幼児の親必見!非認知能力とは何か~今、IQより注目されるスキル
今、世界中でIQ(知能指数)よりも注目されている非認知能力。幼児期が一番伸びる時期と言われる能力です。
学びには適したタイミングを考えることが必要不可欠ですので、幼児期は家庭でも非認知能力を鍛え、社会適応力の高い子供を育てましょう。
こちらでは、非認知能力と認知能力とは何か、注目されている理由、非認知能力を幼児期から育てる10の方法、非認知能力を伸ばす幼稚園(保育園)の取り組みなどご紹介します。
非認知能力と認知能力とは何か?
非認知能力と認知能力。それぞれ人間にとって大切な能力ですので、まずはしっかりと理解しておきましょう。非認知能力
非認知能力とは、IQのように数値にできない内面の能力のことで、発想力、想像力、集中力、忍耐力、理解力、自制心、好奇心、協調性、計画性などが含まれています。
非認知能力を身に着けることで小学校以降の成長が飛躍的に伸びやすくなるだけではなく、社会生活を営む上で重要な人間力が身に付けられると考えられています。つまり一言でいうと非認知能力とは、生きていくために必要な力のことなのです。
認知能力
認知能力とは、計算や漢字の書き取りなど紙のテストで測れる力のことで、「認知能力が高い=学力が高い」と考えられています。ですからIQ(知能指数)だけでなく、英語や数学といった一般的なテストも含まれています。
認知能力の高さは確かに高学歴に繋がりやすいのですが、それだけで世の中を生き抜く力にはならず、東大を卒業しても就職できない社会人が溢れている現代社会では、「認知能力の高さ=収入の高さ」とは言えません。
非認知能力が注目される理由
- 幼児期に非認知能力を鍛えた子供は、大人になって経済的に豊かになりやすい!
- 子供の教育にお金をかけるなら、乳幼児が元も効果的!
子育て中の親や教育者にとって実に興味この主張は、2000年ノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマンの主張です。
ジェームズ・ヘックマンはこの主張と共に、1960年代から50年以上続けてきた「ペリー就学前プロジェクト」という実験の結果を公表しました。その結果、世界中で非認知能力が注目されるようになりました。
ペリー就学前プロジェクトの実験内容は、アフリカのミシガン州で貧困世帯の幼児半数に非認知能力を鍛える教育を受けさせ、残りの半数は何もせず、双方を40歳まで追跡調査するというものです。
「ペリー就学前プロジェクト」の結果は?
幼児期に非認知能力を鍛えた子供の方が、持ち家率が高く、高学歴、高収入でした!
自分の気持ちを言う、相手の意見を聞く、物事に挑戦する、協調性や好奇心など生きる上で数値化できない様々な非認知能力。そして文字・数などの認知能力。文部科学省ではどちらも関連があり、重要であると捉えています。
幼稚園(保育園)の非認知能力の取り組み
幼児期の教育といえば、子供達が長時間を過ごす幼稚園や保育園の取り組みが気になるところ。文部科学省も非認知能力の育成が重要だと考えています。
そのため非認知能力の育成については「幼稚園教育要領」及び「保育所保育指針」のそれぞれの目標として掲げられていて、園では子供達の非認知能力アップに向けての取り組みを行っています。
「幼稚園と保育園では取り組みに差があるのでは?」と気になるママもいるでしょうが、非認知能力についてはどちらも同じ目標に向かって取り組んでいます。
- 幼稚園教育要領の内容
多様な経験から豊かな感性や創造性を育み、言葉への興味感心を育成しつつ、話す聞く態度を養うなどの生きる力の基礎の育成を行っていく
- 保育所保育指針の内容
様々な体験から豊かな完成や創造性を芽生えさせ、言葉への興味感心と共に話す聞く態度などを養って、望ましい未来を作る力の基礎を培い、現在を最もよく生きられるようにする
子供の好奇心を育ててくれる園に感謝
幼稚園のお迎え時、お教室がとても汚れていると思い先生にお話を聞いたら「今、年中さんではお店屋さんごっこが流行っています。自分たちでお金や商品を作って売ったり買ったりしています。年少さんもお買い物に来てくれて本当に楽しそうですよ。」とおっしゃっていました。
私が幼稚園に通っていたころは、先生に言われたことをやるだけでしたが、今の幼児は自主的に考えて活動したり、異年齢の子供達との交流を幼稚園の遊びを通してしたりすることを知って驚きました。
先生からこのお話を伺って1週間経ちますが、うちの子はまだお店屋さんごっこに夢中です。試行錯誤して作る商品は日々上達しています。子供が満足し納得するまでさせて下さる幼稚園の環境に本当に感謝をしています。
幼児の非認知能力を鍛えるアプローチ10
早期教育に興味はあるけど費用がない!というママ。幼児の非認知能力を高め、将来経済的に豊かな人生を歩ませてあげるためのアプローチは家庭でも十分に行えます。次のような方法を生活に取り入れてみましょう。
1絵本を読み聞かせて感想を聞く
乳幼児期の初めは絵本の読み聞からのスタートですが、入園後は徐々に読んだ絵本の感想を聞いたり、ママと絵本の内容について話したりする時間を持つようにしましょう。文字が書けるようになったら感想を一言書いてみるのもよいでしょう。
ただ読み聞かせるだけでなく、自分で感想を言わせる(書かせる)ことで、感受性や想像力といった非認知能力だけでなく、語彙力や理解力といったIQ向上にも役立ちます。また読んだ内容を頭の中で整理する力も養うことができます。
2絵を描ける環境を作る
幼児は自由に絵を描くことで、集中力や観察力といった非認知能力を身に付けやすくなります。
ただし幼児に「アリさん書いて」と言っても、頭・胴・お尻と3パーツに分けて書ける子供は少ないでしょう。毎日のように見ている物ですらなかなか書けません。けれど継続的に絵を描くことで、子供は色々な物を注意しながら観察するようになっていきます。
注意したいポイントは、子供の観察したい、知りたい、書きたい意欲を阻害しないようにすること。親がすぐお手本を書いたり、間違いを指摘したり、「絵が下手だね」などと子供を否定することを言うのは、冗談のつもりでもやめましょう。
3砂遊びや泥遊びをさせる
砂や土をいじる遊びは、幼児の観察力、集中力、協調性といった非認知能力を育むのに役立ちます。
泥団子を作る場合、「お水はどれぐらい足したら形のいい泥団子ができるか?」「お水を足さなくても上手に泥団子ができる日があるのはなぜだろう?」と、子供たちは自然に疑問を感じます。
こうして幼児は好奇心を膨らませ、観察したり夢中になって遊んだりして、観察力や集中力を育み、一度納得できるものができたら「次回も同じように作るには?」「もっとキラキラにするには?」などと試行していきます。
また、お友達と一緒に山を作ったりトンネルを掘ったりして遊ぶことで、協調性も養えます。
4公園や山で虫や植物に触れる
毎日のように遊ぶ公園でも、好奇心や観察力といった非認知能力を養えます。
例えば、小さな幼虫が葉っぱにいれば子供は「幼虫の名前は何?」と知りたがり、幼虫と成虫の違いに「なぜ大人の虫と子供の虫は違う形なの?」と質問します。植物を見れば「この花なの名前は何?」と知りたがります。
山や公園は、子供の非認知理能力を育む「なぜ?」「どうして?」を沢山刺激します。
セミの羽化
曇りの日、いつも行く公園でセミの抜け殻を集めていた息子が「何か出てる」とセミの抜け殻を見て言いました。
近づいて見て見ると、それはセミが殻から出る羽化の最中でした。エメラルドグリーンのセミが出てくる所は、子供も不思議だったようで、幼児にしては長い時間じーっと観察していました。
5川や海の水辺の生物に触れる
レジャーの際に訪れる川や海などの水辺の生物は、幼児の観察力や好奇心、探求心、集中力といった非認知能力を育てるのにもってこい。「海や川の生き物はどうやって生活しているの?」「陸の生き物との違いは?」等、様々なことに興味を示します。
魚釣りをすれば、魚は何を食べているのか知ることもできますし、水族館では実際に触らせてくれる海の生物もいますので、子供の好奇心が刺激され、夢中になって目を輝かせることでしょう。
ただし水辺には水難事故の危険性がありますので、大人は必ず幼児から目を離さず、安全には十分に配慮しましょう。
6子供同士で遊ばせる
幼児のコミュニケーション能力や協調性、忍耐力、共感力といった非認知能力を高めるには、親が介入せず子供同士で遊ばせることが非常に役立ちます。
自分の思い通りにならない体験を積み重ねることで、子供の非認知能力はぐんぐん成長しますので、子供同士の喧嘩はお互いが大きなケガをしない範囲で離れて観察してあげることが大切です。
幼児は喧嘩をしても、自分達でそれなりに解決する方法を見つけます。ところが、けんか相手のママと親同士が良好な関係を築いていなければ、トラブルに発展してしまうこともありますので注意しましょう。
ままごとでパパになる
年長さんの息子は典型的なヤンチャな男の子。ままごとなんて普段は絶対しないタイプです。ある日、幼稚園でクラスの女の子Aちゃんがままごとのパパ役をしてくれないかと、クラス中の男の子に聞いて回っていたそうです。勿論息子も初めは断りました。
けれど結局Aちゃんは男の子全員に断わられてしまったそうです。悲しそうにしているAちゃんを見た息子は、なんとパパ役を買って出たと後で先生から聞きました。幼稚園でのお友達との遊びの中で、子供のコニュニケーション能力や協調性が育まれているのだと感じました。
7子供と料理を作る
毎日行っている料理はママにとっては日常のごくありふれた行動の一つですが、実は子供と一緒に作ることで、子供が料理を好きになるだけでなく、判断力、集中力、計画性、想像力、好奇心などの非認知能力を育くむことができます。
例え簡単なサラダを作るだけでも子供は刺激を受けます。トマトの湯剥きを一緒にする場合、お湯を沸かす、トマトを洗う(ヘタを取る)、お湯の中にトマトを入れ放置後皮をむくといくつかの工程が必要であることを学び、「なぜお湯に付けただけで皮が簡単に剥けるの?」といった疑問も抱きます。
入園前の幼児でもちょっと頑張ればできるレタスをちぎるといった料理ですら、食べやすい大きさを一緒に考えるという親のアプローチ一つで、子供は食べる時の状況を考えたり、お皿から溢れない量を自分で決めたりと、あれこれ試行錯誤しながら作業することになります。
完成した料理を一緒に食べれば達成感を持つこともでき、頑張ればできるという自信やグリットの向上にも役立ちます。
8親子で沢山会話をする
親子の会話は幼児の理解力や自分の気持ちを伝える力といった非認知能力を高めるのに役立ちます。
例えば「〇〇ちゃんのお誕生日で呼ばれたの」「プレゼント買いに行こう」「今度の日曜日なの」と言われたら、「そう。今度の日曜日の〇〇ちゃん家のお誕生日会に呼ばれたから、プレゼントを買いに行きたいのね」と確認するように正しく言い直してあげれば、子供は間違えを指摘されたことに傷つかずに、正しい言い方を耳にすることができます。
幼児は5W1H(いつ、どこで、だれが、どうする、なぜ?)を無視して思いつくままに話しますが、親がしっかりと向き合って話を聞き、5W1Hでオウム返ししてあげることで、筋道を立てた話し方を繰り返し耳にし、自然に自分の気持ちを伝える力を身に着けることができるようになります。
9幼児の興味を親子で共有する
幼児にとって親の共感はとてつもないパワーの源。親が子供の興味ある物事を共有することで、子供は探求心や好奇心にますます磨きをかけます。一緒に調べれば集中力はアップしますし、疑問への問題解決能力も身につけます。
例えば、散歩中に一緒に見た「自動車の車種名が知りたい」と言う疑問でも良いのです。自働車屋さんに行きパンフレットをもらったり、図書館で調べたり、インターネットで調べたりと何でも構いません。
既に当たり前のように行っているご家庭も多いでしょうが、実はこういった経験から疑問を感じた時に答えを導き出すという将来とても大切な能力を身に着けていくのです。
図書館で調べる
主人の実家に帰った時、満天の星空に息子は大感動。後日、図書館に行き星座の本を一緒に読みました。「おじいちゃんの家で見た星はこれだね」「キューレンジャー(星座モチーフの戦隊ヒーロー)の星座って全部あるんだね」と、子供の探求心はつきませんでした。
10子供を褒める
幼児が諦めずに頑張った時、集中して何かを行った時、しっかりと考えて気持ちを伝えようとした時、我慢で着た時など、非認知能力を高める行動を行った時は、具体的にどのような行動がよかったかを付け加えて、子供に伝わりやすく少しオーバーに褒めてあげましょう。
例えば、
- 「自分で調べられたね」
- 「よく見ていたね」「よく気づいたね」
- 「上手に伝えられるようになったね」
- 「最後まであきらめずに頑張ったね」
- 「我慢してくれてありがとう」
- 「何度も練習できたね」 など
このように自分の何がよかったかを具体的に褒めてもらうことで、子供は自信を持ちやすくなり、自己イメージがより良いものになります。また褒められた経験は、将来苦難に出会った時に立ち向かう力に代わります。
けれどやみくもに褒めたり、他人と比較しながら褒めたり、結果ばかり褒めることは逆にマイナスとなりますので避けましょう。
幼児の非認知能力を伸ばす習い事
やる気を刺激し成功体験を積み重ねられる習い事は、幼児の非認知能力の向上におすすめです。
例えばピアノ教室や体操教室。訓練を繰り返す中で「どうすれば上手くいくか」と考え、課題クリアに向けて練習を積むことで、目の前の課題への成功体験が比較的短時間で積めます。繰り返しの練習が必要になるため忍耐力や我慢力も上がります。
ただし「曲が上手に演奏できた」「逆上がりができた」と成功体験を積み重ねることが、次に頑張る意欲に繋がっていきますので、ピアノを練習しない時も怒るのはNG。
「〇〇ちゃんのピアノ、ママとっても好きよ。聞かせてくれてありがとう」などと、できたことを褒める方がモチベーションはアップすることをお忘れなく。