立ち会い出産は後悔する?夫婦の本音とメリット・デメリット
立ち会い出産は、夫が積極的に経験したいと希望する場合もあれば、出産の壮絶さにしり込みしてしまう場合もあります。一方、女性側も「初めての出産は不安だからそばで支えてほしい」という意見と、「出産のあられもない姿を見られたくない」「女性として見られなくならないか不安」という意見に分かれますよね。
実際に立ち会い出産を経験したパパとママは、その選択を後悔しているのでしょうか?特に夫は、出産を目の当たりにしたことで妻を女性として見られなくなるという噂は本当なのでしょうか?
本記事では、男性8名、女性7名が語ってくれた立ち会い出産のリアルな本音をご紹介します。その体験談から、後悔を避けて感動的な一日を迎えるための具体的なヒントと、夫婦がより幸せになるための選択の参考となる情報をお届けします。
Q立ち会い出産で後悔した?立ち会って良かった?夫婦のリアルな体験談
【夫側の本音】「感動」と「後悔」
父親にとって、立ち会い出産は「感動的な奇跡」を目の当たりにする機会ですが、予期せぬトラブルや無力感から「後悔」につながるケースもあります。
A初めは嫌々だったけれど…出産で感動!責任感も芽生えた
長女の出産の時の話です。定期的に検診にも付き添っていて、助産師さんから立ち会い出産かどうか尋ねられました。私は看護師で、看護学生の時の実習で立ち会い出産を経験していました。
出産の立ち会いに対していい印象がなかったので初めは断っていましたが、妻が立ち会ってほしいと懇願するもので、嫌々立ち会うことにしていました。しかし、いざ出産となると妻の手を握り、団扇であおぎ、励ましていました。
実習で経験していたものとは違い、産まれた時には感動して涙を我慢することができませんでした。責任感が生まれた瞬間でもありました。父親としての自覚を持つ意味でも、立ち会い出産に賛成です。
A女性の底力を感じる出産!一生忘れられない
妻が妊娠したとき、妻よりも僕のほうが動揺して怖がってしまいました。なぜなら、出産はすごく痛いと聞くので、妻がどうなってしまうのか、正直お腹の赤ちゃんよりも妻のほうが心配で「絶対に立ち会い出産で」と決めました。そばにいたかったからです。
だけど実際に出産となると、僕なんて本当に妻の手を握るだけで精いっぱいで…。助産師さんに「もっと腰さすってあげて!」と怒られて、「すいませんすいません」と謝りながら妻に「大丈夫か」「頑張れ」を連発するだけでした。
でも、女性ってすごい。痛くても苦しくても、踏ん張って耐えて赤ちゃんを産むんです。妻もすごく苦しそうで痛そうでしたが、「大丈夫だから!」って言いながら娘を産んでくれました。本当に感謝です。女性の底力を見ました。
僕よりずっと小柄で怖がりな妻が…。家族を作ってくれた瞬間に立ち会えて、良かったです。立ち会い出産のことは、一生忘れないと思います。
A肝心な時にお腹が…人生で一番の後悔
友人から立ち会い出産をし、とても感動したと聞いていたので、自分も必ず立ち会うと決めていました。結婚し、嫁さんに話すと『何か恥ずかしい』と言っていました。2年後ようやく妊娠し、いよいよ出産です。
もちろん分娩室に入り、兼ねてより勉強した呼吸法も嫁と一緒に頑張りました。しかし、もうそろそろと言う時にお腹が痛くなり、トイレへ駆け込みました。
ようやく痛みも治りかけた時、かすかに産声がきこえました。急いで分娩室に駆けつけた時には、すでに産まれていました。緊張するとすぐにお腹を下す体質を、こんなに後悔したことはありませんでした。立ち会うことができなかったことは、今でも心残りです。
A男性は産まれた瞬間、父親になる!
男性は産まれた瞬間から父親になるんだなと思います。母親のように自分のお腹で約10ヶ月大きくなっていく経験やつわりのつらさがないので、妊娠という事実を告げられても実感は正直沸きません。私だけかもしれませんが、出産に立ち合ってわが子と対面するまでは、どこか父親になりきれなかったですね。
それが出産に立会い、わが子がこの世に生命を受けて誕生した瞬間から、父親になったんだって実感じました。出産に立ち会って、小さな体だけど命の重さをしっかりと備えて誕生した瞬間は、思い出すと昨日のことのように思い出すことができます。一生に何度も立ち会える機会でもないと思うので、迷っているなら立ち会うべきです。
【妻側の本音】「感謝」と「失望」
妻にとって、立ち会い出産は「安心感」につながる一方で、「期待外れな夫の態度」により後悔につながる場合もあります。
A生命の誕生を一緒に感じられて幸せ
結婚をしてから1年、妊娠が発覚した時旦那に「立ち会い出産しようね!」と話していました。私も初めての出産で一人では怖いな、と思っていた部分もあり、出産という大きなイベントに立ち会ってもらいたいと思っていました。
予定日が近くなるにつれて、旦那が少し立ち会い出産に後ろ向きになっているのには気づいていましたが、私は絶対に立ち会って欲しい!と思っていたので、旦那の気持ちは無視しました。(笑)
出産当日。陣痛が始まり分娩室へ移動する時も、散々弱気な発言をしていた旦那ですが、しっかり手を握って最後まで立会をしてくれました。無事に産まれた時は旦那の目からも涙が出ていて、やはり立会出産にしてよかったなぁと思いました。感動を共有できたことが、その後の夫婦関係にも良い影響を与えています。
A旦那が役立たずで、立ち会い出産に後悔
初めての長男の出産時の話なのですが、立ち合い出産は旦那か母親のみ限定だったので、旦那に立ち会ってもらうことにしました。分娩室に入った時にはすでに陣痛は2分間隔。激痛で化け物のように騒ぐ私に、旦那はどうしていいか分からないのか、座ったまま見ているだけでした。
助産師さんから、「テニスボールでお尻を抑えてあげたり、腰さすってあげたりしてあげると楽になるよ」と言われているにもかかわらず、ボールをお尻じゃなく腰に当ててきたり、立ち尽くしたり、「腰がぐにゃぐにゃしてるよ~」と励ましでもなんでもない言葉をかけられて、激痛の中イライラしてきました。
せめて「頑張ってや」「もう少しだよ」とかの言葉だけでもよかったのに・・。結局無事に生まれましたが、旦那はいざというとき頼れないなとつくづく思い、立ち会い出産にしたことを後悔しました。夫の役割が不明確だったことが、失望につながっています。
A夫が張り切りすぎて、一人の方が良かったと後悔
初めてのお産で不安が大きかったので、夫に立会い出産をお願いしました。快く了承してくれて、夫は毎回一緒に病院へ行き、出産に向けての知識を一緒に備えてくれたため、私のイライラや身体のダルさで休んでいても文句1つ言わず支えてくれました。
立会い出産に向けて夫なりに学んだことで、私の変化などにも理解してくれた夫には感謝しているし、良かったなと思っていました。だけどいざ陣痛がきて痛みに耐えている私の横で、やけに落ち着いている夫にイライラしました。
「赤ちゃんも今頑張ってんだよ」「水ばかり飲んじゃダメ」とか、助産師さんから言われるなら良いけど、夫に言われると「そんな事分かってるわー!」とイライラ。分娩室へ行くと「待ってました!」と言わんばかりに張り切りだした夫。先生に「まだですか?」と何度も聞き、一緒に呼吸法をする夫が恥ずかしかったです。
一人目の立ち会い出産ではそんな後悔があったため、次女の時は立会い出産にせず、一人で頑張りましたが、とてもお産に集中できました。
A立ち会い出産のお蔭で、育児に積極的になった
初めは立ち会い出産なんてしたくないと思っていました。初産でしたし、自分がどんな姿で出産するのか全く見当もつかず、あられもない姿を見られるのが嫌でした。
でも実際陣痛がきたら、痛みと戦っているときに陣痛室でずっと付き添ってくれた夫と一緒に出産したいと思いました。
出産の瞬間は夫も感動してくれて、本当によかったです。夫も出産の瞬間に立ち会ったことで、父親としての自覚が少し芽生えたようで、退院してからの育児にも積極的に参加してくれます。
立ち会い出産における父親の「最高の役割」とは?
「ちゃいさん」や「ぴなゆママさん」の事例のように、夫の態度が原因で妻が後悔を感じてしまうこともあります。感動で終わり、後悔を避けるために、立ち会い出産で夫が果たすべき具体的な役割を事前に確認しておきましょう。
1. 徹底した「サポーター」に徹する
夫は、出産という大仕事に挑む妻の専属サポーターであることを自覚しましょう。具体的な行動は以下の通りです。
- 身体的サポート: 助産師さんの指示に従い、テニスボールで腰やお尻を押したり、痛む箇所をさすったりします。汗をこまめに拭き、水分補給を手伝うことも重要な役割です。
- 精神的サポート: 妻の手を握り、「頑張っているよ」「呼吸が上手だよ」など、具体的なねぎらいの言葉をかけ続けます。「もう少しだよ」という曖昧な言葉よりも、「次の陣痛が来たら背中をさするね」といった具体的な行動を伝える方が妻の安心につながります。
- 「ヒーヒーフ~」の協力: 妻の呼吸法を隣で一緒に行うことは、妻の呼吸のリズムを安定させ、孤独感を和らげる効果があります。
2. 病院スタッフとの連携役を担う
妻は陣痛の激痛で、病院スタッフとの細かなコミュニケーションを取る余裕がありません。夫は、妻の状況をスタッフに伝えたり、スタッフからの指示を妻に分かりやすく伝えたりする「橋渡し役」を担うことも求められます。
3. 妻の「産後の要望」を最優先にする
出産直後は感動のあまり自分の感情に浸りがちですが、最優先すべきは妻への配慮です。「本当にありがとう」と感謝を伝えた後、「何か飲みたいもの、食べたいものはない?」「少し休む?」など、妻の体調や要望を最優先して尋ねることが大切です。
立ち会い出産で後悔を避けるための事前準備
立ち会い出産を成功させ、後悔なく終えるためには、事前の準備が不可欠です。夫婦のコミュニケーション不足や、知識不足が後悔の原因になることが多いです。
- 夫婦の意見交換: 妻は「どこまで立ち会ってほしいか」(陣痛室までか、分娩室までか)、夫は「出産の壮絶さに対して不安がないか」を正直に話し合いましょう。夫の「見たくない」という気持ちも尊重することが大切です。
- 具体的な役割分担の確認: 「夫は陣痛中に何をするか」を具体的に決め、助産師さんや病院の立ち会い出産教室で学んだことを夫婦で共有します。特に「何を言われたらイライラするか」(例:「頑張れ」の連発など)を伝えておくのも有効です。
- 病院のルール確認: 病院によっては立ち会いできる時間帯や人数に制限があります。「そうなんださん」のように、急な体調不良や予期せぬ事態で立ち会えなかった場合の代わりの人(実母など)を決めておくことも検討しましょう。
- 「育児への積極的な参加」を約束する: 「うまい棒さん」や「2児のパパさん」の体験談にあるように、立ち会いが「父親の自覚」を促し、その後の育児参加につながることが最大のメリットです。立ち会いの感動を一時的なものにせず、産後の育児に積極的に参加することを約束しましょう。
立ち会い出産で「妻を女性として見られなくなる」という懸念について
立ち会い出産をためらう大きな理由の一つに、「出産時の壮絶な姿を見て、妻を女性として見られなくなるのではないか」という懸念があります。しかし、今回の体験談や多くの夫婦の意見を聞く限り、この懸念は杞憂であることがほとんどです。
実際には、「にじパパさん」や「マサフさん」のように、妻が命がけで赤ちゃんを産む姿を見て、妻への「尊敬の念」や「愛」が深まったという声が圧倒的多数です。
出産は、命を生み出す「生命力に満ちた姿」であり、セクシャルなものではありません。夫は妻の苦しむ姿に感動し、その後の夫婦関係においては、「妻を母親として、そして生命の尊厳を体現した存在として、より深く大切に思うようになった」という変化が見られます。夫婦の関係性は、恋愛から家族愛へと昇華することが多いと言えるでしょう。
もし、夫側がこの点で強い不安を感じる場合は、出産の瞬間ではなく、陣痛のサポートや産後の抱っこなどの「サポート役」に徹することも選択肢としてあります。夫婦が納得のいく形で、新しい家族を迎えられることが最も大切です。