グルメの国イタリアの赤ちゃんはどんな離乳食を食べているの!?
世界に誇る奥深い食文化を持つイタリア。パスタやオリーブオイルが並ぶ食卓を思い浮かべますが、イタリアの赤ちゃんたちは一体どんな離乳食を食べているのでしょうか?
イタリアでは、伝統的な「野菜スープのベースにチーズとオイル」という定番の離乳食スタイルが根付いている一方で、近年は「自然離乳(自己離乳)」という新しい進め方も話題になっています。
そこで今回は、イタリアの伝統的な離乳食の進め方やレシピと、最近注目されている自然離乳(Autosvezzamento)の事情についてご紹介します。日本の離乳食とは一味違う、驚きと発見がいっぱいのイタリアン離乳食。毎日のメニュー作りにマンネリを感じているママも、ぜひ参考にしてみてくださいね。
イタリアの離乳食の基本スタイル
日本では「10倍粥」からスタートし、少しずつ野菜やたんぱく質を別々のお皿で増やしていくのが一般的ですが、イタリアの離乳食は炭水化物・蛋白質・脂質・野菜などをすべて混ぜ合わせた「一皿(ピアット・ウニコ)」タイプが基本です。
イタリアには乳幼児専用の食品加工メーカーが充実しており、月齢に合わせた粉末のパスタやお米、お肉のペーストなどがスーパーのベビーコーナーにズラリと並んでいます。これらを活用して、ママたちは手間をかけずに栄養満点の一皿を作っています。もちろん、週末など時間がある時には、新鮮な食材を使ってお肉をミンチにしたり、野菜をコトコト煮込んだりと手作りを楽しむ家庭もたくさんあります。
イタリアの離乳食はいつから?
イタリアでは、赤ちゃんが生後5ヶ月〜6ヶ月頃になると離乳食をスタートする家庭が多く見られます。イタリアの保健省でも、生後6ヶ月頃からの離乳食導入の意義について、以下のように紹介しています。(注1)
イタリア保健省が推奨する離乳食の意義
- 生後6ヶ月を過ぎる頃になると、母乳だけでは成長に必要な栄養素を十分に満たすことが難しくなります。
- この月齢の赤ちゃんは、運動面や消化機能の面でも、母乳以外の食べ物を受け入れる準備が整ってきます。
- スプーンの感触に慣れ、少しずつ密度の高い食べ物を飲み込めるようになるため、果物や野菜のスープなどの半固形物からスタートします。
- 離乳期は嗅覚や味覚を通して「新しい世界」を体験し、スプーンから食べるという行為を学ぶためのとても大切な時期です。
イタリアでの離乳食食材の進め方
イタリアの離乳食では、最初からオリーブオイルを使ったり、日本では珍しいウサギ肉が登場したりと、食文化の違いがはっきりと表れます。
野菜類
野菜は旨味と栄養が溶け出したスープにして与えるのが基本です。新しい野菜を試すときは、赤ちゃんの様子や好みを数日かけてゆっくり確認しながら、徐々に種類を増やしていきます。トマトや柑橘類など酸味が強いものは、酸っぱさに驚いてしまうこともあるため、月齢が進んで食べることに慣れてから少しずつ挑戦させます。
炭水化物類
最初は日本と同じように、お米(乳児用の米粉)から始めます。その後、トウモロコシ粉やタピオカ粉などの粉末を活用し、徐々にパスタ類へとステップアップしていきます。
パスタの国イタリアらしく、離乳食用の極小サイズの可愛いパスタ(パスティーナ)も豊富に市販されています。「星型」や「アルファベット型」などバリエーション豊かで、赤ちゃんが食事の時間を楽しめる工夫がされています。
脂質
イタリアの離乳食に欠かせないのがオリーブオイルです。質の高いエキストラバージンオリーブオイルを、調理の最後に熱を加えずに「生」で回しかけて風味をプラスします。フレッシュなオイルを使うことで、赤ちゃんのお腹にも優しく、料理の味がグッと引き立ちます。
肉類
イタリアの離乳食では、鶏肉や豚肉だけでなく、柔らかくてさっぱりとしたうさぎ肉もよく使われます。初期はフリーズドライの肉粉を利用すると、ダマにならず滑らかに仕上がります。生の肉を調理する場合は、脂身を丁寧に取り除き、茹でるか蒸した後に細かくペースト状にして混ぜ合わせます。スーパーには「子羊」や「生ハム風味」のベビーフードも並んでおり、手軽にお肉のバリエーションを増やせます。
チーズ類
離乳食の仕上げには、2年以上熟成させた本格的なパルメザンチーズを削ってかけます。パルメザンチーズは熟成の過程で旨味が凝縮され、消化もしやすくなっているため、赤ちゃんの食事の風味づけにぴったりです。市販の乳児用チーズは塩分が控えめに調整されているので、安心して使えます。
果物
果物は、旬のよく熟したものをすり下ろしたりペーストにしたりして、食事の合間のおやつとして与えます。りんごや洋梨が定番で、赤ちゃんが好む自然な甘みをそのまま活かします。市販の果物瓶詰めは便利ですが、お砂糖が少し追加されていることもあるため、日常使いと手作りをバランスよく組み合わせるママが多いようです。
基本のイタリアン離乳食のレシピ
ここからは、生後5〜6ヶ月位から始める、イタリアの基本の離乳食レシピをご紹介します。この野菜スープのベースに、月齢に合わせてお肉やパスタを加えていくのがイタリア流です。塩などの調味料は使わず、野菜の甘みとチーズの風味で仕上げます。
離乳食用・基本の野菜スープ(ブロード)
一度にたっぷり作って、製氷皿などで小分けにして冷凍しておくと、毎回の食事がとても楽になりますよ。
野菜スープの材料
- じゃがいも 1-2個
- にんじん 1-2個
- ズッキーニ 1本
- ラットューガ(サラダ菜などのレタス類) 1枚
- 水 1リットル
- 材料をきれいに洗い、適当な大きさに切ります。1リットルの水に入れて、水量が半分になるまでじっくり茹でます(圧力鍋なら約20分で完成します)。
- ザルでスープを濾して、野菜とスープに分けます。最初は澄んだスープのみを使用します。
基本の離乳食「パッパ(Pappa)」の作り方
基本の材料(1回分)
- 野菜スープ 180g
- 乳児用米粉 大さじ3
- エキストラバージンオリーブオイル 小さじ1
- パルメザンチーズ 小さじ1
- 温めた野菜スープに、乳児用米粉(調理済みのもの)を少しずつ加えながら、ダマにならないように混ぜます。
- お皿に盛り付け、パルメザンチーズとオリーブオイルを回しかけて出来上がりです。フワッとしたチーズの香りが食欲をそそります。
月齢に合わせた離乳食のステップアップ
初期(4ヶ月~6ヶ月)
最初の数週間は上記の「スープ+米粉+オイル+チーズ」の基本セットに慣れさせます。少しずつ食べることに慣れてきたら、濾したスープだけでなく、茹でたにんじんやズッキーニをすりつぶした「野菜ピューレ」をスプーン数杯分混ぜ込みます。さらに、フリーズドライの肉粉などを少量加えて味の変化を楽しみます。
中期(7ヶ月~9ヶ月)
食事の回数を1日2回に増やします。ベースのスープに加えるパスタの粒を少しだけ大きくしたり、ペースト状にしたお肉やお魚、茹でてつぶした豆類を加えてボリュームを出します。
後期(10ヶ月~12ヶ月)
ドロドロのペースト状から卒業し、フォークの裏で粗く潰したものや、細かく刻んだ食材へと移行し、モグモグと噛む練習を始めます。パパやママの食事から、薄味で柔らかく煮た野菜を取り分けてあげる「家族と同じ食事」の楽しさを少しずつシェアしていく時期です。もし新しい味を「プイッ」と拒否しても、決して無理強いはせず、「今日は気分じゃないんだね」とゆったり構えて見守りましょう。
近年話題の「自然離乳(Autosvezzamento)」とは?
イタリアでは、こうした伝統的な離乳食の進め方に対し、「Autosvezzamento(アウトスヴェッツァメント:自己離乳・自然離乳)」というスタイルが若い世代の親たちを中心に流行しています。これはイギリス発祥の「ベビー・レッド・ウィーニング(BLW)」と似た考え方です。
自然離乳の最大の特徴は、「赤ちゃん専用のドロドロの離乳食をわざわざ作らない」ということです。生後半年を過ぎて赤ちゃんが大人の食事に興味を示し始めたら、家族と一緒に食卓を囲み、テーブルに並んだ大人の食事(塩分や油分を控えた安全なもの)から、赤ちゃん自身が手づかみで好きなものを選んで食べるのを促します。
「食べる量やペースを赤ちゃん自身に任せるため、食事の時間が親子のストレスになりにくい」という大きなメリットがあり、食の自立を促すとされています。
一方で、イタリア国内でも「まだ科学的な研究データが少ない」「栄養バランスが偏らないか心配」といった慎重な声もあり、伝統的なペースト食と自然離乳の「いいとこ取り」をするママも増えています。
イタリアの離乳食は手軽で愛情たっぷり♪
イタリアの離乳食は、野菜の旨味がたっぷり溶け出たスープと、上質なオリーブオイルやチーズを使うのが特徴です。メニューを細かく作り分ける悩みが少なく、手軽に栄養満点の一皿が完成するため、忙しい現代のママにとっても嬉しいスタイルですね。
「今日はイタリア風にしてみようかな?」と思ったら、いつものおかゆにほんの数滴のエキストラバージンオリーブオイルと、粉チーズをパラッと振りかけてみてください。いつもと違う香りに、赤ちゃんも目を輝かせるかもしれませんよ。ぜひ、ご家庭に合ったオリジナルのマンマの味を見つけて楽しんでくださいね♪
参考
- 注1:Ministero della Salute「Svezzamento」




