離婚しても子供を守りたい!養育費の計算方法や相場
離婚原因は一昔前と比較すると多様化し、残された子供の親権についても複雑な事情が伺えます。ただ、親権争いに勝利しても子育てにお金が掛かるのはどの離婚のケースも同様です。離婚しても子供を犠牲にしてはいけないというポリシーで離婚に踏み切った夫や妻が習い事や洋服代や食事代など、両親のいる家庭の子供と遜色ない生活をさせてあげたいという思いがあるでしょう。
そのためには養育費が必要不可欠ですが、双方の話し合いで決めた養育費を踏み倒す実例も少なくありません。子供の幸せな生活を守るため、正当な養育費を得られ続けるコツを紹介します。
養育費を計算する方法を把握し損しないコツ
離婚した元配偶者には絶対養育費を支払い続けてもらうと固く決意しても、基準や目安を知っておかなければ上手く養育費をもらうことができません。いくら離婚原因を作ったと言っても支払い能力には限界もあります。養育費には子供の人数や年齢も考慮されます。どんなふうに養育費を計算すればいいか見てみましょう。
地道に養育費を計算する方法から養育費の基本を学ぶ
離婚する時に被害に遭った方がもらえる慰謝料には時効がありますが、養育費の場合はないと言っても過言ではありません。子供は離婚の直接の原因ではなく犠牲者だからです。例えば、親が養育費をもらう権利を放棄したとしても子供の方から請求することもできます。
そのためもらうつもりが親になくても基本的なことは知っておく必要があります。まず、養育費の基本的な計算方法ですが、次のような流れで行われます。
- 養育費を支払う側と養育費を受け取る側の基礎収入を認定
- 養育費を支払う側と養育費を受け取る側と子供、一人一人の最低生活費を認定
- 養育費を支払う側と養育費を受け取る側に負担能力があるかどうかを確認
- 子供に必要とされるべき生活費を認定
- 養育費を支払う側が負担すべき金額を認定
複雑化に対応するための養育費の算定表と専用ツール
しかしこの方法では非常に手間や時間がかかるので、養育費算定表ができました。これに基づいた専用ツールも弁護士事務所のサイトなどに掲載されています。
養育費を支払う側と受け取る側の手取り、子供の人数、子供の年齢を入力すれば、平均的な婚姻費用、標準的な養育費を計算してくれます。ただし、養育費算定表や専用ツールは子供が3人の場合までしか対応していません。
子供4人の場合は、自分で計算する必要があります。1.の基礎収入というのは給与所得者の場合、年収×0.4で計算。4.は、養育費を支払う側の年収×子供の指数÷(養育費を支払う側の指数+子の指数)で計算します。
子供の指数は、0歳~14歳は55、15歳~19歳は90です。養育費を支払う側の指数は、100です。そして、5.の養育費を、4.の子供の生活費×1.の養育費を支払う側の基礎収入÷(養育費を支払う側の基礎収入+養育費を受け取る側の基礎収入)で計算します。
養育費の減額や増額に対応するために頭に入れること
養育費は、養育費をもらう側が支払う側に請求した時からもらうことができます。しかし、さかのぼって請求することはできません。また、養育費がもらえるのは子供が20歳までとなっています。教育費の大部分を占める大学の学費の支払いが終わる大学卒業までもらうこともできますが、それを認めさせるのは難しいケースが殆どです。
さかのぼって請求できないことや大学卒業まではもらえないことを考慮し、もらう側が支払う側へ増額することを考える人が出てくるのは自然なことですが、反対にもらう側が再婚しそれを支払う側が知った場合、減額したくなるのも当然と言えます。さまざまな減額や増額の要求に際して知っておくべき知識にはどのようなものがあるでしょうか?
養育費の減額や増額を要求したい時に第一にやること
養育費の減額や増額の要求など金額の変更をしたい場合は、第一に話し合いをすることです。元配偶者が話し合いに応じようとしてくれなければ、内容証明郵便を送りましょう。
その結果、要求に応じた場合は必ず書面に記録を残すことがポイントです。それには、合意書として公正証書で保管するのが一番安全です。後日、そんな合意してないなどと反論するトラブルを回避できるからです。また、養育費自体が急に支払われなくなることもあります。
その時は、家庭裁判所により支払う側に支払いをするように勧告されたり、支払いを命じてもらったりするのです。それでも支払われない場合は強制執行をします。給与を差し押さえるのが主流ですが、その他の財産を差し押さえることもできるのでよく覚えておきましょう。
養育費の減額や増額を要求したい場合認められる理由
養育費を支払う側が受け取る側に養育費の減額を要求したい状況になるなど、次のような時に養育費減額や増額の要求が認められます。
- 支払う側が急な病気になったり、事故で怪我を負い仕事ができなくなったり、失業などで収入が低下した時
- >受け取る側が以前より経済的に裕福になったことがわかった時
- 受け取る側が再婚したり、子供を養子縁組に出したりして、養育する必要がなくなった時
また、養育費を受け取る側が支払う側に養育費の増額を要求したい場合も、次のような時であればその要求が認められます。
- 子供が進学するにつれて、教育費が増加した時
- 子供の面倒を見ている人が病気になったり、怪我したり、失業などで著しく収入が減少した時
- 子供が急に病気になったり、怪我したりするなど予測不能な医療費が増加した時
- 物価が大きく上昇したり、貨幣価値が変動して下がったりした時
養育費の8割が収入と見なされた場合の児童扶養手当
母子家庭や父子家庭が珍しくない時代、両親がそろっている家庭に遜色ない生活を子供たちが送るため、行政はあらゆる制度を設立してきました。その一つが児童扶養手当です。
どんな助成金制度も補助金制度もそうですが、頑張っている人、助けなくてはいけない人に手をさしのべる目的であるにもかかわらず、支給されるまで、さまざまな書類提出、調査などの段階を踏まなくてはならないため支給されるまで時間が掛かるのが難点と言えます。また困っているのは事実なのに思わぬ落とし穴にはまる恐れもあるので、そうならないためのコツを押さえておきましょう。
まずは児童扶養手当の基本をよく把握するのが第一歩
児童扶養手当とは、離婚した一人親家庭の児童のために支給される手当のことです。親の所得によって、支給額が比例して決まり、あまり高額の所得の家庭だと支給されないこともあります。
最高で42,000円支給され、2人目には+5,000円、3人目以降には1人につき+3,000円です。一人親家庭になったら無条件に何もしなくても支給されるのではなく、申請しないと支給されない制度なので、数多くの書類を居住地の役所に提出しないといけません。
最初に、自分の所属する自治体のホームページなどで、申請に必要な書類や支給される金額を調べる必要があります。
養育費と児童扶養手当の意外な関係を見落とさないで
児童扶養手当は、過去にさかのぼって請求できないので離婚したらすぐに請求しましょう。また、受給者の収入に応じて支給額が変わるので、その8割が収入と見なされる養育費があまりにも多いと、思ったほど支給されなかったり、まったく支給されないこともありえます。養育費の金額は自己申告ですが虚偽申請すると罰則もあります。
もし発覚すると、全額返金する必要があり、懲役や罰金刑を受ける可能性もあるので要注意です。必ずしも役所の義務ではないですが、収入に関する調査を行うこともあります。社会保障の不正受給が問題になっている時代なので、調査が厳しくなっているのも事実です。
養育費の正しい知識が子供たちを幸せにする
離婚して夫と妻が別れてしまっても子供たちにとってはずっと父親と母親であり、両親です。親は子供を守る義務があり、離婚しても子供を守らなくてはいけません。離婚しなくてはいけない事情があっても、どちらかが引き取って面倒を見て、どちらかがその面倒を見るための養育費を支払はなくてはいけません。
近代以前は、一夫多妻制を取り入れていた国がたくさんありましたが、それは必ずしも男性が複数の女性と結婚して得していたわけではなく、夫と死別や離婚した女性とその残された子供の面倒を、ある程度地位の高い男性が保護者として引き取るために一夫多妻制を認めていたからなのです。
現代の日本は一夫一妻制なので、養育費や児童扶養手当の制度を通して、母子家庭や父子家庭の子供たちを守っています。正しい養育費の知識を使って、子供たちを守りましょう。