養育費は公正証書で守るに関する記事

『養育費で公正証書を作る理由と具体的な手続きの方法』

離婚後、養育費のスムーズなやり取りには、公正証書の力は絶大です!公正証書の持つ力を知って、有効に活用しましょう。

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養育費の公正証書を作っておくべき理由&公正証書の手続き

養育費には「公正証書」というものがあることをご存じでしょうか?
様々な理由で離婚し、今からシングルマザーになろうとしている方にとって、これからの生活を守ってくれるといっていいほど、とても大切なものです。

公正証書とは、公証人が、法律に従って作成する公文書の事をいいます。公証人とは、法律の専門家で法務局・地方法務局に所属する公務員です。つまり、離婚時に発生する決め事を法律の専門家と一緒に書面に記載し、互いに「守っていこうね。約束ね。」とすることによって、この約束事を怠ったら法的処置として、すぐに執行手続きに入ることができます。

仮に、個人的に話し合い、約束事を記載した念書のようなものがあったとして、その書面が法的に有効かどうかは、分かりません。また、公正証書があるからといって、養育費の不払いに対し問答無用の強制執行も出来ません。強制執行には、裁判を起こし裁判所の判決を得る必要があるのです。

離婚後、シングルマザーとして生活していく上で養育費問題は、避けて通れない課題です。夫婦として破綻しても、子供の親としての責任を果たします。という事を公正証書で意思表明しているような感じをうけます。

公正証書作成のメリットとデメリット

メリット デメリット

メリット

●約束違反の心理的防止

デメリット

●手数料がかかる

メリット

●真正の証明

デメリット

●手間・時間がかかる

メリット

●公証役場で20年保管

メリット

●強制執行できる

メリット

●手数料がかかる

メリット

●手間・時間がかかる

デメリットにあげられる「手数料」ですが、離婚公正証書で定める養育費や財産分与などの金額によって変わります。

基本手数料

目的の額 手数料

目的の額

100万円以下

手数料

5,000円

目的の額

~200万円

手数料

7,000円

目的の額

~500万円

手数料

11,000円

目的の額

~1,00万円

手数料

17,000円

目的の額

~3,000万円

手数料

23,000円

目的の額

~5,000万円

手数料

29,000円

目的の額

1億円~

手数料

43,000円

この手数料のほかに証書の枚数による手数料の加算・謄本交付の手数料・郵送手数料と、細かく言えば、いろいろ付いてきます。これは、自分たちで手続きをした場合ですが、上手く話し合いができず、間に弁護士や行政書士などが入ればその分、上乗せで費用は掛かってきます。

公正証書の作り方

公正証書を作成するには、両者が契約事項について合意しているというのが、大前提です。こちらの要望ばかりを書いても通りません。それを念頭に作成の流れを見ていきましょう。

養育費の公正証書作成の事前準備

両者の話し合いの元、以下の事をあらかじめ決めておく必要があります。
その他、離婚の際に約束しておきたいことなどを、明確に決めておくと、公証人との打ち合わせや文案作成についてもスムーズに進むでしょう。

●離婚の合意
●親権
●養育費…支払い時期・額。振り込み方。等も詳しく決めておく。
●面会交渉…面会頻度・回数・日時・1回の面会時間・連絡の取り方・子供の受け渡し手順・子供の意思・電話・メールについて。等詳しく決めておく。
●慰謝料
●財産分与
●強制執行の承諾

決め事を文書にしたものを「離婚協議書」といいます。

公正証書を作成する場所

公正証書を作成するのは公証役場です。法務省ホームページで全国公証役場所在地があります。お近くの役場をお探しください。
作成時には、当事者の2人で出頭が必要です。基本的に公証役場は、平日9~17時までです。どうしても2人で出頭できない場合は、行政書士に頼むという事も可能です。

公正証書の手続きに必要な持ち物・手順

以下のものを持参し、受付に行き「公正証書の作成」の意思を伝えると、公証人のところへ案内してくれます。公証人は、必要書類の確認・事前に決めた約束内容の疑問点や補足を、法的にチェックしたうえで、公正証書を作ってくれます。
公正証書の原本ができると内容を確認し、署名押印し、手続きは終了です。

●離婚協議書(事前準備で決めた文書)
●印鑑証明
●実印
●戸籍謄本
●不動産の登記簿謄本・物件目録(財産分与の対象になる場合)

注)一般的に必要であるといわれているもので、個々の事情により追加準備が必要な場合もありますので、一度、公正役場に問い合わせることをお勧めいたします。

養育費とその他手当・児童手当と児童扶養手当

公正証書を作成すると、養育費の未払いや財産分与の約束もでき、安心した子供との未来が見えてきます。しかし、実際に子供との生活をスタートさせるには養育費だけではなく、行政が行っている手当も活用していきたいですよね。ここで、問題となってくるのが、「養育費と児童扶養手当(母子手当)の両方は、もらえないのか」という事です。

児童手当と児童扶養手当はよく似ているので、間違えやすいのですが、婚姻時にも支給されていた手当は「児童手当」です。これは、所得制限はありますが、中学生までの子供のいる世帯なら支給されます。対して「児童扶養手当」は、母子家庭(父子家庭)のみに支給される手当です。

養育費の額は児童扶養手当に影響する?

養育費を受け取るという事は、全額ではありませんが8割が「収入」と見做され加算されます。児童扶養手当(母子手当)にも所得制限があり、所得の多い人や養育費をたくさんもらっている人は、全額受給は難しいでしょう。

共働きの家計の場合などは所得制限で引っかかってしまう可能性もあるので、児童扶養手当についても離婚後早めに役場に申請しておきたいところです。児童扶養手当は、遡って請求することは出来ませんが、申請すれば翌月から支給を受けることができます。

養育費の公正証書はきちんと作っておきたい

養育費の公正証書作成は、離婚後でも法的には問題ないのですが、相手との連絡や話し合いが不可欠な証書です。離婚原因にもよりますが、正直、相手にとって嬉しいものではないですよね。「もう関わりたくない」と協議に応じなくない場合でも対応策はあるものの、出来れば離婚後ではなく離婚の様々な手続きと同時進行で公正証書も作成しておきましょう。

公正証書作成の時効はありませんが、財産分与は2年、慰謝料は3年、年金分割は3年という時効があります。そのことも念頭に置いておきましょう。

この記事を書いたライター

木村さくら

自称「健康オタクで美容オタク」。最近自家栽培にハマってます。

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