子供が伸びる!勇気づけに関する記事

『勇気づけで子供を伸ばそう!心理学者アドラーに学ぶ子育て』

勇気づけで子どもが自らやる気をもって行動できるようになれば、何度も同じことを言う必要がなくなりママの負担がグッと楽になるはず。相手の気持ちを考え、自発的に行動できる優しい子どもに育てる勇気づけ。日々の生活に取り入れてみませんか?

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勇気づけで親が変われば子供も伸びる!心理学者アドラーの教え

「勇気づけ」と聞くと、「頑張って!」「すごいね!」などの励ましや褒め言葉を思い浮かべ、実際に子供に行っているママも多いことでしょう。今回ご紹介するのはこうした声かけではなく、心理学者アドラーの「勇気づけ」です。

アドラーの勇気づけを学ぶことで、子どもへの効果的な声かけが学べるだけでなく、子どもや自分自身、他者への見方が変わってきます。

そのため実は子供を伸ばす効果だけでなく、親自身が子育てや生きることが楽になる夫婦関係がよくなるなどの効果も期待できるのです。

勇気づけ提唱者アドラーとアドラー心理学

「勇気づけ」「アドラー心理学」といった言葉を耳にしていても、そもそもどのような心理学なのか、アドラーはどのような人物なのか知らない人も多いことでしょう。勇気づけを学ぶ前に、まずは心理学者アドラーやアドラー心理学について簡単に知っておきましょう。

心理学者アドラーとは?

勇気づける心理学の生みの親であるアルフレッド・アドラー(1870-1937)は、心理学3大巨頭と呼ばれるオーストリアのフロイトやスイスのユングに並ぶオーストリアの精神科医であり心理学者でもあります。

フロイト、ユング、アドラーの3巨頭は同じ時代に活躍していて、弟子であったり共同研究者であったりと接点がありましたが、それぞれ考え方が違う面もあり、フロイトは精神分析、ユングは分析心理学、そしてアドラーは個人心理学(アドラー心理学)を生み出しました。

私達は何か問題があると過去を振り返ったり、相手や自分のタイプを見て考えたりしがちですが、アドラーは未来を見つめることが大切だと考えたのです。こうしてアドラーが生みだした個人心理学は後継者によってさらに発展し、今日のアドラー心理学となったのです。

アドラー心理学とは?

「未来を見つめるってどういうこと?」と思う人が多いでしょう。アドラーは自分や相手、過去の行動などを分析して問題解決の方法を探るよりも、「今この瞬間から、どうすれば自分が幸せになれるのかを考えることが大切だ」と、着眼点を未来に変えたのです。そして次のように考えました。

物事は人によってそれぞれ見え方が違い、その見え方を決めているのは自分自身。つまり人生は個人の主観でできているので、自分がこれまでかけていた色眼鏡を外して周囲を見渡せば、その瞬間から全く違う人生になる。

例えば縦の人間関係。親は子より偉い、先生は偉いといった考え方は、時として子育て中のママの苦しみを生み出しますが、そもそも親も子も先生も何者であれ同じ一つの命であり、全ての人は対等であるはず。アドラー心理学では立場などの縦の人間関係も、一つの色眼鏡になるのです。

ところが民主主義である日本でも未だに男女差別をする人はいますし、我が子に対して「親に向かって」「お兄ちゃんなのに」「女の子なんだから」、近所の子に対して「子供のくせに」、親や姑に「親だから逆らっちゃいけない」と考えたり言ったりする人は多いです。これに対しアドラーは「人と仲良く過ごすためには、相手を対等と考えて扱うことが必要だ」と主張しています。

また多くの人は「自分以外の存在から認められたい」という承認欲求を持っています。そのため承認欲求を満たして相手からの評価を得るために「こうあるべき」「こうすべき」と決めつけてしまうことが多いのですが、アドラー心理学では「それでは己を捨てて他人のために生きるのとになる」と考え、承認欲求から解き放たれる生き方「課題の分離」を提唱しています。

アドラーは他にも多くの考え方を提唱しています。こうした本人の気持ちがあれば今すくにでもできる未来志向のポジティブな思想がアドラー心理学なのです。世界中の教育界や精神医学界など様々な分野に広まったアドラー心理学は、日本でも徐々に知名度を上げ、気づかぬうちに私達の周囲のいたるところに浸透しています。

勇気づけと褒め言葉はどこが違うの?

一般的に落ち込んでいる人ややる気を失っている人を勇気づけようとする時によく使われている「えらいね」「元気出して」といった励ましの声かけや褒め言葉は、アドラー心理学の勇気づけと異なるケースもあります。

子供は褒められたりご褒美をもらえたりすると嬉しくなって「認められた」「次もまた頑張るぞ」「頑張ってよかった」と前向きな気持ちになりやすく、また同じ行いを繰り返すことが多くなりますが、アンダーマイニング効果によってやる気が削がれてしまうこともあります。

褒められる、ご褒美といった自分への評価に対して行動する子供は、見返りを求めない自発的な行動ではないため、注目が得られないことや褒められないことがわかることで、問題解決をしなくなってしまうことがあるのです。

また「元気を出して」という励ましの声かけで元気が出るのは、声をかけた相手が自分に注目し、自分に向けられた優しさや愛情を感じるからであり、それによって勇気づけられることもありますが、それだけでは問題解決への自信を取り戻せないこともあります。

アドラー心理学の「勇気づけ」とは

子供達が自分の問題解決能力に自信を持ち、自ら課題に取り組めるように勇気を与え、自分の周りの人達を仲間と信じる勇気を持てるように応援することです。

親の課題と子供の課題

アドラー心理学では子供の課題と親の課題を区別して考えています。子供の課題は子供が直面し自らの意志で解決するものなので、自分で出来ることは子供が自分で行う課題。親が代わりに解決することはありません。

けれど経験の乏しい子供達は未知の世界への恐怖心を抱きやすく、自ら課題に立ち向かう勇気を持つことが困難なことも多いもの。ですから勇気づけを行うことで、子供が自ら進んで課題解決に取り組めるエネルギーを与え、自己肯定感や自己有用感を高められるように支援していくのです。

勇気づけで褒める・叱るは不要になる!?

「えらい!」「よくできました」という褒め言葉は、上の者が下の者に対して使う言葉。アドラー心理学では親も子も対等ですから、褒める必要はありません

親は子供の課題を一生解決し続けることはできない。だからこそ親の課題はいずれ子供自身が自ら課題を解決できる自立した大人へと育てること。課題解決のスキルを高めるために親がしてあげられることが勇気づけなのです。

また適切な行動を行わない子供を叱って力ずくで親の思い通りに振る舞わせる必要もありません。子供は叱られることで大人の注目が集められることを学びますし、やがて成長して叱られることが嫌になると見つからなければ怒られないということを学びます。これでは自分の課題を解決できないままの大人に成長してしまう恐れがあるのです。

不適切な行動を防ぐにはどうすればいい?

  • 不適切な行動に注目しない
  • 力ずくで言うことを聞かせようとしない
  • 正しい行いを教え、お願いする
  • 子供をしっかりと見守る

もちろん勇気づけだけを行い、不適切な行動を受け入れていいわけではありません。子育て中の親には時として毅然とした態度が必要になります。ただし威圧的な態度は叱っているのと同じですので、あくまでも毅然とキッパリとした対応が求められます。

受け入れるのが難しい対応だと感じる人も多いでしょう。ですがこれまで何度も子供が『叱ったのに同じ失敗を繰り返す』『叱られると分かっていてもする』という場面に直面してきませんでしたか?叱るというのは本当の意味での自立への教育になっていないとアドラー心理学では捉えられていますので、子供が不適切な行動を行わない方向に、親が日頃からしっかりと見守って援助することが大切!

例えば、出掛ける直前におもちゃを壊していつまでも泣いてすねている子供に「いつまでも泣かないの!自分が悪いんでしょ」と叱れば、子供は暴れたりかんしゃく起こしたりといった不適切な行動をして、親の注目をさらに集めようとするかもしれません。

ところが「おばあちゃんが楽しみに待ってくれているから、今は泣くのをやめてもらえる?」とお願いし、泣き止んだら「ありがとう」と勇気づけたり、「どうすればおもちゃは壊れなかったと思う?」と正しい行いを考えてもらったりする対応をすれば、叱ることは徐々に減っていくでしょう。

子供を勇気づけて伸ばすには?

子供を勇気づけるためには子供をしっかりと見守り、子供の気持ちに寄り添うことが大切です。子供がなぜそうしたのか、子供の目線に立って考えるようにしましょう。勇気づけには根気がいりますが、子育てだけでなく夫婦間などの関係改善にも役立ちますし、あなた自身が周囲から勇気づけられていたことにも気付けるようになるため生き易くなるのに役立つでしょう。

子供への見方を変える

子供の短所を長所と見直すことで子供を勇気づけやすくなり、親子の信頼関係を強くすることができます。例えば、子供がすぐにやる気を失う姿を見ると「根性がない」など親は子供をネガティブに捉えてしまいがちになりますが、長所としてポジティブに捉えることで「諦めがいい」となります。

本当に大切な事ならば諦めたくても諦められないはず。自分にとって不要なことにいつまでも執着しない諦めの良さを持っている子だと見方を変えることで、親は子供を叱らず子供は伸び伸びと生活しやすくなり、傷ついて自信を失うことが減りますし、子供は親を信頼しやすくなります

役に立っていることを伝える

文部科学省も生徒指導の方法として研究している「自己有用感」(注1)。他者の役に立つことで自分と他人を肯定的に受け入れられるようになる自分の中の評価のことですが、子供の行動をしっかりと見守ることで「靴をきれいに揃えてくれたのね。ありがとう。玄関がきれいで気持ちいいわ。」といった声をかけてあげるチャンスが増え、子供は自己有用感を高めます。

こうした声かけこそが勇気づけです。日頃から子供をしっかりと見守り、できて当たり前と捉えず、子供が家族のために働いてくれていると捉えて勇気づけ、子供が取り組む価値のある課題と思ったものに向かっていける勇気を蓄積してあげましょう。

子供にとって対等な立場の味方になる

自分以外の他者を信じ互いに協力することで、人は自分一人ではできない大きな課題にも取り組むことができます。ところが残念ながら他者を信じられず、他者から何が得られるかばかりに着目してしまう自己中心的な人も少なくありません。そのように他者を信じられなくなると助けを求めにくくなり、次第に生き難くなってしまいます。

ですからまずは親が子供の対等な立場の味方になってあげましょう。安心して存在していられる居場所があるとわかれば、子供は味方である親に困った時に助けを求められますし、親が困った時にも対等な味方として助けようとします。こうして親への信頼を築けるようになった子供は、次第に他者を信頼できるようになっていき、一方的な利益を求めなくなると考えられています。

失敗を責めない

親はつい子供の失敗を責めてしまったり、「やればできるのに」と言ってしまったりしますが、そうした言動は子供への勇気くじき。「やってもまた失敗するからやらない」「やればできるからやらなくてもいい」と取り組む勇気を削ぎ、取り組まない言い訳を作ってしまうことがあります。

失敗した時は「どうすればよかったと思う?」「なるほどね。じゃあ次はその方法でやってみればいいね」と次の課題に取り組むことに注目させる、「これからどうすればいいと思う?」と失敗をリカバリーすることに注目させると言った方法で勇気づけてあげましょう。

この記事を書いたライター

小森ひなた

子育てと仕事に頑張る共働き主婦です!ルンバ貯金始めました♪