でんぐり返しの安全な教え方に関する記事

『でんぐり返しは何歳から?2歳からの教え方~事故への注意』

一旦覚えればドヤ顔で繰り返す、子どものでんぐり返し。事故や怪我のリスクもありますから、家庭でもしっかり教えましょう。でんぐり返しができるようになる年齢やメリットなどについて解説しながら、親子で楽しく覚える方法をご紹介いたします。

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でんぐり返しはいつから?できなきゃダメ?子供への上手な教え方

ひっくり返るのは怖いけれど、思い切って回るとまるで世界がグルンと一回転するような気分を味わえる「でんぐり返し」。一度覚えるとパパやママの前でドヤ顔になって繰り返し、成長した姿を見せてくれるのですが、家庭ではどう教えていけばいいのでしょうか?

でんぐり返しのメリットや練習を始める時期、子どもの体に負担をかけない家庭でのでんぐり返しの教え方などについて解説していきます。でんぐり返しの仕方を忘れてしまったパパやママも、子どもと一緒に楽しく練習してみましょう。

でんぐり返しで子供が得られる効果

でんぐり返しとは両手を床につけて、頭から体を前に1回転させて起き上がる運動。小学校のマット運動では「前転」と表記されるのですが、この動作には腕や足を踏ん張る力と、自分の体の動きをイメージする想像力、手足の動きのバランスを上手に取っていくコントロール力が要求されます。

繰り返し行うことで手足の筋肉や操作性、体全体のバランス感覚が養われますし、三半規管が鍛えられて環境の変化に強くなり、車酔いを予防する効果も。

失敗すると横に転がってしまったり、背中からドシンと落ちてしまったりで痛い思いをするのですが、小さな子どもはこういったちょっと怖い動きが大好き。

失敗しないようにすることで体をコントロールする能力も磨かれて、押されたときや何かにぶつかったときなどでもとっさに身を守る危機回避能力も身につきます。

子どもがでんぐり返しをしたら危ないからとやめさせるのではなく、安全な環境を与えて、むしろ「頑張れ~!」と応援してあげましょう。

でんぐり返しは何歳からできるの?

子どもの成長を記録する母子手帳には、5歳の記録欄に「でんぐり返しができますか」という項目があります。ですが子供の成長は個人差が大きく、1歳ででんぐり返しをする子もいれば、3歳を過ぎてもでんぐり返しをしない子もいて個人差があります

幼児教育の一環で行う幼児体操教室などでは、骨格が出来上がって1人で歩けるようになり、筋力と体のコントロール能力が身につく3歳前後がでんぐり返しを教える目安としています。この時期であれば子供も教えられたことを自分の体で再現しやすく、スムーズに習得ができます。

本格的にでんぐり返しを教えるのは3歳以降が無難。それ以前は親子遊びの範囲で、子どもの運動能力を鍛えていきましょう。

保育園や幼稚園に通っていると、お友達の「僕はでんぐり返しできるよ!」という一言で焦ってしまいがちですが、この時期の子供は「幼児的万能感」を持っていて、自分ができないことをできると過剰に表現してしまうことも多いです。

親になるとどうしても我が子と他の子の成長を比べてしまいがちですが、焦りは禁物。身体能力が発達していない低年齢で無理にでんぐり返しを教えると怪我のリスクが高くなりますし、子どもも上手にできないことで自信を失ってしまいがちです。

でんぐり返しの練習に役立つ親子遊び

でんぐり返しが苦手な子どもは、手の突っ張り方がわからないか、頭が下になって足が浮く感覚に慣れないのがほとんど。

2歳前後の子どもはパパやママと体を触れ合う親子遊びが大好きですから、次のような手順ででんぐり返しの感覚に慣れさせていきましょう。

  1. 布団の上に大人は床に足を延ばして座り、子どもを向かい合わせで抱っこします。
  2. そのまま子どもの体を足の上で倒して仰向けに寝かせ、大人の足首のあたりに子どもの後頭部がくるように調整します。このとき子供にバンザイをさせて、頭の上のあたりで床に手のひらをしっかりつけるように促します。
  3. 大人がゆっくりと膝を曲げて子どもの体をエビ反りにしていきます。
  4. 足や手で支えながら子どもの足を前方に押しやって、身体を1回転させます。
  5. 怖がらずに上手にできたら、たくさん褒めてあげましょう。

こういった親子遊びは子どもが楽しく体の動かし方を学ぶことが目的ですので、無理強いは禁物。子どもが怖がる場合は足を無理に押して回転させるのではなく、根気よくそこまでの過程を繰り返しましょう。

でんぐり返しの習得は慣れることが第一です。繰り返し遊ぶことで徐々に恐怖感をやわらげ、褒めることでやる気を向上させてあげましょう。

でんぐり返しの教え方とポイント

でんぐり返しは小学校などの体育の授業でも教えてもらえますが、入学前の幼児でもチャレンジできる範囲の動作です。子どもにとって難しい動きをパパやママが教えて手を貸してあげることは、親子の信頼関係を深く結ぶことにも繋がります。

でんぐり返しは転んでも姿勢を維持して怪我を防ぎ、衝撃を最小限にしてすぐに起き上がるなど、身を守るためにも習得しておきたい動作ですから、次のような手順で上手にでんぐり返しのやり方を教えていきましょう。

  1. 布団の上で肩幅の広さで足を開いて立ち、身体を倒したら両手の平をできるだけ足の近くに、肩幅の広さに開いてしっかりとつける。
  2. お尻を高く上げさせる。
  3. アゴを引かせて背中を丸め、おへそのあたりをしっかり見るように教える。そのまま両手に徐々に体重をかけ、身体を丸めるように足でけり出して一回転をさせる。
  4. 足は丸めたまま回転させてしゃがませ、床についたら力を入れて伸ばすように教える。

もちろん最初のうちはできません。「お腹を見てね」「背中を丸めてね」などと声をかけ、必要に応じて頭や腰を支えてやりながら、大人がサポートをしてあげましょう。

大事なポイントは最初の姿勢!

床につく手の位置はできるだけ足元の近く、つま先から手の平1個分位前に進んだところがベスト。
こうすることで、足で蹴り出すのも楽になりますし、頭をお腹に向けて背中を丸めやすくなり、背中からドシンと落ちる失敗を回避することができます。

最初は前方に体重をかけやすくするよう、お尻を高く上げた状態から始めますが、子どもがでんぐり返しに慣れてきたらしゃまがせてから手を床につけさせてでんぐり返しをするよう、移行していくといいでしょう。

でんぐり返しをするときに膝から崩れてしまう場合や横に倒れてしまう場合は、しっかりと両手で体を支えられていなかいか、タイミングがとれなくて早めに手を離してしまっていることが多いです。

そんなときにはお尻を高く掲げて手と足で山を作る「ドッグ」と呼ばれる姿勢を練習させると失敗が無くなります。両手をつけて雑巾がけをする動作も筋力と体重を前にかける感覚を養うのに良いのでおすすめです。

でんぐり返しの事故や怪我を防ぐポイント

パパやママが心配しなくても、時期がくれば子どもは自然にでんぐり返しができるようになります。むしろ危険を回避する能力が未熟な小さな時期にでんぐり返しを覚えてしまうと、次のような怪我をするリスクが高くなりますので、周りの大人がしっかりと注意を向けて、事故を防いでいきましょう。

起こりがちな事故事例

幼児期の子どもがでんぐり返しを覚えるとパパやママが驚き、褒めてくれるのが嬉しくて、ところかまわずでんぐり返しをして注目を集めようとします。

ところが周りの状況を目で見て理性的に危険を認知する能力はまだまだ未熟なので、子どもはところかまわずでんぐり返しをして、怪我をするリスクが高いのです。

子どものでんぐり返しで起こりがちな事故

  • 両手を使わずに回ろうとして、顔面を床に打ちつける
  • 体を丸めずに回転して、背中を強く打ち付ける
  • 両手で支えきれず途中で態勢を崩し、首を痛める
  • テーブルやベッドの上ででんぐり返しをして、高いところから落ちる
  • 机などに衝突する、ガラス戸を蹴破る
  • アスファルトの道路や砂利道ででんぐり返しをして怪我をする、交通事故にあう

事故や怪我を防ぐポイント

このような怪我を防ぐためにパパやママができることは、でんぐり返しの正しいやり方をしっかり教えるとともに、周りの環境を整えること。

家の中には危険がいっぱいです。マイブームになっていて子どもが勝手にでんぐり返しを繰り返すようであれば、ストーブなどの周りにはガードを置き、柱やテーブルの端には布やゴムなどを巻いておきましょう。机などにぶつかってポッドなどがひっくり返る可能性もありますので、危険なものはこまめに片付けるよう配慮してください。

子どもに何が危険かを教えておくことも大事です。「でんぐり返しは、布団の上でだけ」「パパやママがいるときだけ」など、でんぐり返しは安全な場所でだけするものだとしっかりと教えておきましょう。

とはいえ、むやみに禁止する必要はありません。幼児期にはまず自分から手足を動かして、身体を自由に動かせるよう学んでいくことが大事です。でんぐり返しは多種多様な動きを身に着ける入門となる動作。基本を教えながら、親子で楽しく体を動かしましょう。

この記事を書いたライター

羽根田るみこ

第一子から15年間保育園に通い続け、まだまだ記録更新中です!