おせち料理の種類と由来~子供に伝えていいきたい縁起物
お正月に家族で食べるおせち料理。昔は、母から娘や嫁に各家庭のおせち料理の味が引き継がれていましたが、今ではデパートやインターネットなどで豪華なおせち料理を購入することができるようなったので、手作りされない家庭も増えていますね。
忙しく手作りしない家庭のママも、おせち料理の由来や各料理のいわれについては、子供に説明してあげられるようにしたいですね。今回は、おせち料理の意味・おせち料理の種類といわれなどを子供にも説明できるように、分かり易く解説していきます。子供に人気のおせち料理も紹介しているので、子供が好きそうなものだけ手作りしてあげると喜ばれるかもしれませんね。
おせち料理の意味
おせち料理は、元々は、季節の区切りである節日に食べる料理のことでした。節日は、1年に5回あり、中でも特に重要な区切りが元旦とされています。奈良時代には、おせち料理は宮廷行事でだされるものでしたが、次第に庶民にも伝わり、江戸時代には、新年のお祝いと豊作の祝いを合わせて、今私たちが食べているようなおせち料理のかたちになりました。
おせち料理を大晦日に作り、初日の出と共に現れる耕作の神様へのお供え物として供えます。そして、元旦の朝に、神様からのおさがりであるおせち料理を家族で頂くという風習がありました。
おせち料理はいつ食べる?
昔の人たちは、おせち料理を元旦から3日までの三が日食べていました。これには、お正月は聖なる火を使わないようにする風習と、お正月くらいは女性が食事の支度から解放されるようにとの配慮からとされています。なので、おせち料理は、日持ちするような味つけの濃い料理が多くなっています。
ただ、現代の子供は、3日間もおせち料理を食べるのは飽きてしまいますね。元旦だけ食べるように食べきりサイズのおせち料理を購入したり、1日分だけ作ったりする家庭も増えています。
子どもが好きなおせち料理は?
おせち料理は、子供たちが普段食べているハンバーグ・コロッケ・から揚げなどと随分味付けや食感が異なるため、お箸が進まなくなる子供も多いです。ただ、お祝いの料理なので、ママとしては、少しは食べてもらいたいですよね。伊達巻・栗きんとん・黒豆などは、甘めの味つけで子供にも食べやすくなっています。また、えび好きの子供も多いですね。
おせち料理は無理に手作りしなくてもいいです
せっかく頑張っておせち料理を作ったのに子供があまり食べてくれなかったら、お正月そうそうガッカリですよね。最近は、バラエティー豊かなおせち料理がデパート・スーパー・ネットショップなどで販売されています。年末には食材の値段も上がるため、手作りするのも意外と高くついてしまうこともあります。無理して手作りせずに、美味しいおせち料理を購入して楽しむのもよいでしょう。
ただ、子供と一緒に食べるものなので、食材の安全性には気をつけたいですね。おせち料理を購入する時は、原材料などには、気を配ってください。ママに人気の生協の宅配でもおせち料理を取り扱っていますよ。
最近は、おせち料理を全て手作りする家庭は少なくなっています。数品だけ家で作って、残りは市販のおせち料理を楽しむ家庭が多いので、「手作りしなきゃ」とあまり頑張りすぎないでくださいね。
おせち料理の種類といわれ
20~30種類あると言われるおせち料理。その一つ一つに、きちんと意味があります。また、おせち料理は、「幸せを重ねる」という意味を込めて、お重に詰められていますが、それぞれのお重にどの料理を詰めるかも、実は決まっています。
ここでは、代表的なおせち料理とその意味についてご紹介していきます。今年のお正月は、子供とおせち料理の意味についてお話をしながらにぎやかに食卓を囲んでくださいね。
一の重
一の重には、祝い肴と口取りを詰めます。代表的なものは、以下の通りです。かまぼこは、子供にも人気があります。市販のおせち料理に入っているものだけでは、足りなくなってしまうこともありますので、別に購入しておいてもよいでしょう。紅白のかまぼこは、切り方を少し工夫するだけで、とっても豪華なお重になりますよ。
紅白のかまぼこ
紅は魔除け、白は清浄という意味があります。かまぼこの半円の形は、日の出と似ている為、初日の出に例えられ縁起が良いとされています。また、かまぼこは板に乗せられているので、「ひのき舞台にあがる」という例えができるため、勝負運がつくとも言われています。
伊達巻
伊達巻は、昔の手紙や書物に使われていた巻物の形に似ているため、勉学ができるようにとの願いが込められています。まさに、子供に食べて欲しい料理ですね。また、反物(たんもの)の形にも似ている為、一生衣類に困らずに生活できるようにとの願いも込められています。市販の伊達巻は甘すぎることもあります。砂糖が気になるようでしたら、お子さんに手作りしてあげるのもよいでしょう。
栗きんとん
栗きんとんには、その「金色」から連想できるように、金運の上昇を願う料理です。家族がお金に困ることのないように、家族揃って栗きんとんを食べましょう。栗きんとんは、甘くて子供に人気のあるおせち料理の一つですが、サツマイモは意外と傷みやすいので、冷蔵庫にきちんと入れるなど、保存方法には十分に気をつけてくださいね。
昆布巻き
昆布は、「喜ぶ」という意味に通じることから、古くから縁起の良い食材としてお祝いごとに使われてきました。おせち料理でも、喜びごとが多い1年になりますようにとの意味が込められています。また、こぶを「子生」と書いて、子宝に恵まれて子孫が繁栄しますようにとの意味もあります。昆布だけを巻いたものと、中に鮭などの魚を巻いているものがあります。
黒豆
豆は、節分にも使われるように邪気を払うと言われています。また、語呂合わせで、黒く日焼けするほどマメマメしく働く勤勉さを意味する料理でもあります。黒豆を自分で煮ようと思うと、前の晩から水につける必要があり、時間と手間がかかりますね。また、せっかく作ってもシワが出来て残念な思いをすることも多いです。市販の黒豆は、シワひとつなく色ツヤも良く仕上がっていますので、市販にお任せするのもよいでしょう。
田作り
田作りとは、片口イワシの稚魚を乾燥したものを砂糖や水飴で炊いたものです。江戸時代に片口イワシを田畑に肥料としてまいたところ豊作になったことから、豊作を祝う料理として親しまれてきました。田作りは、「ごまめ」とも呼ばれており、「五万米」という当て字がつけられています。少し固いですので、子供が喉に詰ませたりすることのないように注意しましょう。
二の重
二の重には、焼き物と酢の物を詰めます。焼き物に使われる魚は、それぞれの地方や家庭により特色があります。ブリ・鯛・えびが多いですが、中にはウナギを使う場合もあります。もちろん、1種類と決められている訳ではありませんので、2~3種類を入れても大丈夫ですよ。
えび
えびは、火を入れるとお年寄りのように背中が丸まってしまうことから、「背中が曲がるまで、元気ですごせますように」との長寿の願いが込められています。おせち料理では、塩焼きや甘辛く煮ることが多いですが、自宅で作るなら子供が食べやすいようにエビフライにしてあげるのも良いでしょう。お正月くらいは豪華な大きいえびを食べたいですね。
紅白なます
人参と大根で作られる紅白なます。形が水引に似ていることから、平安や平和を願う意味が込められています。小さい子供には、酸っぱいので少し食べにくいかもしれません。自宅で作る時には、作り過ぎると子供が食べずに余ってしまう可能性がありますので、作る量に気をつけてくださいね。
数の子
数の子は、ニシンの卵です。小さい卵が沢山詰まっている数の子は、子孫繁栄の象徴とされ、子宝を願っておせち料理に取り入れられています。数の子は、塩抜きをする必要がありますし、塩の抜き加減も難しいですね。塩抜き済みのものを使用したり、割り切って市販のものを購入したりするのも良いでしょう。
鯛の姿焼き
鯛の姿焼きがあると、おせち料理が一気に豪華になりますね。「めでたい」という語呂合わせから、鯛は古くからお祝い行事の定番食材として使用されてきました。また、恵比寿様が手に持っている魚としても知られており、縁起が良いとされています。お重に入りきらない大きさの鯛の場合には、大皿に盛ってお重の横に並べましょう。
ブリの照り焼き
ブリは、ツバス(またはワラサ)→ハマチ→メジロ→ブリと名前を変えていくことから、出世魚として知られ、出世を願う縁起物としておせち料理に使用されます。九州地方では、ブリを一匹購入して、照り焼きにしたりお雑煮に入れたりする家庭もあるようで、お歳暮にブリが一匹贈られることもあります。
蛤
江戸幕府の八代将軍吉宗が、蛤をお祝い用のお吸い物の具材とすることを奨励したことが、蛤がおせち料理やお雛様などのお祝い行事に使われるようになった始まりとされています。蛤は、左右の貝がピッタリとあうことから夫婦円満の象徴とされています。現在では、煮蛤にしておせち料理に入れられることが多いです。
三の重
三の重には、煮物を入れます。おせち料理の煮物に使われる野菜は、日持ちがする根菜が中心となっています。普段から食卓に登場している野菜ばかりですが、その野菜の持つ意味を知ると、子供もおせち料理を楽しく食べることが出来そうですね。各家庭により筑前煮にして一緒に煮たり、それぞれの野菜を別々に調理したりと、特色があります。
たたきごぼう
地面の下深くまで根をはっているごぼうを家庭に例えて、家がしっかりして家庭円満になりますようにとの願いが込められています。また、ごぼうは、細いですがとても丈夫なので、細く長くつつましく生きることができますようにとの意味合いもあります。たたきごぼうは、ごぼうを叩くことで味を浸みやすくしています。酢が入っているので、苦手な子供もいるでしょう。子供におせち料理でごぼうを食べさせてあげたい場合には、きんぴらごぼうにすると良いでしょう。
里芋
里芋は、親芋に子芋ができ、子芋から孫芋、そして孫芋からひ孫芋とできる、とても珍しい野菜です。次々に次の世代ができることから、里芋は子孫繁栄の縁起物とされてきました。里芋は、アレルギーを起こすことがある野菜です。赤ちゃんに離乳食用のおせちを作りたい方は、里芋は離乳食中期以降からとしてくださいね。
れんこん
れんこんは、穴がたくさん開いていることから、見通しが良くなりますようにという意味を込めておせち料理に使われています。お煮しめにして三の重に入れられることもありますが、酢ばす(酢れんこん)にして、二の重に入れられることもあります。
筑前煮
筑前煮とは、元々は九州地方の郷土料理です。全国的には「お煮しめ」と呼ばれるものになります。筑前には、ごぼう・里芋・れんこんなどの縁起の良い野菜のほかに、干しシイタケ・こんにゃく・人参・鶏肉などを一緒に、縁起物の昆布だしで煮ます。色々な食材を一緒に調理することから、家族が仲良く結ばれますようにとの意味が込められています。
おせち料理は祝箸で食べよう
おせち料理を食べるお箸にも気をつかいましょう。おせち料理を食べる時には、家族のそれぞれの名前を書いた箸袋にいれた「祝箸」を使ってください。祝箸は、両端が細くなっていてどちらからでも食べられるようになっています。これは、一方は自分が食べて、反対側は神様が食べるためとされています。祝箸の丸みを帯びたかたちは、妊婦や俵を連想することが出来るため、子孫繁栄や豊作を願う意味合いもあります。