怒らない親の何が悪いの?叱り方がわからず褒めるだけの親が増加中
怒らない親が増加し、叱られない子供達の将来を心配する声が上がっています。厚生労働省の調査でも子育てへの不安や悩みを抱える親が増加し、自分が子供にどう接するべきか分からず自信をもって怒れない親が増えているのです。
若い子育て世帯の親は教師からの体罰や罵倒が当たり前の時代に育ち、家庭でも学校でも厳しいしつけを受けて育ち、大人になって厳しくされた理由を理解し感謝している人も大勢います。
ところが最近では教師の厳しい態度を巡って度々騒動になる時代。昔自分達が親から受けた厳しいしつけ方に対しても「虐待」と騒がれる恐れがあり、何を頼りにしつけをすればいいのか親自身も分からず、その不安が褒めるだけの育児へと進みを加速させてしまうのです。
社会のルールを破る我が子を見て見ぬふりする現代の怒らない親
社会のルールや公共マナーを守ることはごく当たり前のことで、子供だから守る努力をしなくてもいいと言うものではありませんが、残念ながらルールを守らない我が子を見て見ぬふりして怒らない親は少なくありません。
例えば、順番待ちの列を無視して横入りしたり、お友達を押しのけたり。スーパーの商品棚から子供がおやつをとっていきなり食べだし、レジで食べているおやつの代金を父親が支払って「お金払ったんだからいいでしょ」と何食わぬ顔をしている姿をつい先日も見かけました。
小さな子供ならごく当たり前に誰もがやってしまうことですが、親がその行為を許さないこと、なぜやってはいけないことなのかを真剣に教え続けることで、子供は社会のルールを次第に身に着けていきます。
年中年長と年齢が上がり、他の子供達が社会のルールを守れるようになってきてもルールが守れず、その姿を見ても見て見ぬふりをしたり、笑いながら「子供らしい」と見守ったりする怒らない親。こうした親が今問題しされているのです。
怒らない親は知らないの?大人が怒ってまで社会のルールを守らせたい理由
子供のころに厳しくしつけられ、大人になっても心の傷になっている人や今でも思い出すと腹が立つ人はいますが、それと同じように大人になってから厳しくしつけた親や教師に感謝している人も大勢います。
子供を叩くなどの暴力行為の悪影響は近年国内でも広く知られ、児童虐待の防止法により現在はしつけのためでも子供が耐えがたい苦痛を感じるほどの著しい暴言や体罰が法で禁じられています。それでも自信をもって「子供には叩いてでも社会のルールを教えろ」と言う人達の言い分とは?
怒らない親の中にはその理由がわかっているけれど怒り方がわからない人もいれば、本当に怒る理由が分からない人もいますので、ここで一度確認しておきましょう。
社会のルールは互いに安心して安全に暮らすためにある
社会のルールや公共マナー、交通ルールのない街があったと過程します。あなたは子供をその街に住まわせたいでしょうか?子供達は安心して安全な最低限度の生活を送れるでしょうか?
答えはNO!つまり現在私達が守っているルールは、自分も価値観の異なった相手も互いに安心して安全に暮らしていくために必要な決まりごとなのです。
ところが怒らない親は、みんながルールを守ることで安心して暮らせる世の中になっていることに気づいていなかったり、人の気持ちや幸せなどどうでもいいと思っていたりで、自分自身も社会のルールを守れていないことに気づいていません。
子供は社会のルールの必要性を理解できない!だからこそ教えるのが親の愛情
子供には社会のルールやマナーを守る必要性を理解することが困難。なぜなら子供は相手の気持ちを想像することや先のことを見通す力が十分に育っていないからです。
特に8歳までの子供は我慢できないのが当たり前。ルールを守る必要性を理解できても、脳が衝動を我慢できるほど育っていないのです。
だからこそ親は子供に社会のルールやマナーを教え、子供が社会に受け入れられるように導くと共に、子供達が安心して安全に生活できる社会で暮らし続けられるように、自らも社会のルールやマナーを守る必要があるのです。
発達に遅れや問題がある子供の親はなぜ怒らないの?
発達に遅れや問題がある子供は、社会のルールを守る必要性を理解して覚えて柔軟に実践することやコニュニケーションが困難なため、どうしても子供同士の集団の中でトラブルを起こしやすいです。
そのため公園などでトラブルになった経験があるママ達からは、「いくら発達の問題を抱えているからって、怒らない親だといつまでも身につかないじゃない!」という厳しい声が聞かれます。
発達に遅れや問題がある子供の親は、なぜ子供を怒らないのでしょう?イライラしているママはその理由をしっかりと理解しておきましょう。
特性を理解して効果的な教え方を実践している!怒鳴るしつけの効果は一過性
発達に何らかの問題がある子供の親の多くは、傍からみると怒らない親ですが社会のルールを我が子が守れないことを誰よりも気にしています。
怒らない親に見えても内心では子供が傷ついて前向きにルールを覚えようとしなくなることや、社会に受け入れてもらえるかなどを現時点だけでなく将来についてまで心配しています。
そのため発達に遅れや極端な偏りがある子供の親は、専門家の指導を受けつつ自らも勉強し、その子が最も効果的に社会のルールや公共マナーを身に着けられる教え方を実践しています。
今、世界では色々な個性を持った子供たちが共に学び暮らすインクルーシブ教育に取り組む国が増え、日本でもその取り組みが行われ始めています。
疑問を持った時は学びのチャンス。傍からは笑顔で怒らない親に見えるかもしれませんが、怒鳴らないだけであってり、教えるタイミングを考えているだけだと理解し、もしあなたが逆の立場ならどう思うか、想像力を働かせて相手の気持ちを考えてみましょう。
怒らない親にイライラする人は怒鳴ると逆効果の子供もいることを知っておこう
発達の問題の有無に限らず怒鳴ると逆効果になることはよくありますので、怒りっぽいママさんは日頃から注意することが大切です。
例えば、日頃から口うるさく怒ってばかりの母親の言うことは聞かないけれど、日頃怒らない父親がたまに真顔で怒ると子供が素直に聞くとか、「やって!」と言ってもやらないのに「お願いします」と言うと気持ちよく協力してくれるとか。
子供をしつける目的は、誰が見ていなくても社会のルールやマナーを自主的に守ろうとする子供の心を育てることです。
子供のルールを守りたいという気持ちの育て方は、子供の気質によって異なります。日頃から怒鳴ったり叩いたりして育てている場合は、子供の心を傷つけてやる気を削いでいないか、人としての優しさや心根をねじ曲げて潰してしまっていないか、一度振り返ってみることが大切です。
家でも外でも社会のルールを教えない!怒らない親は子供を傷つける
心配なのは家庭でも外でも社会のルールやマナーを教えず、子供が誰かを叩いても「あら、すみません」とニコニコしながら自分が謝るだけの親や、おしゃべりやスマホゲームに夢中で子供を見守らず、悪いことをしても言い訳をして子供を怒らない親などです。
中には率先して公共マナーを破らせる親もいます。電車が空いているからとつり革にぶら下がらせたり、靴のまま窓の外を見させて座席を汚したり、空港の通路が空いているから子供を走り回らせてニコニコ笑っていたり。育児で旦那さんを頼れないと言う妻も少なくありません。
こうした怒らない親に育てられた子供達は、いずれ幼稚園や小学校で社会のルールを学びます。その際に親からしつけを受けていないため混乱し、先生から怒られて自信をなくしたり、先生の言うことをバカにしてルールを守らず、結果的にトラブルが増えて学校生活が辛くなったりしてしまう恐れがあります。
怒らない親に自由奔放に育てられ、社会のルールを我慢してでも守る必要性が分からなかった子供が、思春期になってから問題を起こして怒られても、我慢力が乏しく自我が強くなっているため身につけるのは非常に困難です。
トラブルが増えるため学習にも集中できず、コンプレックスを募らせてしまう子供も少なくありません。思春期になる頃には、怒らない親が自分の幸せを考えてくれていないことに気づき始めて深く傷つく子供もいます。
怒らない親が子供を傷つけずに社会のルールを教える方法はあるの?
社会のルールを教えるためとはいえ、親が子供の心身を傷つけることは愛情とは別。子供のころは失敗を繰り返して学んでいくことが許されている時期です。
人格を傷つける暴言や体罰を与えてまで、すぐに何が何でも改善することを強要する必要はありませんので、普段怒らない親でも悪いことをした時は、子供を傷つけない方法で毅然と怒ってあげましょう。
空気で怒る!怒らない親に多い笑顔の「ダメだよ~」では伝わらない
空気で怒るとは、周囲が怯えるような威圧する態度や制裁、脅迫のことではありません。ダメなことはダメだと親は一貫した冷静な態度で毅然と言うべきこと言うことが大切です。
例えば病院にお見舞いに行った時に子供が騒いだら、「みんな静かにしていて、騒いでいるのはあなただけ。お母さんはあなたにルールを教える人。静かにできないなら帰りましょう。次からはお母さん一人で行くから、あなたは家でお留守番していて。」と言って、帰ればいいのです。
こうした毅然とした態度の怒り方は、怒鳴らなくても子供に伝わり、周囲も「頑張れ!お母さん、お父さん」と応援したくなります。
子供の意思を尊重して外出する前に守るべきルールを守れるかを確認する
基本的に3歳未満の乳幼児に社会のルールを守るのは困難なので怒らず繰り返し教えることが必要ですが、3歳を過ぎれば親の簡単な指示を理解してルールを守れるようになっていきます。
3歳未満から行っている親が多いのですが、引き続き外出する前に出掛ける場所やそこで守るべきルールをあらかじめ教えておき、ルールを守れるか子供自身に聞いてみましょう。
小さな子供だと侮らずに一人の意思を尊重し、どうすればルールを守れるか、ルールを守れない時にはどうするかを子供と一緒に決めておくと、親も子供も落ち着いて対処しやすくなります。
子供がした社会のルールやマナー違反を親は黙認しない
スーパーでの買い物程度であれば、子供がルールを守れないからと一旦自宅に帰り、ネットスーパーに切り替えることもできますが、病院や冠婚葬祭などでは置いていくわけにもいきません。
やむ負えない外出先に連れ出された子供は、ルールを守れず周囲に迷惑をかけがちですので、まずは親が社会のルールを守って手本となる行動をとるように意識しましょう。
例えば、結婚式の会場で子供があまりにも騒いで他人の迷惑になる場合、親は外に連れ出すことになるでしょう。
その際、ロビーに出て走り回る子供を笑って見ているようでは、公共マナー違反を黙認していることになりますので、ロビーで絵本を読んであげたり、近くの公園に連れ出したりして場に応じた対応をしましょう。
親の都合を子供に押し付け過ぎないように注意する
子供にはできる我慢とできない我慢があります。子供ができない我慢を無理にさせようとしてもストレスが溜まり、外に向かって周囲への迷惑に繋がってしまいます。
怒らない親は我慢する子供が可哀想で怒れないと思うこともあるでしょうが、無理をさせない環境を整えてできるだけ「できる子」でいさせてあげる方が、自主的に社会のルールやマナーを守ってくれやすくなります。
ただし失敗の経験も大切な学習のチャンスとなりますので、やむを得ず我慢させる時には絵本を持っていくなどの我慢しやすくなる環境を整え、できた時には「静かにしてくれて、お母さんとっても助かったよ」と、努力を評価して次へのモチベーションに繋げましょう。
我が家のルールを作って決まりを守ることを当たり前にしてしまう
習慣化したルールは自然と身に付くものですので、我が家のルールを作って全員が守る空気を作ることは家族の団結にも繋がります。そのため小さな頃から我が家のルールを作っている家庭は少なくありません。
夫婦で話し合って決めた我が家のルールは怒らない親でも夫婦揃って守りやすく、子供も家庭内でルールを守る練習を日々重ねることができるので、成功体験を重ねて自然に「自分はルールを守っている」という自信をつけられます。
怒らない親と怒る親の両親では社会のルールやマナーが身に付きにくい
怒らない親と怒る親の役割が分かれている家庭は少なくありません。けれど片親がどんなに怒って教えても、もう片方の怒らない親が笑って許してしまったり、「ほら、お母さんが怒るからやめなさ~い」と笑って言ったりするようでは子供の気持ちが楽な方、つまりルールやマナーを守らない方に流れてしまいます。
怒らない親が実は外で社会のルールやマナーを守っていても、子供には家庭での姿しか見えません。家庭内でルールを守る姿を見せず怒る親を否定すれば、子供は混乱してしまうのです。
両親そろって子供がルール違反をするたびに怒っていては、子供が委縮してしまいますが、両親が同じ方向を見て生活し、子供に教育していくことは大切です。
怒らない親と怒る親の役割が分かれている家庭では、本当に大切な所だけを普段怒らない親が怒るつもりなのかもしれませんが、些細なことに関して子供が怒られている時にも、怒る親を否定したり子供の味方になったりニヤニヤして見たりせず、ダメなことはダメだと伝える必要があることを自覚して静観しましょう。