保育園の延長保育は誰でも利用できる?料金や制度の利用方法は?
女性の働き方改革が進み、子供を持つ女性が就業するチャンスは広がっていますが、就業条件によっては通常の保育時間以降も子供を預けなくてはいけません。そんな時に便利なのが、保育園の延長保育。働くママにとってはとてもありがたい制度なのですが、お子さんが小さい場合は「長時間預けると、子供に悪影響がでるかも…」と不安に思っている人も多いです。
そこで今回は、先輩ママの体験談を交えながら保育園の延長保育の制度や料金、利用方法などについて、詳しくご紹介していきます。
保育園の延長保育とはどんな制度?
保育園とは、就業や介護などのために家庭で保育できない親の依頼を受けて、乳児から幼児までの乳幼児の保育をしてくれる施設。自治体が運営している園や民間企業が運営している園がありますが、児童福祉法の規定に基づく施設なので、基本的には子供に負担がかかるほどの長時間保育はしていません。
保育園が子供を預かってくれる通常保育時間は原則として8時間なのですが、通常保育以外の時間帯で子供を受け入れてくれるのが、「延長保育」と呼ばれる制度なのです。
園によって呼び方も違う?
保育園歴5年、二児のママです。うちは引越しで保育園を変わった経験があるのですが、以前通っていた園は、延長保育を「預かり保育」と呼んでいました。
いま通っている園は、通常保育が午前8時から午後4時までなのですが、午前7時からを早朝保育、午後4時から5時までを時間外保育と呼んでいて、午後6時から7時までは延長保育になっています。時間外保育と延長保育の違いは何かと事務の先生に聞いてみたら、「時間外保育は無料、延長保育は有料」だと言っていました。
ちなみに、いま通っている園は早朝保育と時間外保育は無料で、事前に必要だといって申し込んでおけば、特に仕事をしてなきゃダメとか、就業証明を出せとは言われません。延長保育は1時間750円で、雇用主の書いた証明書が必要です。
土曜日の延長保育を利用しています
結婚前から務める職場に復職して1年目です。私は地方都市に住んでいますが、自宅は振興住宅地なので空きがなく、職場に近い保育園に入所しました。ちょっと山間部にある保育園なのですが、人数が少ないせいか公立の保育園なのにお迎えの時間などで厳しく言われないので、助かっています。
朝の延長保育もありますが、私の場合は夕方午後4時30から午後6時までの延長保育をお願いしています。建築会社勤務なので、ショールームの土曜日勤務がある場合には、土曜日の延長保育も利用していますが、人数が少ないからか土曜日だけ同じ公立の他の保育園に行かなくてはいけないのでちょっと面倒かな。
延長保育の目的
子供を持つ親の働きやすさを支援する目的で設けられているのが保育園の延長保育であり、厚生労働省でも積極的な運用を自治体や保育園に呼び掛けています。
保育時間8時間といえば、公務員や一般的な会社の就業時間と大体同じで、一見充分なようにも感じます。ですが実際には通勤時間も考えなくてはいけませんし、残業などもあって、どうしても8時間では時間通りのお迎えが間に合わないということも起こってしまいます。そのため職場に無理を言って勤務時間を短くしてもらっているという女性は多く、実力を発揮するのが難しいのが実情です。
またパートやアルバイトの場合は何人もの従業員で仕事をカバーしているので、「子供がいるから」とか「保育園のお迎えがあるから」など仕事を断っていると仕事も得にくく、雇ってもらえてもそれを理由に解雇されてしまうリスクもあります。
延長保育はどの園でも実施しているの?
内閣府が公表した平成26年度の統計では、全国で延長保育を実施している保育園1万8,885箇所。これは全体の77.3%にあたり、実利用人数は64万6,796人にのぼります。社会的な労働者不足や不況から、子どもを持った女性が家庭外で仕事をする需要は高まっており、延長保育を実施する保育園は年々増加しているのです。
子供を持ち働く女性にとってはとてもありがたい延長保育ですが、残念ながらすべての保育園が実施しているわけではありません。実施している園もあれば、していない園もありますので、これから延長保育の利用を検討している場合には、早めに施設に確認しておきましょう。
延長保育を利用できる条件
児童福祉法には子供は家庭で親の保育を受けることが基本とされていますので、延長保育も誰でも利用できる制度というわけではありません。具体的な申請理由が必要です。
利用条件は施設によってさまざまですが、延長保育を利用する場合は、通常の保育時間外にも親が就業しているなどの保育の必要があることが前提となります。利用申し込みの方法や必要書面も施設ごとに違いますので、一度園に問い合わせておくといいでしょう。
延長保育は何時から何時まで
保育時間は園や施設によって違いがありますが、延長保育で子供を受け入れる時間帯も園によってさまざまです。午後18時まで子供を延長保育で受け入れてくれる園もあれば、夜間働いている保護者にあわせて深夜まで延長保育を実施している園もあります。
都市部や地方都市など親の働き方は住んでいる地域によっても違います。延長保育の時間帯も住んでいる地方によって差が大きいのですが、地方都市であっても繁華街に近い地区の保育園の場合は、夜遅くまで延長保育をしているケースがあります。
各保育園の延長保育の時間帯はそれぞれの施設のホームページなどで公表されていますし、市町村役場の福祉担当の部署でも一括して教えてもらえますから、自分の働き方に応じた延長保育を実施している園を探しましょう。
延長保育にかかる料金
仕事などのために子どもを保育園に預けたい場合には、まず住んでいる自治体に申請して、自分の働き方や就業時間に応じた保育認定を受ける必要があります。保育料金はこういった認定の種類や世帯の収入に応じて決まりますが、延長保育の料金は各園で自由に決めることができます。
1時間あたり何円と決まっている園もありますし、1月単位で延長料金が決まっていて、何回利用しても料金が変わらないなど、費用の規定は施設によってさまざまです。自治体からの補助金や一部の助成金制度もありますが、手のかかる乳幼児や未満児の場合は料金設定が高いなど、子供の年齢によって金額が変わり負担が大きくなるケースもありますので、料金に関しては延長保育を申し込む前にしっかり確認をしておきましょう。
良心的な園で嬉しい
娘が3歳になったのを機にパートを見つけて働きだし、半年がたちました。うちの保育園は午前8時から午後4時までが保育時間で、パートの時間もギリギリで入れていたのですが、やっぱりパートといえども時間通りに退社って難しいですよね。
うちの保育園は電話をして申し込めば当日でも延長保育を1回500円で受けてくれるので、帰れそうにない時は慌てて電話していたのですが、ある日事務の先生に呼ばれて、「月単位の申し込みなら、1ヵ月2,000円なので、4回以上延長を利用するなら月単位の契約に切り替えては?」と勧められました。
仕事が通常で終わった場合は、早めにお迎えに来ても良いとのことだったので、喜んで月単位に切り替えてもらったのですが、料金もさることながら、慌てて電話をしなくても良いので、気分的にも楽!もっとちゃんと調べておけばよかった~。
割引はききません
認定保育園の年長と未満児クラスに子どもを通わせています。
子どもが通っている保育園の保育時間は午前8時から午後4時までです。今までは職場の時短勤務を利用していて延長保育を利用していなかったのですが、職場のほうから時間を増やしてくれないかといわれ、今年の四月から午後6時までの延長保育を利用するようになりました。
ちなみに、子どもの一人1ヶ月で3,000円です。保育料金は二人目の割引があるのに、延長保育はそういった割引がないので、ちょっとイタイです。でも、夕方おやつが出るから仕方がないかなと思っています。
延長保育の申し込みに迷ったら?
保育園は通常保育のみを利用する家庭が多く、延長保育を利用している子供はそれほど多いというわけではありません。少人数になってしまうため、パートで勤める保育士を中心に異年齢の子供をあわせて保育する縦割り保育をする園が多く、「子供の面倒を、しっかり見てもらえないのでは?」と心配してしまいがちですが、延長保育に当たる職員の人数等も厚生労働省が基準を定めていて、安全は確保されています。
通常保育の時間帯のようなクラスとしての集団活動はできませんが、延長保育であっても遊びのサポートやおむつ替えなどの生活のサポート、おやつなどの栄養面のサポートは通常通り行われています。
延長保育中の子供の過ごし方を知りたいのであれば、申し込む前の見学などで対応してもらえますので、不安なことはドンドン園に相談していきましょう。
楽しく遊んでいます
保育園通園歴8年目です。娘たちが通っている保育園の先生は若い保育士さんが多いのですが、延長保育の時間帯はパートの保育士さんがきます。もちろん、ちゃんと資格のある保育士さんですし、ベテランなので、「おむつかぶれに効くのはね…」とか、「そんな厚着はダメよ!」とか、結構相談にのってもらっています(笑)
娘は担任の先生も大好きですが、お祖母ちゃんのような安心感があるのか、お残りのお迎えに行くといつもパート保育士さんの膝にどっかり座って絵本を読んでもらっていますよ。
いつもとは違うクラスのお友達とも遊べるので、お迎えにいくと「まだ帰んない!」なんていってねばって、楽しいようです。
案ずるより産むがやすしです
今はもう小学校に入りましたが、私は長男が生後6ヶ月で復職し、早朝から夕方まで延長保育のお世話になってきました。子どもが小さいせいもあって、可愛そうかなという不安はありましたが、早いうちから集団の中にいたせいか人見知りなどはなく、誰とでも仲良くできる子に育ってくれました。
延長保育時間は異年齢の混合保育でしたから、未満児の使う畳の部屋で伸び伸びと遊んでいましたし、赤ちゃんが泣いたらあやしたり、小さな子供のケンカの仲裁をしたりと、一人っ子なのに下の子に優しいのも、保育園で育ったせいかなと思います。
保育時間が長いので、子どもの負担も大きいのではないかと心配していましたが、夕方は子どもも疲れてイライラしているので、好きなことを優先して過ごして良いことになっていました。疲れたらお布団で休ませてもらいましたし、体調が悪ければ連絡をくれるなどケアもしてもらえるので、延長保育を利用するのが不安な場合は先生とよく連絡を取り合って、信頼関係を築いておくといいと思います。
延長保育で得られる徳育とは?
日本ではまだまだ「子どもの面倒は、母親が見るもの」という意識が根強く残っています。特に0~2歳で保育園に子どもを預けることや延長保育で長時間子どもを預けることに関しては、かわいそうではないかと悩んで後ろ向きになるママは多いのですが、子どもの側にいるだけが愛情ではありません。
子供に働く姿を見せることで、子どもの心に将来仕事について誰かの役にたとうという気持を植え付けるのも、親のできる愛情の示し方の一つです。
保育園での生活は家庭そのままというわけにはいきませんが、多くのお友達や大人の保育士と触れ合うことで自分というものを意識し、集団生活のルールを学ぶことができます。延長保育を始めとする保育園での保育は、小学校以降の教育に繋がる「徳育」を学ぶチャンスでもあります。
事前にしっかり下調べをしておいて、自分の働き方やライフスタイルにあわせて、無理のない範囲で延長保育を利用してみるとよいでしょう。