小学生プログラミング教育が必修に!?自宅でのITキッズの育て方
2020年の新学習指導要領に「小学生のプログラミング教育必修化」が盛り込まれることが検討されていますが、プログラミング教育は理化学に対する知識を養い、厳しい人生を切り開いていくために必要なスキルも身に着けられるため、今親世代にたいへん注目が集まっています。
今回は、小学生のプログラミング必修化、プログラミング教育のメリット、自宅でITキッズの育て方、おすすめプログラミング教室についてご紹介していきます。
小学生のプログラミング教育が必修化される!?
プログラミング教育とは、パソコンなどの機器に一定の手順を覚えさせ、思い通りに動かすためのプログラムを作成する方法を学ぶことです。日本では、2012年から中学生のプログラミング教育が必修科目となりました。
世界的に見てみると、幼児期あるいは小学校低学年からの必修化に向けて各国が動き始めています。
プログラミングと聞くと「専門的すぎて小学生には無理なんじゃない」と思うパパやママも多いのですが、アメリカやイスラエルなどでは既に幼児期からのプログラミング教育を実施し、今やIT先進国として大きな成果をあげているんです。
現在、日本でもIT技術を支える人材育成の必要性を重視し、2020年度からの新学習指導要領に小学校のプログラミング教育必修化を盛り込むことが話し合われています。プログラミング教育を通してITキッズを育てることは政府の成長戦略の一環でもありますが、小学生のプログラミング教育必修化には賛否両論!
否定的な意見としては…
- プログラミングはITエンジニア以外には必要ないので、必修科目として全員に教える必要はない
- 小学生には教養や人間性を高める教育の方が優先されるべき
- 独学でも学べるものを小学校の必修科目にする必要はない
実際に小学生の必修科目としていくためには、子供でも学びやすいカリキュラムの策定や、教師に対する教育などの課題が残っています。
既にセンター試験や英語教育にもメスが入り、教育が様変わりする時代を生きている小学生達ですが、さらにプログラミング教育が加わることで負担が増えても大丈夫なのでしょうか?
プログラミング教育を実施している私立小学校
一部私立小学校では、既に独自のカリキュラムを通して小学1年生からのプログラミング教育を始めている学校もあります。実際にVISCUITなどのソフトを使って絵を動かすプログラム作成を体験した小学生は、どのように感じているのでしょう。
プログラミング教育への小学生の感想は…
- 自分で考えて、絵を自由に動かすことができて楽しい
- もっといろいろな物を動かしてみたい
- 家に帰ってパソコンで使ってプログラミングをもっとやってみたい
おおむね好評!幼少期からのプログラミング教育が効果的であることを証明する結果がでています。
こういった教育は生徒一台一台にパソコンやiPadなどの機器や、集団教育に使う大型モニターなどの設備が必要ですし、教師の準備も必要なため、全ての公立小学校への一斉導入は難しいかもしれませんね。
けれど、中学、高校に進学してからのことを考えても、子供達が喜んでプログラミングを学ぶ小学生の時期に、スマホを使ってできるソフトもありますので、まずは自宅で親子一緒に取り組んでみるのもよいのではないでしょうか。
小学生にプログラミング教育をするメリット
プログラミング教育を学ぶことは、子供にIT知識やスキルが身につくだけでなく、次のようなメリットがあります。
1自分に自信をつけることができる
パソコンやスマホなどの家電製品だけでなく、子供達の大好きなアニメやゲームのキャラクターなど、私たちの身の回りのものは全てプログラムで動いています。プログラミング教育はこういったものを自由自在に操れるスキルを学ぶことであり、自分のイメージやアイデアを形にして動かすことで想像力が身につき、大きな達成感や自信を得ることができます。
2論理的思考力を養うことができる
希望通りのタスクをこなすプログラムを作ることは簡単なことではありませんが、子供はプログラミングに失敗することで「なぜ?」「どうすればいい?」と問題を解決する意識を持ちます。そして、動作を促す命令一つ一つを論理立てて考えることにより、物事を論理的に考えて解決していく能力を養うことができます。
3さまざまな職業につくチャンスが広がる
パソコンは今や様々な職場で使われる道具ですが、それゆえに様々な職場でプログラミング知識を持つ人材も必要とされています。そのため就職に有利なのはIT産業だけでなく、建設業やデザイン業、販売サービスから介護の現場まで、幅広い就業のチャンスを広げることができます。
自宅でプログラミングを教えよう!ITキッズの育て方
「じゃあ、自宅で子供とプログラミングを勉強してみようかな?」と思ったパパやママが初めにぶつかる壁が、小学生でも理解できるプログラミングの教え方ではないでしょうか?プログラミングを小学生に学ばせるのって「専門家じゃないと無理でしょ」と考えがちですが、そんなことはありませんよ。
今は難しいキーボードでの入力をしなくても、マウスや画面をタッチするだけで、子供がゲーム感覚で学べる方法もあるのです。こちらでは、パパやママに専門知識がなくてもできる、自宅でのプログラミング教育を進める方法をご紹介します。
1無料サイトで楽しさを教える
本格的なプログラミング教育を始める前に、子供をプログラムができる無料サイトで遊ばせて、プログラミングの面白さを教えてあげましょう。おすすめなのは文部科学省が開設している「プログラミン」です。プログラミンは自分で描いた絵を動かすという初歩的なプログラムを作る作業を通して、子供達にプログラムの楽しさや知識を身につけさせることを目的としていて、幼稚園児から楽しく遊んで学ぶことができます。(注1)
プログラミンは無料で使え、ソフトをインストールしなくてもブラウザを使って利用できます。基本的に字が読めなくても扱える構成になっていますし、お手本がたくさん用意されていますので、少しパパやママが付き合ってあげれば、子供が自発的に操作をして学ぶことができますよ。
2タブレットやスマホが使える環境作り
「習うより、慣れろ」という言葉がある通り、難しい理論を学ぶよりも、プログラミング教育はまずパソコンなどの機器に慣れることから始まります。パパやママ世代では小学校や中学校でパソコンを使った授業が無かったのですが、今は小学生の頃から学校にパソコンなどの機器があり、小さな頃から簡単な操作手順を学んでいますから、スムーズに機械に親しむことができます。
今の子供達は親世代の想像以上のパソコンスキルを持っていますが、やはり学校では施設的に限界があり、自分一人で好きなときに使える機器を用意することはできません。子供がプログラミングの楽しさを覚え始めたら、自由に使えるパソコンやタブレット、スマホなどを用意してあげましょう。
自分だけの機械を持つと子供は嬉しくて、自発的にプログラミンなどで遊びながら知識やスキルを広げていきます。ただし、タブレットやスマホなどの機械は、子供が夢中になり過ぎてしまう厄介な面も持っていますので気をつけましょう。
電子機器を子供に与える場合は、事前に子供とよく話し合って使い方のルールを決め、フィルタリングを行い、ネット依存症、有害情報や違法情報などから守ってあげましょう
3SCRATCHをダウンロードして教える
子供がプログラミングに興味を示し始めたら、SCRATCH(スクラッチ)をダウンロードして本格的なプログラミング教育を自宅で始めましょう。SCRATCHはマサチューセッツ工科大学メディアラボが開発した、プログラミング言語学習環境の無料ソフトウェアですので、誰でも気軽にSCRATCHをダウンロードして利用できます。
SCRATCHは子供達がこれからの社会を生き抜くために必要な次の3つの応力を身に着けることを目的に開発されたビジュアルプログラミングソフトです。
- 考える力
- 作り出す力
- 伝える力
子供達はパズルを組み立てるように、用意されている命令をさまざまに組み合わせて、キャラクターを動かしていくことでプログラミングの基礎的な能力を養っていくことができます。動作環境によって異なるいくつかの種類がありますが、どれもキーボードでの入力は必要なくマウスのドラッグや画面のタッチなどで操作ができるので、パソコン初心者の子供でも扱いやすいソフトです。
子供の教育は遊びながら、楽しく進めるのが一番ですが、Scratchは幼児教育の理想通りに、楽しく遊んで学べるソフトです。大人でも楽しく学べるソフトなので、パパやママもお子さんと一緒に楽しく学んでみてはいかがでしょうか?
小学生からはじめるわくわくプログラミング
著者:阿部 和広
日経BP社
子供用ビジュアルプログラミング環境Scratchのプログラミング学習で理論的に物を考え、物を作り上げるプログラム作りの楽しさを教える学習書です。ソフトのダウンロードの手引きから親子での学習の進め方などを、画像を交えながらわかりやすく解説していますので、パソコンに不慣れなママの参考書としてもおすすめです。
http://ec.nikkeibp.co.jp
4子供向けの通信教育講座を受講する
パパやママにあまりIT知識がなくて、自宅での独学には限界があると感じた場合には、子供向けの通信教育講座を受講するのも良い手です。多くの場合SCRATCHを使った簡単なプログラミングから、段階的に難易度をあげていくカリキュラムを組んでいますので、子供は飽きずに楽しくプログラミングを学ぶことができます。
途中で子供が壁に突き当たってしまった場合でも、通信教育であれば自宅に居ながらにして専門家のアドバイスや指導を受けることができるので、パパやママも安心して自宅での教育を続けていくことができますよ。
TEL: 03-6265-5721
時間: 平日10:00~17:00
インターネット授業や指導のスペシャリスト玉川大学院教授の谷和樹氏が監修した通信教育。親子で学べる情報冊子がついていますのでITが苦手なママやパパにも安心!8歳から受講できますよ♪
5プログラミング学習ゲームで遊びながら学ばせる
子供が最も効果的に学習できる方法の一つが、遊びながらの学習です。IT世代の今の子供達は親があれこれ教えなくてもいつの間にか親よりスマホを使いこなす子がいるなど、子供が持つ遊びへの集中力や思考力は侮れません。
ソフトをインストールしなくても、ブラウザ上で学習できるプログラミング学習ゲームがありますので、まずは試しに親子で無料体験を行ってみましょう。
世界800万人のユーザーがプログラミングを学ぶ、有料のゲームです。小学生から高齢者まで、子供だけでなく大人も楽しくプログラミングを学習できます。
ゲーム時間の設定もできますので、毎日の隙間時間を利用して、バランスのよいプログラミング学習が可能です。
小学生におすすめのプログラミング教室5選
親から教わるのを嫌がり始める10代の小学生や、家で集中できない子には、専門家が開校している子供向けのプログラミング教室もおすすめです。「地方都市では開催していないことが多いのですが、教室によっては夏休み中などに集中講座を開講しているところもありますので、参加すればもっともっと、プログラミング教育の面白さを味わうことができますよ。
1Tech Kids School
Tech Kids Schoolは、生徒数ナンバーワンの日本最大級の小学生向けプログラミング教室で、全国各地で教室を開催しているほか、長期休みを利用した小学生プログラミング入門ワークショップの開催や、東京・神奈川・千葉・埼玉などの認定講師の自宅でも地域密着型プログラミング教室を開催しています。
子供向けの学習ソフトScratchを使って、パソコンなどの機器をほとんど触ったことのない子供にもわかりやすく、HPやアプリの開発などのモノづくりの楽しさを教えてくれる人気のプラグラミング教室です。
2CopderDojo
CopderDojoは2011年にアイルランドで創設された、7~17歳の子供を対象としたプログラミング教室で、世界65か国で開講され、日本でも2016年の段階で全国各地27ヶ所に教室があります。
CopderDojoもScratchを使った簡単なゲーム制作やWEBサイト作成を通してプログラムの楽しさを学びますが、最大の特徴は参加費用が無料なトコロです。教室ごとに開催時間や教育内容が若干異なりますから、興味がある人は公式サイトでお近くの教室を確認してみて下さいね。
3TENTO
TENTOは首都圏で教室を開講し、小学生から中学生を対処としてプログラミング教室を開催している老舗です。小学校低学年の場合はプログラミンやScratchなどの学習用ソフトを使ってプログラミングを体験しながら学びますが、講師のほとんどが本職のプログラマーなので、各個人にあわせたカリキュラムに従って本格的なプログラミング教育を受けることができますよ。
4STAR Programming SCHOOL
STAR Programming SCHOOLは、首都圏を中心に小学生から高校生までの子供を対象に開催しているプログラミング教室で、小学生はiPhoneでアニメーションを作りプログラミングの基礎を学ぶタブレットプログラミングコース、Scratchでプログラムを学習するScratchプログラミングコース、LEGOを利用してロボットプログラムを学ぶロボットプログラミングコースを選択できます。
教室のほとんどがイオンやイトーヨーカドーなどの大型ショッピングセンターで開講しているので、通いやすさに人気がありますよ。
5STEMON
STEMONは、首都圏や神戸で、幼稚園から小学生を対象にプログラミング教室を開催しているプログラミング教室で、サイエンス、テクノロジー、エンジニアリング、数学に重点を置いた、理系ITキッズの育成に力を入れています。
講座コースは年長から小学校2年生を対象としたベーシッククラス、小学校3年以上が対象となるアドバンスクラス、小学校3年生以上が対象となるプログラミング&ロボティクスコースの3コースがあり、年齢に応じたカリキュラムでプログラミングの楽しさを学ぶことができます。
小学生へのプログラミング教育は難しくない
パソコンやスマホが普及した現代でも、親世代の中には「プログラミング」などのIT用語に気後れしてしまう人が少なくありません。けれどITやインターネット関連の技術は今後ますます成長しますので、子供達世代にの苦手意識は親世代以上に大きなマイナスとなります。
ですから小さな頃から技術に慣れさせるく小学生へのプログラミング教育は、親世代の気後れを次の世代に引き継がせないという意義もあります。
小学生にとってのプログラミング教育は、「困難な課題」ではなく「楽しい遊び」の一つ。自分で考えて課題をクリアするプログラミング教育を学ぶことで、子供達は知識を得るだけでなくメンタルの成長にも良い効果を得ることができます。家庭でも少しずつお子さんがパソコンに触る機会を作り、世界中で注目されるSTEM教育を行ってきましょう。
参考文献
- 注1: 文部科学省 「プログラミン」