子供の鏡文字4つの原因と5つの対応/左利きや偉人との関係
子供がひらがなを読めるようになり書き始めたころから、向きを反対に書いている姿を見かけることがあります。鏡文字や逆文字とよばれる左右対称になっている文字で、ママとしては子供の鏡文字を見て心配になることもありますよね。
幼児に見られることが多く、いずれ自然に治ることが多いのですが、「放っておいて大丈夫?」「直したほうがいい?」と、いつまで続くのか心配になりますよね。そこで、そもそも鏡文字とは何か、子供が鏡文字になる原因や対処法、鏡文字の偉人、学習サポートのやり方などをご紹介します。
鏡文字とは?
鏡文字とは、字の通り鏡に写したように左右が反対になってしまう字のことです。「さ」を「ち」と書いたり、「す」の向きが反対だったりなど、字を覚えたばかりの子供がよく書いていて、鏡に映すと文字が正しく読める文字のことです。ひらがなに多く見られますが、アルファベットの「b」と「d」など書き間違えるなど、どこの国の子供でも間違えやすいということが分かっています。
おもちゃ屋さんの「トイザらス」のロゴも、Rに鏡文字が使われています。これは、幼児期の子供がRを反対に書き間違えやすいことをヒントに作られたそうですよ。
子供が鏡文字になる4つの原因
書く文字が鏡文字になってしまう原因は、実は詳しくはわかっていません。幼児期に特によくみられることからいろいろな説があります。
1「ひらがな=文字」という認識ではなく、形として認識している
形として認識するということは、例えば猿は左を向いていても右を向いていても猿ですし、車もどっちを向いていても車というように、どちらを向いていても本質的には同じものと認識しているので、ひらがなも無意識のうちに鏡文字でも同じ文字と認識しているということです。
このように子供がひらがなを形として認識している場合、ひらがなの意味や文字は向きが決まっているものという概念が分かれば、自然に鏡文字を書かなくなると考えられています。
2左右の区別がつきにくい
幼児の特徴として、上下は分かるけれども、左右の違いが分かりにくいという傾向があることが分かっています。左右の判別がうまくつかないので、ごちゃごちゃになって鏡文字となってしまっているのです。
また、うろ覚えの時などには、大人でも「あれ、どっちだっけ?」となりますよね。
3左利きだから
左利きの場合、鏡文字になりやすいとよく言われます。左利きの人は、右からスタートすることが多く、そのまま反転して書くほうが書きやすいようで、無意識のうちに書きにくい文字よりも、簡単に書ける鏡文字を書いてしまうと考えられています。
4左脳が未発達だから
目から入ってきた情報は、右脳でイメージされ、左脳に伝達して文字として認識されます。子供の場合は、右脳が発達しているので、鏡文字になりやすいと言われています。そのため、左脳が発達してくると鏡文字はなくなってくると考えられます。
大人になったら左を使いたい!
大人になっても右脳を活性化させて、創造力や感性を伸ばしたい人は鏡文字を書く練習をすることがあります。スマホやタブレットでは「鏡文字を書く」という脳トレアプリがあるほどです。大人から見ると、知らないうちに右脳を使っている子供がうらやましいかもしれませんね
幼児期までは心配無用!鏡文字の偉人
「子供からもらった手紙が鏡文字だったけど、大丈夫かな?」と心配になるのが親心かもしれませんが、鏡文字を書く子は小学1年生でも多くいますが、文字を習ううちに自然に治るそうですので、幼児期は特に心配する必要はないといえるでしょう。
鏡文字の子供は、身近にもたくさんいますし、有名人にもいます。
「不思議の国のアリス」の作者であるルイス・キャロルも、鏡文字の手紙をよく書いていたという記録が残っているそうです。
また、有名なレオナルド・ダ・ヴィンチは、すべてのメモが鏡文字で残されているほどです。「左利きだったため」「メモを暗号にして残すため」「幼いころ修正してくれる大人がいなかった」「障害があった」などと諸説ありますが、芸術派の人に多くみられるようですね。
子供の鏡文字5つの対応
気にすることはないといわれても、心配もありますよね。子供が鏡文字である場合、どのように対応すればよいのでしょうか。気を付けたいポイントをチェックしてみましょう。
1お手本は上に
小さい頃は、横よりも縦へのほうが目線が行きやすいと言われています。子供が鏡文字を書く場合は、文字のお手本を見ながら書くときに、お手本を横ではなく、縦(上)に置いて練習することで、鏡文字対策ができます。
2左右の違いをしっかり認識させる
まだまだ曖昧である左右の認識をはっきりさせていくことで、鏡文字が治りやすくなります。「右の引き出しに入ってるくつしたを取って」「次は左に曲がるよー」など、普段から左右を意識して声をかけるようにすることで、左右がわかりやすくなる効果があります。
左利きの子を矯正させるときも、左右の認識が混乱することがあるようですので、心配な場合はぜひ取り組んでみて下さいね。
3厳しく指摘しない
子供がせっかく楽しく文字を書いていたのに、ママが「コレ違うよ!やり直し」と間違いを指摘すると、やる気もなくなります。わざと間違えているわけではないので、何度もやり直させたり、厳しく指導することはやめましょう。「上手にかけたね。でもこれ、こっちむきだね~」とやんわりと訂正をして正しい文字を認識できるよう促していきましょう。
4ひらがな表を貼る
家の中のいろいろなところにひらがな表を貼るのも効果的です。目につくところに貼っておくと、自分で「あ、あの字は反対向きに書いてたかな~?」と間違いに気が付いて直ることもあります。
5長いスパンで考える
これもかわいい今の時期だけ、時が経てば直ってしまうものと考えましょう。鏡文字で「ありがとう」と書かれたかわいい手紙はこのときにしかもらえないでしょう。きっと将来宝物になりますよ。いつか直るもの、と気長に見守ってあげましょう。
鏡文字と学習サポート
子供の小学校入学を控えて、鏡文字を治すためにできることはないか悩んでいる場合、小学校に行くまでに直したいと思うのは親心かもしれませんが、子供は無意識に書いています。早期教育で文字を習わせている幼児の場合も、「何か学習サポートをしなくてもいいのかなあ?」と悩むかもしれませんが、発達と共に徐々に出来るようになってくる時期ですので、幼児期は焦らず見守ることが大切です。
自宅でひらがなの練習をする場合は、「鏡文字の学習サポート」というより遊びで工夫するというイメージで、親子で楽しむことが大切!一緒になぞって練習をすることで定着をさせたり、たまにはおしりで字を書いて遊んで「『す』は、おしりを左にくるっとするね~」などと、修正を促していったりと、楽しみながら進める学習サポートを行いましょう。
いつまでも直らず心配…専門医への相談を考慮
鏡文字は学校で文字を習い、小学校2~3年生頃には直るお子さんも多いと言われていますが、「文字に興味を示さない」「授業についていけない」「いつまでも直らない…」と心配な場合は、専門医への相談をするという選択肢もあります。
目安としては、小学校1年が終わる頃になっても、ひらがながうまく読めない、書けないといった場合でしょう。
学習障害の1つに、知能は正常なのに読み書きが難しい「ディスレクシア」という障害があります。「ディスレクシア」は、日本人の人口のおよそ0.7~2.2%にみられると推定されています。子供の様子がよくわかる、学校の先生にも相談し、専門機関を紹介してもらいましょう。
幼児期の鏡文字!先輩ママの体験談
幼児期に鏡文字を書いていたという、お子さんを持つママは少なくありません。いつまで続いた?どのように対処した?ママたちの体験談を聞いてみましょう。
Aお友達も鏡文字でした
娘が年長さんの頃、お手紙交換が流行っていました。「○○ちゃんだいすき!○○より」といったかわいらしいものです。娘はやっと字を覚えたばかりで、一生懸命書いていたけど、「す」や「つ」は鏡文字でひっくり返ってしまうので、ちょうど直していたところでした。
ある日、お友達からもらったお手紙も「の」が反対の鏡文字を発見。身近なお友達もそうなんだし、この時期は皆そうなのかもしれないなぁとちょっとホッとしました。
A左利きの息子が鏡文字でした
息子は左利きです。文字を書き始めた頃は鏡文字でした。筆順もめちゃくちゃ、すべて右から左へ書くのでそのまま鏡文字のできあがり~という感じだったのかもしれません。左利きの子は鏡文字になりやすい、と聞いてそうなんだ、と納得しました。
右で書くように矯正もせず、「この字反対になったねー」と声をかける程度でしたが、小学校に上がったころには直っていました。いまだに油断をすると右から始める時もありますが、学校で繰り返し書く練習をするので、正しい書き方が少しずつ定着していくようです。
A数字も鏡文字に
6歳の娘は、ひらがなだけでなく、数字も鏡文字になっていました。2を反対に書いたり、13と31の区別がつかなかったり・・・。気になったので、園の先生に相談をしたら「まだきちんと覚えてないので、鏡文字になることはよくありますよ。右と左の区別も難しいし、このくらいの年齢のうちは気にしなくても大丈夫だと思います」と言われました。
訂正しようとすると怒るので、今は好きにさせています。トイレやお風呂、リビングにひらがな表を貼って、目につくようにしています。