母子家庭の生活費はいくら?シングルマザーが親子で生き抜く知恵
食費や光熱費、教育資金などの将来的な貯金まで、子供を育てると何かと物入り。特に母子家庭の場合、十分な収入を得ることができず、修学旅行に行けない、通うことすらできないといった家庭が増えています。貧困問題のしわ寄せが母子家庭に向きやすいのは周知の事実。これから離婚を考えているママ、既にシングルマザーの道を歩んでいるママ、どちらも先を考えると不安になるでしょう。
今回は、そんな母子家庭の経済の実態を取り上げながら、母子家庭の家計管理や節約のポイントなどについてご紹介していきます。シングルマザーが受けられる行政支援や子供の貧困問題についてもご紹介しますので、母子家庭の経済的な現実に目を向けてみましょう。
母子家庭の生活費の平均と収入
日本の各家庭の家計状況については、総務省が調査を行いデーターに取りまとめて発表しています。2016年の総務省の統計では、父親と母親がそろって子供2人を養育する標準世帯の家計の収支は次のとおりでした。
<標準世帯の収入と生活費の平均>
標準世帯の家計であれば、140,592円の差額が手元に残りますので、将来的な貯蓄に充てたり、住宅の購入費用を捻出したりすることもできますね。ところが母子世帯になると、収入・支出ともに落ち込み、手元に残るお金は26,367円。母子家庭は家計に余裕がないことがわかります。
<母子家庭の収入と生活費の平均>
母子家庭の平均実収入は標準世帯の48.1%、半分以下に過ぎません。こうした母子家庭の実収入の金額には、社会保障給付金などの手当や養育費などが含まれていますので、父親からの養育費をもらえない母子家庭や、子供の人数が多い母子家庭はさらに厳しい経済状況となります。
<母子家庭の平均収入の内訳>
- 勤め先からの収入 191,881円
- 社会保障給付 16,684円
- 養育費等の仕送り・財産収入 2,954円 など
母子家庭の収入と貧困
「122万円×家族の人数」で求められる金額以下の収入の家庭は、貧困家庭となります。年収が母子家庭の平均額であっても、子供が2人以上いると貧困家庭となってしまうという厳しい現状が、シングルマザーとその子供にのしかかっているのです。
母子家庭の生活費と内訳
総務省による「平成26年全国消費実態調査」の結果によると、母子家庭のうち親が働いている世帯の生活費の内訳は、次のような割合になります。
食費 | 24.5% |
---|---|
住居 | 14.4% |
光熱費・水道代 | 7.8% |
交通費・通信費 | 15.4% |
教育費 | 7.3% |
教養・娯楽費 | 8.2% |
その他 | 22.4% |
ちなみに、シングルマザーの平均年齢は40.1歳、平均して2.6人の子供を養っているのが実情で、母子世帯は持ち家率が29.6%と2人世帯や父子世帯と比べると極端に低く、賃貸などの住居費が家計の大きな割合を占めてしまうということがわかっています。
母子世帯では食費や住居費、光熱費や水道代などにかかる費用の割合の全てが標準世帯を上回っていて、家計の収支のバランスが取れていないのが実情。子供を育てると進学等でまとまったお金が必要になる事も多いのですが、このような母子家庭の経済状況では、急な出費に対応するだけの余裕を持つことはとてもできませんね。
母子家庭の小学生~高校生にかかる学費
子供が小中学生の間は、学用品や通学費、修学旅行費、制服などの新入学児童生徒学用品、給食費などの費用を援助してくれる「就学援助制度」によって、小学校や中学校に通学することができます。ところが、母子家庭のシングルマザーの中にはそのことを知らない母親もいて、就学支援制度を活用せずに子供に通学や修学旅行を断念させているケースもあります。
また、高校生や専修学校高等課程の場合、「高等学校等就学支援金制度」によって、基本的な授業料を支払わなくても通学することができます。例えば、年収が250万円未満、市町村民税所得割0円の母子家庭の場合、申請を行うことで公立高等学校は11万8,800円、私立は上限29万7,000円までの授業料が、シングルマザーに代わって学校に支払われるのです。
実際には…
小中学校同様に「制度を知らない」「手続きが難しい」などの理由で申請を行わなかったり、必要な学用品や通学費などが用意できなかったりして、せっかく子供の希望する高校に合格できても、わずか数ヶ月で中退を余儀なくされるといったケースもあります。
高校生になればアルバイトができますので、支援制度への知識さえあれば通学は可能ですよね。ですから、母子家庭のシングルマザーは、こうした公的支援についての知識を持つことが大切です。離婚を考えているママは、離婚前にネットで支援情報についての知識を深めたり、難しいと感じる場合には市役所に相談に行ったりしましょう。
母子家庭が受けられる手当などの生活支援
平成27年4月に厚生労働省から発表された、ひとり親家庭の現状を示す資料によると、現在母子世帯数は123.8万世帯、父子世帯は22.3万世帯にのぼります。多様な家族形態が認められる世の中になったことで、ここ25年間の内に母子世帯は1.5倍にも増えていて、今後も増加していくことが予想されています。
ひとり親世帯の約85%は母子家庭なのですが、女性にとって子供を一人で育てながら就業することは非常に難しく、子供の貧困問題の多くはシングルマザーが背負っているといっても過言ではありません。そのため、就学支援以外にもある、子育てや生活の支援、子供の学習支援、女性の就業支援、養育費相談、子供の進学費用の原則無利子貸付など、様々な支援があることを知っておくことが大切です。
シングルマザーとその子供たちが安心して生活を送るためにも、行政機関の経済的支援を積極的に活用していきましょうね。
母子家庭のママにおすすめ!親子で生き抜く知恵
行政機関の経済的支援はあくまでも一時的なもので、最低限の生活は保障してもらえますが、経済状態を根本から解決するには節約が大切。とはいえ、母子世帯は子供の面倒を見る大人の人数が少ないので、無理のない範囲で、できるだけ簡単に取り組める節約をしていくことをおススメします。
今日からコツコツと始めて置けば、いざというときのお金を貯めることも夢ではありませんよ。
1児童手当を学費として貯金
母子家庭は収入と支出の差が少なく、貯金がしにくいのですが、子供の進学時にまとまったお金が必要になる事を考えれば、ある程度の貯金は必要ですよね。そこで、毎月の児童手当など助成金は毎月の家計に入れず、そのまま貯金をしてしまいましょう。
児童手当を貯金するだけでも、子供が中学校を卒業する時にはおよそ200万円の貯蓄になります。これでしたら、子供の人数が多くても、それぞれの子供の学費をしっかりと蓄えることができますね。助成金をあてにしないことで、貯金を捻出しながら堅実な家計管理ができるようになり、節約にもつながりますね。
2公共料金はカード支払いでポイントをためる
クレジットカードの中には、使用すればポイントがついてキャッシュバックできたり、商品と交換できたりするものがあります。電気代や水道代、光熱費、通信費など毎月コンスタントにかかる公共料金は、銀行引き落としではなくカード支払いにし、ポイントを貯めて換金しちゃいましょう。
3家計簿をつける
面倒だからとレシートをもらわないママも多いのですが、家計簿をつけていれば家計の無駄がわかりやすくなり、自然と節約ができます。最近は、スマホアプリでレシートを読み込むだけでつけられる家計簿アプリもありますので、手間を省いて家計簿の良いところだけを活用し、節約を心がけましょう。
家計簿マネーフォワード~銀行・クレカ対応が人気の無料アプリ
利用者は400万人を突破したほど、数ある家計簿アプリの中でも人気NO1のおすすめアプリです。銀行口座と連携させられるので、収支管理が楽ですね。レシート撮影入力機能は改良の余地ありという人も多いですが、入力や管理がとにかく楽で節約を実感できるという口コミが多数ですので、忙しいシングルマザーには頼もしいアプリですよ。
4袋分けで余ったら貯金する
「母子家庭で忙しいから生活費の家計管理は簡単にしたい」というシングルマザーは、日常的に支出する食費と雑費はざっくりと予算を立てて、袋分けして管理をしましょう。一ヶ月間袋の中からお金を出していって、余った分を貯金にまわすと、わずかながらでもお金が溜っていきます。何ヶ月か繰り返していると「今月はもう少し頑張ろう」という気持になり、自然に節約を心掛けることができますよ。
5お風呂はみんなで入って最後まで活用する
「衛生的には毎日お風呂に入りたいところだけど、水道代もガス代も馬鹿にならない…」という場合は、浴槽にためるお湯を少なめにし、沸いたらすぐに家族で連続して入り、シャワーを極力マメに止めるのがおすすめ。半身浴は体にも良いですし、お湯が冷める前に連続して入ることで浴室も暖かく、沸かし直しの光熱費も節約できますよ。
生活費の中でも水道代の占める割合は意外に高いです。お風呂の残り湯は、洗濯や掃除に再利用。水を最後まで有意義に使って、無駄遣いを節約しましょうね。
6子供の服はおさがりを活用する
子供小さいうちは成長が早く、ワンシーズンで服がきつくなってしまうことが多いです。新しい服を購入して補充していると高くついてしまうので、友人や親戚に声をかけて、おさがりを活用しましょう。子供の服は着られる期間が短いので、キレイな状態の古着も出回っています。フリマアプリなども活用すると、かなり節約できますよ。
7チラシアプリで食費節約
子だくさんの母子家庭の場合、食費も結構な負担になりますよね。仕事で毎日忙しく、安い食材を買うのを断念してしまうシングルマザーも少なくありませんが、最近は近所の特売品で作れる献立まで教えてくれる無料アプリも登場したんですよ!休日を利用して、特売品でお得なお買い物をすれば、毎月かなりの食費を節約できますよ。
節約して出来たお金を活用しましょう
母子家庭となる理由はそれぞれですが、親が一人であるために子供の将来が制限されてしまうことは、とても悲しいことですよね。さまざまな支援制度や節約のコツを活用して、できるだけ子供に格差を意識させない気配りをするには、情報収集が大切です。
また節約は、「何でもかんでも節約」と考えてしまうと、長続きできません。節約して出来たお金は、ママと子供でご褒美外食などの楽しみに使い、親子で過ごせる時間をより豊かにしましょうね。