子どものリズム感を遊びで育む方法:運動・音楽・言語能力を高めるアプローチ
子どもにリズム感があることは、様々な面でメリットをもたらします。リズム感は私たちが日常生活で何気なく利用している便利な感覚ですが、生まれつきリズム感が備わっているように見える子どもがいる一方で、なかなか拍子やリズムを捉えられない子どももいます。
子どもがリズム感を掴めないと集団生活や運動面で親は心配になりますが、リズム感はトレーニングによって鍛えることができます。年齢や発達段階に合わせた遊びを取り入れ、今日からさっそく試してみてください。
子育て4コマ漫画:子供へのリズム感の教育
こんなにある!リズム感を身に着けるメリット
リズム感は、ただ音楽を上手に聴いたり踊ったりするだけでなく、多岐にわたる才能を引き出すのに役立ちます。特に運動能力や言語能力の向上に深く関わっていることが知られています。
スポーツ界が注目!スポーツリズムトレーニング
スポーツリズムトレーニングとは、リズム感を養うことで運動パフォーマンスを向上させるための練習方法です。タイミングを正確に捉える能力(協調性)が向上し、走る・投げる・跳ぶといった基本的な運動能力の向上だけでなく、怪我の抑制にも効果が期待できるとされ、多くのスポーツ分野で取り組まれています。
子どものリズム感は集団生活にも影響を及ぼします。
例えば、幼稚園や小学校で行われるスキップ、縄跳び、フラフープ、ボール遊び、ダンスなどは、すべてリズム感が求められる遊びです。みんなができることを自分だけできないと楽しさは半減しますが、逆にできれば自己肯定感がアップし、園生活を楽しみやすくなります。
さらに、日本語よりアクセントやリズム感が重要な英会話でも、リズム感がある方が習得は早いと言われています。また、日本語でもリズム感の良さは会話のテンポや間合いの上手さに繋がり、スムーズなコミュニケーションをとる手助けになるなど、子どもの頃にリズム感を身に着けさせることには多くのメリットがあるのです。
子どものリズム感はいつから鍛えられる?習い事と発達の目安
子どもの才能を開花させたいと考える親御さんは多く、リズム感を鍛える習い事の代表格といえばリトミックやピアノです。しかし、早期教育を始める時期については、習い事と子どもの発達段階を考慮した文部科学省の見解で、少し異なっていることを知っておきましょう。
リトミックの幼児教室は、0歳からスタートできるものもある
0歳から習えるリトミックの中には、生後2ヶ月からスタートできる幼児教室もあります。リトミックは、音楽を通して感受性や表現力を育むことを目的としています。
ただし、優れたリズム感を持つプロのスポーツ選手や音楽家、語学力の高い人の全てが、生後間もない赤ちゃんの時期からリズム感の早期教育を受けていたわけではありません。
ママの体調がまだ回復していないうちから無理に幼児教室に入れる必要はありません。幼児教室でリトミックを習わせたい場合は、ママの体調が回復し、赤ちゃんと一緒に過ごす楽しみを増やしたいという心の余裕が出てきてからにすることをおすすめします。
リズム感が身につく音楽教室は、おおむね1歳以上から
ヤマハとカワイでは1歳から、島村楽器では1歳半から通うことができるコースがあります。
乳幼児の脳の発達面から考えると、早くから音やリズムを使って楽しむ体験をさせるのは、リズム感や運動神経の発達にとても効果的ですので、習い事を検討している場合はおすすめです。
ただし、子どもによっては嫌がることがありますので、必ず体験レッスンを受けさせ、自ら進んで取り組む様子が見られるかを確認しましょう。
早すぎても子どものリズム感は身につかない!?
息子が1歳になってから音楽教室のリズム教室に行ってみました。ところがうちの子には早すぎたのか、先生が音楽をかけて踊りに誘導したところ、ピアノの下に隠れてしまい嫌がって帰りたがってしまいました。
「そのうち慣れますよ」と言われて半年間通い続けましたが、とにかく嫌だったようで最後まで踊らず、家でも一緒に踊ろうとすると嫌がるようになってしまいました。
その頃の息子は外遊びが大好きで毎日のように連れて行っていたので、狭い場所に知らない人と一緒にいなければならないリズム教室が嫌だったのだと思います。
文部科学省の幼児期運動指針では、4~5歳からリズム遊びを推奨
運動機能の発達という観点から考えると、4~5歳からのリズム感の教育でも充分間に合います。
文部科学省では3~4歳では動きが未熟なため、リズム遊びに取り組むのは4~5歳からという考え方を示しています。5歳未満の子どもにリズム感がなくても落ち込まず、まずは遊びを通して楽しくリズムに触れさせてあげることが大切です。
CDをかけっぱなしにするのは効果的?
CDによるリズム感の習得への科学的根拠は明らかになっていません。むしろ子どもが静寂や音を探す楽しみを味わいにくくなるため、一日中音楽の中に晒すのは子どもの育ちにマイナスだという意見もあります。
子どもにリズム感を身に着けさせるためには、リズムを意識させることが必須です。そのため、CDをかけるだけでリズム感を習得できる子とできない子がいます。
子どもに意識してCDの音楽を聴いてもらうためには、まず音楽を好きになってもらうことや興味を持ってもらうことが大切です。なぜなら子どもは好きなことにしか興味を示さない傾向が強いからです。CDは一日中かけっぱなしにせず、音を楽しむ体験に上手に取り入れていきましょう。
好きなジャンルでリズム感を身に着けた方がお得
私は子どもの頃歌ったり踊ったりすることが大好きだったので、長男にもリズム感を身に着けさせるために、1歳になった頃からNHKの「おかあさんといっしょ」を毎日つけて、息子を抱っこして歌ったり、テレビを真似て踊って見せたりしました。
でも息子はいつまでたっても踊ってくれませんでしたし、私のアクションが迷惑だったようで、おもむろに逃げるようになりました。「何が嫌なんだろう?」と思いながらも、何日か経ってからまた誘うのを繰り返しましたが、彼はどうしても歌いたくも踊りたくなかったようです。
ところが1歳9ヶ月頃、小児歯科での歯科健診でたまたま「きかんしゃトーマス」を観てから、息子はトーマスや列車にどっぷりハマり、それからは音楽CDをかけると自分がトーマスになった気になれるのか、大喜びで家の中を走り回るようになりました。音楽が大好きになったんです。
けれど入園後も頑なに踊ろうとせず、どうやらダンスは嫌いだったようなので、ピアノを習わせることにしました。入学後はリレーの代表になったりノリノリで歌ったりなど、リズム感も運動神経もバッチリですが、本人いわく「踊りは楽しくないから嫌い」だそうです。
家庭で子供と楽しもう!リズム感を鍛える8種の遊び
子どものリズム感を鍛えたいけれど、どうやって教えればよいのかと戸惑うママも多いでしょう。
実は家庭でも簡単にリズム感を鍛えられる遊びがあるのです。子どもと一緒に楽しく遊びながら自然とリズム感を鍛えられますので、ぜひトライしてみてください。
1童謡に合わせて歌う・手拍子・ダンス
まずは音楽を聴きながら、子どもと一緒に手拍子をして拍をとってみましょう。
ここで大事なのは正確に拍をとることもそうですが、何よりも子ども自身が音楽に参加して楽しむことです。音に合わせて歌ったり踊ったりしても良いのです。
まだ難しい赤ちゃんであれば、リズムに合わせて赤ちゃんの体にタッチをしたり、体を揺らしたり手を動かしてあげるなどして、音楽に触れさせてあげましょう。曲はバラードなどよりもリズムがわかりやすい童謡がおすすめです。
2ママと一緒に歩きながら歌ってリズムを楽しむ
子どもとお散歩する時や買い物に行く時などは、一緒に歩きながら歌ってみましょう。
ここで重要なのは、歩くリズムに合わせて歌うことです。となりのトトロの「さんぽ」や、「あめあめふれふれかあさんが~」でお馴染みの「あめふり」など、4拍子の曲で子どもの歩幅に合うリズムの曲を選びましょう。
3メトロノームに合わせて手拍子
メトロノームのリズムに合わせて、足踏みや手拍子などをしてみましょう。最初は4拍子、テンポは60~90くらいが良いでしょう。
「チッチッチ」の部分は足踏みをし、「チーン」の部分で手拍子をするなど、ルールを決めて挑戦させてください。
慣れてきたら、テンポを早くしたり遅くしたり、3拍子や5拍子にして変化をつけて楽しみます。
「メトロノーム – ビート, テンポ と リズム」
アナログのメトロノームのアニメーションが見られるので、耳だけでなく目でもリズムを確認することができます。リズム遊び以外にも子どもがピアノの練習をする時など、色々な場面で活用することができます。
4簡単な楽器を使ってリズム取り
太鼓やタンバリン、カスタネット、ペットボトルにビーズなどを入れた手作りマラカスなどで、音楽に合わせてリズムをとってみましょう。
ママもパパも参加し、色々なリズムを組み合わせると楽しみが広がります。
52人でリズムを合わせる手遊び
2人のリズムを合わせることでできる手遊びは、1人でする手遊びよりも子どもが熱中してくれます。
「アルプス一万尺」や「おちゃらかホイ」「お寺の和尚さん」など、パパとママが小さい頃に遊んでいた手遊びを思い出して、子どもと一緒に遊んでみましょう。
慣れてきたら、どんどん速度を上げていきましょう。さっきまでできていた同じ曲でもリズムを取るのが難しくなり、子どもは集中してチャレンジしますし、大興奮して遊んでくれます。
6大勢でリズムを楽しめる昔の遊び歌
お友達が家に遊びに来たら、ぜひ教えてあげたいのが昔の遊び歌です。
「ずいずいずっころばし」や「かごめかごめ」「あんたがたどこさ」など、人が多ければ多いほど楽しめる遊び歌で、みんなでわいわいしながら子どものリズム感を鍛えましょう。
7子どものリズム感向上におすすめの「縄跳び」
縄跳びにはリズム感が非常に重要です。等間隔のリズムで飛ぶことができないと、上手く飛び続けることができません。
飛べるようになるまでには順を追って練習する必要がありますが、上手く飛べないからと途中で投げ出してしまわないよう、しっかりと子どもをサポートしてあげましょう。
軽い縄跳びよりも、ある程度重みのある紐の縄跳びや縄部分にビーズが通してあるビーズロープだと、地面に当たった音でリズムをとりやすいです。初めて挑戦する場合は縄跳びの教え方のコツと共に、子どもに合う縄跳びもチェックしておきましょう。
8メトロノームを使った言葉遊び
まず、メトロノームのテンポを96くらい、4拍子にして鳴らします。「チッチッチ」の部分で3文字の言葉を言いましょう。「チーン」の部分はお休みです。
2人で順番に言い合い、リズムとずれたり、言葉が思い浮かばなくなったりした方の負けです。
「ん」が入った言葉は子どもにとってはリズムが上手く取れなくなってしまう場合があります。「メロン」や「とんぼ」など、「ん」の入る言葉を使った場合も負け、というルールにしてみましょう。
子どものリズム感向上におすすめ!EテレやリトミックDVDの活用
子どもにリズム感をつけさせるための習い事といえばリトミックですが、習いに行くとなるとママだけでなく子どもにとっても負担は少なくありません。
幼児期は興味を持てる物事に自ら取り組み、様々な体験を通して五感を鍛えていく時期です。早期教育であまり忙しくなり過ぎると、弊害として子どもが自分のペースで自由に物事を考えたり取り組んだりする時間が持てなくなってしまうことがあります。
そこでおすすめしたいのがEテレやリトミックDVDの活用です。テレビやDVDはつけっぱなし見せっぱなしにすると悪影響がありますが、メリハリをつければよい教育媒体になります。
「おかあさんといっしょ」「みいつけた!」「いないいないばあっ!」といったEテレの子供向け番組には、必ずリトミックのコーナーがありますので、毎朝親子でリズム体操をしたり、子どもに人気のアンパンマンのリトミックDVDを利用して楽しく自由に踊らせるのもよいでしょう。
「楽しい=スキルアップ」が子どもの向上パターンですので、特に未就園児の場合は親子で無理なくリズム感を鍛えいくことが大切です。