じられるのです。
年齢によって、乱れやすい言葉の種類には少しずつ傾向があります。あくまで目安ですが、次のように捉えておくと、慌てずに関わりやすくなります。
| 年齢の目安 | よく見られる傾向 |
|---|---|
| 3~4歳ごろ | 「うんち」「おしり」など下品な言葉を言って、大人の反応を面白がる |
| 5~6歳ごろ | 「バカ」「あっち行け」など、友達との関わりの中で覚えた言葉が増える |
| 小学校低学年 | テレビやゲーム、動画のセリフをまねて、一時的なブームのように繰り返す |
| 小学校中学年以降 | 「うざい」「キモい」など、仲間内で使う言葉で気持ちを表そうとする |
たとえば、食卓で何度も「うんちー!」と言ってケラケラ笑う3~4歳の姿に、「うちの子は大丈夫かな」と不安になるかもしれません。けれど、この時期の言葉遊びの多くは、意味そのものよりも、大人が驚く反応そのものを楽しんでいることがほとんどです。深刻に受け止めすぎず、「その言葉は食事の時間には合わないね」とさらりと伝える程度で十分なこともあります。
乱暴な言葉遣いの原因
時に子供は「どこでそんな言葉を覚えてきたの!?」と驚くような言葉遣いをします。一体、何が子供の言葉に影響を与えているのでしょうか。主な原因を、環境と気持ちの両面から見ていきましょう。
テレビやゲーム、動画、漫画の影響
小学校低学年くらいまでの子供は、テレビやゲーム、動画、漫画からの影響を受けやすいものです。何気なくついているテレビのセリフ、ゲームのキャラクターの決め台詞、漫画のワンフレーズが耳に残り、一時的なブームのように繰り返して口に出すことがあります。
子供に見せるもの、与えるものは、大人が内容を把握しておくことが大切です。とはいえ全部をチェックするのは大変なので、「一緒に見て、気になった言葉はその場で話題にする」くらいの気持ちでいると続けやすくなります。
パパやママ、家庭内の影響
子供の言葉遣いに最も大きく影響する環境は、実は家庭の中にあります。
上に兄弟姉妹がいる子は、お兄ちゃんやお姉ちゃんの影響で比較的早く言葉が乱れることがあります。ただ、そのお兄ちゃんお姉ちゃんがどこから影響を受けたかをたどると、やはり一緒に暮らすパパやママの言葉にたどり着くことが多いのです。
普段は優しい言葉遣いでも、怒っているとき、子供を叱るとき、夫婦で言い合いになったときなどに、思わず強い言葉が飛び出していないでしょうか。言葉のイントネーションや口癖は、親子で似てくるものです。
「時々怒るときだけだから大丈夫」と思っていても、子供にとっては怒られたときの言葉ほど強く印象に残り、まねしやすいものです。上の子が下の子を叱るときの口調が、ママやパパにそっくり、という話はよく聞かれます。
もし親に思い当たることがなければ、祖父母や叔父叔母、いとこなど、子供が身近に接している相手の言葉遣いも振り返ってみましょう。
「気持ちをうまく言葉にできない」という心の動き
環境だけでなく、子供の内側の事情も乱暴な言葉と関係しています。話し始めて間もない子供は、まだ語彙が少なく、複雑な気持ちにぴったりの言葉を見つけられません。そのため、覚えやすい「バカ」「うざい」を、いろいろな嫌な気持ちにまとめて当てはめてしまうことがあります。
これは大人でも同じで、うれしい気持ちをなんでも「ヤバい」で済ませたり、困ったことを「サイアク」の一言で片づけたりしがちですよね。子供の場合はその幅がもっと狭いだけなのです。
また、乱暴な言葉には「大人の反応を引き出したい」「もっと注目してほしい」という気持ちが隠れていることもあります。悪い言葉を言うと大人が慌てて反応してくれる、その手応えが面白くて繰り返す、というパターンです。言葉そのものより、その裏にある気持ちや目的に目を向けることが、対応の第一歩になります。
たとえば、積み木が崩れて「もう、バカ!」と叫んだとき。頭ごなしに叱る前に、「うまくいかなくて悔しかったんだね」と気持ちを代わりに言葉にしてあげると、子供は「この気持ちは“悔しい”なんだ」と少しずつ学んでいきます。
子供の言葉遣いを直す4つの方法
乱暴な言葉遣いは、一朝一夕で直るものではありません。毎日の暮らしの中で、少しずつ働きかけていくことが近道です。ここでは家庭で取り入れやすい4つの方法を紹介します。
1テレビやゲームは制限し過ぎず、親が関わって都度指摘する
「みんなが見ている番組を見られない」「みんなが持っているゲームがない」というのは、子供にとって大きなショックです。「悪い言葉につながるものは見せない、与えない」という考え方もありますが、子供には子供の世界があり、極端に制限すると、後で反動が大きくなってしまうこともあります。
悪いイメージだけで遠ざけるのではなく、パパやママも一緒に見たり遊んだりしてみましょう。隣にいれば、作品の中で乱暴な言葉が出てきても、「今の言い方、ちょっと嫌な感じがするね」とその場で話題にできます。見せっぱなし・与えっぱなしにせず、大人が一緒に関わることが大切です。
2パパやママ自身の言葉遣いを見直す
大人でも、自分の言葉の癖を直すのは簡単ではありません。けれど、パパやママができないことを子供にだけ求めるのは、少し酷ですよね。
子供に「その言葉やめなさい」と言う前に、まずは自分たちの言葉が乱れていないかを見直すことから始めましょう。叱るときも、できるだけ乱暴な口調にならないよう心がけたいものです。
子供に直接乱暴な言葉を使っていなくても、親同士のやりとりを子供はよく聞いています。パパがママに「おい、お茶」「早くしろよ」と命令口調で話していれば、子供も同じようにママへ接するようになります。
家族みんなが気持ちのよい言葉で話していれば、正しい言葉遣いは自然と身につきます。ここで言う丁寧な言葉遣いとは、すべてを敬語にすることではなく、お互いが気持ちよく過ごせる言い方を選ぶ、ということです。
3その言葉を使ってはいけない理由を明確に伝える
子供は、相手がどう受け取るかを深く考えずに言葉を口にしてしまうことがあります。「その言葉はダメ」とだけ言われても、なぜダメなのかが分からなければ、また繰り返してしまいます。なぜ乱暴な言葉遣いがいけないのか、その理由をきちんと伝えるようにしましょう。
「自分の言葉で相手が傷つくこともある」と実感してもらうには、同じことを言われたらどう感じるかを、子供自身に考えさせるのが効果的です。また、目上の人には丁寧な言葉を使うことは、社会に出てからも役立ちます。小さいうちから根気よく伝えていきましょう。
子供への声かけの例
・「うざいって言われたら□□ちゃんはどんな気持ち? ママは泣きたい気持ちになったよ」
・「バカって言われたら、ママは悲しい気持ちになるよ」
・「お茶がなあに? “お茶”だけじゃ、どうしてほしいか分からないな」
・「『○○やれ』って言われると嫌な気分になるから、優しくお願いしてほしいな」
・「おじいちゃんは△△くんより長く生きていて、いろんなことを知っていてすごいんだよ。教えてもらう立場だから、偉そうな言葉は使わないでおこうね」
4相手を傷つけない言い方と「気持ちの言葉」を増やす
「うざい」「キモい」は、中高生の間でも軽いつっこみのように使われますが、本来は相手をひどく傷つける言葉です。聞いている周りも気持ちのよいものではないので、子供が使ったら、その都度声をかけたいですね。
子供の「うざい」「キモい」は、言葉本来の意味というより、気持ちや状況をざっくり説明するために使われていることがあります。まずはこれらが相手を傷つける言葉だと伝えたうえで、その一言で説明を終わらせないように促してみましょう。
「嫌なときは“うざい”じゃなくて『やめて』って言うんだよ」「“キモい”じゃなくて『○○されると嫌な気分になるよ』って伝えようね」と、自分の気持ちを正しく伝える方法を教えてあげます。最初は難しくても、繰り返すうちに「こういうときはこう言えばいい」と分かるようになり、自分から言い換える力が育っていきます。
あわせて、「悔しい」「さみしい」「びっくりした」など、気持ちを表す言葉のバリエーションを普段の会話で増やしてあげると、乱暴な言葉に頼らずに済むようになります。
やりがちだけど逆効果になりやすいNG対応
よかれと思ってした対応が、かえって乱暴な言葉を長引かせてしまうこともあります。とくに次のような関わり方は、注意したいポイントです。
| つい、やりがちな対応 | 起こりやすいこと | 代わりの関わり方 |
|---|---|---|
| 感情的に怒鳴る・叩く | 恐怖で一時的に止まっても、見ていない所で使い続ける | 落ち着いた声で理由を伝える |
| 同じ言葉でまねしてからかう | 傷ついて自己肯定感が下がり、不信感が残る | 気持ちを代わりに言葉にする |
| 過剰に驚いて反応する | 「注目を引ける」と学習し、繰り返す | ふざけには大きく反応しない |
| 何を言っても毎回叱る | 叱られ慣れてしまい、効き目が薄れる | 本当にダメな言葉に絞って伝える |
たとえば、子供がわざと「バカ、バカ!」と言って親の顔をのぞき込んでくるとき。慌てて叱るほど、子供にとっては「大成功」になってしまいます。ふざけている様子が明らかなときは、あえて大きく反応せず、いったん距離を置くのもひとつの方法です。落ち着いたら、「さっきの言い方、ママは嬉しくなかったな」と静かに伝えれば十分伝わります。
ただし、人を強く傷つける言葉を口にしたときは別です。そのときは短く、はっきりと「その言葉は使わないでね」と、毅然とした態度で伝えましょう。
乱暴な言葉遣いが子供の友達の影響による場合は?
いつも親にべったりだった時期を卒業し、子供同士の世界ができ始めると、どうしても乱暴な言葉が増えることがあります。同じテンション・同じ言葉遣いを共有する仲間の輪ができているため、親が直させようとしてもなかなか手強く、無理じいすると反発を招くこともあります。
だからといって「乱暴な言葉を使う子と遊ぶな」とは言えませんよね。子供同士がふざけ合って楽しんでいるのが明らかなときは、ある程度は大目に見てあげることも必要です。大切なのは、相手や場面に合わせて言葉を使い分ける力を育てることです。
お友達と遊んでいる時と、先生と話す時では言葉遣いが違うこと。お友達と話す場合でも、休み時間と授業中では使い分けが必要なこと。こうしたTPOに合わせて言葉を選ぶ習慣を、普段の会話の中で少しずつ伝えていきましょう。
「おうちではくだけた言い方でもいいけれど、よその人にはこう言おうね」と、具体的な場面をセットで教えると、子供もイメージしやすくなります。
子供の言葉遣いに関するよくある疑問
最後に、子供の言葉遣いについて、パパママからよく聞かれる疑問をまとめました。
叱ってやめさせるのは逆効果ですか?
強く叱れば、その場では止まるかもしれません。ただ、恐怖で止めているだけだと、大人の見ていない所では続いてしまいがちです。理由を伝えたり、気持ちを言葉にする手助けをしたりする関わりのほうが、遠回りに見えて確実です。
何歳ごろまでに直るものですか?
個人差が大きく、一概には言えません。多くは成長とともに場面に応じた使い分けができるようになりますが、焦って完璧を求めるより、根気よく関わり続けることが大切です。
一度注意しても、また使ってしまいます。
乱暴な言葉遣いは、繰り返し関わる中で少しずつ変わっていくものです。一度で直らなくても当たり前と考え、その都度おだやかに伝え直していきましょう。
きょうだいでうつってしまうのが心配です。
上の子の言葉は下の子に伝わりやすいものです。上の子だけを注意するのではなく、家族全体で気持ちのよい言い方を心がけると、家庭全体の言葉が整っていきます。
まとめ
子供の乱暴な言葉遣いは、成長の過程で多くの子が通る道です。環境の影響だけでなく、「気持ちをうまく言葉にできない」「反応してほしい」といった心の動きが隠れていることも少なくありません。
叱って抑え込むよりも、理由を伝え、気持ちを表す言葉を増やし、パパやママ自身がお手本になること。そして、場面に合わせて使い分ける力を、日々の暮らしの中で少しずつ育てていくこと。正しい言葉遣いの基礎は、こうした毎日の関わりの積み重ねの中で身についていきます。




