甘えの意味と甘やかしとの違いに関する記事

『甘えと甘やかしの違いは何?子育てに大切な親の受け入れ力』

子供は甘えさせるべき?甘えさせないべき?子供が親に甘えることの重要性と、甘やかしとの区別の仕方を詳しく解説しています。

マーミーTOP  >  子育て  >  甘えと甘やかしの違いは何?子育てに大切な親の受け入れ力

甘えと甘やかしの違いは何?子供の成長に必要な親の受け入れ力

「子供は愛情たっぷりに育てたい」とは思っていても、子供は親の意見や気持ちをお構いなしで甘えてくるので、対応に困ることは多いですよね。特に子供がゴネて「抱っこ!」などと求めてくる時に、そのまま甘えさせた方が良いのか、それとも甘やかしは良くないと厳しく接したほうが良いのかは、悩ましい問題です。

育児において「甘え」と「甘やかし」を区別することは難しいのですが、きちんと区別しておくことは、子供の健やかな成長を促すためにも大切なことです。今回は育児に迷った時に参考にしたい、甘えと甘やかしの区別の仕方などについてご紹介していきます。

甘えと甘やかしの違いとは?

忙しい最中に「ご本を読んで!」と言ってくる、お店で「あれ買って!」とひっくり返る、両手に荷物を持っていても「抱っこ!」と手を伸ばす…。子供といると対応にさまざまな選択を迫られます。親の行動が「甘え」を受け入れたことになるのか、子供のわがままを「甘やかした」ことになるのかは、それぞれの家庭で線引きが違うでしょうし、状況によっても変わってきますので、一概にどうするべきという判断はつけられません。

ただ、選択を迫られた時にパパやママの態度に一貫性が無い、迷っているなどでは子供が混乱してしまいます。「甘え」と「甘やかし」のよくあるケースをあげていきますので、自分の考えや行動をチェックして振り返ってみましょう。

子供の「甘え」を受け入れる意味とよくあるケース

子供にとってパパやママへの「甘え」は、愛情を求める行為であり、親が子供の「甘え」を受け入れるということは、子供の情緒的な欲求に愛情で答えるということを意味します。ケースバイケースの面もありますが、子供の「抱っこして」とか、「話を聞いて」という要求にパパやママが応じていくことは、決して「甘やかし」ではありません。

私たちは家族とだけでなく、他人と繋がり、支え合って生きていく生き物です。誰かに甘えられる子供は、人を愛し、愛され、信頼関係を結べる強い人間に育ちます。小さい頃のパパとママとの関係は全ての人間関係のベースとなるもので、タップリ甘えることを経験した子供は、自分自身に愛情を持ち、自信を持って人生を歩めるようになりますので、子供の「甘え」にはできるだけ答えてあげましょう。

子供の「甘え」を受け入れる例

  • 子供が駄々をこねたり、大泣きした時に抱きしめてあげる
  • 子供が転んで泣いたら、慰めて頭を撫でてあげる
  • 赤ちゃんのふりをして甘えてきたら、赤ちゃんのように丁寧に扱ってあげる
  • 子供が抱っこをせがんだら、可能な限り抱っこをしてあげる
  • 子供が「絵本を読んで」と求めたら、可能な限り応じてあげる
  • 子供が「洋服を着せて」と求めたら、可能な限り応じてスキンシップをとってあげる
  • 子供がわざと寝たふりをしたら、起こさず抱っこでお布団に運んであげる  など

ここで注意すべき点は、「〇〇欲しい」とか、「○○いいなぁ」といった物に対する子供の欲求です。「物に対する欲求を受け入れると、子供を必要以上に甘やかすことになる」とパパやママは警戒してしまいますが、子供のその一言は「○○を買って」という欲求ではなくて、「いいね」という気持ちを共有したいだけかもしれません。

パパやママが「そうだね」と応じてあげれば、自分の気持ちにパパやママが共感したことで楽しく会話ができ、満足してそれ以上の要求を求めないことも多いので、パパやママは「買ってくれって催促している!」とあまり目くじらをたてず、やんわりとやり過ごす方法を覚えていきましょう

子供への「甘やかし」の意味とよくあるケース

「甘え」が無償の愛情を求める行為であるのに対し、「甘やかし」は子供も大人も対価を求めます。子供は「静かにしてあげるから○○をして」と対価を要求し、親としては「好かれたい」「揉めたくない」「周りの目が気になる」などのさまざまな都合を優先させて、子供の言いなりになってしまうなどの行為ですね。

子供はとても大人の感情に敏感で、時に大人の思惑に付け込んで要求を押し通そうとしますが、子供は自分の欲求をコントロールできないので、一度うまくいけば要求をエスカレートさせて、わがままにふるまうようになってしまうので注意が必要です。

子供への「甘やかし」の例

  • 子供が「買って」と駄々をこねたら、仕方なしに買い与える
  • 子供が「できない」とグズったら、文句を言いながら子供の替わりにやってあげる
  • 子供が嫌いな物、嫌がる料理は食卓に出さない
  • バナナの皮をむく、魚の骨をとってやるなど、子供がすべきことを先取りしてやってあげる
  • 子供が言葉に詰まったら、先回りして子供の替わりに答えてあげる  など

子供の甘えは自立への栄養素です!

よく、「甘えてばかりだと、わがままな子になって後が大変」とか、「甘えずに自分でやりなさい」という言葉を言う人が多いように、日本では「甘え」という言葉が否定的にとらえられることが多いようです。ですが、他人に甘えることで得られる愛情は、私たちの成長にとってなくてはならないものです。

小さい頃にしっかりとパパやママに甘えて愛情をうけとった子供は、自分自身に誇りを持ち、さまざまな課題にトライしようとする自立心や自己肯定感などが育つと言われています。

子供の甘えと自立へのメカニズム

小さい頃は親や家族に依存して育ちますが、一定の年齢が来ると自立心が芽生え、一人で生きていかなくてはなりません。この自立心は幼児期にパパやママに甘えた経験から作られると言われていて、実際に思春期以降に自立につまずく子供の調査をすると、「何らかの事情で小さい頃に親に甘えることができなかった子供が多い」という結果が見えてきます。

親が子供の「甘え」を受け入れてあげたとき、子供は自分が「愛されている」ということを実感します。この充足感は子供のメンタルを安定させ、親への愛情を深めて、大好きなパパやママも喜ぶ顔を見ようと「頑張ろう」というやる気を育てていきます。そして、適度なストレス発散の場を作ってあげることで、そのやる気を維持させていくことができるのです。つまり、甘えによって生まれたやる気こそが、子供の自立心の第一歩になるのです。

幼少期の甘えが自立心を養います

「甘え」という言葉を否定的にとると、甘えさせない子の方がしっかりとした人間になるようなイメージがありますが、実はたくさん甘えた人こそが、自立する力を持つことができます。しかも、その甘えによる経験は2~3歳までの間などの一時的なものではなく、幼少期に長く継続して、繰り返し経験してこそ価値があると言われています。

これは、少年刑務所で行われた調査でも、明確に示されたそうです。調査を受けた子供達の多くは、甘えることや人に頼ること、気持ちを言葉で表現することが苦手で、失敗を恐れる傾向が強く、幼いころから無理をして生きてきたそうです。

子供はパパやママへの依存とチャレンジ、そして挫折を繰り返して、自立することを体得していきます。そのため少なくとも10歳をすぎるまでは長く、いつでも甘えられえる体制を整えておくことをオススメします。

子供の甘やかしが引き起こす弊害は?

子供を育てる場合には、たっぷりと「甘え」させるのが正解です。では、「甘やかし」はどうなのでしょうか?
結論から言うと、必要以上の「甘やかし」は子供にとって良い影響はもたらしませんし、むしろ子供の将来を蝕んでしまう恐れもあります

自分の望むもの、欲しいものを好きなだけ与えられて育った子供は、周りのために我慢することを覚えることはできませんし、社会のルールを学ぶ機会も逸してしまいます。

私たちは集団で生活をする生き物ですから、「我慢しよう」という気持ちを持てないと、周囲とうまくやっていくことはできませんよね。ところが、甘やかされて育った子供は自分の欲望をコントロールできないため、周囲と溶け込めず社会的にドロップアウトしてしまうリスクが極めて高くなります。甘えと甘やかしの一線をしっかりと子供にも示し、「甘やかさない!」という毅然とした態度をとっていきましょう。

親の甘やかしにより自立心が抑止される

子供が食べやすいようにミカンの皮をむいてあげたり、明日着る予定の服を決めてあげたりすることは、一見して子供を愛情深く育てているような印象を与えます。ですが、子供の自立心を成長させるためには、「甘え」と「甘やかし」の区別をしっかりとしておくことが大事です。全てパパやママが整えた環境で暮らしていれば、子供は「自分でやりたい」「自分でやらなくてはいけない」という大事な自立の一歩を育てることができません

例えば、「小さくてこの子にはまだ無理」「心配だから」とパパやママが、何もかも先回りして全部やってあげていませんか?これらの行動は全て「甘やかし」です。子供を大事に扱うことだけが親の愛情だと勘違いをせず、時には子供の手を放すことも親の愛情だということをしっかりと認識し、育児にのぞみましょうね。

甘やかされて育った子供に見られる特徴

子供への甘やかしが原因で、子供が社会に適応できない人間に育ってしまったら、親は悲しいですし、子供にも申し訳ないですよね。甘やかされて育った子供には、次のような特徴が見られます。ついつい自分の都合で甘やかしてしまうパパやママは、可愛い我が子がこういった特徴を持った大人に育ってもいいのか一度しっかりと考え、何が本当の愛情かをしっかりと考えましょう。

  • 「ありがとう」が言えない
  • 「ごめんなさい」を言わない
  • 注意されただけで泣く
  • 食べ物の好き嫌いが多い
  • 食事を作ってくれた人に感謝できない
  • 自力で解決できず、すぐ人に頼る
  • 責任を持つことを嫌がる
  • 自ら行動できない
  • 自分の非を認められない
  • 要求が通らないとすねる
  • 人のせいにする
  • 金銭感覚が緩い     など

子供が発する「甘えサイン」とは?

子供がパパやママに甘えてくるのは、何らかの不安を感じたり、愛情を確かめたり、嬉しくて気持ちを共有したい時です。子供は大人と違って言葉によるコミュニケーションが十分できませんから、さまざまな表現やしぐさで「ボクのこと好きだよね?」と尋ねてきます。時には親にとって読み取りにくい甘えサインを見逃さないで、子供の甘えにたっぷりと答えてあげましょう。

子供の出す甘えサイン

  • 「見て、見て!」と注意を引こうとする
  • 「〇〇して」とすり寄ってくる
  • 何度も振り向く
  • 「なんで?」と分かりそうなことを聞いてくる
  • なんでもパパやママの真似をしたがる
  • 顔を叩いて注意を引く
  • ひっくり返って泣く
  • 文句を言ながら泣きわめく  など

甘えられない子供はどうなるの?

子供は誰でもパパやママに甘えてくるもの、なんて考えていませんか?子供が甘えてくる時は、ありのままの自分をストレートに親に受け入れてもらいたいと願っている時ですが、子供の性質によってなかなかパパやママに甘えられない子もいますし、兄弟が多い家庭の長男などのように、家庭環境によっては素直に甘えることができない子もいます。

特に気を付けなくてはいけないのが、親が子供を甘えさせる環境を作ってあげないケースです。子供をしっかりとしつけようという理想の高いパパやママは、子供に「しっかりしなさい」と過剰な要求を押し付けがちで、子供の望みに耳を傾ける前に子供に頭ごなしの指示をしてしまう傾向があります。

そうすると、子供は親の態度に委縮してしまい、自分のして欲しいことや気持ちをパパやママに伝えにくくなってしまいます。いわゆる、「大人しくて、親の言うことをよく聞く良い子」のできあがりですね。こういった子供は親に甘えることをしなくなり、パパやママからの愛情を充分に受け取ることができなくなってしまいます。

子供の引きこもりは甘えの結果?

社会的にも問題になっている「引きこもり」や「ニート」なども、よく「親がお金持ちだから」「小さい頃から甘やかしているからだ」と言われることがあります。こういった将来的な不安を耳にすると、「子供に甘えさせてはいけない」と思うパパやママもいるのですが、引きこもりは親が子供を甘えさせたことが原因で起こるわけではありません

むしろ、幼児期から親が子供の話しを引き出す努力をしたり、一緒に様々な体験を共有したり、褒めるなど、親子の触れ合いがとても大切です。ただし、叱ることも大切で、褒めることとバランスよくおこない、近所の人や知り合いなどと交流できる機会を増やし、子供が生きるために必要な自己責任感を身につける機会をつくることも必要でしょう。

子供が自分自身への誇りや自信をベースに、社会との摩擦があっても引きこもらずに乗り越えゆくためには、親が甘やかしや過保護過干渉をやめて、子供をしっかり甘えさせてあげることがとても重要!子供を甘えさせることにネガティブな感情を持つのではなく、甘えは子供を健やかに成長させるものとポジティブにとらえましょう。

上手に子供を甘えさせる4つのコツ

こんなに大事な子供の甘えですが、子供を育てていると何かと忙しく、子供が甘えてきてもなかなか相手ができないことだってありますよね。時には「ちょっと待ってて」と子供の甘えをかわしてしまうことも仕方がないのですが、あんまりやり過ぎていると、子供が素直に甘えられなくなってしまいますよ。忙しい毎日でも上手に子供を甘えさせるコツを4つご紹介しますので、育児に役立ててみて下さいね。

忙しくても必ずスキンシップはとりましょう

子供の甘えは時と場所を選ばないので、パパやママが全て応じることができないときがあって当然です。でも、その時にただ子供の甘えを拒否してはいけません。必ず子供の言葉は聴いてやり、時間をかけて相手ができない場合には「ちょっと待っててね」と、ギュッと抱きしめてあげましょう。

子供は話を聞いてもらっただけでも、パパやママから大事にされていることを実感できますし、スキンシップは最大の愛情表現です。要求したことが満たされなくても満足して、次の機会も自信をもって甘えていくことができるのです。

物でごまかすことはやめましょう

子供が甘えてきた時に充分甘えさせてあげなかったからといって、物を与えることはやめましょう。物を与えてしまったらそれは「甘え」させることではなく、対価を求めた子供への「甘やかし」になってしまいます。子供にとっても甘えれば物がもらえるという間違った認識を持たせてしまうので、気を付けて下さいね。

どんなに子供が喜ぶものを与えても、子供が望んだ時に与えられる愛情に勝るものはありません。甘えへの対応は言葉とスキンシップで十分ですので、親が子供の顔色をうかがうことがないように心がけましょう。

ガミガミと言うのはやめましょう

日頃から子供に対してガミガミと難癖をつけていると、子供が委縮してしまって思うように甘えることができなくなってしまいます。子供が委縮してしまうと動作も遅くなり、その分パパやママが子供のやることに手を出してしまう機会も増えて、子供の自発心を妨げてしまうので気を付けて下さいね。

子供を安心して甘えさせるには、日頃から親子の良い関係を築いておく必要があります。親子の会話や一緒に過ごす時間を充分にとって、信頼関係を維持しましょう。

子供の頑張りを褒めてあげましょう

子供が何かを頑張って、喜びを共有しようと甘えてきたときには、パパやママの方から一歩踏み込んで、子供が頑張ったことをたくさん褒めてあげましょう。子供は甘えられたことと褒められたことでさらに満足して、頑張ろうという意欲を持つようになってくれます。

親に甘えさせてもらった経験は、子供が一生を生きていく上でベースとなる思い出です。うまくいかないことがあって不安で甘えてきた時も、結果ではなく子供の頑張りを認めてあげることで、子供のメンタルを強く育てていきましょう。

大人も子供の「甘え」を楽しみましょう

子供の「甘え」と「甘やかし」を区別することは一見難しいようですが、自分の中できちんと線を引いておくことが大事です。何が子供に良い影響を与えるか、何が悪い影響を与えるのかを考えて、自分なりにルールを決めていきましょう。

忙しい時にひっきりなしに子供が甘えてくると、ついついイライラしてしまいますが、子供が甘えてきてくれる期間は決して長くはありません。たった10秒のことでもいいので、ちょっと家事や仕事の手を休めて、子供の甘えと真剣に向き合う時間を作ってみてはいかがでしょうか。

この記事を書いたライター

羽根田るみこ

第一子から15年間保育園に通い続け、まだまだ記録更新中です!