幼児の水遊びには危険もいっぱい!安全に楽しむための7つの注意点
幼児にとって海や川、湖、公園などの水遊びは、時間を忘れて熱中する楽しい活動です。しかし、水辺の事故は毎年発生しており、水遊びは常に危険と隣り合わせであることを、保護者の方は深く認識しておく必要があります。
警察庁が公表している「令和4年夏期における水難の概況」によると、中学生以下の子供の水難者は全体の約18.6%にあたる113人でした。このうち亡くなったり行方不明になったりした子供は、河川が最も多く50.0%、次いで海が22.2%となっています。また、事故発生時の行動別では、水遊び中が全体の約66.7%を占めており、水泳中よりも水遊び中の事故が多いことがわかります。
「乳幼児は数cmの浅い水深でも溺れる危険があるため、付き添う大人はより注意が必要」という情報は広く知られています。令和4年の乳幼児(0歳から小学校入学前)の水難者数は22人でした。これらの事故を防ぐためにも、水遊びを甘く見ず、具体的な注意点への理解を深めて、子供たちを安全に遊ばせてあげてください。
子育て4コマ漫画:刺激がいっぱい!幼児の水遊び
水遊びを安全に楽しむための7つの重要な注意点
水遊びは幼児の心身の発達に多くの良い効果をもたらしますが、安全管理を徹底しなければ重大な事故につながります。ここでは、水遊びを安全に楽しむために特に守っていただきたい7つの重要な注意点をご紹介します。
1. 幼児から決して目を離さない「水監視」の徹底
水遊び中の事故は、わずかな時間で発生します。特に人が多いプールやじゃぶじゃぶ池、自然の要素が絡む河川や海では、子供を見失いやすく、親がしっかりと注意を払う必要があります。水難事故の約半数は最悪な事態に至るという認識を持ち、子供から目を離さずに水遊びをさせることが、安全に楽しむための何よりも大切なルールです。
乳幼児は浴槽程度の浅い水深でも溺れる可能性があるため、大人が手の届く範囲で常に監視する「タッチ監視」を徹底してください。
2. 水遊び前に必ず幼児の体調を確認する
水遊びに出かける前には、必ずお子さんの体調を確認しましょう。体調不良や免疫力の低下は、感染症にかかるリスクを高めます。
幼児に水遊びをさせる前にチェックすること
- 睡眠は足りていますか
- いつも通りご飯は食べていますか
- 疲れていませんか、熱はありませんか
- 鼻水や咳は出ていませんか
- 湿疹や傷はありませんか
- 目ヤニはありませんか
感染症や皮膚疾患については、他者に感染させない、または悪化させないための配慮が必要です。例えば、とびひ(伝染性膿痂疹)は水に触れると悪化する可能性があり、治療中でもプールや水遊びは控えることが推奨されています(日本皮膚科学会)。水いぼ(伝染性軟属腫)やアタマジラミ症などは、皮膚科での治療中であればプールに入浴可能とされる場合が多いですが、医師の判断を仰ぎ、施設側のルールも確認しましょう。万全な体調で水遊びをさせることは、子供たちが気持ちよく遊ぶための大切なエチケットです。
3. 熱中症と日焼けの対策を徹底する
水遊び中は体が冷えるため熱中症にならないと思いがちですが、実際には汗をかいたことに気づきにくく、幼児は特に水分補給を忘れがちになるため、水の中での熱中症リスクは高いです。
また、屋外では水面からの日光の照り返しもあり、幼児にとって日焼けをしやすい環境です。帰宅後に皮膚がヒリヒリして寝つきが悪くなることもあります。
幼児に水遊びをさせる際は、大人が責任を持って定期的に水分を摂取させ、水遊びをする前に日焼け止めを塗り、万が一日焼けをしたら早めにアフターケアをしてあげることが必要です。
日焼け止めは、紫外線吸収剤不使用のノンケミカル処方で、肌への負担が少ないものを選ぶことをおすすめします。肌が敏感な幼児には、SPFの数値やPAの+マークが適度な商品を選び、こまめに塗り直すことが重要です。
4. 天候と自然環境の急変に警戒する
海や川、湖など自然の場所での水遊びは魅力的ですが、突然のコンディションの変化を予測できず事故に巻き込まれることがあります。慣れている場所でも自然への警戒が必要です。
事前に天気予報をチェックすることはもちろん、現地でもマメに天気をチェックし、少しでも天候が悪化しそうならすぐに切り上げましょう。
豪雨や台風の前後は特に要注意
遊びに行く当日は晴天でも、前日までの降雨で水位が高くなり、水の流れが速くなるなど、悪天候の後の水辺は危険です。また、予報より早く天気が急変することもありますので、無理をしないようにしましょう。
海や川には、泳ぎが得意な大人でも危険な「離岸流」や、浅瀬でも一瞬で引き込まれる「戻り流れ」のような場所もあります。事前に現地の危険な場所をチェックし、流れが急な場所や深い場所には幼児を近づけないようにしてください。
5. 水遊びに適した気温・水温・時間を守る
保育所などでの水遊びの安全管理基準では、「気温+水温が50℃以上」が一つの目安とされています(消費者安全調査委員会「教育・保育施設等におけるプール活動・水遊びに関する実態調査」より)。
家庭のビニールプールで遊ばせる場合、気温が高くても水道水の水温が低く、基準を満たせないことがあります。特に風の強い日や雨の日は体感温度が低く冷えやすいので、幼児の水遊びには適していません。
幼児に家庭のプールで水遊びをさせる際は、天候の良い日を選び、水の温度調整をして子供が不快に感じない環境に整えましょう。
お家プールを楽しむ際の水温調節方法
- 事前にビニールプールに水を入れて日向で温める
- ビニールプールの水にお湯を足す
また、水遊びの時間は、監視している大人も幼児も集中力が途切れて水難事故に繋がらないように、短めがおすすめです。最長でも30分程度を目安に切り上げましょう。
水から上がった際は、体温を冷やさない工夫と日差し対策として、バスタオルや筒形のラップタオルで体を覆ってあげてください。
6. 適切な服装(水着・ウォーターシューズ)を選ぶ
幼児の水遊びの服装は、どのような場所であっても基本は水着が良いです。洋服のまま遊ぶと、全身が濡れることで洋服が水を吸って重くなり、子供が動きにくくなって転倒しやすくなるため、怪我につながる可能性があります。しっかり水着に着替えさせてから遊ばせましょう。
幼児の水遊びにはラッシュガードがおすすめ!
陽ざしの強さによる日焼け対策や、岩や小石による切り傷防止になります。また、幼児の体温が急激に下がるのを防ぐ効果もありますので、積極的に使用しましょう。
また、海や川での水遊びはゴツゴツした石などで足の裏を怪我することがあるため、サンダルではなくウォーターシューズの着用がおすすめです。ビーチサンダルのようなものはかえって滑りやすく、流されてしまうこともあるためおすすめできません。
ウォーターシューズは、水中で安全に遊ぶことができ、しっかりと足にフィットして脱げないため最も安全です。ただし、プールやじゃぶじゃぶ池の中には土足禁止の所もありますので、事前に確認してから使用するようにしましょう。
7. 虫よけ対策で虫刺されを予防する
幼児は大人に比べて活発で新陳代謝が激しく、呼気や皮膚から多くの二酸化炭素が発生しやすいため、蚊やアブなどの刺す虫にとって格好の標的です。
特に山中の河川やキャンプ場の水辺など自然の中で水遊びをする場所は、水や植物が豊富なため虫が多く、油断できません。車外に出る際は、虫よけスプレーや虫よけシール、虫よけブレスレットなどで、しっかりと虫刺され予防をしてあげましょう。
水遊びが幼児にもたらす効果とねらい
水遊びは準備や後始末が手間だと感じるかもしれませんが、子供にとっては心身の成長に良い効果をもたらします。市民プールや家庭の浴槽などを利用して、季節を問わず楽しませてあげましょう。
🌟 感覚の発達と好奇心の刺激
水遊びは、目、耳、手など全身を水で濡らす遊びのため、視覚、聴覚、触覚といった感覚の発達に役立ちます。
思わぬ水しぶきがかかることで、幼児は驚きや楽しさを感じます。また、水は子供の好奇心を刺激する不思議の塊です。日によって水の温度が違うこと、川の流れや海の波、プールの水の動きの違いなどを全身で感じることで、「なぜ?どうして?」という疑問を抱き、考える力を育みます。
水遊びを体験する機会を増やすことで感覚が発達し、表現力や感性も豊かに成長していくでしょう。
💪 基礎体力の向上
水は空気のおよそ800倍の密度があるため、空気中と同じ動きをしてもより大きな抵抗を受けます。さらに水中では浮力も働くため、陸上とは異なる動きが可能になります。
そのため、幼児は陸上と同じように遊んでいるつもりでも、水の抵抗により思っている以上に体力を消耗しています。水遊びを繰り返すことで、体をたっぷり動かし、丈夫な体へと成長しやすくなるのです。
😊 水に親しみ、楽しむことが最大のねらい
幼児期の水遊びのねらいは、あくまでも水に親しむことです。保育園などでも、泳ぎの技術向上ではなく、小学校入学後の自主性、意欲、感性、好奇心など心を育てることを目的に水遊びが行われています。
水嫌いを克服させようと、無理に顔をつけるなどのトレーニングを強要すると、水への恐怖心が悪化する恐れがあります。もし水に慣れさせたい場合は、必ず幼児本人の意思を確認し、気持ちを尊重して無理をさせないようにしましょう。
「水遊びは楽しい」「水は怖くない」と思わせることが重要ですので、保護者の方が焦らず、温かい心で見守ってあげてください。
じゃぶじゃぶ池や川遊びができる!幼児におすすめの水遊びスポット
自然が少ない東京をはじめ、全国にはじゃぶじゃぶ池や川などの幼児が水遊びを楽しめるスポットが沢山あります。ただし、天候や清掃日などがあり使用できないこともありますので、事前に確認してからお出かけください。
釜の淵公園
住所: 東京都青梅市駒木町3丁目
1年を通して四季折々の花を楽しむことができます。川は浅瀬なので足だけをつけて涼むこともできますし、小魚やエビも泳いでいるので幼児と探して盛り上がれます。川辺でバーベキューも楽しめますので、都内で幼児と川遊びを気軽に楽しみたい方におすすめのスポットです。
舎人公園
住所: 東京都足立区舎人公園1-1
舎人公園の中心部にあるじゃぶじゃぶ池は夏休み期間のみの解放している水遊びスポットです。ウォータースライダーもあり子供に大人気で、もちろん幼児でも十分楽しめます。橋があったり斜面だったり噴水があったりとジャブジャブ池として充実しているため、子供が楽しい水遊びをたくさんできる公園です。
多摩川中央公園
住所: 東京都福生市北田園1丁目先
緑がとてもきれいな公園です。じゃぶじゃぶ池で遊ぶのもおすすめですが、小川があり子供が自然に触れあいながら遊ぶことができます。水は通年流れているので早い時期から遊べるのも嬉しいポイントです。公園から多摩川まですぐ行けるため魚釣りも楽しめます。
井草森公園
住所: 東京都杉並区井草4丁目12番1号
原っぱゾーン、多目的運動場ゾーン、水と森のゾーンと3つのゾーンに分かれています。水と森のゾーンは人工的な川が流れており浅瀬なので幼児も楽しく遊べます。水質調査もしているので安全で綺麗な水が流れているのも嬉しいポイントです。公園の緑も豊かですので遊びながら森林浴もできます。
林試の森公園
住所: 東京都品川区小山台2-6-11
樹木が多く生い茂る林試の森公園は、都会の真ん中とは思えないほどの自然があります。じゃぶじゃぶ池は幼児や小学校低学年までの子供が水遊びを楽しめるように作られています。噴水は3つのノズルから出ていて子供に大人気です。自然を感じながら水遊びができ、木陰が多いので夏でも涼しいのは嬉しいです。
浮間公園
住所: 東京都板橋区船渡2-15-1
公園のシンボルである大きな風車が印象的です。じゃぶじゃぶ池は毎日水を入れ替えるのでママも安心して子供を遊ばせられます。また池のそばに屋根付きのベンチがあるので、疲れた際の休憩にも困らないのが嬉しいポイントです。ただし水着着用が必須で、おむつが取れていない子は入れませんので注意が必要です。
国営木曽三川公園 138タワーパーク
住所: 愛知県一宮市光明寺字浦崎21-3
愛知県、岐阜県、三重県の3県にまたがる日本最大の国営公園の中にある138タワーパーク。やすらぎの池では4月中旬から11月初旬まで幼児も大人も水遊びをすることができます。水深10cm~20cmと手頃な深さですので、水嫌いの幼児でも楽しく水遊びができるのも魅力的です。水遊び場の他にも遊具や広場などがあり、一日たっぷり遊べます。
柏原公園
住所: 福岡県福岡市南区柏原6丁目60
福岡市から1時間かからずに行ける、幼児の水遊びにぴったりのスポットです。小さな川があり、水深は浅く、川のあたりは蚊が少ないという口コミも。幼児がよじ登って遊べる石や小さな展望台、アスレチックなどもあるのでたっぷりと体を動かせます。
他にも幼児の水遊び向きの水深の浅いじゃぶじゃぶ池や川、池などは色々あり、地元の水道局の敷地に幼児が水遊びできる公園がある地域もあります。今回は東京を中心にご紹介しましたが、関西にも子供が喜ぶ川遊びスポットがたくさんありますので、是非参考にして幼児と水遊びに出かけてみましょう。
幼児の水遊びにおすすめの手作りおもちゃ
遊びのバリエーションが多いのも水遊びの特徴です。海の生き物をまねたごっこ遊びやおもちゃを使った水鉄砲、船遊びなど子供にとっては普段できない遊びができて刺激的です。
一番のおすすめはパパやママと一緒に水遊び用のおもちゃを制作し、実際に水遊び場で遊んでみることです。船を作る場合、「素材は何が良いか、どうすれば浮くのか、どうすれば進むのか」など子供は一生懸命考えるため、思考力が身に付きます。
幼児のうちは大人がヒントをあげながら一緒に作るのもおすすめですが、ある程度大きくなったら材料集めから子供に任せ、子供の自主性を育ててあげるのも良いでしょう。






