男性保育士に女児を預けて大丈夫?需要の高まりや5つのメリット
最近ネットやニュース、保育園ママ達の間でも話題になっているのが、男性の保育士さん。子どもに良い影響を与えると前向きに受け止めているママもいれば、「女児へのおむつ交換や着替えはちょっと」と不安に思うママもいて、対応に困っている家庭も少なくありません。
そこでこちらでは、男性保育士への高まる需要、園児への5つのメリット、保育園児のママ達の体験談などをご紹介していきます。自分の園に男性保育士がいるママも、いないママも、男の子のママも、どうすれば安心して子供達を保育園に預けられるようになるのかを一緒に考えていきましょう。
増え続ける!男性保育士の数と高まる需要
これまで日本の保育の現場では、子供の保育や指導に当たる人は全て女性が占めていました。これはもともと「男性は仕事で家庭を支え、子供は女性が面倒を見るもの」という日本の風潮からも、無理からぬことだったのかもしれません。ですが男女雇用機会均等法が施行され、1990年代以降男女とも職業選択の幅がどんどん広がり、保育士の資格を取得して子供の保育に当たる男性保育士の数は増えました。
1999年の男女雇用機会均等法の改正に伴い児童福祉法施行令も改正され、これまでは「保母」と「保父」と性別で呼び分けていた名称も、「保育士」に統一されました。今では若い世代で意識改革が進み、保育科に通う男子学生が全体の1割以上を占めている短期大学や専門学校なども少なくありません。中には4割前後が男子学生!という保育科もあります。
総務省が行っている国勢調査によると、平成12年の男性保育士の就業者数は全体の1.3%となる4,666人でしたが、平成22年には全体の2.8%を占める1万3,160人へと増加。採用した保育園側が男性保育士のメリットを感じることで、今後ますます男性保育士の需要は高まり保育園内に増えることが予想されます。
男性保育士5つのメリット
賛否両論のある男性保育士ですが、「男性だから」「女性だから」という考え方は、男女の得意分野を理解して認識をシェアすることで、うまく乗り越える糸口が見つかることも多いです。
親が不安なまま子供を預けることで、子供にもその不安が伝染することがあります。保育の現場に期待されている男性保育士のメリットを知り、親子揃って安心できる保育園生活に近づけていきましょう。
1体力がある
男性保育士は女性保育士と比べて体力があり、子ども達をダイナミックに遊ばせてくれるという利点があります。体力が必要な遊びを率先してもらえれば、子どもの体力養成に役立ちますし、男性ならではの指導力を発揮してくれるので、親としても頼りになります。
2男の子に理想の男性像を増やせる
子どもは身近な大人の姿を見て育ちます。保育園に通う女の子はママや優しく世話をしてくれる女性保育士さんを理想像として女の子らしさを養っていきますが、男性保育士がいれば男の子にもパパだけでなく、理想とする男性像を増やしてあげることができ、自己形成に役立ちます。
3知育にも良い影響を与える
男性保育士は女性保育士よりも活動的。サッカーや水泳などの競技では良いお手本を示すことで、子どもがスポーツへの関心を持つことをサポートしてくれます。男性の方が虫取りや生き物の扱いが上手だという面もありますので、子どもの知的好奇心を伸ばし、自然科学に対する知識を養うのにも向いています。
4女性保育士の負担が減る
集団になった乳幼児のお世話は非常に疲れるものですが、男性は筋力・体力ともに上回るため男性保育士が職場に入ることで女性保育士の作業面の負担が減り、そのぶん職員間でも活気がでます。
また園によっては社会に男性保育士が増えることで保育士を選んだり採用したりしやすくなり、園内の保育士が増えることで土曜日保育など保護者に役立つサポートをしやすくなるというメリットも。
男性保育士は女性保育士の気配りや歌声など、子どもに与える優しい印象でかなわないことが多いため、男性・女性どちらの保育士もそれぞれの得意分野を担当して補いあうことで、より弾力的な保育が行えるというメリットもあります。
5送迎するパパが接しやすい
近年離婚率や父子家庭、共働き家庭が増加したため、パパが園児を送迎する家庭も珍しくありません。そのため園児の父親からは「男性保育士さんだと(自分と同性のため)話しやすい」という意見も。同じ男性だからこそ自分の立場や気持ちを理解しやすい男性保育士は、パパの育児の力強いサポーターでもあるのです。
男性保育士に対する保護者の意見
子育ては夫婦が協力して行うもの。つまりは男性と女性がともに携わるものですが、保育の現場においては男性保育士が職場の活性化や子ども達に良い影響を与えるという期待がもたれる反面、保護者を中心に不安の声も多く聞かれます。
実際に男性保育士と接する園児のパパやママ達はどのような意見を持っているのか、体験談を見ていきましょう。
子どもを男性の目で見られたくない
うちの子どもが通っている保育園には、まだ男性保育士はいません。女性ばかりの職場なので、男性が入ることで輪が乱れることを警戒しているって聞いたことがあります。男性用のトイレも保育園にないので、施設面でも男性を雇用しにくいのかもしれませんね。でも、近所の保育園には男性保育士がいますよ。
男性保育士に偏見があるわけじゃないけれど、うちは保育園に女の子を預けているから、やっぱり男性保育士がおむつの交換や着替えをすると考えると、ギョッとしてしまいます。子どもが好きで保育士になるのだから、子どもに悪いことはしないと思いたいけど、最近は男性保育士の事件も報道されて、少し神経質になっているのかもしれません。
育児経験がないのが不安
私は男性保育士でもしっかり勉強して資格を取っているんだから、保育園で指導に当たるのは良いと思います。でも、男性には母性本能があるわけじゃないから、やっぱり育児経験がある人の方が良かったかなあ。
以前通っていた保育園に男性保育士がいたのですが、20代前半で私よりもはるかに若かった。もちろん結婚もしていないし、自分の子供もいないので、見た目だけでなく全体的にちょっと頼りなさを感じました。
優しく包み込んでほしい
家庭だって子どもの面倒を主に見ているのはママだから、家庭に変わる保育園の保育士さんも女性の方が嬉しいと思います。今まさにウチの子の保育園の担任が男性保育士なんですが、たまに朝、子どもがグズって泣いても息子を抱っこしてくれないんです。
やっぱり小さな子供は優しく包み込むように接してほしい。その方が母親としても安心感があります。でも、その保育士さんは声も大きくて動きも豪快なので、息子は大好きです。
相談ができない!
うちの子の保育園にも、男性の保育士さんがいます。最近は普通にいますが、本人の性格にもよるし、親との相性もあるんでしょうけど、私とは相性最悪かもしれません。
去年までお残りの時間にいた男性保育士さんがちょっと上から目線な人で、その男性保育士に「もっと、こうしたほうが…」と言われても、素直に聞けないんです。自分よりも若い女性の保育士さんに何か言われても、そんなに違和感は覚えないのだけれど。
保育園に子どもを通わせていると、どうしても保育士さんとの連絡や相談が多いので、その男性保育士さんとのやり取りでストレスが溜まってしまい、保育時間をずらしました。
良いと思います
うちの子どもが保育園に通っていたことにはいなかったけれど、先日妹と一緒に姪っ子の保育園の運動を見に行ったところ、男性保育士さんが頑張っていました。その先生につられてか、子ども達もすごく元気で活気がありましたよ。
妹はその先生が茶髪だからか「ちょっと軽いんだよ」と言っていましたが、女性の保育士さんだってみんな髪の毛が茶色いし、おしゃれをしているんだから、全然問題ないと思います。でも実際に子どもを任せているのとでは、感じ方が違うのかもしれません。
男も育児ができると証明してほしい
共働きで年長の女の子、年少の男の子を保育園に預けています。うちの子の保育園にはこれまで男性保育士がいなかったのですが、今年の採用で男性保育士が入りました。保育園に通うパパとしては、頑張ってほしいです。
「男性」だという意識で見ると、保育の現場では違和感があるのかもしれないけれど、性別にとらわれず「保育士」って目で評価をするべき。自分も親になってから子育ての楽しさを堪能しているので、子どもの面倒を見ることが好きな男性もいるってことを、もっと世間にわかって欲しい。
娘が虫好きに…(泣)
私たち夫婦はそろって都会育ちで、虫がダメです。主人は、カブトムシはもちろん小さな蚊もダメなので、そんな私たちに育てられた長男は虫が大嫌い。小さなクモが家の中にいるだけで悲鳴を上げます。
ところが今下の娘の担当の保育園の先生が男性で、教室でモンシロチョウの幼虫からコガネムシ、バッタにザリガニといろいろな生き物を飼育しています。その影響で娘は自分で蚕を育てるほどの虫好きなのです。
虫嫌いの私としては迷惑だけど、女性の保育士ではこうはいかないので、子どもの教育には男性保育士は良い影響があると思います。
男性としての役割も大事
家庭だってお母さんとお父さんがいるんだから、保育士さんも男性と女性がいて当たりまえだと思います。男性には男性の役割ってあると思うので。
うちの子の保育園の園長先生は男性です。園長先生も未満児クラスでおむつやお着替えの世話をしていますし、プールにも子ども達と一緒に入っているけれど、違和感はありません。見慣れているせいかもしれませんが、周りのお母さんもそんな感じです。
男性保育士の年齢や実務経験による安心感って大きいのかもしれません。女性保育士のようなきめ細やかさがないかもしれないけれど、男性保育士さんはどっしりとした愛情があって魅力的だと思います。
現場の男性保育士はどう思っている?
状況によって正しい判断がままならない乳幼児を預かる男性保育士への目線は、昨今さらに厳しくなっています。保育園に就業している男性保育士もそういった目を気にしてしまい、「自分らしい保育が行えない」という悩みを抱えている人も少なくありません。
男性保育士との信頼関係は子供に役立つ
これまで保育園では数が少なく、また最近の男性保育士によるSNS事件の悪影響もあり、男性保育士に子どもを任せることに不安を持つパパやママは実際に多いです。現場では男性保育士が保護者に注目されることで、困難に直面することも予想されます。
けれどこれからを担う小さな子ども達に、性別による偏見を持たせることは好ましくありません。パパやママが男性保育士を前向きに受け入れることは、男女の差をなくし、男女が協力して子育てや社会を作っていく大切さを子供に教えるきっかけにもなります。
また、男の子にとっては将来の職業選択の幅を広げて、自己実現のチャンスを増やすことにもつながるのです。