木育(もくいく)とは?都会でもできる場所や木のおもちゃをチェック
木で子どもを育てる木育(もくいく)は、情操教育に役立つ素晴らしい教育として注目されています。近くに山がないご家庭では、「うちでは取り入れるのは難しいかな」と思われがちです。
実際は、近くに大きな山がない都会のビル街や家の中でも取り入れることができます。植物の栽培などで情操教育をする方法もありますが、木を肌で感じられる木育は親子ともに無理なく生活に取り入れやすいのが魅力です。
今回は、木育の定義、期待できるメリット、木育イベントや木育ルーム、木育を取り入れた保育施設、そして家庭で活躍する木のおもちゃについて詳しくご紹介します。木育について知らなかったママやパパも、ぜひこの機会にお子さまの教育に取り入れてみてはいかがでしょうか。
木育とは?自然について主体的に考える心を育む教育
「木育」とは、2004年に北海道庁が提唱したプロジェクトによって誕生した言葉です。私たちは木に囲まれた生活をしていますが、木について深く考える機会はあまりありません。
木育では、小さい頃から木を身近に感じ、木と触れ合うことで、子どもに豊かな心が育まれ、木や森など自然について主体的な考えを持てる大人に成長していくことを目指した教育です。
木育は、子どもだけでなく大人を含めたすべての人を対象とした教育とされています。北海道では、木育を普及する専門家である「木育マイスター」を北海道森林組合連合会などが養成しています。木育マイスターは、木育イベントを企画・運営したり、学校や園などに普及活動に行ったりすることもあります。
意識していると、駅の広告や児童館のポスターなどで木育マイスターが行うイベントを見かける機会も増えてきています。ぜひお子さまを連れてファミリーで参加してみませんか?「子育てでイライラしている」「ストレスが溜まっている」というママやパパも、木の温かさに触れることで、きっと癒されるはずですよ。
木育に期待できる4つのメリット!自然が育む子どもの能力
木育は、子どもの情操教育だけでなく、知能、コミュニケーションの発達などにもメリットがあると考えられています。「感性豊かで心優しい人になってほしい」「人や物を大切にする子どもに育って欲しい」といった願いがあるママやパパにとって、木育は有効な手段の一つです。木育が子どもにもたらす4つのメリットを、きっと成長とともに実感するはずです。
1五感の刺激になる
木育を通して実際に木を見て、肌で触れて、木の香りを嗅ぎ、木を使って何かを作るという経験は、子どもの五感を豊かに刺激してくれます。木を遠くから眺めるだけでなく、実際に木に触れて遊んでみることは、子どもの成長に大きな影響を与えます。
近年、プラスチックなどの工業製品が街にあふれ、子どもたちが木そのものに触れ、香りを嗅ぎ、遊ぶといった経験ができる機会は昔に比べて減少してしまいました。だからこそ、ママやパパが積極的に木育を取り入れることで、子どもは木のぬくもりや柔らかさ、複雑な色合いなどを感じる五感を磨き、どんどん吸収し、成長することができます。
木の微妙な表情や色合いの変化を観察したり、木の優しい響きを音で表現したりする感性が自然と育まれていくでしょう。
2優しい心が育つ
木は、フィトンチッドと呼ばれる芳香成分を放出しており、この成分が私たち人間に安らぎやリラックス効果をもたらすことが知られています。木に触れることで、五感を育んでいる最中の子どもの心に、木は安らぎや落ち着き、温かさを与えてくれます。これにより、情緒が安定し、優しさや思いやりといった豊かな心が育まれることが期待されます。
3人とのつながりができる
木育イベントや森でのピクニックなど、木に触れる機会を積極的に作ることは、自然に人との関わりやつながりを増やすことにつながります。最近は、外遊びをせずに家で一人で遊ぶ子どもが増えていますが、外に出て自然の中で人との関わりを増やすことで、社会性や協調性、コミュニケーション能力が身についていくことが期待されます。
天気の良い休日は、ご家族一緒に木と触れ合える場所にでかけてみませんか?思いがけない素敵な出会いや、人とのつながりがあるかもしれません。
4物を大切にするようになる
木育は、「物を大切にする心」を育むのにも役立ちます。木育を通して、身の回りのものがどのように作られているかということに意識が向くようになります。
いつも遊んでいる木のおもちゃや家具が、自然の中で育った木を切ることで作られていることがわかるようになると、子どもの心に自然と「大切に使おう」という気持ちが芽生えやすくなるのです。
木育のデメリット!価格と安全への配慮
木育にデメリットはなさそうに思えますが、木製のおもちゃはプラスチック製のものに比べて価格が高くなる傾向があり、家庭で多くの種類を揃えるとなると家計への負担が大きくなります。
また、プラスチック製のおもちゃよりも木は重いため、角が尖ったものや重さがあるものは、小さなお子さまが誤って人に当てたり投げたりした時にケガをするリスクが高まります。
木育おもちゃとして販売されている商品の多くは、こうしたトラブルに配慮して角を丸くするなど安全加工が施されていますが、小さいうちは親御さんが目を離さないことも大切です。
子連れファミリーにおすすめ!木育イベント
木に触れる機会を増やしたいと思っても、どのようなことをしたらよいかわからないというママにおすすめなのが、木育イベントへの参加です。おすすめは、特定非営利活動法人日本グッド・トイ委員会 ウッドスタート事業部が運営する木育ラボが行う、「木育キャラバン」です。
木育キャラバンは、赤と緑色のキャラバンに木のおもちゃを詰めて日本全国を巡っています。木育キャラバンが持ってくる木のおもちゃは、質が高く種類が豊富です。素晴らしいおもちゃに囲まれてお子さまも大喜びするでしょう。
おもちゃ遊び以外にも、ステージでの歌や大道芸などのお楽しみもありますよ。木育ラボのホームページに木育キャラバンのスケジュールが掲載されているので、近くに木育キャラバンがやってこないか確認してみましょう。
木育キャラバン
TEL: 03-5367-9601
所在地: 東京都新宿区四谷4-20 東京おもちゃ美術館内 日本グッド・トイ委員会 ウッドスタート事業部
オプション: 入場は無料ですが、ワークショップなど有料コーナーもあります。
木育ルームあり!無印良品
シンプルな家具やお洋服が人気のブランド・無印良品。可愛くて手ごろな値段の子供服があるので、子育て中のママには愛用している方も多いですよね。そんな無印良品の渋谷西武店では、「木育ルーム」という一時お預かりサービスを実施しています。
無印良品渋谷西武店 木育ルーム
TEL: 03-3770-1636
時間: 10:00~18:00(毎週金曜~月曜)
住所: 東京都渋谷区宇田川町21−1
オプション:
- 料金:1時間1,000円(税別)
- 時間:最大3時間まで
- 対象年齢:生後6ヶ月~6歳(未就学児)
- 申し込み方法:店頭または電話での店頭予約
託児してくれるのは、ピジョン株式会社の子育て支援事業である「ピジョンハーツ株式会社」の専任スタッフなので安心して預けることができます。
木育ルームには様々な木のおもちゃが用意されているだけでなく、週替わりで木育プログラムを実施しています。音に合わせ遊んでみるなど、幼児が楽しめる内容が準備されていますので、お子さまの木育だけでなくママのリフレッシュにもなり一石二鳥ですね。無印良品では木育におすすめの木製おもちゃも数多く販売されていますので、帰りに購入することもできます。
渋谷西武店以外の無印良品でも、店舗内に木のぬくもりを感じられる子どもの遊び場、「木育広場」を設置している店舗が多数あります。託児ではありませんが、休日などを利用してママやパパが一緒に遊んであげられるので、こちらもおすすめです。
家族で木育を楽しめる!東京おもちゃ美術館
ご家族でのお出かけにおすすめしたいのが、東京おもちゃ美術館です。赤ちゃんから安心して木育を楽しめ、1階には0~2歳の乳幼児とその保護者を対象とした「赤ちゃん木育広場」があり、全身で木のぬくもりを堪能できます。
ボランティアの木育サポーターもいるので、遊びのアドバイスをもらったり、一緒に遊んだりすることができるのも魅力的です。
3歳以上のお子さまは、2~3階で興味の赴くままに木育を満喫できます。2階には木でできたおもちゃのもりや展示室、ミュージアムがあり、3階にはおもちゃ工房やおもちゃのまちもあります。
体を使って遊ぶのが大好きな子も、工作やごっこ遊びが大好きな子も、思う存分木に触れ、全身で木を感じて遊ぶことができます。
東京おもちゃ美術館
TEL: 03-5367-9601
時間: 10:00~16:00 (入館は15:30まで)
休館日:木曜、特別休館日、年末年始
住所: 東京都新宿区四谷4-20 四谷ひろば内
オプション: 入館料は大人子供ペアで1,200円です。何度も利用したいご家庭には、パスポートがおすすめです。
木育をとりいれた保育園や認定こども園
北海道で生まれた「木育」は、今では全国の保育施設にも広まっています。木育おもちゃがあるかどうかは保育園選びのポイントにもなります。
幼稚園選びでも、木育についてどのような考えであるかを質問することは、一つの基準になります。こちらでご紹介したのはほんの一例で、日本各地には、木育を取り入れた保育施設が多数あります。
1福井:めぐみこども園
福井県のめぐみこども園では、東京おもちゃ美術館とコラボして「木育プロジェクト」を実施しています。県産の無垢材を利用して木育ルームを完成させ、保育ルームにあるおもちゃも木でつくられたものばかりです。園児が木に存分に触れる環境が整っています。
また、めぐみこども園では、ネイティブ講師を招いた英語教育も実施しています。お子さまの木育と異文化教育が揃う認定こども園です。
めぐみこども園
TEL: 0776-36-5057
住所: 福井県福井市久喜津町二本松34-1
オプション: 職員の9割が「木育インストラクター養成講座」・「木育指導者セミナー」を受講した資格取得者です。
2東京:パル☆キッズ府中
宅配サービスのパルシステム東京が運営する保育園です。保育方針の3つの柱は、「食育・木育・遊育」です。保育ルームは、木のぬくもりを感じられる内装になっていて、おもちゃも積み木やキッチンセットなど木製のものが多く置かれています。
園児たちが食べる野菜を自分たちで育てる家庭菜園も行っていて、子どもたちが自然に触れる機会も多くなっています。
ぱる☆キッズ府中
TEL: 042-330-5550
時間: 9:00~17:00(月~金/平日)
住所: 東京都府中市幸町2-13-29
オプション: パルシステム組合員でなくても入園可能です。
3宮崎:あがた幼稚園
木育誕生の地、北海道から遠く離れた宮崎県でも木育を取り入れた幼稚園があります。宮崎県のあがた幼稚園では、木育保育の一環として園児たちがむいた木の皮を使って、ホール(木香里ホール)を作りました。
木香里ホールは、木のぬくもりが感じられる温かみのある内装になっていて、園児が巨大積み木で遊んだり、木登りをしたり、地域の方が木に触れあう場所として活用されたりしています。
あがた幼稚園
TEL: 0987-22-4567
住所: 宮崎県日南市吾田西3丁目9-28
オプション: 園舎のまわりは、緑がとても豊かです。
4青森:木育寺小屋ぴーぷる
青森県内で「木育寺小屋」を開催している、ぴーぷる。子どもたちが木に触れて森林や環境について考えるきっかけになるようにと、弘前市内をはじめ、県内各地で寺子屋を開催し、木育に取り組んでいます。
木育寺小屋では、木のおもちゃを使って遊んだり、環境保全について学んだりすることができます。自宅ではできない大掛かりな積み木などで遊べるので、子どもの五感もさらに刺激されますね。
特定非営利活動法人 弘前こどもコミュニティ・ぴーぷる 木育寺小屋
TEL: 0172-34-0171
住所: 青森県弘前市大字一番町5 正阿弥ビル3階
オプション: 青森駅ビル内には、木育広場「もくもく」もあります。
皇室御用達や知育玩具もある!子どもにおすすめの木のおもちゃ3選
木のおもちゃは、温かみがあり使う程に愛着がわきます。丁寧に使えば次の世代まで引き継ぐことができる木製おもちゃは、出産祝いとしてもとても喜ばれます。香りや感触、木を通して遊ぶ楽しさも味わえる木育におすすめの木製おもちゃを、お子さまにプレゼントしてみてはいかがでしょうか。
白木チーズひも通し(3個組)
マスセット
三角形のチーズに開けられた穴にひもを通していくという単純なおもちゃですが、お子さまにとっては意外と難しい作業です。どの穴に入れるかは自由なので、子どもの独創性を高めてくれます。
小さい穴にひもを通していくという作業は、集中力を高めるのにも役立ちます。
ベビーそろばん
山のくじら舎
皇室愛用品としても知られる山のくじら舎の製品です。ベビーそろばんは、高知県産の良質なヒノキから出来ています。赤ちゃんの頃は、そろばんの玉を手で動かしクルクル回る様子を見て楽しむことができます。
大きくなるとそろばんとして利用できるようになるので、赤ちゃんのおもちゃから知育玩具としてまで長く使えます。
パズル8匹の恐竜
木遊舎
良質な愛媛県産のヒノキを使用し、熟練の職人さんの手で丁寧に作られた木のおもちゃです。見立て遊びやごっこ遊びを始めた幼児から、パズルの楽しさを知り始めた幼稚園児、小学生まで、意外と難しく長く楽しめます。お誕生日のプレゼントとしても最適です。