子供が塗り絵で育める8つの効果!幼児が塗れるのはいつから?
子供の頃、塗り絵で遊んだ思い出があるママやパパは多く、近年になり大人の塗り絵ブームも到来しました。大人にはイライラ解消やリラックス効果があると言われていますが、幼児の塗り絵については昔から発達を妨げるという見解があり、今なお広く知られています。
そこで今回は、「塗り絵が幼児の芸術性の発達を妨げる」と言われる理由、子供は塗り絵をいつから楽しめるようになるか、子供が塗り絵で得られる8つの効果、おすすめの画材・無料ダウンロード・塗り絵の本、親の関わり方への注意についてお伝えします。
塗り絵は幼児の才能を潰す!?発達への影響
塗り絵は明治時代から子供達に親しまれてきた遊びですが、昔から幼児への美術教育の観点ではあまり評価されていません。ところが幼稚園や保育園などでは遊びとして取り入れられ、近年は悪影響という意見への指摘もあります。
一般の人達にはあまり知られていない情報ですが、子供への接し方において役に立ちますので、一度確認しておくとよいでしょう。
従来からの評価:創造力が育たない
子供の美術教育の指導書として世界的に権威がある著書を執筆したビクター・ローウェンフェルド氏などにより、「塗り絵は子供の造形表現の発達を妨げるもの」と扱われてきたことが原因の一つです。
塗り絵をすると子供の創造性が失われる!?
V.ローウェンフェルド氏は「塗り絵により大人の概念を植え付けられた子供は、自分一人で制作することが困難になり、やがて創造への情熱を失ってしまう」と考えていました。
大人はつい「顔は肌色」「口は赤」「髪の毛は黒」などと指示を与えがちになりますが、子供は一度そうインプットされてしまうと、その考えを頭の中から追い出しにくい傾向があります。その結果、与えられた範囲でしか芸術を楽しめなくなるのではないかと危惧したのです。
3歳半~5歳半の幼児は、大人の画家から羨ましがられるほどの絵画表現の最盛期。インスピレーションの元は自分の経験です。
ところが5歳後半から、子供は表現する対象を客観的に見るようになり、本物に近い絵が上手な絵と思うことにより自由に描くことが困難になるため、絵を描けなくなってしまう傾向があるのです。
今なお絵画教育の研究者の多くが、塗り絵は幼児教育において全く意味のないただの作業だと捉えていますし、詳しい調査は行われていません。
最近の研究による評価:子供により異なる
全米教育界、発達心理学、美術・音楽教育に影響力を持つ心理学者ハワード・ガードナーは、幼児期の塗り絵に否定的な見解を示していません。
子供によっては輪郭が与えられることで創造力を掻き立てられるため、世界が広がり表現へと発展することもあると悪影響について指摘しています。
子供が塗り絵で得られる8つの効果
子供の塗り絵による芸術面の発達への評価には賛否両論ありますが、まだ研究がそれほど進んでいないので何とも言えないところ。けれど大人の塗り絵は脳の活性化や癒しと言った効果があると言われ、子供への様々な効果についても注目されています。
塗り絵は長年子供達に愛されてきた天気に左右されず楽しめる遊びですので、「子供を有名な画家にしたい!」などの親の希望が特になければ、親子で楽しみながら子供の成長に役立てるとよいでしょう。
1色彩感覚を学べる
子供にとって塗り絵は、身近に色を学べ、イメージを形に出来るものです。塗り絵を通して色彩を学ぶことができます。
最初はキリンをピンクに塗るなど現実とはかけ離れた色を使うこともあるでしょう。そうした子供の自由な発想を楽しめるのが、幼児期の塗り絵の楽しさでもあります。塗り絵は子供に色の楽しさを伝えることのできる教材の一つと言えるのです。
2集中力が付く
子供は好きなことにはすごい集中力を発揮します。初めて子供に塗り絵をさせた際、雑に塗りすぐに終わってしまう姿にがっかりした大人は少なくないでしょう。
しかし塗り絵を何回か行ううちに、子供が色への興味や綺麗に塗れた達成感から集中するようになっていく効果が期待できるのです。
3色鉛筆、クレヨン、絵の具の画材を知れる
塗り絵を通して幼児が画材の特徴を知ることができます。幼児の塗り絵には色鉛筆やクレヨンが一般的でしょう。同じ色鉛筆でも色の種類が多い物や塗りやすいものと様々あります。
それだけではなく、画材の種類を変えれば塗り方に幅も広がります。塗り絵と一言でいっても画材を使い分ければ、完成後の雰囲気も異なり楽しさも広がるのです。
4手の運動能力が上がる
手先を動かすことは脳へのよい刺激となります。幼児が塗り絵をすると、細かいところまで色を塗り、絵柄によっては色を細かく変えることも必要になります。
最初は筆圧がないため色が薄くなることもあるでしょうが、繰り返すうちに手の運動能力が上がり、色がしっかり塗れるようになっていきます。
5創造性が身に付く
一から作り出すものではないため創造性が身に付かないとの意見もありますが、絵が苦手な子供でも取り組みやすいため、逆に頭の中にイメージが広がることで、塗り絵の外側に人の絵を描き足すなど、創造性を発展させる可能性もあります。
また創造性には形だけではなく、色や塗り方にもあります。そのため塗り絵から新たな発想を生み出す効果が期待できるのです。
6抵抗感がなく気軽に楽しめる
絵を描くことが苦手でも、楽しく取り組めるのが塗り絵です。「真っ白な紙にどう向き合っていいのか分からない」「上手く書けないから書きたくない」と、絵に対する苦手意識があり書くことを拒絶してしまう子供もいますが、最初から縁どられた塗り絵なら、すきな柄から気軽に取り組みやすいのです。
少女漫画家の中には、「塗り絵から多くの絵の基礎を学んだ」と言う人もいます。また「塗り絵から絵が好きになって描いている」という人もいます。小さい頃は絵を描くことが苦手でも、取り組みやすい塗り絵が上手くできる喜びが絵を描くきっかけとなっている人もいるのです。
7興味がないことを楽しく学べる
塗り絵が好きな幼児は多いため、交通安全やお勉強など覚える必要があるのに子供が興味を持ちにくい場面で、塗り絵が使われることが良くあります。
子供に何かを効率よく学ばせるには、楽しさが必要不可欠。ですから物の形やルールを覚えさせる時に、塗り絵を取り入れると効果的に学べるのです。
8達成感を得やすい
まだ絵が上手く書けない幼児でも、塗り絵なら簡単に完成させることができます。塗り絵の絵柄は様々ありますが、子供の好きなキャラクターや子供が興味を引く絵柄などを選ぶこともできますので、子供が不快に感じることなく、達成感を得やすいのです。
塗り絵ができるようになるのはいつから?
3、4歳の子供に塗り絵をさせたパパママに聞いてみると、「綺麗に塗れない」「一色でしか塗りつぶせない」「すぐに終わってしまって、塗り絵に集中できていない」という声が聞かれます。つまり、大人目線では「できない」と感じているのです。
けれど子供は子供なりに塗り絵に向き合っていますので、そこは「できる」と捉えるのが賢明です。親や兄姉ができないと感じて「下手だね」「もっと丁寧に塗ったら?」などと声をかけてしまうと、子供のやる気を阻害してしまい、それこそ才能を潰してしまいます。
個人差はありますが、5歳頃になると色々な色を使って塗れるようになってきますので、焦らず温かい目で見てあげることが大切のです。
上の2つの作品は、同一人物が4歳と5歳の時に塗った塗り絵です。このように1年での成長が目で確認できるほど上達しますので、親が下手だと決めつけたり心配したりする必要はないのです。
大人が「上手じゃないなぁ」と思う作品でも、後日見直したときの子供の成長の記録の一つになりますので、残しておくとよいでしょう。
子供に使いやすいおすすめ画材や本
子供は握力が弱く、画材によっては色が出にくい場合もあります。また塗り絵の絵柄によっては、子供の興味が無くなることも考えられます。子供に合ったものを選んであげましょう。
画材
子供に画材を買い与える場合は、使いやすく色の綺麗なものを選ぶことをおすすめします。色がつきにくいものだと、楽しくなくなってしまうこともありますので、できれば購入前に試し描きしたり店員さんに確認したりするとよいです。
子供が「色は楽しい」と思えるような画材を選び、親子で色の楽しさを再認識してみましょう。
キットパスミディアム16色
日本理化学工業株式会社
1,300円+税
筆圧が弱い未就園児でも簡単にきれいな色が出ます。一見クレヨンなのに、削って水に溶かせば絵の具になり、筆さえ用意すればこれでクレヨンと絵の具の2バージョンの塗り絵が楽しめます。
ガラスにも書けて簡単に消せるで、年齢によって使い方の幅が広がる画材です。
カラーグリップ水彩色鉛筆 12色(缶入)
日本理化学工業株式会社
1,500円+税
幼稚園年長~小学生におすすめの色鉛筆。こちらも塗った絵に水を含ませた筆で触れることで、色がきれいに溶けだして水彩画が楽しめます。
三角軸の色鉛筆ですので小さな子供にも握りやすく、左利きの子供でも使いやすいのも魅力です。
無料ダウンロード
塗り絵は女の子が好きな遊びと思っている大人もいますが、絵柄を選べば男の子も十分楽しめます。交通ルールを学べる無料ダウンロードなどもありますので、用途や子供の好みに合わせて選びましょう。
JR西日本
電車の塗り絵が無料でダウンロードできるサイトです。電車好きにはたまらない塗り絵です。大人用と子供用があるものもあり、親子で楽しむこともできます。
リカちゃん
女の子が大好きなリカちゃんの塗り絵です。リカちゃんのお友達、さくらちゃんやつばさちゃんと一緒の塗り絵もあり、何枚もプリントアウトしたくなる可愛い絵ばかりです。
100均の塗り絵の本
100均でも楽しい塗り絵が出ています。楽しく遊んでお財布にも優しい。100均には子供用だけでなく大人用の塗り絵の本もありますので、親子で楽しく塗り絵をしましょう。
ぬりえであそべる!たのしい!えさがし
ダイソー
100円 + 税
さがし絵をしながら塗り絵ができます。迷路のページもあり、子供が楽しめる1冊です。「たのしい!えさがし」以外にも「かわいい!えさがし」もあり、お子さんが好きな絵柄を選べ100円と言う値段にびっくりです。
嫌いにさせない!親の関わり方への注意点
子供が塗り絵をする際、親は常識を伝え、自分の知っている技法を教え、しつけの観点で注意しがちです。けれどそれで子供が塗り絵や絵を描くことを嫌いになり、結果的に子供の才能を潰してしまう原因にもなりかねません。
子供は年齢と共に自然に周囲を見渡し、様々なことを学んでいきます。ですから子供の考える力や自主性伸ばせるように、次の点に注意して関わるようにしましょう。
- 親が熱烈に勧めない
- ミスを注意しない
- 困ってないのに教えない
- 常識を押し付けない
- 否定的な反応をしない
子供の塗り絵や絵に描かれた色は、心理を読み取ることにも役立てられます。カラフルな絵は健全で、黒は心理的に問題を抱えている可能性があるなどとも言われています。
親になると子供の才能を伸ばすことばかりに目が行きがちですが、健全な心身の育成なくして順調な才能の開花は困難。心理面への配慮を忘れずに、子供の塗り絵や絵などの芸術面の才能を開花させてあげましょう。