近年、過保護な親が増えてきていると言われています。少子化や一人っ子が増えた影響もあり、子供にかける時間が多くなっているという実情もあるようです。「過保護だからワガママに育った」「自分勝手だ」と言われることもあり、自分が過保護に育ててしまっているのではないかと心配になるママも少なくありません。
そもそも、過保護って悪いことなの?過保護な親に育てられた子にどんな影響があるの?と気になりますよね。今回は、過保護な親にありがちな特徴や行動、過保護な母親になってしまう原因などについてご紹介していきます。自分はどうなのか心配なママは、ぜひチェックしてみてください。
過保護と過干渉の違い
小さな子供には、親の保護が必要です。心配だから、あれこれと世話を焼いてしまうものですが、成長とともに、できることもどんどん増えていきます。それをいつまでも手伝っていたり、危険だからと子供にやらせないままにしたりと、度を越して世話を焼きすぎると「過保護」になっていきます。愛情がありすぎるがゆえに「過保護」になってしまう場合も少なくありません。
そして、過保護と過干渉は似ているようですが、違います。「親の過干渉」は、子供の望まないことにも手を出すことです。過干渉の例は、子供の交友関係に口を出して「あの子と遊んではいけません」と言ったり、「ごはんを食べる順番はこうよ」など、子供の意思とは関係なくコントロールしようとしたりすることです。
過保護は、子供にとって悪いことばかりではありません。甘えたいときに甘えさせてもらえることは、子供が愛情を感じ、自己肯定感を育むことにもつながると言われています。愛情をかける関わりは、自立を助ける面もあるのです。ただ、やはりやり過ぎはよくないので、バランスが大切といえるでしょう。
保護・過保護・過干渉の違いを、簡単に整理すると次のようになります。
| 種類 | どんな関わり | 子供の気持ち | 自立への影響 |
|---|---|---|---|
| 保護 | 発達に必要なサポートを、成長に合わせて行う | 安心できる | 自立を支える |
| 過保護 | 子供が求めることを、必要以上にやってあげる | 愛情は感じやすい | やり過ぎると自立が遅れることも |
| 過干渉 | 子供が求めないことまで、親が決めて手を出す | 気持ちが置き去りになりやすい | 自主性が育ちにくい |
- 過保護
子供が求めることをやりすぎること
- 過干渉
子供が求めないことまでやりすぎること
過保護な親の4つの特徴
では、どのような親が過保護になりやすいのでしょうか?過保護な親に見られやすい特徴をご紹介していきます。
1子供がやることを先回りしてやってしまう
過保護な親がやってしまいがちなのがこちらです。子供に不自由な思いをさせたくない、というのは親として自然な気持ちですが、やり過ぎには注意したいところです。
例えば、「部屋が散らかっているから片付けた」ということはよくあることでしょう。しかし、それが当たり前になると、子供は自分で片付けようとしなくなってしまうことがあります。
「学校の準備をしていなくて、先生に注意された」から、親が前日に準備をするようにして忘れ物がなくなった、というのは少し違いますよね。忘れ物をしないように、自分で気をつけて、責任を持てるように促していくことも親の役割です。
2子供が欲しがるものはすべて買い与える
子供が欲しいと言ったら、すべて買い与えるのも過保護になりやすい関わりです。「新しいゲームソフトが出たから」「そろそろパソコンが欲しい」「おもちゃ買って」と、子供はどんどん要求してきますよね。
それをすべて買い与えるのは、甘やかしになってしまうことがあります。家では駄々をこねると手に入る、と学習してしまうこともあるため、家庭の中でも思い通りにならないことがある、ということを伝えることも大切です。そして親も「甘えと甘やかしは違う」ということを知っておきたいですね。
過保護に育った子供は、家では思い通りにできても、学校生活ではそうもいきません。なんでも自分の思い通りになる、欲しいものは手に入る、という感覚のままだと、集団生活の中で戸惑ったり、気持ちのコントロールが難しくなったりすることもあると言われています。
3「○○やったら?」が口癖になっている
子供のためを思っての発言ですが、つい言ってしまっている、と思い当たる人も多いのではないでしょうか。「今日はこれをやって遊んだら?」「この後○○したら?」と言われることで、子供は知らず知らずのうちに誘導され、自分で決める機会が少なくなってしまうことがあります。
それに慣れてしまうと、自立心が育ちにくくなることがあります。自分で考えなくてもママがやってくれる、と感じてしまうと、いずれ困ってしまうのは子供自身かもしれません。
4子供にお手伝いや身の回りのことをさせない
例えば、自分が食べた食器は下げる、遊んだおもちゃは片づけるなど、子供でもできるお手伝いや身の回りのことを、親が何も言わずにやってしまっている場合などが、これに当てはまります。
小学生になって学校の準備をするのにも、親がやっていては、なかなか自分で準備できるようになりません。最初はそばにいて一緒に確認しながら、少しずつ自分でできるように習慣づけていくことが大切です。
過保護な親チェック!よくある言動
過保護な親の言動を、成長の段階別に例を挙げてみました。これって過保護になるんだ…と意外に思うこともあるかもしれません。あなたはどのくらい当てはまるでしょうか。あくまで振り返りの目安として、気軽にチェックしてみてくださいね。
乳児への過保護な言動
乳児の時期は、過保護というよりも、まだ自分でできない赤ちゃんに対しては当然のことが多いですが、手をかけすぎて過保護への第一歩を踏み出していないか、少し振り返ってみましょう。
- 赤ちゃんが泣いたらかわいそう、と理由や原因を考えることなくすぐ抱っこする
- 必要以上に厚着させている
- 外出させない
1~2歳児への過保護な言動
子供の「やりたい!」を、危ないから・心配だからと先にやってしまっていることはありませんか?なんでも先回りしてしまうと、子供のやる気や自立心が育ちにくく、指示を待つだけになってしまうこともあります。
- 欲しいものはすべて与える
- やりたいことはすぐにやらせる
- 公園などの少し難しい遊具では遊ばせない
- 食事をすべて食べさせてあげる
- 着替えや靴を履くときに手伝う
幼稚園児への過保護な言動
- 欲しいおもちゃはすべて買い与える
- 折り紙や工作で、できないからと手伝って仕上げてしまう
- 時間がないわけでもないのに、着替えを手伝う
- おもちゃの片づけをやってしまう
- トイレの世話をする、手伝う
小学生(低学年)への過保護な言動
- 朝、子供を起こしている
- 筆箱や名札、傘などの忘れ物があったら届ける
- 遅刻しそうになったり、雨が降ったときは車で送る
- 学校の時間割を、親がそろえる
- 放課後、友達と遊ばせない
小学生(高学年)への過保護な言動
- 家庭でのお手伝いをしたことがない
- 学校の上履きを自分で洗わない
- ひとりでバスや電車に乗ったことがない
- 食事のとき、魚の身をほぐしたり、肉を小さくカットしたりする
- 叱らない
- ゲームやスマホ、テレビの視聴に制限がない
過保護な親に育てられた子供の体験談
過保護な親に育てられた子供は、大学生や社会人になってから戸惑うことがあると言われています。過保護な親を持つ子供は、どのように感じながら成長していくのでしょうか?実際に苦労したという体験談をご紹介します。
A過保護に育てられました
私の親は、過保護だったと思います。私が小さい頃から、特に困ることも不自由をすることなく過ごしてこれたのは、母が献身的に色々とやってくれていたからだと、小学生の時に気が付きました。
欲しいものはたいてい手に入ったし、怒られたという記憶もほとんどありません。「あなたはやらなくてもいいから」が口癖で、何でもやってくれました。
私自身も、すぐに甘えてしまうようになり、困ったことがあればすぐ母に相談。結婚して、子供も生まれましたが、いまだに自分に自信がなく、子育てにも自信がないままです。私のような子供にはなってほしくないので、母を反面教師にしているところです。結局、親離れ、子離れができていないんだと思います。今は適度な距離を取りつつ、母と付き合うようにしています。
Aいまだに過保護から抜けられず・・・
自分自身が小さい頃甘やかされて育ってきました。でも、それは自分でそう思っていたわけでなく、大きくなってから「過保護だよね~」と言われ気付いたという感じです。「いつまでもお嬢様気分が抜けてない」など色々と言われてきましたが、自分ではこれが当たり前なので、なかなかピンときませんでした。友人と遊びに行っても「お母さんが心配するから早く帰らないと」と言ったらビックリされたり…。
でも、気が付けば、自分は親がいなければ何もできない、自分で考えることもできないという最悪な何もできない子になっていました。結果、いつまでも家に居続け、共依存のようになってしまっています。何とかしたいのですが、親も悪気があるわけではないので、どうしたらよいのかわからず付き合い方を考えているというのが現状です。
A大人になっても親のせいにしてしまう
親が過保護で、イヤでイヤでたまりませんでした。何をするにも先回りされているので、自分でやることはありませんでした。親は子供のためとやってくれるのはわかるのですが、なんでもやってもらうのはありがたくもあり、うざくもあり・・・。早く自立したい、と思っていましたが、親がやってくれることに甘えている自分もいて、どうすることもできない学生生活でした。社会人になって思い切って一人暮らしを始め、自由を手に入れた気がしましたが、肝心なことは自分で決められない、自己中心的な考え方しかできないなど、困ったこともあります。また、それらを親のせいにしてしまう自分もイヤです。自分の子供には、絶対過保護に育てないぞ!と思っています。
過保護な親になる原因
過保護な親になってしまう原因として、夫婦関係や、親自身が育った家庭環境が挙げられることがあります。また、過保護になりやすいのは母親であることが多いとも言われています。
夫がいつも仕事で忙しく家庭を顧みなかったり、夫婦関係に不満が積もっていたりすると、子供への愛情がすべてになってしまうことも少なくありません。子供に自分の存在意義を見出し、「自分がいなきゃ、この子は何もできない」と感じてしまう場合もあります。
また、最近は一人っ子も増えているため、子供一人に構う時間が増えていることも原因のひとつとされています。ほかにも、親自身が子供の頃に同じように育てられてきたため、当たり前のようにそうなってしまうこともあると言われています。
子供に嫌われたくない親
「やってあげないと子供に嫌われてしまう!」と思っている人はいませんか?
自分が子供だった頃を思い浮かべると、「親が嫌い!」と感じた時期は、誰にでも一度はあったのではないでしょうか。
しかし、年齢を重ねてその時の親の行動の理由がわかると、子供のことを思ってしてくれたことだったと気付けるものです。手をかけることだけが愛情ではない、と考えてみることも大切ですね。
保護と過保護の境界線
過保護はよくない、と言われても、どのくらいが過保護になるのか、境界線がわかりにくいこともありますよね。保護・過保護・過干渉の違いを、はっきりコレ!と線引きするのは難しいものです。子供の気質によって、同じ行動でも「ただの保護」か「過保護」かは変わってきます。
子どもとの付き合い方を見直してみましょう
過保護かも?と思ったときは、これまでの子どもとの付き合い方を見直し、自分の行動が最終的に本当に子供のためになるのかを考えてみることが大切です。
当たり前ですが、子供はいつまでも親元にいるわけではありません。多くの子供が、やがて一人暮らしを始め、社会人となり、自分の家庭を持つようになります。今が可愛いからと、何でもしてあげることが本当に子供のためになるのか、ときどき立ち止まって考えてみたいですね。
子供から求められていないのに、つい先回りしてやってしまうことは避けたいところです。心配だから…と手を出すのではなく、子供が自分で考える力を育てるためにも、子供の力を信じて見守ることも大切です。
ひとりで抱え込まないための相談先
「関わり方を変えたいけれど、なかなかうまくいかない」「子供との距離感に悩んでいる」というときは、ひとりで抱え込まず、身近な公的な窓口に相談してみるのもおすすめです。話を聞いてもらうだけでも、気持ちが軽くなることがあります。
- お住まいの自治体のこども家庭センター(子育て世代包括支援センター)や子育て相談窓口
- 市区町村の保健センターの育児相談
- 学校のスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー(就学中の場合)
- 各自治体の子育て相談ダイヤル
過保護な親に関するよくある質問
過保護は絶対に悪いことなのですか?
いいえ、過保護がすべて悪いわけではありません。甘えたいときに甘えさせてもらえることは、子供が愛情を感じ、自己肯定感を育むことにもつながると言われています。大切なのはバランスで、成長に合わせて「自分でできること」を少しずつ増やしていけるとよいですね。
過保護と過干渉はどう違いますか?
過保護は「子供が求めること」を必要以上にやってあげる関わり、過干渉は「子供が求めないこと」まで親が決めて手を出す関わり、という違いがあると言われています。過保護は愛情を感じやすい一方、過干渉は子供の気持ちが置き去りになりやすい点が異なります。
過保護かもと気付いたら、まず何から始めればいいですか?
まずは、子供でもできる身の回りのこと(食器を下げる、片付けをする、着替えなど)を、少しずつ子供に任せてみましょう。最初は一緒に確認しながら、できたら褒めることで自信につながります。気付いた今から見直せば十分に間に合います。悩みが深いときは、公的な相談窓口を利用するのもおすすめです。
まとめ
過保護は「子供のため」という愛情から生まれるもので、それ自体が悪いわけではありません。ただ、やり過ぎると子供が自分で考え・行動する機会を減らしてしまうこともあります。だからこそ、過干渉との違いや特徴を知り、ときどき自分の関わり方を振り返ってみることが大切です。
子供の力を信じて見守り、成長に合わせて少しずつ手を離していくことが、自立への何よりのサポートになります。うまくいかないときはひとりで抱え込まず、身近な相談先も頼りながら、あたたかく見守っていきたいですね。






