自立させない親じゃない?子供と共依存にならないための13の方法
子供の自立は寂しいけれど、子供の成長にとってはごく当たり前のこと。親は受け入れなくてはいけないですよね。ところが、「そうは頭ではわかっていても、納得できない!」という思いを抱える子供を自立させない親が近年増えています。
今回はそんな子供を自立させない親の特徴を紹介しながら、子供を自立へと導き、信頼を壊さないための秘訣をご紹介していきます。子供を愛する気持ちは尊いものですが、依存してしまえば子供の将来に毒を巻き散らかす「毒親」になってしまいかねませんので、気をつけましょうね。
子供を自立させない親の特徴
ともすれば子供ではなく親が子供の存在に依存してしまいがちになる親子関係。子供に依存する親は無意識に、あるいは意識して子供を自立させない親となり、子供の意思を抑圧して将来に害をなす行いをするようになりますが、あなたや夫の子供への言動に、次のような特徴は見られませんか?
<あなたや夫は大丈夫?自立させない親の特徴>
- 子供が自分に口答えしたらショック
- 「あなたはママの全て」と日頃から言ったり思ったりしている
- 子供に謝らない
- 子供に失敗させたくない
- 子供にできることをさせない
- 子供の問題に先回りして口出しする
- 子供の決断に文句を言わずにはいられない
- 嫌われることや揉め事が怖くて子供の言いなり
- 子供にうざいと言われる
- 配偶者とうまくいっていない
- 子供の成績に一喜一憂する
- 子供を自分の手足のようにこき使っている
- 子供の衣類や文房具は全て自分が選びたい
- 子供の交友関係を細かくチェックしている
- 「子供を守ってあげたい」という気持が強い
- 子供を甘やかしている
自立させない親に見られる依存と共依存
「依存」と「自立」はどちらも子供の成長に欠かせないステップ。ところが成長と共に親子間でこの依存が問題となってしまいます。依存、そして共依存とは一体何なのか、一緒に考えていきましょう。
依存とは?
依存とは、何かに頼って生活することで、自立とは真逆の言葉です。人によって頼る存在はまちまちですが、大きく分けて私たちは次の3つに依存しやすい傾向があります。
人間が依存する3つの分類
- アルコールやタバコなどの物質
- スマホや買い物などの行為
- 親や子供などとの人間関係
どれも人を良い気持ちにさせる力のあるものですね。
特に親となったことで意識して気をつけなければならないのが、親密な親子関係。まさに心地良いものですが、その気持ちよさに無警戒でいると、「いつまでも子供に必要とされて満たされたい」という想いが日増しに強くなり、いつしか子供に依存する自立させない親へと自らを変えてしまう恐れがあるのです。
寂しさから子供の自立を妨げるお友達のママ
近所に住んでいる娘と同じクラスの女の子のママは、休日に娘たちが遊びに出かけると必ず公園にまでついてきて、こまごまと娘たちの世話を焼いてくれます。
そのママ曰く「仕事もしていないし、小さな子供もいなくて暇だから、ついつい娘の世話をしちゃうのよね」とのことですが、小学5年生の子供の母親としては過保護すぎて、子供を自立させない親の身勝手さに感じられます。
そのお友達のお宅はお父さんが3年間単身赴任をしていて、親子2人だけで暮らしているそうなので、余計にお母さんが子供に依存してしまうのかもしれません。
特に息子に比べて娘に母親が依存する傾向が強く、親の依存によって娘の自尊感情が低くなる傾向がありますので気をつけましょう。
共依存とは?
「共依存」とは、自分より弱い相手から依存されることで人生の喜びや存在意義を見出す相互の依存関係のことで、依存の一つの形態です。人の役に立つことで誰しも喜びや存在意義を感じられるものですが、共依存の場合は自分が被害者となってしまにもかかわらず自分に依存する相手を求め、親子や夫婦、恋人や友達同士の関係に見られることが多いです。
例えば、赤ちゃんや病人等ではなくアルコール依存症の夫を持つ妻。「いつもは優しくていいお父さんだから…。お酒さえなければ…。この人には私が必要なの。」などと我慢して放置してしまう関係がこれにあたります。
親子関係では引きこもりの子供とその親、病気の子供とその親などで深刻な共依存が見られ、たまにニュースでもわざと子供に毒を飲ませて入院させるなどのケースが報道されていますね。
夫の甘やかしで子供が自立できない
うちには小学生と中学生の娘と息子がいますが、夫は私がどんなに注意しても子供達を甘やかします。そのため、子供達は夫をまるで召使いのようにこき使います。
昨日も「醤油とってきて」「牛乳飲みたい」と平気で晩御飯の時に夫に言いつけるので、「お父さんはお仕事で疲れているのに何故こき使うの?自分で取ってきなさい」と注意したのですが、夫はそんな私の言葉を無視してニコニコ冷蔵庫まで走り、子供に注意する私の言葉を遮って「今日は学校楽しかった?」と話し始めました。
夫とは子供達が小さい頃から何度も話し合いを重ねてきましたが、そのたびに不機嫌になり返事をしなくなったり、「自分はお世話が好きだから」と言ったり。子供達の将来を考えてすべきしつけをしない自立させない親なのです。
そのため子供達は私の注意を聞きませんし、部屋の中はまるでゴミ屋敷。ゴミをゴミ箱にすら捨てません。子供部屋を嬉しそうに掃除する夫の姿は、完全に共依存する毒親です。夫の実家の両親に相談して夫や子供達に注意してもらいましたが、夫の両親が涙目で注意してくれたのに改善していません。
共依存は他人ごとではないかも!?
最近引きこもりとか親子の依存関係が問題視されていますが、うちもヤバイかもしれません。うちには高校2年生の男の子がいるのですが、とかく親を頼りがちで、みかんでさえ「剥いて」と私に押し付けてきます。
しばらく前までは「高校生になっても、甘えているんだな」なんて思って息子の要求に応えていたのですが、先日主人から「そんなのは、自分で出来なきゃだめだ」と怒られてしまいました。
息子はあと1~2年もすれば大学に進学して親元を離れるので、家事もしっかり教えて自立させなきゃとは思うのですが、一人っ子で大事に育ててきた息子ですし、やっぱり頼られると嬉しくてついつい甘やかしてしまいます。
子供を自立させない親の心理とは?
子供を自立させない親は自分自身の人生に不満を抱えていることが多く、子育てにしか自分の価値を見出すことができないため、次のような心理状態で必要以上に子供に依存してしまいます。
- 子育てが自分の人生の全て
- 子供が側にいてくれないと困る
- 子供に嫌われるのは嫌だ
- 子供のことは、全部自分が決めたい
- 親は子供の人生に責任を負うのだから、子供は黙って親に従うべき
子離れできない親は子供が自立して自分から離れて行ってしまったら、自分には何も残らないという不安を抱えています。その不安から「私にはあなたしかいないのよ」と愛情で子供を縛ったり、「子供は黙って親に従っていればいい」など子供を支配したりして安心していたいのです。
自立させない親による子供への影響
子供が自立を始める時期には個人差がありますが、自立は子供の人生における必然的なステップですので親の依存で妨げてしまうと子供に次のような悪影響が起こる恐れがあります。
1自分のことが疎かになる
自立したい心を親によって邪魔された子供は、「何をしても、うまくはいかない」と考えてしまいがちになります。すると次第に自分の好きなことやしたいことを見失って自由に生きる希望や気力をなくし、さらに親への依存を深めて自分自身の人生を選ぶことができなくなってしまうのです。
2家庭内外で問題を起こす
子供の「自立したい」という気持は成長に伴うごく当たり前の感情。ところが、親の都合で抑えられてしまうことにより子供の心は大きなストレスを感じるので自立させない親との関係が悪くなり、「親がうざい」と言って反発したり、外でわがまま放題に振る舞ったりといった問題行動を繰り返し、ストレスを発散させようとすることがあるのです。
3評価を求めて頑張る子になってしまう
子供に対して期待が高く、通知表など数字で子供を評価するなど優劣をつけて一喜一憂してしまう自立させない親に育てられることで、子供自身も表面的な評価ばかりを追い求めて、本来の自分の価値や良さに目を向けることができなくなることがあります。
そのため、さまざまな人生の選択を自分の気持ちより評価を優先させて行い、後々誤りに気づいて苦しんでしまいます。
4親に気をつかう子供になる
親に抱く子供の愛情に甘えて依存する親の元で育った子供は、親の都合を優先させて子供らしい欲求や普通の要求すらもできない、親に気をつかう子供に育ってしまうことがあります。
例えば、親が病気なのに自分だけ楽しんではいけない、貧乏だから親に必要な物もねだってはいけない、片親だから親の側にいられる進路や結婚相手を選ばなければならないなど、人生を楽しめなくなったり、困っていても助けを求めることができなくなったり、将来に夢や希望を抱けなくなったりして誤った行動をしてしまうのです。
自立させない親に育てられた子供の未来
「自立」は大人になるための第一歩ですが、親の都合で自立することができないと身体だけ成長して大人としての扱いを受け、心は子供のままという状態になります。そのためギャップに苦しむようになり、次のような壁に直面してしまいます。
- 大人として物事や、人生の選択の仕方がわからない
- 失敗することが怖い
- 自分の意見や意志を持つことができない
- 自分の気持ちを周りに上手に伝えられない
- 自分から周り愛情を示す方法がわからない
- 自分の家庭を持とうという意欲がわかない
- 自分のことしか考えられない
- 責任の取り方がわからない
自立させない親にならない13の方法
自立へのサポートと過干渉や過保護の境界線の区別がつかないパパやママは、依存や共依存で自立させない親とならないように親が気をつけるべき点を確認しましょう。また、自分の幸せよりも子供の未来の幸せを優先させて考え、子供の問題と親の問題はしっかりと区別し、子供を見守りつつも子供の問題に立ち入り過ぎないように心掛けることが大切です。
1厳しいしつけは程々に
しつけは子供に社会のルールを教えて自立させるための手順の一つではありますが、あまり厳しいしつけは親の支配にもつながりかねません。子供に我慢させるばかりでは子供の意思を抑え込んでしまい親も子供にのめり込みやすくなってしまいますので、基本的なしつけができたら後は子供に判断を任せるくらいの気持ちの余裕を持ちましょう。
2過保護・過干渉をやめる
子供が小さいうちは親が決めることや手を出して助けることが多いですね。けれど子供が自分でやると言い出したことへの判断の間違いや失敗は、子供が育つための大切な糧です。
親元にいて親に慰めてもらえる時期にたくさんの失敗をし、その失敗を乗り越えた体験こそが子供の自信となり、前向きな意欲へとつながります。特に「親がうざい」と言ってきたり、そう思っていることが感じられたりする場合は、子供の自立を阻む過保護や過干渉をやめ、子供の失敗を受け入れて手を放す努力をしましょう。
3放任主義とネグレクトの違いを知る
自立させない親の中には放任主義をネグレクトと勘違いして否定する人がいますが、放任主義とネグレクトは全くの別物です。放任主義は子供の速やかな自立を促していく子育ての方法であって、決して親の義務を放棄しているわけではありません。子供の能力を伸ばすためには親が子供から離れることも必要という考え方を知っておきましょう。
4親が投げやりな生き方をしない
子供は親の姿をよく見ていて、自分の人生のお手本にして成長します。だからこそ親自身が家族を抜きにした自分だけの幸せを持って生き生きと生活する姿を子供に見せることが大切です。
子供が自立に向かって歩み始めたら、子育てばかりに固執せず自分の趣味や好きなことに打ち込んで「生きていると楽しいことが沢山あるよ!」と、楽しい生き方や自立して大人になることへの喜びを背中で教えてあげましょう。
5年齢に応じた子離れをする
子供の自立は子供の成長に応じて進めるもの。それぞれの子供ごとに適した時期があり、体が大きくても心の成長が伴わなければ自立は失敗してしまいます。早すぎても遅すぎても上手くいきませんので、程よく対応できるように日頃から子供とのコミュニケーションを通して子供の自立しようする意欲を確認し、徐々に子供に任せていきましょう。
6理想像を子供に押しつけない
「男の子は泣かない!」「女の子らしくしなさい!」といった親が言いがちなセリフに代表されるような、「○○であるべき」という理想像の押しつけは、子供の自由な心を縛ってしまう可能性があります。子供に親の価値観を押し付けるような言動はやめ、ありのままの子供の姿や考えを心から受け入れる努力をしましょう。
親がそれまでの人生で得た教訓であっても、それはその人の性格や価値観にマッチした物であって、別人格の子供に必ずしもマッチするとは限りません。親子であっても感じ方や幸せの形は違いますよね。
また、そうした教訓は自ら経験することにより心が習得するものですので、理屈だけで吸収できるものではありません。
7安らげる幸せな家庭を心掛ける
子供が自立していくベースには落ち着いた愛情にあふれる家庭が必要です。子供は安らげる家庭で育つことで「自分もこういった家庭を作りたい」と思うことができるようになります。
特に夫婦関係など家庭への不満が子供への依存に繋がっている人は、自立させない親を脱するためにも温かい幸せな家庭を作ることを心がけましょう。
8約束を破らない
他人との約束を守ることは社会のルールやマナーの基本であり、子供が自立する前に覚えなくてはいけない大切なことです。ところが親が平気で約束を破ったり、約束を破って責められたことに逆ギレしたりすると、子供はそんな親の姿を見て約束を軽視したり、親を軽蔑したりしてしまいます。
子供とは軽々しく口約束をせず、約束は必ず守るように心掛け、やむを得ず約束を守れない場合は間違っても逆ギレなどせずきちんと謝りましょう。
9他人や家族に感謝する姿を見せる
子供が自立して社会の中で生きていくためには、周りの人と協調し、仲良くすることを覚えなくてはいけません。こうした他人とのコミュニケーションの手本となるのが一番身近な親の姿です。
ですから日頃から自分の子供だけに目を向けるのではなく、子供の友達や近所の人、義両親や親戚などへの感謝の心を忘れずに良好な関係を築いて、自立する子供のよいお手本になることを心がけましょう。
10自律や自立を強要しない
自律とは自らの意思で自らの行動を制御すること。一方、自立とは自分ひとりの力で物事を行うことです。
自律や自立は子供に強要できるものではなく、子供は心身が成長して時期が来れば自然と自律できることが増え、やがて親元からはなれて自立します。
ところが子供の準備が整う前に大人が無理に手を放してしまうと、子供は「親に見捨てられた」と感じて人間関係に失望してしまったり、それまで築いてきた親子の信頼関係や思い出を台無しにしてしまったりすることがあります。
例えばトイレトレーニング。体の機能が充分に成長していないのにオムツを外しても上手くいきませんし、怒っても上手くいきません。もちろん過保護や過干渉になることは子供の自立を阻んでしまいますが、子供が不安になって親に助けを求めている時は、自立を強要せずに子供の心に寄り添って勇気づけてあげましょう。
11子供扱いしない
親にとって子供はいつまでも可愛い赤ちゃんですが、心も体も成長した子をいつまでも子供扱いしていると、子供は親のイメージ通り「自分は子供のままで何もできない」と親のネガティブなレッテルに影響されてしまい、自立するのに必要な勇気が削がれてしまうことがあります。
できないと決めつけて子供扱いし、子供のやる気を無視したり、できない姿を可愛いと喜んだりするのはやめましょう。
また、親が愚痴をこぼして「大人は大変だ」と擦り込むのではなく、大人になることは自由に生活ができる素晴らしいことだという本質を教えてあげてくださいね。
12親元に残ることを強要しない
「いつまでも一緒に暮らそう」「最後まで親の面倒を見て」と親元に残ることを強要することで、子供は「自分は大人になっても自由になれない」と親から自立できないことを嘆き、自立するために身につけるべき能力を培う気力を削がれてしまうことがあります。
13子供の話をよく聞く
子供の自立から目をそむけていると、子供が話すことを「どうでもいい」と感じてしまいがちになりますが、いま何に興味を示しているのか、将来はどんな仕事がしたいのかなど、子供の話は良く聞きましょう。
過干渉や過保護はいけませんが、子供が間違った方向に向かわないように親離れする直前まで親が聞き役となり、自ら答えを導き出せるようにサポートすることは必要です。
自立させない親を卒業!よい関係を築こう
子供が自分から離れることに必要以上に不安になる必要はありません。子供が家から出て自立しても、よい親子関係で繋がっている親子は沢山います。しっかりと自立した大人に成長すれば、子供は親に感謝し、親を敬い、自ら連絡をとってきたり、近況を話したり、感謝の心を何らかの形で表現したりするものです。
乳幼児期は不安になっても振り返ってママの存在を確認し、ママから勇気をもらって新しい世界へと歩みを進めますよね。子供が成長するにしたがって体だけが側にいる距離だけの親子になってしまうのではなく、どんなに離れていても子供が歩み続けられる勇気を与えられる親であり続けましょう。子供の力を誰よりも信じ、子供のよき理解者となり、子供の自立を見守って応援していきましょう。