離婚届の記載欄の書き方と注意事項・必要書類
どんなに長年連れ添った夫婦でも、一緒に過ごした期間がまだまだ短い夫婦でも、この先別々に生きる人生を決断することはあります。
協議離婚においては「離婚届」を提出しなければ、夫婦関係は解消されません。しかしこの「離婚届」の書き方ですが、なかなか人に聞けないものです。ここでは、離婚届の記載欄の説明や書き方、離婚の必要書類を全て挙げて徹底的に説明していきます。
離婚届の書き方と記載欄の説明
離婚届を提出してやっと、法的に夫婦関係が解消、夫婦間の義務や権利が消失します。どんなケースの離婚でも離婚を決意し婚姻関係解消に至るまでは大変なものですが、協議離婚の場合、離婚を実現するためには離婚届を記載、提出し受理してもらわなければなりません。離婚届けは左右両方に記載欄があります。
離婚届の記入方法と注意事項
離婚届けは見開き左右に記入欄があります。まず、左側から見ていきましょう。
離婚届書き方と記入の注意事項
・しっかり色の出るボールペンやサインペンで記入すること!鉛筆や熱で消えるタイプのペンはNGです。
・修正液は使用しない!!修正する際はボールペンなどを使い二重線で消し、その横に訂正印を押す「見え消し」で対応すること!修正テープや修正液の使用はNGです。
※訂正印とは、訂正したことを証明する押印のことです。
・届け出先は離婚前夫婦の「本籍地」の市区町村長宛、もしくは住民票を置いている市区町村長宛、戸籍謄本が必要となりますが現在所在地としている市区町村長宛いずれも提出可能です。
※提出先が本籍地以外の場合は受理に時間を要する時があります。
1氏名
離婚届の氏名記載欄には、戸籍謄本に記載されているのと同じあなたの婚姻時の氏名を記入してください。
2生年月日
役所に提出する書類は原則元号と言われていますが、離婚届の生年月日の欄は西暦でも「昭和」などの元号で書いても大丈夫です。
3住所
現在住民登録をしている住所を記入します。住民登録とは住民票をおいている住所です。別居、同居いずれも世帯主の氏名も記載します。※別居の場合は、既に住民登録を済ませていることが原則です。
離婚届と同時に転居届を提出する場合には転居届に記載の住所を記載し、世帯主の氏名欄には離婚後の世帯主を記載します。一人暮らしや子供と一緒に暮らす場合、世帯主は自分自身となります。
4本籍
離婚前の本籍地を記入します。本籍と住民登録をしている住所は異なる場合がありますので、事前に戸籍謄本を取得し確認を。戸籍謄本に記載されているまま本籍地を記入します。住所の記載表現は「1-1-1」ではなく、「1丁目1番地1号」が基本です。外国の人は国籍のみの記入になります。
下欄の「戸籍筆頭者」には戸籍の一番初めに記載されている人の氏名を記載しましょう。これも戸籍謄本をみて書くと安心です。
5父母の氏名
離婚する当事者夫婦のそれぞれの実の父母の氏名を書きます。父母が婚姻関係の場合は、母の姓は記入不要なので名前のみ記載しましょう。
父母が離婚している場合や既に亡くなっている場合も正確に記載します。養父母の場合は、同じ書き方で離婚届の「その他」の欄に記入します。
6続き柄
実の父母との続き柄、関係を記入します。長男、長女はそのまま、「次男、次女」は「二男、二女」と記載します。
7離婚の種別
協議離婚、調停離婚 裁判離婚の三項目ある離婚の種別にチェックを入れていきます。調停離婚や裁判離婚でなければ、協議離婚にチェック印を入れましょう。調停離婚の場合には、調停成立日、裁判離婚の場合には判決確定日を記載します。
8婚姻前の氏にもどる者の本籍
該当するところにチェック印を入れて、本籍も記入します。離婚にあたり結婚前の氏に戻るのか、その場合は元の戸籍に戻るのか、新しい戸籍を作るのかを決めておきましょう。元の戸籍に戻るなら元の戸籍を確認してから書くと良いでしょう。
離婚後も婚姻中の姓を名乗る場合は、この欄を空白にしておき、これとは別に「離婚の際に称していた氏を称する届」を提出します。
9未成年の子の氏名
この欄には未成年の子供がいる場に子供の氏名を記載します。子供を養育する親権を夫が持つのか、妻が持つのかを事前に話し合いで決定させていることと思いますので、その話し合いに基づいて親権を持つ側の欄に子供の氏名を記載します。
※離婚後子供の戸籍を移動する場合、離婚成立後に親権を持つ側の戸籍に自動的に入るわけではなく、離婚の手続きとは別に子供の戸籍を移す入籍届が必要です。
※親権者が決まっていない場合は、離婚届は提出しても受理されません。
10同居の期間
同居の期間は「同居を始めたとき」と、「別居したとき」をそれぞれ記載します。「同居を始めたとき」には、結婚式を挙げた日か同居を始めた日の早い方のいずれかを記入することになります。そして、別居したときにはそのまま別居日時を記載します。
11別居する前の住所
もうすでに別居している場合は、夫婦で同居していた時の住所も記載します。別居期間がなければ空欄でOKです。
12別居する前の世帯の主な仕事
婚姻時の世帯(あなたのご家庭)の主な収入源である仕事について、該当箇所にチェック印をつけてください。
13夫婦の職業
夫婦の具体的職業についてですが、記載するのは国勢調査のある年の4月1日から翌年の3月31日までの期間に離婚届を提出するときのみ。国勢調査は5年ごとに実施され次は平成32年です。
14その他
「父母の氏名」欄で記載しなかった「父母が養父母の場合」は、このその他欄に記載します。「父母の氏名」と同様の書き方です。
15届出人の署名・押印
離婚する本人が必ず自筆で署名・押印しましょう。協議離婚の場合は夫婦の署名と押印が必要です。印鑑は認印でもいいですが、スタンプ印はNGです。お互いに別々の印鑑を使用するように。
ここまでが、離婚届の左側の書き方。次に右側用紙の記載方法を説明します。離婚届見開きの右側には、証人の署名・押印の欄があります。
16証人の署名・押印
このページに記載が必要なのは、協議離婚の場合のみになります。調停離婚、審判、判決離婚の場合は必要ありません。
協議離婚の場合、事前に証人2名に署名・押印をお願いしておきましょう。証人自身に署名・押印してもらうこと。万が一、証人が同姓の場合は、別々の印を押してもらいましょう。
離婚届の証人について
証人は20歳以上の成人で離婚当事者以外であることが条件。離婚する夫婦の両親でも証人として記載出来ますし、離婚届の証人代行サービスを利用する人も増えています。
それぞれの自筆で氏名、生年月日、住所、本籍を記入、押印してもらいますが、離婚届けの証人は「夫婦の離婚の意思を知っていますよ」という意味合いがあるのみで、証人だからと何か責任が発生する訳ではありません。
協議離婚と離婚届け その他のポイント
離婚に必要な書類は離婚の種類によって異なります。もっとも手続きが手軽な協議離婚であれば必要な提出書類も少ないのですが、調停や裁判などになってしまうとその分必要な書類も増えます。
離婚に必要な書類
離婚には、協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚の4種類あります。離婚をするにあたってそれぞれに必要書類が異なりますので確認していきましょう。
- 協議離婚
離婚届、戸籍謄本(提出先が本籍地以外の場合) - 調停離婚
離婚届、調停調書の謄本、戸籍謄本(提出先が本籍地以外の場合) - 審判離婚
離婚届、審判書の謄本、確定証明書、戸籍謄本(提出先が本籍地以外の場合) - 裁判離婚
離婚届、判決書の謄本、確定証明書、戸籍謄本(提出先が本籍地以外の場合)
離婚協議書を作成しましょう
協議離婚の場合は、お互いで取り決めた内容を公正証書に残しておく「離婚協議書」の作成をおすすめします。調停離婚、裁判離婚の場合はそれぞれ調停調書、判決書で証拠として残ります。
協議離婚は離婚届提出前にもう一度重要事項を確認しましょう
離婚届を作成するときに事前の準備が整っていなければ、離婚後のトラブルとなり兼ねません。要らぬトラブルを回避するために重要事項については離婚届作成に念入りに話し合い事前に取り決めておき、提出前にはもう一度確認整理しましょう。
離婚前に必ず確認するべきこと
・離婚後の双方の戸籍
・不倫やDVがあった場合の慰謝料
・財産分与
・子供を養育する親権者
・養育側への養育費の額
・年金分割
離婚成立日は届け出日?受理日?
離婚届は婚姻届と同じく土日・祝日、夜間でも提出することが出来ますが、受理には1日~数日を要することもあります。大抵の場合、離婚届は必要事項が記載されていれば受理され、受理後2週間程度で届出の際本人確認が取れなかった当事者へ離婚届を受理した旨の通知が届きます。
用紙の左上部、「離婚届」の文字の下の届出日の記載欄には、離婚届を提出した日付を記入しますが、届出が受理された日が、法律上離婚した日となります。また、調停離婚など協議離婚以外の場合は判決で離婚成立した日や調停成立から10日以内に提出しなければなりません。
離婚届は正確に慎重に
離婚届けに際しては、それぞれの離婚の在り方で必要書類まで異なります。離婚届の書き方を説明して参りましたが、離婚は莫大なマイナスエネルギーを必要とする作業であるため当事者同士で話し合いが上手くまとまらないこともしばしばあります。
しかし、離婚届を勝手に提出してしまうようなことはいけませんし、相手にその兆候があるのなら離婚届不受理申出をしておくべきです。離婚届の書き方云々の前に当トラブルを最低限に抑えるべく、正確にじっくりと記入し間違いない離婚届を作成する必要があります。