タレンテッドとは?ギフテッドとの違い、日本での教育と才能を伸ばす方法
プロスポーツ選手や華々しく活躍する芸術家は、多くの子どもたちにとって憧れの的です。人よりも抜きんでた才能を発揮して活躍する人たちは、好きなことに打ち込んで生きる一方で、独自の課題を抱えていることもあります。
このような卓越した才能を持って生まれた子どもたちは、「タレンテッド」と呼ばれることがあります。もしかしたら、あなたの身近にもいるかもしれないタレンテッドの子どもの特徴や、日本での教育環境、才能を伸ばすためのサポート方法について詳しくご紹介していきます。「タレンテッド ギフテッド 違い」を知り、子どもへの適切な接し方を考えてみましょう。
タレンテッドとは?ギフテッドとの厳密な違い
皆さんは「タレンテッド」という言葉をご存知ですか?すべての子どもは素晴らしい才能を秘めていますが、ほんの小さな頃から大人を驚かせるような才能を発揮する子どもたちを指す言葉です。
タレンテッド(Talented)の定義と特徴
「タレンテッド」とは、次のような芸術・身体的能力(パフォーマンス能力)において、一般的な同世代の人に比べて卓越した才能を持っている人という意味の言葉です。
- スポーツ(身体能力、運動技能)
- 音楽(演奏、作曲)
- 美術(絵画、彫刻)
- 芸術(ダンス、演劇)
- 芸能(演技、表現)
タレンテッドは、特定の技能や分野において早期から高い水準の能力を示します。歌舞伎や日本舞踊などで小さな頃から経験を積み、人間国宝とまで呼ばれるような人たちの中には、早期の訓練や生まれついての才能により花開いたタレンテッドが多く含まれています。
タレンテッドとギフテッド(Gifted)との違い
タレンテッドと同様に優れた才能をさす言葉に、「ギフテッド」という言葉があります。ギフテッドは、狭義では次のようなアカデミックな分野や抽象的な思考力において優れた才能を持っている人を指すことが多いです。広義では、ギフテッド(知的才能)とタレンテッド(特定技能の才能)の両方を指す場合もあります。
- 論理的思考力、抽象的思考力
- 言語能力、数学的能力
- 科学的探求心、リーダーシップ
タレンテッドは「習得した技能や練習の成果」として現れやすい一方、ギフテッドは「生来の認知能力の高さ」として、IQなどの知能検査を参考に才能を発見しやすい傾向があります。しかし、どちらも突出した才能ゆえの課題を抱えることがあります。
タレンテッドの子どもに幼児期に見られる7つの特徴
ギフテッドは知能検査で才能を判断しやすい傾向がありますが、タレンテッドの場合は能力が抽象的で判断しにくい側面があります。「うちの子、もしかしてタレンテッドかも!?」と思う保護者の方は、以下のタレンテッドの7つの特徴を、お子さまの様子を観察する際の判断材料にするとよいでしょう。
1並外れた想像力と独創的な考え方
タレンテッドの子どもはとても想像力が豊かで、考え方が独創的です。同年代の子供とは比べものにならないような深い洞察や、誰も思いつかないようなアイデアを持っています。この並外れた考え方で幼いうちからさまざまな作品やパフォーマンスを生み出し、結果を出すことが多いです。しかし、周りからは「扱いづらい」「変わり者」と評価されることもあるという側面も持ちます。
2他者の感情や外部の刺激に敏感である
タレンテッドの子どもは、自分の感情へのこだわりが強い反面、周りの人の感情をとても気にする傾向があります。また、感覚が過敏(OE: Overexcitability)で、音や光、触覚などの外部刺激を過剰に感じ取ることがあり、感情を過剰に表に出してしまうこともあります。その結果、周囲の環境に馴染めず孤立してしまい、精神的なストレスを抱えることもあります。
3卓越した運動神経と身体能力
タレンテッドの子どもの中には、身体の使い方が極めて上手く、運動神経がずば抜けていい子がいます。難しい体の動きを難なくこなしたり、効率よく体を動かしたりすることができ、周囲が目を見張るほどの才能を感じさせます。特にスポーツ分野では、早くから高い成果や成績を残すことが多く、「タレンテッド スポーツ」として注目されます。
4高い目的意識と集中力
タレンテッドの子どもは目的意識や責任感が非常に高く、練習や訓練に自分から熱心に取り組むことができます。同年代の子供に比べると集中力も高いため、長時間のハードな練習も苦にしません。この高いモチベーションと集中力が、タレンテッドが高い成績を残しやすいという特徴に繋がります。
5自ら創造することへの強い情熱
タレンテッドには、何かを自ら作り出すことに強い情熱を持つ子どもが多いです。例えば絵をかいたり、作曲したり、物語を作ったりなど、独自の想像力とセンスを発揮して新たな創造物を作り出すことが好きで、その他のことを全て忘れて長い時間没頭して作業することがよくあります。
幼児期からピアノを高い集中力で弾いている子どもや、突然作曲しだす子、絵を何時間も夢中になって描いている子などは、タレンテッドの才能を秘めているかもしれません。
6得意分野と苦手分野のギャップが大きい
タレンテッドの子どもは、自分の得意分野に熱心に取り組み、優れた成果を生み出す反面、苦手なことに対してはそっぽを向くなどのギャップが大きいのも特徴です。苦手分野を徹底的に避ける傾向があるので、「まんべんなく学習を求められる学校の教育にはなじめない」と感じることも少なくありません。この極端な能力の偏りが、集団生活での課題となることがあります。
7完璧主義による満たされにくさ
タレンテッドの子どもの理想は高く、完璧主義です。そのため、得意な分野では自己を高める努力を怠りませんが、苦手な分野では「出来ないなら、初めからやっても無駄」と放り出してしまうこともあります。この態度は周囲から「気分のムラで怠けている」と誤解されることがあります。
タレンテッドは一つのことに熱中し、周囲からは「すごい!」と思われるものを生み出しても、完璧主義ゆえに「満たされにくい」という特徴があります。そのため、「自分は能力が低い」と感じて自己肯定感が低くなりがちで、失敗をいつまでも引きずり、疲れやすいという側面もあります。彼らにとって、納得できない作品は「消してしまいたい失敗作」であり、才能があるゆえに精神的な辛さを抱えることがあるのです。
タレンテッドの子どもの才能を伸ばすために:日本での課題とサポート
タレンテッドのように生まれ持った優れた才能は、周りから見ればうらやましいかもしれませんが、良いことばかりではありません。日本の学校教育では、画一的な方法で授業が進められていくため、個性的なタレンテッドの子どもは周りになじめないこともあります。
日本でのタレンテッド教育の現状と課題
欧米ではタレンテッドのように優れた才能の子どもを伸ばすために、専門のスポーツ教育や芸術面でのサポートを受けることができる国が多いのですが、日本ではスポーツや芸術面の才能を伸ばそうとすると、専門の習い事や指導者に頼らざるを得ません。このため、「タレンテッド 教育 日本」では以下の課題があります。
- 費用や時間の負担が大きい:専門的な指導には費用がかかり、練習時間も長くなるため、他の活動との両立が難しいです。
- 同年代の子供とのコミュニケーション機会の減少:特定の分野に特化するため、同年代の普通の子どもとの交流機会が減少し、孤独を感じやすくなります。
- 嫉妬や孤立:スポーツでは競技によって他の子供達と一緒に練習しなければならず、中にはタレンテッドとしての才能を同年代の子供から嫉まれ、孤独に追い込まれる子どももいます。
しかし、才能を開花させやすい環境が整っていることもあり、ギフテッドの子供達に比べると、タレンテッドの子供達は、比較的早い段階で優れた成績や成果を残すことができ、社会的な評価を得やすいという傾向があります。
タレンテッドの才能を伸ばすための具体的なサポート
親は子どもの才能を早い段階で見抜き、適切な指導環境を整えることが大切です。また、才能を伸ばすことと同時に、精神的なフォローも欠かせません。
- 協調性を育む環境作り:集団生活を行う機会を増やして協調性が身につく環境を作りましょう。
- 環境の変化を恐れない:状況によっては、より伸び伸びと活動できる環境(チームの移籍など)を整える細やかな配慮も必要です。
- 才能ではなく努力を褒める:完璧主義で自己肯定感が低くなりがちなため、「すごい才能だね」ではなく「難しい練習をよく頑張ったね」と、努力の過程を評価し、無条件の愛情を示すことが重要です。
ネットで「タレンテッドではないか?」と噂される有名人の例
同じスポーツや音楽などの芸術を志す仲間としては、うらやましいほどの天賦の才能を持ったタレンテッド。芸能人や有名人にも「タレンテッドではないか?」と噂される人がいます。
スポーツ面でのタレンテッドというと、例えば、オリンピックのハンマー投げ金メダリストである室伏広治さんがあげられます。オリンピックに4回にわたって出場し、世界大会で優勝すること自体、才能がなくてはできないことです。室伏広治さんは、ハンマー投げだけでなく、卓越した身体機能を有していて、さまざまな競技で優れた成績を残しています。彼の並外れた身体能力は、まさに「タレンテッド スポーツ」の好例と言えるでしょう。
国の宝であるタレンテッドを愛情深くサポートしましょう
豊かな才能と将来への希望をたくさん持ったタレンテッドであっても、幼少期はまだまだ周りのサポートが必要な子どもであることは同じです。特に、才能があるゆえに周囲との違いに悩んだり、孤独に直面したりすることがあります。
もし、身近にタレンテッドではないかと感じる子どもがいる場合には、周りの大人ができるだけ才能を認め褒めるとともに、無条件の愛情をたくさん示して精神的なフォローをしてあげたいですね。彼らの才能を健やかに伸ばすことは、社会全体の豊かさにつながります。



