里帰り出産のお礼は必要?相場・渡し方・断られた時のマナーを解説
里帰り出産では、出産前から産後の体が落ち着くまでの数ヶ月間、実家や義実家の両親に大変お世話になります。そのため、「お礼は必要か」「いくらが相場か」「渡し方のマナーは」と悩む方は多いでしょう。
結婚して新しい家族を持った夫婦として、受け入れてくださった両親へ感謝の気持ちを伝えることは大切なマナーです。この記事では、里帰り出産のお礼の必要性や相場、渡し方やのしのマナー、断られた時の対応まで、より良い関係づくりができる方法を徹底的に解説します。
親も自分も赤ちゃんも、みんなが笑顔になるスマートなお礼の方法を知っておきましょう。
里帰り出産でお礼をする5つの理由!親への感謝と夫婦の礼儀
里帰り出産の期間は個人差がありますが、一般的には出産の1ヶ月前から産後1ヶ月後までの約2ヶ月間はお世話になることが多いです。「お礼なんて堅苦しいことは気にしなくてもいいからね」「自分の家だから遠慮しないで帰ってらっしゃい」と言ってくれる有難い両親もいますが、断られても渡そうとするママ達には明確な理由があります。
感謝の気持ちを形にすることは、親への敬意と夫婦としての自立を示す大切な機会なのです。
1里帰り先の両親の経済的負担を考慮する
口に出さなくても、あなたと赤ちゃんが帰省することで、ご両親の食費、水道、ガス・光熱費などさまざまな出費が増えてしまいます。特に光熱費は、新生児のいる生活では室温調整などで通常より多くかかることが予想されます。
また、あなたと赤ちゃんが快適に過ごせるように、ベビー用品を準備してくれていることもあります。これらの費用の一部を負担することは、経済的負担を軽減するための配慮として重要です。
2所帯が違う別世帯への礼儀を示す
里帰り先のご両親が自分の兄世帯と同居している場合や、里帰り先が夫の実家である義実家の場合は、お金に関することは特にシビアな問題です。家族とはいえ、所帯の違う別世帯であるという認識が大切です。
お金に関することは後々の家族関係にも影響してくることですので、相手の身になっての配慮が必要です。現金で生活費や雑費をお渡しすることで、心置きなくお世話を受けられるというメリットもあります。
3夫婦としての礼儀(旦那さんのメンツ)を守るため
妊産婦は夫の世帯に嫁いだ身、そして生まれたばかりの赤ちゃんは夫の世帯の子どもと考えられることが一般的です。そのため、産後のママと赤ちゃんのお世話は、本来は夫とその実家に責任があると考える人もいます。
とはいえ現実的には実家に帰って出産をする人がほとんどです。そのため、夫が妻の実家に「妻と子どもがお世話になります」とお礼をすることは、夫婦としての礼儀であり、夫の世帯主としての責任感と誠意を示す行為だと考える人が多いそうです。
4両親や同居家族に身体的負担をかけたことへのお礼
金銭面以上に、里帰り出産では両親や同居家族に多大な負担をかけてしまいます。特に新生児は、毎晩夜中に泣いて家族もゆっくり休めません。
また洗濯や食事の支度などの家事が増えることで、両親の体の負担が増えてしまいます。お世話を受け入れてくれたことへの感謝として、ねぎらいの気持ちを伝えることは非常に重要です。
5心からの感謝の気持ちを形にして伝えたいから
たくさんの負担を承知でママと赤ちゃんを受け入れてくれるご両親に、心からの感謝の気持ちを伝えたいですよね。ただし、このお礼は受け取る相手のいることです。受け取る側はお金や贈り物よりも感謝の言葉を求めていることが多いのも事実です。
ここで気をつけたいのは、物やお金で気持ちを表しているつもりでも、ご両親に伝わっていないケースです。感謝の気持ちを伝えることを第一に考え、相手が受け取りやすい方法を選びましょう。
お礼を考えるときに大切なことは?
渡す相手の性格をよく理解して、相手に伝わりやすい方法で感謝の気持ちを伝えることが最も大切です。
里帰り出産のお礼の相場は?滞在月数と生活費で考える
お礼の相場についての考え方はお世話になった状況や、地域によっても違いはありますが、一般的には普段の生活費より多めに見積もって、1ヶ月で2万円〜3万円×滞在月数くらいが相場の目安とされています。
夫婦で話し合い、経済状況に無理のない範囲で感謝の気持ちを伝えられるように金額を決定しましょう。
また上の子も一緒に里帰りをしている場合は、子供1人につきプラス5千円〜1万円とし、滞在する月数をかけて考えるとよいでしょう。さらに、病院への車での送迎など、両親にお願いした交通費や、オムツなどのベビー用品の雑費も考慮して用意すると丁寧です。
スマートなお礼の金額
千円単位の細かい金額は、儀礼的で受け取る側の不快感の元になることがあります。キリのよい5万円、10万円といった金額がスマートです。渡す時も「お世話になります」という感謝の言葉と共に「好きなことに使って下さい」という思いやりの言葉を添えましょう。
里帰り出産にふさわしいお礼は現金?品物?おすすめの贈り物
里帰り出産では「うちの嫁がお世話になります!」という意味で、夫からお世話になった実家へのお礼という名目で現金を渡すことが多いそうです。特に里帰り先に兄夫婦などの別世帯が同居している場合や、夫の実家である義実家の場合には、現金をお礼として考えることをおすすめします。
ただし事前に「お礼は受け取らない」と言われている場合や、相手の性格を考えて「絶対に現金は受け取らない!」という相手なのであれば、相手の心を思いやって初めから物品を用意したほうが無難です。
どちらが良いのか分からない場合には、とりあえず現金を渡しましょう。もしご両親が「お礼なんかしなくていいから」と現金で受け取らない場合には、改めて物品に変えて贈り直してみるとよいでしょう。「物に変えたら受け取ってもらえた」というケースも意外に多いですよ。
現金以外におすすめのお礼
- 商品券やギフトカード:好きなものを選べる実用性があります。
- 旅行券:両親二人で骨休めができるような温泉などの旅行券は、ねぎらいの気持ちが伝わりやすく人気です。
- ちょっと高級なお取り寄せ食材:日持ちのする高級なお肉や魚介類など、普段は買わないものが喜ばれます。
- 家事代行サービスの利用券:産後、両親の負担が減るようにプロのサービスをプレゼントするのもスマートです。
物品でお礼を贈る場合には相場を気にしないで、相手に喜んでもらえる物を中心に選ぶと良いでしょう。「帰ったらゆっくりしてね」「今度はうちに遊びにきてね」という意味を込めて、旅行券をプレゼントするご夫婦も多いそうです。
里帰り出産のお礼を渡すタイミングは?滞在前か滞在後か
お礼を渡す時期は人それぞれ考え方がありますが、基本は滞在前に渡すのが最もスマートな方法とされています。
1滞在前:初日に夫婦同席で渡すのが最も丁寧
里帰りの初日にパートナーと同席し、パートナーからご両親に「ご迷惑をおかけしますが、妻と子どもをよろしくお願いします」と言ってお礼を渡してもらい、あなたからも「よろしくお願いします」と気持ちを伝えると良いでしょう。
先に渡すことで、ご両親も新婚夫婦の温かい心遣いを感じて気持ちよくお世話できますので、お互い安心して過ごしやすくなります。義実家へのお礼の場合は特に、夫婦揃ってお礼を伝えることが重要です。
2滞在中に一人で渡す場合は夫からの預かり物として
ただ実際には、実家が遠方の場合など一人で里帰りするケースも多いでしょう。その場合には帰省当日に「〇〇さん(パートナー)からお父さんとお母さんに預かってきました。ご迷惑をおかけしますが、どうぞよろしくお願いします」と一言添えて渡しましょう。
またパートナーからもご両親に電話を入れてもらうと、ご両親も夫の顔を立てて受け取ってくれることが多いそうです。産後になってしまう場合は「滞在中の生活費として」と伝えて渡すのが自然です。
3親の性格に合わせてお礼のタイミングは柔軟に選ぶ
お世話をしてくれる実母や義母の性格によっては、「気を遣ってもらったから、十分にお世話をしなくちゃ」と余計な気を張ってしまう場合もあります。最終的には相手の性格を考えて、滞在前か、滞在後か選ぶとよいでしょう。
滞在後に渡す場合は、後日改めて郵送で現金や物品を贈るという方法も丁寧です。
渡すタイミングを作ってくれない親なら分かりやすい場所に置いてくるのもアリ
相手の性格がとても照れ屋で、渡すタイミングを作ってくれない場合には、里帰りを終えて家を離れる時にわかりやすい場所に置いておいて、後で「お礼だから受け取って欲しい」と言い添えて間接的に渡す方法もありです。
家族に対するお礼の渡し方に厳格なルールはありませんので、相手の性格をよく考えて、相手の受け取りやすい方法を選ぶと良いのではないでしょうか。
お礼を渡す前に守るべきルール
ご両親からお礼への挨拶があった時に慌てないように、夫婦で渡す物や渡す時期/金額などに関して、きちんと話し合ってからお礼をしましょう。夫婦の意見が一致していることが大切です。
里帰り出産のお礼ののしは必要?真心が伝わるマナー
贈るお礼への体裁の整え方も相手次第です。きちんとした社会人としてのマナーを守りたい気持ちは十分わかりますが、里帰り出産のお礼を受け取るのはあなたの両親や義両親、つまりは身内です。あまりかしこまることを意識せず、相手が受け取りやすいような、自分の真心が伝わる贈り方を考えてみて下さいね。
常識ではのしが必要だがケースバイケースで対応
里帰り出産のお礼に現金を渡す場合はのし袋に入れ、品物を渡す場合はのし紙をかけるのが常識とされています。郵送で間接的に渡す場合には、冠婚葬祭のマナーにそったのし袋やのし紙を付け、きちんと表書きをすることで感謝の気持ちが伝わりやすくなります。
ただし、永岡さくら(saku)さんの子育て4コマ漫画のように、のし袋やのし紙などを大げさなものにすることで、受け取る両親が他人行儀に感じて寂しく思う場合もあります。
その様な場合には、茶封筒やレターセットの封筒などに入れる、お金を折り畳むなどの粗末な扱いはNGですが、表に「ありがとう」などとお礼が書かれている封筒などであっても非常識にはなりません。
忙しくなる出産前にご祝儀袋を手作りして準備しておけば、世界に1つだけの心のこもったお返しになるので受け取り拒否なんてできないはず。また贈り物にのし紙などがついていなくても構いません。その分お礼の手紙を添え、直接感謝の気持ちを伝えましょう。
里帰り出産のお礼に使うのし袋の選び方!蝶結びの水引がおすすめ
現金でお礼をする場合には、紅白の蝶結びの水引がプリントされている封筒がベターです。蝶結びは「何度あっても良い」お祝い事に使われるため、出産という慶事にふさわしいとされています。
表書きは「御礼」や「感謝」「お世話になります」などとし、送り主として必ず自分とパートナー2人の名前を書きましょう。里帰り出産のお礼は、夫婦としての連名が正式なマナーです。
一般的には、贈る金額1~2%ののし袋を選ぶとされていますが、里帰り出産の場合、豪華な水引のついた派手なものではなく、つつましやかなのし袋の方が気持ちは伝わりやすいでしょう。
品物につけるのし紙の選び方!用途を明確に伝える
贈り物でお礼をする場合には、紅白の蝶結びの「のし紙」を選びましょう。お礼の品を購入する店舗の店員さんに、「里帰り出産のお礼に」と用途を告げてのし紙を用意してもらうとよいでしょう。内熨斗(うちのし)にして配送してもらうとより丁寧です。
里帰り出産のお礼を受け取らない親への対応!拒否を恐れず前向きに
里帰り出産のお礼を考えるときに、「水臭いって言われるかも」という不安がありますが、そんなことはありません。お礼はあくまでも、あなたの気持ちです。感謝を贈られて嫌な気分になる人はいません。
相手の「水臭い」という言葉は、実家の両親の場合「お礼を考える程、立派に成長してくれた」という照れの気持ちであったり、義実家の場合「マナーのある良いお嫁さんだ」という喜びと遠慮の気持ちであったり、親となった新婚夫婦への家計の負担を心配する親心である場合が多いのです。受け取りを拒否されることを不安に思わず、前向きに感謝の気持ちを伝えてみましょう。
お礼は受け取りを断られても2回まで申し出てOK
お礼をする相手の性格にもよりますが、お礼の申し出は2回までであれば、何度かしてもかまわないとされています。一度挫折したからといって、あきらめなくても大丈夫です。
特に義両親にお礼を渡す場合には、相手が恐縮して受け取らないというケースもありますので、「一度渡そうとして拒否されたものも、ダメ元で渡したら受け取ってもらえた!」という話はよくあることです。ただし、3回以上やると「しつこい!」と思われてしまいますので、注意して相手の性格を見極めて下さいね。
一旦受け取った後に「赤ちゃんに」とお礼を返されたら快く受け取る
現金でお礼を渡した時によくあるのが、一旦受け取ってはもらえたものの、「赤ちゃんのために使いなさい」といって返されてしまうケースです。その場合は一旦お断りをして、それでも相手が態度を変えないのであれば、快く受け取りましょう。
あなたからすれば「お世話をしてもらってありがとう」という気持ちですが、ご両親にとっては「新しい命を生んで頑張ったね」という励ましの気持ちなのです。自分の気持ちばかりではなく、相手の気持ちを思いやった配慮を心掛けて下さいね。
両親が絶対受け取らないと固辞したら後日写真や手紙を送る
どうしてもお礼を絶対受け取ってもらえない場合には、そこで挫折するのではなくて、感謝の気持ちを込めた手紙や、赤ちゃんの写真などを後日贈ってみてはどうでしょうか。
受け取りを拒否されても、あなたが嫌われているわけでは決してありません。あなたやパートナー、赤ちゃんたちの生活を気にして受け取らないだけですので、その場合には、相手の負担にならないような、お金や物品に頼らない方法で感謝の気持ちを伝えるように心がけましょう。
お金をかけずに感謝を伝える贈り方
- 手紙やメールに感謝の気持ちをしたためる
- 赤ちゃんの成長や自分の近況がわかる写真を贈る
- お宮参りなどの赤ちゃんのお祝い会にお招きする
- 退院後、夫婦で実家の家事を手伝う
里帰り出産のお礼は両親の気持ちと感謝を伝えたい自分達の気持ちのどちらも大切
人の親になるということは、自分の人生の大きな転機を迎える大事なイベントです。これまで甘えてきた両親に対して「お礼」を考えるのは、あなたが親になった確かな証拠なのかもしれませんね。
でも、どうぞ忘れないでください。里帰り出産は本来、ママになるあなたの体を思いやる、両親や義両親からのお手伝いです。家族のそういった思いは、打算のない、純粋な善意です。
自分に対するお礼を考えて悩む姿よりは、あなたが落ち着いて笑っている姿を見ることの方が、ご両親たちも喜ぶのではないでしょうか。お礼が上手にできなくても、あなたの感謝の気持ちは必ず相手に伝わりますし、うまくできなくても許されるのが家族です。
子どもの出産という大きな喜びのイベントの主役は、あなたです。あまり心配をしすぎないで、出産前の大事な時期を楽な気持ちで過ごして下さいね。

